2013年5月31日金曜日

最高の自分を求めて、最高じゃなかった一日を攻撃するのはやめよう!

攻撃は快楽である。



人類は攻撃することで生き延びてきた。
攻撃して、危険を事前に排除し生きてきた。



僕等の体の中には、攻撃が染みついている。
攻撃の快楽が染みついている。



何かを攻撃している間は、悩みが消える。
何かを攻撃している間は、苦しみが薄れる。
だから僕等は攻撃する。




攻撃する相手を探して、
弱点を見つけて、
そこを攻める。




自分を守る為に戦う。
勝利を目指して戦う。
それは、まるで素晴しい事だ。




悪いものを攻撃して排除し、
良いものだけを生き残らせる。




攻撃する。
戦う。
勝利する。
排除する。
良いものだけが生き残る。
世界はどんどん良くなっていく。
僕等が息づくこの世界は、そうやって進歩してきた。




良くなりたい。
もっと良くなりたい。

自分の人生を良くしたい。
素晴しい人間になりたい。

そんな当たり前の小さな希望と、
人に染みついた攻撃性が出会うと、
ちょっとやっかいな事がおこる。




頑張って、頑張って。
努力して、努力して。
よりよい人生を手に入れようと、
毎日あくせく頑張る。
必死に頑張る。
賢明に頑張る。
それでも、君は言う。




「もっと頑張れたはず」って。




そして、責めるようになる。
攻撃するようになる。




他の誰かではなく、自らを責めるようになる。
誰かが悲しい思いをするのは、おまえの努力が足りないからだ。
何かが上手くいかないのは、おまえがもっと頑張らなかったからだ。





人は自らの事を、なんだって知っているというわけではない。
自分自身について、あまり知らずに生きてる。

それでも、怠慢についてだけは、誰よりもよく知っている。
自分が少しでも手を抜いたならば、あなたはそれにすぐ気付く。
僅か五分でもさぼろうものなら、あなたはそれを見逃さない。
人は自らの怠慢という狭い分野においてだけは、全知全能の生き物なのだ。




それは攻撃のきっかけになる。




もっと頑張れただろう。
もっとうまくやれただろう。
どうして努力を怠ったんだ。

そうやって、自らを責める。




「これは罵倒じゃないよ」
「これは攻撃じゃないよ」
「これは、期待の裏返しなんだ」
「君自身の為を思って、言ってるんだ」

そうやって、自らを攻撃する。







頑張っても、頑張っても、褒められる事はない。
まだ最高じゃない。
最高には届かない。
もっと良くして、もっと努力して、もっと頑張って。

最高の1分が最高の5分を作り、最高の5分が最高の1時間を作る。
最高の一時間が最高の一日を作り、最高の一日が最高の一ヶ月を作るんだ。




一秒たりとも歩みを止めてはならない。
最高の一瞬を、最高の努力で実現せねばならない。
来る一秒を、最高のモチベーションで迎え撃たねばならない。




そんな不可能に基づいて、手当たり次第に自分を攻撃する。




おまえは最高じゃない。
どうしてもっと頑張らなかったんだ。

おまえは一日を無駄にした。
おまは最低の人間だ。




そうやって、自分を責める。
攻撃する。

これは攻撃じゃないよ。
期待の裏返しなんだよ。
君のためを思って言ってるんだ。
あなたが明日一日、もっと頑張れるようにって思ってね。




そんな風にして、また責める。
来る日も来る日も、自らを責める。




目標の無い人生。
希望の無い人生。
手に入れたいものの無い人生。
幸せにしたい人の居ない人生。

この人生に一里塚はない。
この世界には何も無い。
到達すべき場所はない。




なのに責める。

「まだ達していない」
「まだ届いていない」

もっと頑張れ。
もっと歩け。
もっと進め。
もっと走れ。
努力しろ。




理不尽な攻撃に晒されて、
どんな努力も否定される。

最高の自分を求めるあなたに、
僕の一日は否定される。




自らを否定された僕等は心を閉ざし、
手当たり次第に自分をなじるんだ。
「もっと頑張れたはずだろ」って。

2013年5月30日木曜日

アライエンス試合レポートその2。DESTROYへと続く道。

☆ここまでのあらすじ

 グランドファイナル観戦の手引きとして試合レポートを書き始めた真性引き篭もりhankakueisuu。 しかし時の流れは残酷であった。投稿を書き上げるよりも先にグランドファイナルが開催されてしまう。退屈極まる内容でグループリーグを突破したアライエンスの試合レポートなど、もはや投稿するに値しないものになってしまった。それでも貧困が染みついている、他にやる事のない愚かな男は、もったいないの一言で、スクリーンショットを撮り、投稿を校正し続けたのだった……。




◆Liquid戦。

対Liquid戦は、書くべき事が何も無かった。

グランドファイナル前の投稿を目指した元バージョンでは、「語るに値せず」の一行だった。あまりにも酷いので少しだけ書いておく。現在のLiquidは見るべき所の無いチームで、単純に実力が違う。北米のチームなので、アライエンスとは度々対戦している。格付けは完全に完了済みだ。dotaは残念ながら強いチームが弱いチームに勝つゲームだ。もちろん、Liquidだって少しは強いので、1本先取ならば5回に1回くらいは勝てるだろう。その1回が出なかった。


Liquidにはslarkというアライエンスに相性の良いpickがある。アライエンスは塔を割らずにLodaを待つという戦略を選択する事がある。その場合、アライエンスの後衛は塔破壊によるボーナスgoldが得られず、全裸の時間が続く。Liquidがアライエンスに勝つには、そこで優位を確保するしかない。

slarkは、Lodaが育つ前、アドブルが帳尻を合わせる前の時間帯に、アライエンスの全裸後衛に刺さるヒーローだ。一本先取の一発勝負であり、明らかな格上が相手なのだから、のるかそるかのslark勝負で良かったと思う。(Liquidは、1勝4敗で最下位に沈むのだが、その1勝はiGを相手に、のるかそるかのslarkで得た一勝だ。)



このアライエンス戦においてliquidは、NA、gyro、DSと保守的なpickをしてしまい、2nd ban フェイズでslarkはBANされた。アライエンスのNAは強いpickではないので、gyro、ds、slarkとpickし、NAは可能であれば後半にpickするべきだったと思う。実力差があるのでpick負けとは言えない。それでもLiquidはプレイング面で精一杯健闘して見せたので、pickで失敗しなければ5回の1回を引けた可能性はあっただろう。




立ち上がりこそ頑張ったLiquidだったが、agiesを2度もタイムアウトで失うなど、チームとしての体を成していなかった。LodaのAMがbf+matnta+butter揃えたのを見て慌ててpushをし、逆にbarracksを割られて負け。2度のaegisをきちんと使用し、その上で負けたというのなら、「勝ったチーム凄いな」「負けたチーム残念だった」と試合のレポートを書くことが出来たかもしれない。けれども、この内容では何も無い。せっかくだからslarkが見たかった。


アライエンスは勝って当然の相手に、語るに値しない内容で勝った。けれども、退屈極まる一勝は、次のorange戦で生きてくる。アライエンスがLiquid戦で見せた退屈さは、s4の仕掛けた情報戦の一環だった(……のかもしれない)。




◆orange戦。

orange視点で見れば、究極の駄ゲー。
orangeはLiquidよりも酷かった。
見てるこっちがごめんなさいと謝りたくなりたい内容だった(誰に?)





まず、開始早々に謎のクーリエロスト。

このゲームではsolo sideを担当した、アジア最強のsolo midプレイヤーであるohyが、tangoを所持したクーリエを自レーンに歩かせて、アドミナルブルドッグの偵察用召喚ユニットに狩られてクーリエを失う。875goldの差が付く。アイテムスロットが足りずにtangoを運ぼうとしたというわけではなく、Ohyはアイテムスロットを1つ余らせており、完全に意味不明。何がしたかったんだろう。

この謎のクーリエロストにより、このゲームでmidを担当したkyxyはボトルを手にする事が出来ない。orangeのクーリエが復活し、kyxyがボトルを手にした段階で、アライエンスのs4はクーリエ往復により3度目のbottleが間近だった。1500HP、500マナくらいのハンデ。くだらない。

iceiceiceに完勝し、mushiに完勝し、yamatehに完勝し、それどころかyaoまでをも完全に押さえ込み、アジア単独1位の名と格を手に入れたアジア最強プレイヤーであるthe monsterことkyxyは、このゲームにおいてもスカンジナヴィア最強のsolo midであるs4を、qopとmagというキャラ差以上のラストヒットとharassで完全に押さえ込んでいた。magのショックウェーブも悉く読み切って神回避。ハラスとミクロでレーンを押し上げ、ルーンも完全にコントロール。けれども、クーリエが死んでおり、ボトルが来ない。勝負にならない。








さらに、これ。

セーフレーンcarryであるmushiと、キャプテンでありpickerであるXが、2人でLoda目掛けて無謀すぎるダイブ。二度ともLodaを殺せず、二度とも2人でfeed。16倍速、いや可能ならば32倍速で再生し、最後までぶっ飛ばそうかと思うくらい、つまらない展開だった。語るに値せずどころか、見るに値せず。

orangeのpickは典型的な3 carry。3人のcarryが分散farmした上で、集中運用して勝つ戦略だ。けれどもorangeは3人のcarryがfarmし、3人のcarryがそれぞれ単独でfeedして終わった。「普段はもっと強い子なんです、orangeはやれば出来る子なんです」と、s4に謝りたいくらいだった。




プレイングよりも残念だったのがpickだ。

orangeは、sandとsdというサポートをpickした。この2キャラ、共に「最初の一手」を担当するヒーローだ。sandが仕掛けて、そこを他の人が追撃する。あるいはsdが仕掛けて、そこを他の人が追撃する。そんなヒーローが2人。どうするんですか。

sdが仕掛ける。そこをsandが仕掛ける。戦果無し。
sandが仕掛ける。そこをsdが仕掛ける。戦果無し。
アジア一強のpickがこれ、、、、。
プレイヤー差で勝ってるだけじゃねえか!マジで。

 orangeはpicker兼キャプテンであるWinteRをkickしたのが間違いだった。WinteRをkickし、MUFCからOhy、kyxy、Netという3人を引き抜き、MUFCはディスバンド(解散)。マレーシア最強のチームを作り上げ、アジアは1強寡占に陥るはずだった。

ところが、orangeにkickされ、ネット中継の解説者として有名になりつつあったWinteRは、MUFCの残党や老兵を寄せ集めて「ABC」という適当すぎるチーム名のアマチュアチームを結成する。

