2005年4月29日金曜日

やさしいゲームの作り方



やさしさが足りないと思う。

以前3D酔いに弱いと書いた投稿にトラックバックが来ていた。

>弱いとかそういう次元を通り越して、「どこか悪いんじゃないか?」
>と、まことに失礼ながら心配になってきます。
顔。
頭。
性根。
いや、そうなんだけれど、そうなんだ。
3D酔いというエントリータイトルながら、僕の弱点がゲームであるという文章になってしまっていた。3D酔いじゃないとしたら何なのだろうかと考えていたら、ポケモン事件が頭に浮かんだ。




ポケモン事件。
テレビ東京系列のアニメ、ポケットモンスター38話「電脳戦士ポリゴン」を見たうちの685人が体調不良を訴えて医師に掛かった、という事件である。


ものは試しと半信半疑で検索エンジンに駆け込んで、「ポケモン事件再現フラッシュ」みたいなのを探し出して見てみたところ、一発(1秒)で額が前にせり出すような頭痛と、目と目の間を触れられているような不快感、ヘソの上10センチくらいで水風船が飛び跳ねているような吐き気のようなけだるさが来た。
一言で言うとアウトだった。
どうやら僕は光刺激に弱いらしい。




ポケモン事件以降、再発させない為のガイドライン(*1)が作成され、打ち切られたアニメや再放送やDVD化がお蔵入りになったアニメも数多くあるらしい。また、「部屋を明るくしてTVから離れて見てください」という表示が必ず行われるようになったのは皆様ご存知の所であろう。


アニメではこのような対策が取られたが、ゲームではどうなんだろう。
TVは同時刻に同じものを大人数が見るから、ポケモン事件のような事が起こる。
しかし、ゲームはプレイする人数が少なく、表面化する事はまず無いと言ってよい。
最初にゲームによる光感受性発作が発見されたのはインベーダーゲームであるといった笑うに笑えないものを発見してしまったりしたが、ポケモン事件のように広く知られた例は見つからなかった。







民放連の「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」は以下の通り。

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1. 映像や光の点滅は、原則として1秒間に3回を超える使用を避けるとともに、次の点に留意する。
(1) 「鮮やかな赤色」の点滅は特に慎重に扱う。
(2) 前項1の条件を満たした上で1秒間に3回を超える点滅が必要なときは、5回を限度とし、かつ、画面の輝度変化を20パーセント以下に抑える。加えて、連続して2秒を超える使用は行わない。


2. コントラストの強い画面の反転や、画面の輝度変化が20パーセントを超える急激な場面転換は、原則として1秒間に3回を超えて使用しない。


3. 規則的なパターン模様(縞模様、渦巻き模様、同心円模様など)が、画面の大部分を占めることも避ける。


また、映像が与える影響から視聴者を守るためには“テレビの視聴方法”も重要な役割を果たしていることが指摘されている。テレビを見るときには、明るい部屋で、受像機から2メートル以上離れることなどの予防策も必要である。

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このガイドラインを念頭においてゲームを見ると、ほとんどがアウトである事から見ても、やさしいゲームを作る必要がまったく無い事は明らかだ。

例えば、REZというゲームがある。
REZを一言で言い表すと「光と音と振動」であるからして僕がプレイ不可能なのは間違いないけれど、このゲームをやさしいゲーム化する必要性はまったくないし、するべきではない。もしREZをやさしいゲーム化したならば、100%糞ゲーになるだろう。
ゲームとういうものは、やさしくなくて良いのだ。





しかし、やさしく出来るのならば、やさしいに越した事は無いと思う。

例えば、シューティングゲームでショットを敵に打ち込むと敵が光ると言うものがある。
着弾フレームのみ赤く変化する、という表現方法が多く見られる。
それが16ドット×16ドット程度の雑魚敵であればなんの問題も無いのだけれど、画面の上半分を覆うようなボスが赤く光るとなると、僕はそれをプレイ出来ない。
アニメーションであれば
「TVから離れる」
「目をそらす」
「目を覆う」
という対処法があるのだけれど、PCゲームはモニタから30~50センチの距離でプレイする事になるし、シューティングゲームは見続けていないと死んでしまうので、アニメーションのようには回避できない。




同様に、2D酔い、画面揺れ酔いというのも同じように目をそらせないものが多い。

お城が崩れ落ちるという危機的状況を画面をシェイクする事で表現し、シェイクする中でメッセージを読み、シェイクする中で崩れ落ちる城から脱出する、というシーンがよくある。これもシューティングのボス戦と同様に「見なければいけない」のである。

例えば僕は風来のシレンのエンディング内容の大半を上記の理由から読めていないし、ディアブロIIではボスが死ぬと画面が揺れるのだけれど、それも目を覆う事で対処してきた。