チームABCはWinteRの見事なpickと統率力で、orangeに度々勝利し、互角以上の勝率を残してしまう。その凄まじい強さをスポンサーが見逃すはずもなく、結成僅か2週間でpro化の話がリークされ、実際に一瞬でpro化。新生MUFCとして生まれ変わり、orangeを何度も倒す。さらに、zsmjを加入させた中国強豪のviciにも壮絶な死闘を繰り広げて勝つなどし、ti3にストレートinで招待されるにまで至る。



orangeは運営母体のしっかりとしたチームで、「2012年でアジアで優勝し、2013年に世界大会で3位に入り、2014年に世界大会で優勝する」という目標を掲げていた。この大会でorangeは、中国三強の一角であるDKに2-1で勝利し、3位に入賞。

世界大会で3位に入るという目標を見事に達成した。チーム改造は成功した。orangeの補強は成功だった。kyxy、Ohy、mushiという3人の前衛は、妄想の世界でのみ実現するレベルの、アジア最強の陣容だ。それでも、pickerであり戦略家として知られた、経験豊富なWinteRをkickしたのは間違いだったと思う。



orangeはチーム改造を行うに際し、大勢のプレイヤーをstand-inで試用した。zenithのiceiceiceや、xFreなど、隣国シンガポールからも強プレイヤーを招き、公式戦でプレイさせた。その上でMUFCからkyxyとOhy、さらには後衛1人の合計三人を引き抜いた。

彼らの獲得と同時に、WinteRはkickされた。WinteRだけではない。yamateHという伝説的な前衛と、iceというサポートプレイヤーもkickされた。yamateHはorangeにおいて低調なパフォーマンスに終始し、「完全に終わった人」だと思われていた。ところが、そのyamateHはzenithに入り、iceiceiceやxFreと組んで復調する。

yamateとiceが加入するまで、zenithは低迷していた。hyhy離脱の穴を埋められず、チームとしての体を成していなかった。解散危機も伝えられていた。そんなチームが、orangeをkickされた2人を加入させた瞬間から持ち直し、ti3にストレート招待されるまで行った。orangeのチーム改造により、アジアは一強寡占に陥るどころか、逆に放出したメンバーによって3強状態になってしまった。


yamateの復調理由を問われたiceiceiceは、「mushiは悪い所を指摘する事に長けている。私達は良い所を指摘する事に長けている」と答えた。iceiceiceは前述の通り、orangeにstand-inとして招待されてmushiとプレイした上で、mushiをdisっている(というか自画自賛している)。「もしかして何かあるのかな」と感じてしまった。だがちょっと待って欲しい。mushiのパーソナリティを疑うよりも前に、思い出しておくべき過去がある。iceiceiceがorangeにstand-inして担当したロールは、feederと敗因だったという事実だ。良い所など、どこにも無かった。







もう1つ残念だったもの。
それはmushiのアイテムビルドだ。

lotherをゆっくり作って、それからBKB。
gyroがゆっくりlotherなんか作っても、何も出来ないです。即lotherなら意味があるんだけれど、ドラムやらリングやら色々作った上でのlotherなので、1度として有効利用されぬままゲームは終了。さらに酷かったのはBKB。



mushiが始めてBKBを使用した場面。

味方全員死んでます。
mid rax割られてます。
top towerも、もう無いです。
Loda is unstoppableとか出てます。
with a TRIPLE kill!とか表示されてます。
BKBがなんだって言うんですか。
勘弁してください。
許してください。
ごめんなさい。




この対戦はLiquid戦以上に、「語るに値せず。」の一行で片付けるべき内容でした。

試合レポートなんて、5年に一度の名勝負を見て上擦ったテンションだけ書くべきものなんです。いや試合レポートに限らず、ブログなんて5年に一度だけ投稿されるべきものなんです!毎日更新とか毎週更新とか毎月更新とか、そういうくだらない継続が世の中を糞コンテンツで埋め尽くしていく。このエントリーなんてその典型です。アライエンスがグループリーグ無敗でしたなんて、wtfの一言で済んだ話です。



とはいえ、アライエンスだけに注目すれば、このつまらない試合にも見所はありました。駄試合中の駄試合であり、勝負としての内容は皆無だったのですが、アライエンスはこの対戦において、自らの良さを全て出し切ります。如何にして欧州シーンを統一したのかを、アジアに知らしめます。




◆Lodaを育てる為にLodaを見殺しにしたアライエンス。


アライエンスの戦略家であるs4はこのゲームにおいて、Lodaを見捨てる事を選択します。アライエンスを欧州シーンでご覧になっている方は、「Lodaがgdgdの内容で空気化し、時と場合によってはfeeder化する。そこをアドミナルブルドッグが獅子奮迅の活躍で勝利に導く。」というアライエンスの勝ちパターンをご存じでしょう。

そのような展開だけを見ると、「アドミナルブルドッグって凄いじゃん」「Lodaってたいしたことないじゃん」といった感想を抱いて当然です。けれども、そのような展開は、アライエンスの戦略担当であるs4が明確な意図をもって生じさせた現象です。「Lodaがへぼい」「アドブルが凄い」という理由から生じる現象ではありません。

アライエンスの基本戦略はLodaを徹底的に保護し、アドブルは放置するという1core戦略です。4人でプレイする。アドブルは知らない。無視する。頑張れるなら頑張って、迷惑かけないでね、呼んだら来てね、というチームです。






けれどもアライエンスはオプションとして、Lodaを見捨てて、アドブルを保護するという戦略を有しています。何故アライエンスはLodaを見捨てるのか。その答えがフリオンです。アドブルが熊の次に用いているフリオンというヒーローは、cd20秒でマップ全域に自由にテレポートが出来て、HP550の召喚ユニットを一度に5体も召喚可能。おまけにultは、MAP全域の敵にダメージを与えるという、最強にして最悪のマップコントロールヒーローです。

そのフリオンを保護して育てれば、テレポートによるスプリットプッシュ(敵集団を無視して他のレーンの塔とbarracksを狙う)が可能になります。これは、凶悪な陽動作戦です。相手のプッシュを全て腰砕きにする事が可能です。アドミナルブルドッグのフリオンがスプリットプッシュを行い、残る4人で守備をすれば、膨大な時間を稼ぐ事が出来ます。フリオンを殺さない限り、敵はまともにpushする事が出来ません。

そして、cd20秒のテレポートでMAP中を逃げ回る、装備の揃ったフリオンを殺す事は極めて困難です。さらに、マップ全体攻撃ultと、ジャングル用の召喚ユニを有しているフリオンは、金策に長けています。buy backするだけの資金を常に確保出来ます。相手はフリオンを2度も殺さない限り、まともなpushを行えません。



Lodaを保護すればLodaが太る。
けれども決戦は15~20分に訪れてしまう。
そこでチームが(あるいはLodaが)ミスを犯せば負ける。

アドブルのフリオンを保護すればLodaは痩ける。
けれども、30分~40分の時間稼ぎが可能になる。







Liquid戦のアドブル。10分でレベル5。cs9、deny5。
orange戦のアドブル。10分でレベル8目前。cs45、deny11。

同じヒーロー、同じpickをしながら、アドブルの扱いを180度変えました。Liquid戦では見捨てて放置したアドブルを、orange戦において全力でサポートし、Lodaを犠牲にしました。Lodaはmushiのtri lane相手に稼げず、殺され、スコアは0-2。mushiはラストヒットを取りまくり、スコアも2-0と太っていきます。




情勢は、悪いです。
2対3をプレイするLodaはボロボロ。
s4もkyxy the monsterに押さえ込まれます。




そんな中、Lodaを犠牲にして育てられたアドブルは、akkeのサポートによって揃えた防具の力によって、inviテレポートoutという奇跡的な命拾いをするなど順調に育ち、陽動作戦を行い、orangeの腰を全て折り、ゲームをコントロールしていきます。orangeは攻めても攻めてもぬかに釘。いや、オレンジは統率を欠いており、攻めの焦点を定める事すら出来ません。

orangeは攻めれないだけではなく、守る事も出来ません。何故ならば、アライエンスは攻めないからです。一切攻めないのです。この対戦においてアライエンスが始めてタワーを割りに行ったのは、なんと29分30秒。midもbtmもtopも、絶対にpushしない。絶対に攻めない。塔など割らない。戦わない。アライエンスの戦略家であるs4は、対戦ゲームという枠組みを否定し、アンチプレイに徹します。

どんな事があっても、あらゆるレーン、あらゆる場所で、絶対に戦わない、集団戦などしないという強固な意志を持ってプレイしたアライエンスはこの試合において、ただの一度も集団戦を行いませんでした。試合時間42分の間、ゲームが終わるまでの間ずっと、アドブルは陽動を続け、Lodaはfarmを続け、戦闘を否定し、敵との遭遇を事前に回避し続けました。そしてそれは成功しました。




アライエンスは遭遇戦と集団戦を回避し、相手のミスを待ち続けます。
 
40分に近づく頃、orangeは全員で秘かに敵裏に回り込み、奇襲をかけます。そこでorangeはNetがスタンを当て損ねるというミスを犯し、orangeは撤退を決定します。しかしアライエンスはそれを許さず、追撃戦において4killを取り、そのままゲームを終わらせました。戦闘を行う意思のない、歩いて逃げるorangeを狩っただけで、この試合は終了します。ゲーム開始から終了までに生じた集団戦の回数は0。0回です。視聴者が盛り上がるポイントは一切ありませんでした。

戦略としてLodaを見捨て、見殺しにし、時間稼ぎの為のアドブルを育成したアライエンスは、そのゲームプランを完全な形で実行しました。40分間ファーム。ひたすらファーム。ただファーム。遅れてゆっくりと肥ゆるLoda。Lodaに匹敵するDPSに育ったアドミナルブルドッグのフリオン。アライエンスの必勝パターンが成立します。アライエンスによる、完璧な試合運びでした。






アドブルのフリオンによる陽動は、欧州シーンにおいても徹底されています。この大会においても、1つ前のゲーム、対Liquid戦で、もの凄いちんけなプレイがありました。

この場面、Liquidは4人でmidをpushしています。アライエンスは序盤中盤にかけて劣勢で、守る事は困難です。なので、守備ではなく陽動で対応します。アドブルはLodaの居るbtmレーンに短距離のテレポートで飛び、Lodaに加勢し、pushを仕掛けます。



テレポートで加わった瞬間に、召喚ユニットを作成。



そして、即テレポートスクロールの巻物を使用して退却。
このアンチプレイには、頭を抱えて笑いました。
時間稼ぎの為なら、形振り構いません。
アライエンスは徹底しています。


Lodaも森に隠れた上でテレポートスクロールで退却。
あまりにも悪質すぎる、アライエンスのアンチ戦闘戦略。
陽動というより、アンチプレイ。ゲームの否定。完全に芸術の域です。




◆プレイヤーの弱点は、チームの弱点とイコールではない

アライエンスには致命的な弱点があります。それがアドミナルブルドッグというプレイヤーの存在です。彼が説得力を持つプレイを行えるのは、熊だけ。他のヒーローも動かせるようにはなりましたが、未だにインパクトを持つには至っていません。誰もがそれを知っているので、アライエンスと戦うチームは「熊を逆にpickする」という逆熊作戦を実行します。

valveが用意した100万ドルの札束によって終焉を迎えてしまったdota allstarsシーンが最後に到達したのは、「zhouの熊が勝つ」という残念な結論でした。それに対する回答が「sylの熊」「バーニングの熊」「Haoの熊」という中国4大carryによる、4匹の熊でした。

中国だけではありません。naviのxboctと王LTHによる2匹の熊をはじめとして、EGのフェアー、kyxy、xtt、パジャキャット、ミザリー、black、hanni、aui、TC、sharky、fzfz、iceiceice、果てはLodaやzsmjに至るまで、世界中の名だたるプレイヤーが、熊の練習を余儀なくされ、熊に乗っています。一定以上のレベルにおいて、熊を有していないチームは存在しません。



誰かが熊を練習しなければならない。
熊を研究し、熊戦略を構築せねばならない。
それが末期のdota allstarsシーンであり、現在のdota2シーンです。


ところが、アライエンスは「熊を巡るトレーニング」が不要なチームです。かつては熊を練習し、熊に乗っていたLodaは、アライエンスにおいてただの1度も熊に乗っていません。当たり前です。アライエンスには、熊しか使えない人が居ます。熊の大先生が居ます。アドミナルブルドッグの存在は、総合的なプレイヤー性能では大きな弱点(だった)のですが、「他のプレイヤーが熊を練習する必要がなくなる」という点では、最初から貴重な戦力でした。

仮に、かつて欧州最高のsolo sideとして知られた現ALのミラケルがアライエンスのsolo sideとして入団していたならば、Lodaが熊を練習し、Lodaが熊を担当していたでしょう。今のアライエンスにその必要はありません。熊という足かせはありません。熊練習という負担は、アライエンスには存在しないのです。

そして、アドミナルブルドッグは熊の弱点をも知り尽くしています。単純に一番強いキャラだからという理由で熊を使い続けたアドミナルブルドッグという糞プレイヤーは、異常な高勝率でその悪名を欧州全土に轟かせます。「あれ熊の人だ」とマッチングされた段階でばれます。対策もされます。狙われます。それでもゲームをぶち壊し続け、勝ち続けたからこそ、最悪のパブスタンパーとして有名になりました。

アライエンスは「逆熊作戦」に一定の耐性を有しています。相手に熊を奪われても負けません。その強さは、アドミナルブルドッグの知識から来ています。アドミナルブルドッグというぽっと出の素人は、シーンの生き字引とでも言うべきLodaやakkeよりも、作戦面で貢献出来る深い知識を持っている、特殊なプレイヤーなのです。もちろん、その知識は熊する事だけですが。




熊の大先生はたまに、新しいヒーローを割り振られます。そして目も当てられない酷いプレイをして、ゲームを台無しにします。熊先生が戦えるのは未だに熊のみ。かろうじて扱えるのは唯一フリオン。他にアリバイ程度に動かせるのが2~3キャラ。人は熊先生を「アライエンスの弱点」と呼びます。本当に、そうなのでしょうか?熊先生は弱点なのでしょうか?


dota2において、フリオンと熊が同時にBANされる可能性は非常に低いです。どちらかをpickする事が可能です。100キャラ使えるプレイヤーでも、1試合で使えるのは1キャラのみ。2キャラしか使えない熊先生も同じく、1試合に使えるのは1キャラ。持ちキャラなんて、2人も居れば十分なのです。





フリオン
フリオン
クロック(熊とフリオンを共にBANされる)




アライエンスが中国で戦った7試合のうち、実に6試合が熊とフリオンです。pick幅が狭いということは、戦略の多様性を確保出来ないということです。その歪みは必ず敗因として浮上します。メタ戦で不利になる。pickで負ける。僅か2ヒーローしか使えないプレイヤーは、どれだけ上手くても、どれだけ強くても、pick出来るヒーローが少なすぎるという時点でチームの弱点です。

けれども、もしも仮に、アライエンスというチームが、熊先生のpick幅の狭さを補う事の出来る、多様性を持ったプレイヤーを抱えているならば……。熊先生のpick幅の狭さが、pick負けに直結する事を阻止出来るプレイヤーを有しているとすれば……。




ursa(2-4-15)
am(7-1-7)
pa(9-2-7)
pl(9-1-8)
alc(11-1-8)
naix(5-0-6)
pa(7-0-6)

アライエンスには、中国で6種類のヒーローを使い、その全てで素晴しい結果を残したプレイヤーが居ます。それが、かつて前衛、中衛、後衛、全てのタイプのヒーローでロールモデルとなるリプレイを残した、ジュラ紀の万能プレイヤー、石器時代のパブスタンパー、Lodaという伝説のインターネットヒーローです。

dotaはチームスポーツです。全員が万能プレイヤーである必要はありません。弱点があって結構。その弱点を埋める事の出来るプレイヤーが、チーム内に存在していればいいのです。アライエンスの多様性を確保するのは、最後にpickされたcarryを宛がわれるLodaの仕事です。early carry、late carry、anti push carry、push carry、melee carry、range carry、nuker carry。Lodaは全てのロールを器用にこなし、s4の期待に応え、チームの戦略的多様性を確保しています。



このゲームでorangeは、「Lodaのtri lane」を予測して、3on3を挑みました。これは完全なリサーチ不足です。アライエンスが戦略的にLodaを見捨てるチームだという事を把握していなかった時点でorangeの負けです。アライエンスがどのように、「逆熊作戦」を潰してきたかを把握していなかった情報収集でorangeは負けました。

アライエンス相手に熊をpickする場合は、熊をmidかtri laneに配置し、生存能力に長けたヒーローをsolo sideに置かなければなりません。solo sideに熊を置いてしまうと、akkeが遙々潰しに来ます。酷い場合はakkeだけではなく、サポート2人で潰しに来ます。レベル4以下の熊は生存能力に長けていないので、確実に潰されてしまいます。




Lodaは死にました。また死にました。転けました。アイテム無しです。裸です。

けれども逆レーンにおいて、akkeのchenに守られたアドブルは、アジア最高のsolo midプレイヤーであるOhyが操る熊を2人がかりで殺します。二度目の殺害チャンスこそ連携ミスで取り逃すものの、アドブルとOhyの間には埋めがたい経験値差が付き ました。熊が「最強の1on1ヒーロー」に進化するレベル5になった時点でアドブルのフリオンはレベル8。Ohyに出来る事はありません。もう手遅れです。アライエンスによる、逆熊作戦の潰し方講座でした。

akkeに守られて序盤装備を調え終えたアドブルは陽動作戦を繰り返し、Lodaの為に、40分ものfarm timeを確保します。40分あれば誰でも太ります。そして、Lodaが用いたヒーローはpa。450%ダメージクリティカルを持つ、ゲーム中最強のmelee DPS。しかも、magのbuffまであります。一発殴って1500dmg。そんなもん死にます。はい、死にました。おまけにアドブルのフリオンも完全武装。テレポートで回り込んで600dmgで殴ります。そんなもん死にます。はい、死にました。見る物を眠らせる退屈さを伴う、完璧な試合運びでした。





akkeはアドブルの元で一仕事を終えた上で、長い距離を歩いてレーンチェンジし、ゲーム時間3分30秒の時点でbtmレーンに入ります。2-1-2を1-1-3に切り替え、遅ればせながら3on3を受けて立ちます。その3on3において、序盤戦でLodaを完璧に潰し、序盤装備を買い整えたmushiを擁するorangeの3人は、事を有利に進めます。

ところが、orange優勢の3on3をぶちこわしてしまった人物が居ました。それがアドミナルブルドッグです。前述の通り、フリオンはマップ上の自由な地点にテレポート可能。1killを取り、3対2の数的優位を作ったorangeは、テレポートで飛んできたアドブルに殴られて2死を献上し四散します。

それ以降、「順調にレベルが上がったフリオンがテレポートで飛んでくる」という抑止力も働いてしまい、orangeはLodaを潰して太ったmushiという優位性をゲーム展開に取り入れる事が出来ませんでした。くそみたいに退屈な、くそみたいな内容の、全く見所の存在しない、凄まじくつまらない内容でした。







☆DESTOROOOOOY!!!!!!!!

 

アライエンスは集団戦を否定し、戦う事を否定し、pushを否定し、ひたすら相手のミスを待ち続け、そして相手がくだらないミスを犯して自滅するという、最低にして最悪の、つまらない内容で3連勝を飾りました。


その裏で、凄まじい内容で3連勝を遂げていたチームがあります。
それが中国三強の一角、「戦略のLGD」 こと、LGD.chinaです。

LGDは今年に入って公式戦無敗だったiGを、40-2というスコアでデストロイして勝ちます。さらに、アライエンスがlv1テレポートroshanという奇策を講じて倒したDKを正面突破で粉々に粉砕。33-4というスコアでデストロイします。Liquid戦に至っては、DESTROYするよりも先に相手が泣き出し、ギブアップしてしまいました(スコアは12-1)。



戦うゲームにおいて、戦うことを否定し続けたチーム。
戦うゲームにおいて、戦い、勝利し、相手をDESTROYし続けたチーム。



「プレイ」という正義と、
「アンチプレイ」という悪が、
遂に相見えます。


 
LGDには、中国4大熊の1人にして、蟻熊狼時代で主役を務めたSylarという素晴しいcarryプレイヤーが居ます。アンチゲーム戦略を選択し、つまらない勝ち方を続けてきたアライエンスをDESTROYするべく、tri lane逆熊という対アライエンスの模範解答を演じたLGDは素晴しい内容でアライエンスをデストロイの崖っぷちまで追い込むもLodaの魔の手にかかり、心をDESTROYされて逆転負けしてしまいます。

その心を砕く逆転負けの影響から、LGDは自分達の作戦に対して疑心暗鬼に陥り、グランドファイナル再戦時には「tri lane 逆熊作戦」という対アライエンスの最適解を放棄し、熊先生に熊を渡すという戦略を選択します。そして、熊先生にrapeされて散るという、あまりにも悲しい、凄惨な最後を迎えるのでありました。
 





☆ここからのあらすじ

LGD.xiao8
LGD.Yao
LGD.syl
LGD.ddc
LGD.dd

中国は3強ではない、中国は5強だ!
そしてこの5人こそが中国5強だ!