それがゲーム終了後のエンディングであれば目をそらす事で対処可能だけれど、ゲーム中であればプレイを放棄する以外に回避手段は無い。
車や電車の中で活字を読めない人間は光刺激に弱い人間よりも多いと思われるので、こちらの方は潜在的被害者はかなりいると思う。



光の方で言うと、RPGにおいてクリスタルの封印が解かれ、「ピシューン、ピシューン、パシューン」と光がはぜる音と共に中から美少女が現れる、といったシーンがよくあるけれど、そういうものも目を伏せて対処してきたし、RPGやシミュレーションRPGで敵を攻撃時にフラッシュが入り、同時にダメージ値が表示されるシーンも目を伏せて対処してきた。

最もたちが悪いのが、RPGで敵と遭遇時に画面が光るというものである。
それは正しく僕にとってブラクラであり、心臓が握りつぶされるような威圧感を受ける。体がその感覚を覚えてしまい、ビクビクしながら歩き続けるという悲惨なものであった。似たようなもので、クリティカルヒット時のみフラッシュするというものがある。クリティカルが出ても全然嬉しくなく、寿命が縮む思いであった。そういう事もあって、swfも絶対に見ないようにしている。

アクションゲームでも、画面が揺れる中でボスと戦う、というのはよくあるシーンだ。
それがゲームの難易度と密接に関わってくるような使われ方もしている。

そういうものは、やさしくされるべきではない。
ゲームのやさしくなさ、というのはこれから先も守られるべきであると考える。







けれども、もし他の演出手段に置き換える事が可能であるならばどうだろう。

シューティングゲームの着弾光が「255, 0, 0の1フレーム」であると僕のような人間はプレイ不可能なのだけれど、RGB値にそれぞれ+20の30フレームであればなんの問題も無いと思う。

RPGの必殺技時に画面全体が光るというものも、どうしてもそれが必要であるならば守られるべきだけれど、もし何の気無しに無条件で大した演出効果も無いのに使われているとしたら、他のものに置き換えられてもいいのではないかと思う。





そういう「やさしいゲームの作り方」は、任天堂やカプコン、EAゲームスといった巨大企業においてはマニュアル化されているのだろう。けれどもアマチュアゲーム製作者や藤野俊昭はそんなもの所持していないだろうし、存在自体も知らないだろう。

やさしいゲームの作り方をマニュアル化し、これはこう置き換えると良い、というものをウェブ上で閲覧可能なテキストにするというのは非常に価値のある事なんじゃないだろうか。

プログラミングコスト(?)が低く、しかも演出力は強化され、おまけにやさしい。
そういう方法を1つでも多く保存して共有すれば、1つの力になると思う。

よっぽどの情熱と被害と知識的バックボーンがある人間じゃないと書けないだろうから、多分明文化される事は無いのだろうけれど、wikiとかでもやればそれなりに価値はあると思う。



滅茶苦茶な文章になってしまったのは資料調べとして一日中無理なゲームをプレイし続けて体調が最悪って言うか発熱と頭痛でしゃれにならない状況になってしまったせいの中で投稿を書いたせいであると物凄く責任転嫁。

何より衝撃的であったのは、僕のような人は5~6人に1人くらいはいるのだろうと思っていたのだけれど、4000人に1人から10000人に1人くらいらしいという悲惨な数字を目にした事であり、なんかやさしいゲームに対する情熱みたいなものが一気に冷めて白けてしまい、真面目に書く気力を削がれた……みたいな……10000人に1人じゃ「俺の為のゲームを作れ」って言ってるようなもんじゃん……本気で5~6人に1人はいるだろうと考えていた根拠が知りたいよ、根拠が……っていうかまじでがっくし……この投稿ボツだな……1日中必死でゲームやってただけかよ……すっげー馬鹿……けど、やっぱり、本格的に光に弱いのは10000人に1人でも、ちょっと光に弱い人とかは5~6人に1人はいると思う。根拠無いけど。駄目だ。あらゆる意味で駄目だ。なんだよ。物凄い「俺が!」みたいな気合の入り方で壮絶に真剣にダウンロードとかしまくってどの位の割合なのかとか、何が駄目なのかとか必死に凝視し続けて「うん、これはちょっとしんどいな」とかしんどくなる中で冷静に分析して分類したりして調べて頑張ってリサーチして調査したりして物凄い倒れそうな中で壮絶に検索エンジン叩いたら10000人に1人って……それ僕だけじゃん。ONLYじゃん……けど、やっぱり、本格的に光に弱いのは10000人に1人でも、ちょっと光に弱い人とかは5~6人に1人はいると思う。根拠無いけど。

---以下、参考資料

未経験フリーSTGゲーム10本をプレイして。
5タイトル:問題無し
4タイトル:一部問題有り
1タイトル:全部無理(背景、画面切り替え等)

未経験同人STGゲーム10本をプレイして。
2タイトル:問題無し
6タイトル:一部問題有り
2タイトル:全部無理(背景、ショット、着弾、爆風等)

書きっ放した責任として、「これ大丈夫?」とか「Lvで言うとどのくらい駄目?」とかそういうご依頼があれば人柱モルモットになるくらいはします。



日本民間放送連盟のアニメーションガイドライン

日本より進んでいるとされる英国のガイドライン
英語。pdf。

『ポケットモンスター』第38話を検証する
問題話のフレーム分割静止画像有り。
静止画でも黄緑色の画像はかなりきつい。圧迫感がある。

----( ゜ワ゜)ノさんへ

EveryExtend(両モード表ボスクリア)
光、揺れ共に問題無し。

DAN! DA! DAN!(表ボスクリア)
光、揺れ共に問題無し。

うにゃー(最大おかし42、最大レベル240くらい)
光、揺れ共に問題無し。



プレイ不可能な例としては、画面の大部分が1フレームで赤(255, 0, 0)や、白(255, 255, 255)になり、1フレームで元の画像に戻るというフラッシュが使われているゲームです。

RPGやシミュレーションRPGで、クリティカルヒット時に白く光るという表現、シューティングゲームで弾を撃ち込んだ際に、画面の半分近くを占める巨大なボスが赤(255, 0, 0)く1フレームだけ光るという表現が採用されているゲームは見ていられませんので、事実上プレイ不可能です。


1/10000じゃあただのクレーマーじゃんってのと、なるべく名前とか出さずリンクとかも貼らないというブログ運営方針から具体的なNGタイトルを出すのは控えさせて頂きます。洞窟物語とかうにゃーとかAOCN5とか貼ったのも僕じゃないです。読者さんです。


ただ、グラディウスVでは隕石には赤い着弾フラッシュが設定されているのに、隕石より巨大なボスには着弾フラッシュが設定されていない事や、斑鳩では爆発時のフラッシュにすら光刺激に対する気遣いが行われており、ヒットフラッシュ色の選定も相当まろやかなものである事、怒首領蜂やエスプガルーダ等の多くのゲームにおいて、相当に緩い加算合成が使用されている事などから、今も尚シューティングゲームを製作しているメーカーはそれぞれマニュアルを持っているような気がします。


また、重ねて申しますがゲームはやさしい必要はまったくありません。
未来的な雰囲気を出すには蛍光色やスタートレック色のフラッシュの中を電気的に駆け抜けるといった演出は必須ともいってよく、一切制限されるべきではありません。僕はポスタルをプレイするというだけでその人の全人格を否定するくらいの保守的な人間ですが、ポスタルをプレイするというだけで人格を否定したりはしませんし、そういったものも含めてあらゆる表現は制限されるべきではないと考えております。
一番目のプレイヤーである製作者が面白いと感じるものである事ががまず重要であり、それ以外の要素、やさしさだとか倫理だとかエロすぎるとかロリだとかといったくだらない事柄によってゲームの表現が制限されるというのは物凄く違和感があります。

「じゃあなんでこんなもの書こうと思ったんだよ!」との問いには「本気で5~6人に一人くらいはいるだろうと考えていたから」としか答えられません……





もし光刺激という視点からゲームの調整を行うのであれば、民放連のガイドラインを1つの基準として用いるのが良いのではないでしょうか。


具体的な対処法をSTGを中心にいくつか。

・着弾フラッシュに白(ALL255)や赤(255, 0, 0)を用いない。

・着弾フラッシュを20フレーム以上持続させる事で民放連基準をクリアする。

・可能であれば、着弾フラッシュは単色塗りではなく加算合成で行う。

・敵の体力が低い事を示すのに敵を赤く点滅させる場合は間隔を大きめに取り、255を避けて少しぬるめの色にする。あるいは、フェードチェンジか加算合成で。

・画面全体を白や赤にする場合は1/2秒以上を用いたフェードチェンジならばほぼ問題が無いので、調整を行うならば、色をいじるよりもフェードチェンジ化の方がゲームの演出に影響しないと思う。(真っ赤や真っ白は色として強力なメッセージを持つので)

・RPG等のクリティカル時等に画面全体が光るのは見ていられないので、10000人に1人側の人間としては他の演出手段を採用していただければありがたいです。


他。
・2D酔いを誘発する揺れに関しては、直視する必要がある文字やキャラが揺れなければ全然違うので、出来れば文字は揺らさないで欲しい。


ほんと、ただのクレーマー状態ですみません。