同じ中国三強のiGとDKをデストローイしたLGDが、アライエンスに正義のデストロイを下す!しかし、そこで僕等を待ち受けていたものは、アライエンスが中国滞在中に演じた唯一の名勝負だった。プレイ 対 アンチプレイ。ゲーム 対 アンチゲーム。push 対 アンチpush。farm 対 アンチfarm。 戦略のLGDと、欧州最高の戦略家であるs4。最強の矛と最悪の盾。対称的な内容で3連勝を飾った両者が遂に激突。

次回LGD対アライエンス。
上海の死闘。





☆ここからのあらすじ

グランドファイナル観戦の手引きとして試合レポートを書き始めるも、対LGD戦に取りかかったあたりで疲れて止めたので、草案も存在しておらず、校正のしようもないので、アライエンス対LGDの試合レポートが投稿される事は決してありません。





 







LGDをむしゃむしゃとおいしく貪り喰った熊先生の勇姿は、以外な所に飛び火します。

僅か16歳でproになり、iGの Ferrari430を倒し、天才少年と持て囃されたvici gameingのCty。忿怒神手の異名を持ち、dendi以上の才能と称されるCtyは、グランドファイナルでLGDをrapeする熊先生を見て、 「熊って強いんだ!」という間違った思い込みに囚われてしまいます。

ti3のアジア予選において、viciのpickerを務めたCty少年は、zsmjに熊、熊、熊と、頑なに熊をpickし続け、僅か一週間前に熊を用いずに勝利していた相手に惜敗。ti3の切符を逃してしまいます。

 
所詮は素人であり、1ヒーローしか使えないパブスタンパーにすぎなかった、醜く卑しいアドミナルブルドッグはこの瞬間、「戦わずして天才少年Ctyを敗走せしめた」という実績と、「戦わずして伝説の中の伝説、zsmjを敗走せしめた」という実績を同時にアンロック。中国の過去と、中国の未来を同時に、それも自らの手を汚す事なしに粉砕した熊先生の名声は、もはや並ぶ者の無い前人未踏の領域に突入。リビングレジェンドに成り上がってしまったのでありました。

良い人生の秘訣。

一番食べたいものを食べる。一番歌いたい歌を歌う。一番書きたいことを書く。一番行きたいとこへ行く。一番会いたい人に会う。一番伝えたい人に伝える。一番好きな人を幸せにして、一番嫌いな人を殺す。良い人生それが良い人生。

2013年5月29日水曜日

殺せ、殺せ、死んだブログは皆殺せ。

命の有るブログは面白い。そこでは命が踊っている。喜びが踊る。悲しみが踊る。憤りも踊る。そして何よりも情熱が、生きているブログでは踊っている。生きているブログは面白い。魂なんて言葉を使う柄じゃあないけれど、命の有るブログには魂がある。人々は命をコンテンツとして消費し、ブロガーは命をコンテンツとして提供する。そして命はいつか尽きる。魂も失われる。


僕達は生きている。この世界を生きている。毎日何かを食べて、毎日何かを吐き出す。太古より続く同じ営み。その営みと同じように、人々はブログを書いている。その営みを続ける為に、人々はブログを書いている。ブログを書きたくて、書かざるを得なくて、止め処なく溢れる踊る命をどうしようもなくて、それがブログとして解き放たれる。そんなブログはもう見ない。どこを探しても滅多と見ない。息を吐くようにブログを書いて、稼いだお金で天丼を食べる。インターネットのRSSで、僕等が目にしているのは魂の行列じゃあない。かつては太陽お日様輝く、命が確かに通っていた、木の葉を持った蟻の行列。


誰かを喜ばす為。誰かを馬鹿にする為。誰かを満たす為。そしてなによりも、自分自身の満足の為。そんなくだらない目的の為に、みんなブログを書いている。プリンストン大学のジャックスオルソンによると、人の幸せは人間関係によって左右されるという。ブログを書いて人に褒められる。ブログを書いて誰かに認められる。幸せになる。小さな満足を得る。充足した人生を得る。そんなくだらない目的の為に、みんなブログを書いている。


僕等がインターネットだと思い込んでいるものは、インターネットなんかじゃない。インターネットの死体だ。ブログだと信じているものは、ブログじゃない。ブログの死体だ。腐らず、消えず、蠅も湧かず、土に返ることなく残り続ける死体。そればかりか増える死体、増す死体、死体また死体の死体の山。かき分けてもかき分けても、命の輝きは見つからない。通りを埋め尽くし、階段を埋め尽くし、メトロを埋め尽くし、山も海も埋め尽くす死体。山、山、そのまた山。海の向こうのカルフォルニアも、シンガポールもベトナムも、死体の山で埋め尽くされる。踊る命は見あたらない。


殺すべきだ。死んだブログは殺すべきだ。この世界を醜く覆い、人々の視界を遮るブログ。命の無いブログ。魂の無いブログ。踊らないブログ。みな、殺すべきだ。踊る命によって着手されたブログであっても、滾る魂によって書き始められたブログであっても、途中で死んでしまったならば、そんなブログは殺すべきだ。投稿されるべきではないし、継続されるべきではない。世界を清浄化し、空気を良くし、視界を良くし、踊る命を探す人の手に、踊る命が行き渡る。そんな当たり前の健全さを、僕等は取り戻さなければならない。


殺せ、殺せ、死んだブログは皆殺せ。失敗に終わったブログは皆殺せ。草案が不確かになった時点で、計画が狂った時点で、当初の予定が違った時点で、そんなブログは皆殺せ。責任を持ってきちんと殺せ。 この世界から排除しろ。魂の期待に応えられなくなった時点で、情熱が死んでしまった時点で、心が躍らなくなった時点で、なんの迷いもなく殺せ。殺せ、殺せ、失敗に終わったブログは殺せ。死んだブログは皆殺せ。 死んだ人を殺せ。失敗に終わった人間を殺せ。責任を持ってその手で殺せ。

2013年5月28日火曜日

もっと頑張れたはずー、もっと頑張れたはずーって思う。

もっと頑張れたはずなのにと思う。けれども、もっと頑張っていたとしても、今僕が望んでいるものは何一つ成し遂げられなかったし、手に入らなかった。今から改めてもっと頑張れば、一週間後にはなんとかなるかもしれない。けれども一週間後の僕が望むのは、また他の事、他の願い。アキレスはアキレスに追いつけない。だってアキレスはアキレスだし。眠たい眠る気力は湧かない。

2013年5月27日月曜日

アライエンス試合レポートその1。対DK戦。

ジョナサンベルグことLodaがキャリアハイを更新してしまったので、試合のレポートを書いておく。


※この文章はグランドファイナル前に書かれ、グランドファイナル後に校正されたものです。グランドファイナル前に全試合のレポートを書いて投稿するつもりが4試合目(LGD戦)を書いてる途中に力尽きました。







☆ここまでのあらすじ


ずば抜けた輝きを放ち、欧州シーンはおろか、dota allstarsシーン、いやシーンどころかdota allstarsそのもののアイコンにまでなったLoda。けれども、時の流れは残酷だった。自身の相対的弱体化と、kurokyという異次元の鬼才による欧州シーン完全制覇、さらにはシーンの衰退に伴うスポンサーの降板などが重なり、モチベーションを失ったLodaはインアクティブになってしまう。

しかし、古いdota仲間に「勝てる面子、賞金稼げる面子を集めたから」と誘われてアマチュアチームですぐに復帰。そこにはスウェーデン最高の才能パジャキャット、デンマークが誇る最強コンビmiGGel+AngeL、スカンジナヴィア最高のside soloとして鳴らしたミラケルなど、かつてはKuroKyと組んでLodaを叩きのめした最強の面子が揃っていた。

一方のkurokyはその才能を買われて世界中のチームに参加し続けるも、「ドイツ語話者のイラン系ドイツ人」という出自が故に放浪に次ぐ放浪と離合集散を繰り返し、その度に彼のチームは弱体化。KurokyチームとLodaチームの力量差は歴然だった。それでもkurokyは孤軍奮闘し、Lodaを首の皮一枚まで追い詰めるが、チーム力に物を言わせて凌ぎきったLodaは、ドリームハックウインターの地にて、遂に宿敵KuroKyを討ち果たす。おりから欧州dota allstarsシーンは衰退を通り過ぎて終了。これにて、dota allstarsシーンはLodaによるKuroKy討伐というハッピーエンドを迎える。賞金を稼げなくなったLodaは再び引退。


そんな時、高校のクラスメイトであり、かつてはdota allstarsでもチームメイトだったakkeに誘われて、HoNというdota alllstarsコピーゲーで賞金を稼ぐべく現役復帰。modであるが故に開発会社も課金システムも存在しない無料ゲームのdota allstarsとは違い、HoNは開発会社が大会に賞金を出しており、しかもdota allstarsよりレベルは低く、簡単に稼げるおいしい場所だったのだ。HoN転向時にLodaが言った「ちょっと触ってお金を稼ぐだけだよ」というコメントが袋叩きにあったりするも、さくっと大会で2位になり、さくっと賞金ゲット、有言実行でさくっとHoNから引退。


同時にHoNを引退したakkeと共に、valveが高額賞金を用意したdota2シーンに参戦。Loda is back!。チームメイトに、かつて欧州最高のsolo sideだったミラケル。そしてEGから引き抜いた欧米最高のタレント、pajkatt。パジャキャット来た、これで勝つるとばかりに順風満帆、欧州強豪の地位を固めつつあったが、akkeを捨ててLoda離脱。離脱理由は、シンガポール人の恋人と現地で同棲する為。友より女を選んだと、株を下げる。


シンガポールで加入したzenithでは、全てのゲームで100点満点中55点、見所の無いプレイに終始し、過去の名声貯金で生きる終わった男、また要介護認定のダメ男として、その平凡さを世界に見せ付ける。挙げ句、賞金100万ドルのti2において、zenithはグループリーグ初日最下位。

そのあまりのていたらくにぶち切れたアジアが誇る変態プレイヤーiceiceiceさんが、hyhyからpickerとキャプテンを強奪。そして覚醒。全ゲームinvokerをpickし、全ゲーム無双。一人でチームを5位にまで導き世界は騒然。究極変態男の面目躍如。iceiceiceさんかっこいい。直後、zenithはキャプテン兼pickerだったhyhyがLoLのプロに転向し、dota2からリタイア。それを理由にLodaもスウェーデンに帰国する。




スウェーデンに帰ったLodaは、akkeと共にアマチュアチームに参加。そのチームは、EEというカナダ人がスウェーデン人のs4と共に2人で創設したチームだった。残る一人は欧州最悪のパブスタンパーにして最強の素人。400ゲーム遊んで400ゲーム全てが熊。勝率8割という1ヒーロープレイヤーのアドミナルブルドッグ。そのチームで参加した最初の大会がドリームハックウインター。そして即優勝。即スランプ。

スランプの原因は、アドミナルブルドッグ。熊しか使えないので、100%pick負け。BANされたら詰む。BANされる、詰む、負けるという必敗パターンを繰り返した果てに、「スウェーデン語で意思疎通出来ない」という内紛を起こして、pickerにしてチーム創設者の一人であったカナダ人のEEをkick。

ウェブ上ではレイシストだとか白人至上主義者(EEはアジア系カナダ人)だとか叩かれるも、タイミング良くアドミナルブルドッグが練習と経験により成長し、他のヒーローもアリバイ程度には動かせるようになる。新pickerであるs4の迷いのない素直で真っ直ぐなpickも当たりに当たり、EEをkickした瞬間から勝って勝って勝ちまくる。EEを擁護してLodaを叩いたネチズンどもを結果で黙らせ、大会3連続完全優勝や公式戦10連勝を記録するなどして、欧州最強チームの座を不動のものに。スポンサーも付いてプロ化し、チーム名を「アライエンス」に変更。いざ中国へ。以上、ここまでのあらすじ。#だいたい






対DK戦。

G1の開幕戦。最初の試合。

主催者側がDK対アライエンスを開幕戦に設定した意図は明白。「中国3強で一番弱いチーム」と「欧米で最強のチーム」を戦わせ、アライエンスの立ち位置をはっきりさせようという狙い。アライエンスがDKと互角ならば、アライエンスは中国三強の下位という事になる。勝てばそれ以上。負ければそれ以下。ベンチマークの為のマッチング。そのg1オフラインファイナル開幕戦で、アライエンスはレベル1roshanという一発ネタを敢行する。





DK側のBANはwispとmag。
これは普通の強キャラBAN。

一方のアライエンスは、batとshadow demon。
こちらも、一見すると普通の強キャラBAN。
けれども、これはroshanを狩る為の布石だった。




アライエンスは、TS、熊、beamとpickする。このpickはどこからどう見ても「siegeします、pushします」というpickであり、これによりアライエンスの意図ははっきりする。「中国三強という難敵をpushで破壊する」というゲームプランだ。今現在のdotaシーンでは、アンチプッシュ戦術はプッシュ戦術を上回ってしまっており、基本的に見え見えの「pushします」というpickは弱者の戦術である。アライエンスは、自らを持たざる者と位置づけ、弱者として戦うのだと、誰もが思った。僕も思った。DKの人達も思っただろう。DKは第二BANフェイズの3枠全てを、「プッシュ戦術に適したLoda用carry」に用いる。第一pickフェイズでcarryをpickしていない相手にcarryをBANする、というのは王道。DKは教科書通りのBANをした。アライエンスのBANも、教科書通りのBANだった。ヒーリングワードがアンチプッシュとして機能するジャガーノートと、アンチプッシュの代名詞であるgcとkotl。


ところが、である。これはアライエンスのpickerであり、solo midであり、キャプテンであるs4の罠だった。s4には、pushではない他の狙いがあった。それがroshanだ。一見教科書通りの「アンチプッシュBAN」に見えて、その実は「アンチroshan狩り BAN」だったのだ。roshanに乱入してspinとultを撃てるジャガーノート。遠距離からroshan中の敵を攻撃出来るgcとkotl。そして、第一BANフェイズのbatとsdも振り返って見れば同じく、アンチroshan狩りhero。5つのBAN枠全てを、「教科書通りのBANに見せかけた、アンチroshan狩り BAN」に費やしていたのだ。



DKは持ち時間を全て使い切り、アンチプッシュcarryであるgyroと、visgaeをpick。アライエンスは一切の躊躇なく、omとursaをpick。特に、ラストピックのursaは、1秒も使わずに即pickしており、これにより「プッシュドクトリン」と思われていたアライエンスの狙いが一瞬にして明確になる。ロシャン。それもレベル1ロシャン。ラストピックursaを見て、レベル1ロシャンでないと気がつかない人間は世界中探しても1人も存在しない。

アライエンスがラストピックでursaを即pickした事により、DK側はアライエンスの意図に気がつく。「アンチroshanをゲームから排除する為のBANだったのだ」と。当然、DKはLv1roshanを阻止しに行く。アンチLv1roshanヒーローを欠いているとは言え、相手はroshanと戦闘中。阻止出来る可能性も有るし、たとえroshanを獲られたとしても、1~2killは可能。しかし、アライエンスの一発ネタはただのlv1roshanではなかった。





レベル1で全員が最前線の塔へとテレポート。テレポート遅延を考慮してmidに4人、btmに1人という念の入れよう。アライエンスがroshanに到達する頃、DK側は未だ本陣の中。




移動速度が一番速いnaixが川に到達するより前に、roshanが狩られ、アライエンスは全員がレベル2と半分まで上がる。金差も付く。これでDKのゲームプランはがたがたになる。このテレポートレベル1roshanは、dota allstarsシーンで見た事があるので、初出というわけではない。

これが再発明なのか、記憶を辿って見つけた秘策なのかは、わからない。ただ、アライエンスはドリームハックウインターの決勝戦でも、EG相手に2連敗からの3連勝で逆転しており、そのきっかけとなった1勝が開始早々フリオンをroshanに殺させ、lv1roshanをやっていると思い殺到してきた相手を狩る、という奇策からだった。アライエンスは奇策を、自分達の強みとして用いている。オリジナルであろうと、コピーだろうと、中国三強相手にテレポートlv1roshanを実行したチームは居ない。中国三強まで辿り着き、敵地中国に乗り込み、完全アウェイの場でこれをやったのが凄い。


 
テレポートlv1roshanにより金差、経験値差、そしてaegisと大きなアドバンテージを得たアライエンスは、その優位を用いて快調に立ち上がる。特にその恩恵を被ったのは、熊に乗るアドミナルブルドッグだった。DKのキャプテンであり、現在中国最強のcarryプレイヤーであるバーニングは、アドブル熊との1vs1レーンに赴いた。バーニングは、中国最強熊使いの1人。そのバーニングが熊対gyroの1vs1に赴くという事は、事前のトレーニングにより、熊を捌ききれるという確信があったのだろう。だからこそアライエンスに熊を渡したし、熊と1vs1レーンを戦う前提でgyroをpickした。

しかしながら、熊が先にレベル5になってしまい万事休す。熊がレベル5になった瞬間に、熊と1on1をプレイ出来るヒーローは消える。lv1roshanの経験値により、DK側がレベルの上がった熊を押さえ込む為の挙動を行う前に熊がlv5になってしまい、バーニングはアドミナルブルドッグにfbを取られてしまう。乾坤一擲の奇策、いや入念に練り上げられたノーリスクの安全でセーフティな盤石の奇策が、神手中の神手であるバーニングと、所詮は最強の素人でしかないアドミナルブルドッグの力関係を完全に狂わせてしまった。



アライエンスはlodaの凡庸なプレイや、団体行動の稚拙さから、キルデスで五分に持ち込まれるなど多少もたつくも、10分後のゲーム時間9分10秒に再沸きしたroshanを待ち構えて即狩り。そのaegisを用いてpushすると、完全に狙われて刺し殺されたバーニングがたまらずbuy backし、600gold程度を失う。金を稼がなければいけない大切な大切なバーニングの頓死とbuy backにより、アライエンスの有利がここで始めて明確になる。勝負は次のroshan沸き。次のroshanをもし取られれば、DKは極めて厳しくなる。


果たして、19分20秒にroshanが湧くと、そこにはアライエンスではなくDKが陣取っている。金差も経験値差も得て、優位に立っているはずのアライエンスはその排除に躓き、roshanを何度か試みるも、その度にとん挫してしまう。お互いにkillを取り合い、両チームがroshanの周囲に陣取りながら、痛み分けのkillトレードと硬直、相手の顔色を伺いながらのお見合いが3分も続く。そして、迎えた22分20秒。相手のサポートrubickを殺した事をきっかけに、アライエンスはワードをこれでもかと散蒔き、無理矢理roshanを狩りに行く。





その際の布陣。

DK側は殺された後衛が少し離れた位置に居るが、アライエンス側はroshan狩りの最中なので、roshanがDKに味方する。後衛が遅れても実質5対5、後衛が到着すれば6対5になる。さらに、DKの前衛2人がアライエンスの後衛(斥候)を捕らえている。射程1000内を全員同時に殴れる最強範囲DPSのgyroも、前衛の後ろ、後衛に守られる位置におり、陣形は非常に良い。




ところが、 Lodaがバーニングのultを回避して、敵後衛とバーニングの間にblink daggerで飛び込み、スキル1でslowをかけてダメージも取る。blink daggerは敵から攻撃されると3秒間発動不可能になる。その3秒間の無効化は、roshanの攻撃でも発生してしまう。

Lodaは、攻撃モーションに入ったroshanの殴り攻撃と、バーニングの放ったultをコンマ一秒以下、僅か数フレーム差で回避して、敵後衛とレンジDPSの間に飛び入った。この一世一代のblink inで、戦況は一変する。






Lodaのursaはゲーム中屈指のDPS。そのursaが後衛に飛び込んだ事により、DKの前衛2人は反転を余儀なくされる。ursaは速攻潰す。これはdotaの鉄則だ。そうせざるを得ないヒーローなのだ。Loda目掛けて殺到したDKの前衛2名を含む計4名は、Lodaをどうにか溶かしきり、Lodaの排除に成功。DK側は全員生存。少し離れた位置に居たサポートが到着すれば5対4になり、卓上の計算ではDKが有利になるはずだった。






けれども、全てのアクティブスキルをLodaに対して使い切り、一刻も早く溶かす為に0距離でLodaを強引に殴っていたDKの4人は、狭い空間に密集してしまっており、アライエンスの範囲スキルを連続で喰らい、瞬く間に主力の前衛2人が蒸発、残る2人も為す術無く狩られて全滅。一方のアライエンスはLodaを犠牲にした甲斐あって、4人が生存しており、Lodaはbuy backしてroshanを狩り、aegisを拾い、DK逆転勝利の可能性はこの時点で完全に失われた。




ファイナルスコア。このゲームにおいて、Lodaが良いプレイをしたのはblink前後の3秒だけ。roshanの攻撃を下がって避けると同時に、バーニングのultをも紙一重のタイミングで回避し、blink inから相手のtankであるドラゴンナイトを的確に狙って削り、全てのアクティブスキルを放出させた上で死亡。45分33秒のゲームで、たった3秒の良いプレイが最も重要な局面で出た。


アライエンス側の勝因は、一にも二にもテレポートlv1roshan。
そして、全員が良いプレイをしたこと。Lodaも大事な局面で仕事をした。
作戦目標を持ち、その実現に向けて一致団結し、見事に実行した素直な一勝。





DK視点で見ると、話は変わる。
DK側から見れば、この1敗は素直な1敗ではない。
敗因は複数存在しており、全てが込み入っている。



◆補強の失敗 

DK最大の弱点は、solo midの弱さだ。DKはその弱点を埋める為にメンバーを入れ替え続けたが補強は全て失敗に終わった。今現在solo midをプレイしているのは最古参のsuperという、平凡なsolo mid能力しか持たないプレイヤー。相手が良プレイヤーならば、確実にレーン負けする。10分以降も説得力が無い。kingJ、longDD、YaphetSと、solo midをやれるプレイヤーを何人も獲得したが、全員結果が出なかった。

特に痛恨だったのは、当時世界最強のsfプレイヤーと目されていたYaphetS(aka PIS)が全く機能せず、遂にはモチベを失い引退してしまった事だろう。YapehtSで駄目なら誰を獲ればいいんだと、DKのマネージャーは頭を抱えたに違いない。

DKはメンバー構成の時点でアライエンスに敗れていた。アライエンスはスカンジナヴィア最高のsolo midプレイヤーであるs4が、カナダ人のEEと2人で創設したチームだ。それに際し、欧州最悪のパブスタンパーを加入させ、さらにakke+Lodaという確かな競技力を持つ2人の獲得に成功した。当時のアドミナルブルドッグは競技力の有るプレイヤーではなかったが、獲得可能なスウェーデン人という縛りの中では、最高のメンバーを集めた。

おまけにpickerであったEEをkickし、素晴しいサポートプレイヤーであるEGMを長い長い試用期間を経て加入させた。新pickerであるs4は、狡猾さとメタ戦を前面に押し出したEEのpick方針を180度転換し、素直なpickを実直に継続する事で、チームを立て直した。将来の成長を前提として獲られたアドミナルブルドッグはその期待に応えて、弱点では無いという程度にまでは成長した。アライエンスは、全てのポジションにおいて補強が成功した。一方のDKは全ての補強が失敗に終わり、最古参が説得力の無いsolo midをプレイし続けている。勝負はストーブリーグでついていた。



このような視点でゲームを観戦する事は、正しくないとお考えの人も居られると思う。その対戦の中で生じた現象のみを見て評価すべきだと考える向きもあるだろう。けれどもある時期からのdota allstarsシーンは、5対5のビデオゲーム対戦ではない。ごく普通のチームスポーツである。
 
スポンサーを獲得する為の営業能力。トレーニングベースとなる部屋を賃貸し、構築する運営能力。円滑な人間関係と信頼関係を作り上げるキャプテンの人徳。練習相手を確保するために必要なコミニケーション能力。そして何よりも、誰を獲得し、誰を切るかというマネージャーの手腕。他のプロスポーツと同じように、チームのフロントの能力が結果に直結するのがdotaである。

このゲームにおいてはlv1roshanと9分20秒の2nd roshanの比重が大きかったので、致命的な敗因として浮上こそしなかったものの、アライエンスのsolo midであるs4と、DKのsolo midであるsuperの実力差は歴然としていた。


補強に成功したチームが勝った。
補強に失敗したチームが負けた。




◆新戦略の失敗


DKはこの大会、gyroに全てを賭けてきた。バーニングは本来gyroプレイヤーではないが、gyroを仕上げてきた。確かに、グループリーグでDKが挙げた2勝は共にgyroで得たものだ。DKがグループリーグを突破出来たのは、gyroのおかげ。それでも、バーニングはgyroプレイヤーではない。

アライエンス戦での手痛い敗北を経て、立ち回りとポジショニングは修正されて行くのだが、大会の開幕戦であったこの段階では、実戦経験が足りていなかった。もしも対アライエンス戦が初戦ではなく、経験を積んだ上での事だったならば、展開は変わっていただろう。

バーニングはgyroに相応しくないポジショニングを取り、2度も変な殺され方をして2度buy back。大量のgoldを失った。不慣れな新ヒーローによる新戦略の導入により、バーニングという神手中の神手を浪費してしまった。


新戦略を導入するも実戦経験が足りずに負けるのは、どのチームにもあるパターンだ。 記憶に新しいところでは、LGDはplをpickしてMRに負け、plをpickして負け、plをpickしてMRに負け、それでもplをpickしてMRに負けて沈んだ。今大会ではiGが新サポートを試みて崩壊し、グループリーグで敗退した。


一方で、現在のアライエンスは「新戦略を導入するが負ける」という敗北を知らない。何故ならば、EE kick後のアライエンスには、新戦略など存在しないからだ。アライエンスの戦略は1つ。たった1つだけ。全てのゲームで全く同じ事しかやらない。Lodaがファームして勝つ。その1パターンだけだ。他のパターンは存在しない。pickも同じ。ワンパターンなpickだ。

アドミナルブルドッグという1ヒーローしか使えない最強の素人と、Lodaというストロングポイントの限られた取り回しの悪いプレイヤーを抱えているが故に、融通が利かない。故にシンプルにファームする。だから単純にファームする。同じpick、同じ配置、同じ布陣でファームする。毎回同じことを繰り返す。アライエンスに新戦略は無い。

DKは、「対アライエンス」というpick&BANではなく、「練習し、仕上げてきた新戦略」のpick&BANを行った。gyro、visage、3 carry。練習通りにやれば勝てる相手だ。所詮はレベルの低い欧米のチームだ。鳥居ぬ島の蝙蝠だと、普段着のまま、自然体でプレイした。練習した事を素直にやろうとした。練習通りやれば勝てる相手だ。弱小チーム相手に対策なんて、たかがパブスタンパー相手に対策なんて、という驕りがあったと思う。DKは内容ではなく、強者の驕りで敗れた。

DKは練習したことを素直に実行したが、それはアライエンスの側も同じだ。アライエンスも計画し、練習した事を素直にやった。gyro、visage、3 carryと、テレポートlv1roshan。どちらの戦略が優秀だったかは、結果を見れば明らかだ。DKはプレイング以前に、頭脳戦で負けた。会場入りするも随分前に、寝室で既に負けていた。


◆visageのレベル上げ失敗

ゲーム内にも敗因はある。最大の敗因はvisageのレベル上げに失敗したことだ。現在の中国シーンではvisageが猛威を振っている。キルデス10近くある。DKが挙げた2勝において、visageは8-3-13と、13-3-8というスコアを叩きだしている。iG.ChuaNが対DK戦で用いたvisageなどは、13-0-18だ。

中国における現在のvisageは、ゲームをdestroyする事の出来る最強のサポートなのだ。ところが、DKはroshanアドバンテージによりtri laneで敗れてしまい、visageのレベルを挙げ損なう。見えてる相手に歩いて殺されるという不必要なkillを献上してしまった事もあって、visageがレベル6になったのは、なんと16分ちょうど。nukerとしての強みも活かせず、ultによるスカウトも出来ず、ダメージも稼げず、実質4対6のゲームになってしまっていた。

もしもDKがコミニケーション不全に陥っていなければ、「経験値を分けてくれ」と発言する事により、無理矢理visageのレベルを上げただろう。ところが、肝心要のtri laneで失敗してしまったvisageは意気消沈してしまい、何もせずに右往左往するだけだった。誰か1人でも「visageに経験値を」と声を出せていたら、展開は違っていただろう。

DKはプレイングではなく、声出しで負けていた。
喋れない。喋らない。だから負けたのだ。
 

◆9分10秒roshan再沸き時の甘え

アライエンスのpickはroshanを狩る為のpickだ。

9分10秒のroshan再沸きも、アライエンスは必ず即狩りをしてくる。そんな事は、誰だってわかっていた。ところが、そのroshan再沸き時に、DKはイリュージョンを配置しただけで満足してしまう。

アライエンスは、smokeを使ってイリュージョンの目の前でroshanの再沸きを待ち、roshanを狩ってaegisと金と経験値。置きイリュージョン斥候は、smokeの前では無意味だ。これは、DK側の完全な甘えだった。この反省から19分の再沸き時にはroshan前に布陣を整えていたが、それを9分の段階でやっていれば、展開は変わっていただろう。(ただし、9分のvisageはレベル4とかで戦力にならないので、厳しい事には違いない。)


◆コミニケーション不全

なぜDKはvisageのレベルを上げ損なったのだろうか?
どうして誰1人として、9分10秒のsmokeに気がつかなかったのだろう?

visageのレベル上げも、roshan再沸き対策も、プレイング面でのミスではなかった。考えて、意見を交換し、チーム内での意思疎通をきちん と行っていれば、避けられた事態だ。誰か1人くらいは、smoke即roshanに思い当たる。誰か1人くらいは、visageのレベルを上げようと提案 する。

けれどもDKは意気消沈し、死者の行列のように右往左往し、腐った鮪のようにして負けた。DKはプレイでミスを犯すよりも前に、コミニケーションでミスを犯し、コミニケーションで負けていた。戦わずして負けていたのだ。どうしてそんな事が起こったのだろうか。





DKのrotkは、中国最悪のバッドマナープレイヤーとして有名な人だ。

上の画像のfuck youは、ネタだから許されるという自作の免罪符に基づきやっているのだが、ネタだから何を言っても許されるというわけではない。それに、rotkはネタどうこうではなく、事実としてそういう人物だ。粗暴で、マナーが悪く、協調性が無い。チームメイトを言葉と態度で威圧し、自らの意見を押し通す。相手も煽る。罵る。罵倒する。

そういう人間がチーム内に居ると、チーム内の人間関係は機能不全に陥ってしまう。DKというチームでは、キャプテンであり、最も上手いプレイヤーであり、古参であるバーニングよりも、ただのsolo sideプレイヤーにすぎないrotkの方が大きな発言権を持っている。 その発言権は、プレイングの説得力や、お互いの信頼関係、あるいは研究熱心さによって作られたものではない。チームメイトを怒鳴り散らして作り上げられた発言力だ。粗暴で、抑圧的で、他者を支配下に置いてコントロールしようとするrotkという人物の人間性、立居振舞によって生み出されたものだ。


DKは立ち上がりに失敗した後に、「ああまたrotkがぶち切れるな」という"うんざり感"を全面に漂わせたプレイに終始した。コミニケーションによる戦局改善、意見交換による戦局改善という傾向が、全く見て取れなかった。全員が押し黙って、うんざりしながら、そして同時に怯えながらプレイしていたように見えた。





 アライエンスがEEをkickしてまで作り上げた単一言語の仲良しクラブは、コミニケーションでは圧倒的な強さを誇る。最強のプレイヤーでありpickerであるs4はその強さが故に発言権を決して失わないし、Lodaとakkeは元クラスメイトであり、どれだけ酷いプレイをしても、2人組みであるが故の発言権を維持出来る。この3人が中心となり、誰もが考え、誰もが発言出来る空間が出来ているように見える。あくまでも、外からプレイを見る限りなので、ただの想像にすぎないけれど。DK戦でも飛び出したLodaの酷すぎる立ち回りは即座に狩られてfeedした後に完全に修正され、中国滞在中は二度と同じような立ち回りをしなかった。

DKが犯した2つの失敗は、共にコミニケーションによって回避可能なものだった。visageのレベル上げと、9分10秒のroshan再沸き。共に、意思疎通が出来ていれば、意見交換が出来ていれば回避可能な事態だった。

DKがkickして、入れ替えるべきだったプレイヤーは誰だったのか。DKは、多くのプレイヤーを入れ替えてきた。けれども、rotkは残した。スキルという点では決して駄目なプレイヤーではないが、本当にDKがkickするべきだったプレイヤーは、rotkだったはずだ。残すべき人を蹴り、蹴るべき人を残したチームが負けた。

dotaにおいて最も重要なのは円滑な人間関係と、コミニケーション能力なのだ。そこにrotkという爆弾を抱え、そのrotkを管理せず、粗暴な振る舞いを許しているDKというチームが、安定した成功を得られる可能性はほとんど無い。この1敗はDKにとって、とても自然な敗北だったと思う。





☆ここまでのあらすじ

頭の中では全ゲーム書き上がっているので、必要ならば各自適当に持って行って読んで。もう疲れた。

肉、ビーフ、ミート。

肉、ビーフ、ミート、どれが一番おいしいのかなと胸をときめかせた幽霊のような日の出から続く長年の論争を終わらせたのは、器半分の冷めた白粥であった。

2013年5月26日日曜日

@LodaBerg

WTF!?

2013年5月26日にLodaがキャリアハイ更新。


あるmodの誕生と、あるEスポーツシーンの死。 や、でたらめの妄言をご丁寧にも日本語に翻訳して流布したエントリーなどで取り上げた、ジョナサンベルグことLodaがキャリアハイを更新中。







はてブでスパムしてる奴のタイトルページをspamに変更していい気になってるブックマーカーは

はてブでスパムしてる奴のタイトルページをspamに変更していい気になってるブックマーカーは、はてブでスパムした事のある奴のウェブサイトを全てspamに変更してからいい気になるべき。それが出来ないなら、どのような場合も公平にやるべきではない。雑魚狩り楽しいですか?

2013年5月25日土曜日

迷惑メールに腹が立つ。

せっかくの日にgmailの迷惑メールフォルダを覗いてしまったのが運の尽き。不愉快さに塗りつぶされた一日が始る。

2013年5月24日金曜日

夏の太陽

酷い一日だったので、底抜けに明るいブログでも書いてから眠ろうと思い立ち、生きる事を望んでいない酷い一日は底抜けの明るさを見つけられぬままでおろおろと延命され続け、一日中僕等を苦しめた明るい夏の太陽は額の裏へと沈んでいった。

2013年5月23日木曜日

心が目覚めない。

起きても起きても心が目覚めない。 眠っても眠っても憎しみが眠らない。

2013年5月22日水曜日

荒らしを相手にするのが荒らし。

ネット上に存在する特定の個人を困らせる為に攻撃する人物を、連中は必死になって構う。アクセス数が稼げるから。そして連中は言う。これは意見であり議論であり論争であると。もちろん違う。

2013年5月21日火曜日

ミスを無くす事は出来ない。

どんな人間もミスをする。必ずミスをする。ミスを無くす事は出来ない。ミスを減らす最善の策は動かないこと、何もしないことだ。何もしなければミスは起きない。小さく丸くなって、じっとうずくまっていれば、ミスは無くなる。けれどもそれでは、何も出来ない。もしも何かをしたいと願うならば、ミスを無くす事は出来ない。失敗を減らす事は出来ない。何かをしようと思えば思うほど、行動すれば行動するほど、それに伴いミスは増える。あなたはミスをする。絶対にミスをする。致命的なミスをする。それに備えて余裕を作っておくことが、ミスに対する唯一の対処法だ。ミスが許される状況下において、少しでも多くの貯金を作る。なるべく多くのゆとりを稼いでおく。溜め込んでおく。そうして溜め込んだリソースを、致命的なミスの際に用いる。使う。放出する。そうして乗り切る。そしてまた貯める。最初の僅かな致命的なミスを犯した際に、用いる事の出来るリソースが無い人は、そこで終わる。どん尻になってミスがミスを呼び、巨大なミス達磨となって破滅の坂道を転げ登っていく。

2013年5月20日月曜日

ブログを更新していない時はゲームをしていて、ブログを更新している時はゲームをしています。

方々でprime world defendersを目にしたのでついうっかり買ってしまったんだけれど、本当に騙された。終わってんじゃんこのゲーム。まず全クリするのにカード集めが必要。同じマップで延々稼がないと駄目。 なにこれ。

「こうすれば勝てる」っていう楽勝パターンが存在していて、一目で分かるのに、カードが足りないから出来ない。じゃあカード集めます、ってわけで、負ける要素のない糞MAPで延々カード集め。全クリするには、レアカードが7枚必要。低くみつもっても4枚は必要。

仮に4枚で足りるにしても、それを集めるのに必要な稼ぎ回数は酷い事になる。レアカードは5種類あるので、出現率は1/5。レアカードが報酬として出現するのは体感で1/3。出現しても獲得できる確率は3/5。

レアカード1枚に75戦必要。仮に1稼ぎ2分としても、1枚2時間半。4枚集めるのに10時間の稼ぎが必要。こんな設計のゲームがこれが面白い?確率の計算がおかしい、ってのはさておいて、実際に10時間ほど稼ぐ必要がある。こんな糞みたいな手法でプレイ時間水増ししているゲームをどの口裂いて「面白い」とか書けるわけ?良心ってものは無いの?ブロガーとしてのプライドは無いの?自分が糞ゲーに10ドル使ってしまったからって、他の人間をも引きずり込もう、おれだけ損するのは悔しい、って思考でブログ書いてるの?

100時間以上遊んだTDは幾つもあるけれど、稼ぎが必要だったから仕方なく100時間遊んだTDなんて1つも無いよ?プレイ時間の水増し無しで、ただ面白かったから100時間遊んだだけ。しかも全部無料。こんな糞みたいなプレイ時間水増しゲーを10ドルで買って「面白かった」とか本当に理解出来ない。
 
「タワーディフェンスが好きです」みたいな人は本当にタワーディフェンスを遊んだ上で言ってるの?ボーベノグTD、ブリザードTD、エレメンタルTDみ たいな古い所は当然通過した上で「タワーディフェンス好きです。プライムワールドディフェンダー面白かったよ」とか書いてるんですよね?ナルトTD、ポケモンTD、任天堂TDといったジャンルオタがちまちま作り続けたTDもきちんと通過して、airTD、ウインターマウル、ポーカーTD、ギャザリングTD、キャッスルファイ トなんかも一通り触った上で「このタワーディフェンスが面白かった」とか書いてるんですよね?レギオンTD、TTW、グリーンTDといった最後まで生き 残ったTDも遊んだ上で、「俺はタワーディフェンスに目がないぜ」とか書いてるんだよね?もちろんスタークラフト2も買ってTD漁った上で言ってるんですよね? 値段どうこうではなく、無料でも遊ぶに値しないTDだった。畜生エセゲーマーどもに騙された。

2013年5月15日水曜日

テクニックとして他人を褒める人が嫌い。

自己啓発本を読んで感化されたのか、あるいは自己啓発ウェブサイトに影響されたのか、テクニックとして他人を褒める人が居る。他人を褒めれば人間関係が円滑になる。褒められた人はやる気が出て生産性も上がる。仕事も趣味も上手くいく。他人を褒めれば全てがよくなります。だから他人を褒めましょう。褒めることは、良い事です。まず褒めましょう。恐れず褒めましょう。もっと褒めましょう。褒めて褒めて褒め続ければ、褒める技術も向上し、よりよく褒められるでしょう。褒める事で、あなたの世界は素晴しいものになります。そんな虚ろな話を信じて、他人を褒める人が居る。

そんな話を鵜呑みにするような人間は、薄っぺらい。くだらない。安っぽい。造花みたいな連中である。連中は他人を褒める。他人を褒める事が、素晴しい世界を築くための、win-winのテクニックだと信じているから。他人を褒める事が、生産性を上げる為の、誰も悲しまない、誰も損をしない、win-winのテクニックだと信じているから。ところが、糞みたいな人間に褒められて喜ぶ人は居ない。褒められる、嬉しい、頑張ろう、というのは一定の信頼関係があって始めて成り立つものだ。




やな感じだ。
うっとおしい奴だ。
めんどくさい人だなあ。
……褒められた。

うざいなあ。
こっちくんなよ。
頼むから関わらないでくれ。
……褒められた。




これで全てが上手く回りますか?生産性が上がりますか?素晴しい未来が待っていますか?そんなわけがない。連中による他人を褒めるという行為は、誰かの心を萎えさせるだけだ。存在自体が害悪である。そして残念な事に、世界は害悪で満ちている。世の中にはそういう人が大勢居る。薄っぺらい。くだらない。安っぽい。尚かつ、テクニックとして人を褒める。そういう人が大勢居る。人を褒める。褒める事によって誰かを萎えさせる。他人を褒めて自分だけが気持ちよくなり、いい気になってご満悦。そういう奴らが大勢居る。

糞みたいな人間に褒められて喜ぶ人は居ない。まともな人は萎えるだけだ。ところが、世の中には、萎えない人が居る。まともでない人が居る。そう。連中である。テクニックとして他人を褒めるような連中である。連中は、連れ同士で褒め合う。仲間内で持ち上げあい、自分ら同士で褒め合って、いい気になる。そして彼等は確証を得る。「ほら、褒めて上手くいった。褒める事はいいことだ!」

薄っぺらい。くだらない。安っぽい。めんどくさい。糞うざい。害悪そのものである連中は、褒める事は正しい事だという確証を、仲間同士の舐め合いによって得る。自信を持つ。そして、"褒める"という行為を辺りに撒き散らす。




やな奴。
うとおしい。
めんどくさい人。
……褒められた。


うざい。
こっちくんな。
関わりたくないから。
……褒められた。




そんな風にして連中は、まともな人間を破壊する。薄っぺらい、くだらない、安っぽい、糞みたいな人間のみが連中によって力づけられ、意気盛んになる。そして連中はお互い同士で褒め合う。テクニックとして他人を褒める。連中だけが勢いを増す。褒めて褒められ増長する。まともな人間は心を折られ、砕かれ、破壊される。そんなふうにしてこの世界は、糞みたいな連中の、人を褒める声で埋め尽くされていく。薄っぺらい、くだらない、安っぽい、テクニックとして他人を褒める、糞みたいな連中の群れが幾つか残る。まともな人間は連中の褒め声に心を折られ、連中に見つからないように静かに暮らす。他人に褒められないよう秘かに暮らす。忌々しい連中が支配するこの世界から姿を隠す。

おはようわたしの人生。

幼い日に出会った素敵な人にこれまでの人生を全て否定されて目が覚めると、それよりも悪い実の人生が待っていた。おはよう。

2013年5月14日火曜日

それでも夏は僕を押す。

左から来た暑さが空気中を通って部屋の隅々に行き渡ると、地球の周りをゆっくりと回る太陽がそれを暖めて少しずつ膨らます。溜息ばかりついて幸せになれない男はやがて、溜息をはき出すだけの空気をも吸えなくなって小さく俯く。目の前には手とキーボードのミスマッチ。ぬるく暖まり大きく育った夏の空気は口も聞かずに僕を押す。頬を、肩を、腰を、踵を腹を、押されたところで動かない。僕を動かす為にではなく、不満を伝える為に押す。知っている。その不満はもう知っている。なのに不満を伝える為に、それでも夏は僕を押す。

2013年5月13日月曜日

負けた負けたまた負けた。

 


52-52が一番楽しいということは言い続けてきたので、一応は楽しかったんだけれど勝ちたかった。終了3分前からやり直せば、6割以上は勝てると思う。最後に味方同士がsfのプレイングとbuybackとビルドを巡って、論争っぽくなってしまったこともあり、指揮統制が崩壊してしまった。味方は中国人アジア人日本人と、全員が非英語圏だった為に、会話する事と、そのログを読むことだけで脳の容量を全て使い切ってしまい、飛んで火に入る夏の虫してwipeされて終了。



相手はiG.ChuaN、DK.Dai、件のlongdd、RSの人、ラットルスネークの人。トッププロ5人パーティーというデスエンカ中のデスエンカ。味方にはLGD.sgtyやEHomeで天下を取った現ラットルスネークの老兵Luoさん。勝てていたら史上最高のゲームだったので、この敗因は悔やんでも悔やみきれない。非英語話者同士の英会話を読むのに必死で、思考能力が飛んでしまい5人揃ってサラダバーとか、酷すぎて目も当てられない。極端な話、僕だけでも全員ミュートにしてゲームの事だけを考えていれば良かった……。最後クーリエの中にMKBが残ってたり、僕自身無駄金を持て余していたりで、指揮統制が完全に崩壊してた。

2013年5月12日日曜日

あきらめないことの難しさ。

あきらめないのは簡単だ。
あきらめなければいい。

あきらめないのは難しい。
何を諦めなければいいのかが、わからない。

2013年5月9日木曜日

最近自分が僕に厳しい。

近頃自分が僕に厳しい。近頃と書くと一週間、あるいは一ヶ月くらいに聞こえてしまうと思う。確かに、僕が覚えているのは一週間、あるいは精々一ヶ月くらいのものだ。それより以前がどんな風であったかを、よく思い出す事が出来ない。ただ、ぼんやりと、それよりもずっと前から、僕は自分に厳しかったように思う。ただ、この所、僕は自分の厳しさに耐えられなくなってきた。

目が覚める、朝起きる、少し気分が良い。すると、僕は自分に厳しい。「何様のつもりなんだ」。目覚めただけでこれである。何様と言われましても、怪訝な表情を浮かべると、「言い逃れをするな」と来る。よくわからない。wikipediaでデイビットモイーズのlang:enページを一語一語読み解いていると、ネットサーフィンなどしてる場合かと叱られ、本を手に取ればそんなものを読んでる場合かと怒られる。少しだけくたびれて横になって目を閉じると、寝てる場合か、って言われてしまう。

確かに、確かにそんな気はする。なんとなくわかる。怒られても仕方がないような感じはする。僕は自分に厳しい人で、あまりに厳しい人で、何をしても怒られる。目を明ければ目を明けたで怒られ、欠伸をすれば欠伸をしたで怒られる。「そんなこと、してる場合か」って。でも思うんだよ。じゃあどすうればいいの、って。なにをすればいいの、って。

だから尋ねるよね。「どうしろっちゅうねん」って。そしたらさ、言うんだよ。「口答えするのか」って。僕は自分に厳しい。常に厳しい。一時も監視の目を緩めない。少しでも気がゆるんでいれば、自分は僕に厳しく当たる。人生の一秒一秒を、最高の自分で生きろって要求してくる。そんなのさ、無理だよね。
 
僕は自分に厳しい。だからを緩めずに頑張り続ける。どやされながら、僕は頑張る。何かを頑張って、結果を出して、形にして、目標に到達する。そしたら、自分に厳しい僕が馬鹿にするんだ。「そんなもの、なんでもない」って。もっと良いもの、もっと確かなもの、もっと立派なものを手に入れろって。どれだけ頑張ってもそうだ。どんな結果を出してもそうだ。

頑張っても、頑張っても、厳しい。努力しても、努力しても、厳しい。優しい言葉の一つもかけてくれない。体を労ってもくれない。傷ついた心を慰めてもくれない。ただ、厳しく当たる。自分に厳しいのはいいことだと思う。成長出来るし、あと、、、。

こんなふうにブログを書いていても、そんなブログを書いてる場合か、って怒られる。そりゃあ、まあ、そうかもしれない。ブログなんて書いてる場合じゃないよね。確かに、そんな感じはする。けれども、僕は自分に厳しくしたいだけなんじゃないか、って思う。誰かを罵りたいだけなんじゃないか。見下して馬鹿にしたいだけなんじゃにかって。駄目な奴を駄目駄目言ってたら、言ってる間はなんか楽しいんだろう。ただそれだけの理由で怒られてるんじゃないか、って思う。 昨日今日のことではなくて、ずっと厳しいんだけれど、最近自分が僕に厳しい。

2013年5月8日水曜日

初夏のdota2十題。

1,The International 2013の招待を取り消されたLGD。

世界一強状態のiGに最も勝っているチームがLGDだ。ここ1年の実績では、中国で2番目のチームである。ti2012でも3位に入賞している。そのLGDがti2013の招待を取り消された。

「LGDのメンバーに変更があった為」というのが招待取り消しの理由だ。これがまた酷い。LGDは病欠のddに代えて、かつて中国最高のsolo midプレイヤーだったlongDDを加入させていた。そのlongDDに替えて、ddを再び度使う事にした。つまり、LGDはメンバーを変更していない。元のメンバーに戻しただけである。




遡る事2年前、LGDはプレイヤー4人をiGに引き抜かれ、zsmjだけが残るという状況に陥る。zsmjはチームに残り、マネジメントにも関わり、xiao8、yao、ddc、ddという4人を加入させてプレイを継続するもほぼ全敗という勢いで負け続け、zsmjはモチベーションクライシスに陥り引退する。zsmjの代わりに、プレイヤー性能ではzsmjに遙かに劣るsylが加入。普通ならばさらなる弱体化を迎えるはずだったが、syl加入直後にiGに勝利するなどして、一時は中国最強の地位に就いた。

そして、LGDはそれから2年間、全く同じ面子で戦い続けてきた。iGに勝ってタイトルを獲得し、ti2012で3位入賞、さらにiGに勝ってタイトルを獲得した。ddというプレイヤーは、常にそこに居たのだ。ddは、ジョルディクライフでもないし、フェルナンドサンスでもなく、パクチソンでもカズでもない。彼は、LGDが他に並ぶものの無い実績を築き上げた際にプレイし続けたプレイヤー。ネット対戦だけではなく、会場での対戦においても勝ち星を積み上げ続けてきた。ddはカシーリャスであり、ダニアウベスだった。

そのddに替えてlongDDを加入させたのは、ddが手術で療養が必要だっため。しかも、ddは脱退したわけではなく、LGDにスタッフとして残っていた。術後順調に回復したので、復帰させた。すると、それを理由にvalveが招待を取り消した。なお、LGDがtiの招待を取り消されるのは2度目。前回はiGに4名を引き抜かれ、zsmj、xiao8、yao、ddc、ddという面子で取り消されzsmjは引退。

適切な言葉が見つからない。



2,帝国の滅亡。

ti2012で無惨に散ったdearからfun1を含む3名を加入させた瞬間から欧州最強チームに成り上がったempireだが、fun1引き抜きをきっかけに低迷、さらには内紛を起こして完全崩壊。資金力に優れ、ti2013の招待が確定しているNaViは、世界中から好きなプレイヤーを引き抜ける状態にあった。

2012年度の中国最高Eスポーツプレイヤーに選ばれたyyfですら、本人の意思さえ動かせられれば、移籍金と給料含めて200万人民元(約3000万円)で引き抜けるそうだ。セレッソからドイツに行った際の香川より安い。



3,ddosアタックがdota2をぶち壊す。

G-1の欧州予選はddosアタックの被害を受けて全て白紙に。他の大会でもddosアタックが頻発し、試合にならない。steamからIPを調べてddosアタックをかけられるそうで、事実上対策は無い。

ddosを行う側のメリットは、ギャンブル。試合の勝敗に応じてゲーム内アイテムを賭けてギャンブルを行えるサイトがあり、ゲーム内のアイテムは高額で売買されている。ようするに、現金をかけているのと同じ。ddosがぶち壊すという表現よりも、賭け事がぶち壊すという表現の方が正しい。



4,キャリアハイに挑んだloda。

lodaのキャリアハイがいつだったのかは、よくわからない。プレイヤーとして抜けていたのは2006年、最も印象的だったのは2008年、最も強かったのはパジャキャット、AngeL、miGGel、ミラケルらと組んでkurokyに完勝した2010年。常に欧州三傑には位置し続けたけれど、決して絶対的な地位には居なかった。

そんなlodaに、キャリアハイのチャンスが訪れた。lodaを擁するnth改めアライエンス[A]は、empireの崩壊と、naviの低迷が重なって欧米シーンを席巻。各国のランキングサイトでは欧米一位はアライエンス。

そして、LANの高額賞金大会、オンラインの高額賞金大会、中国大会の予選、オンラインの高額賞金大会と、4つの大会で決勝が迫っていた。万が一ここを全て獲れば、lodaのキャリアハイは今という事になってしまう。

その貴重な4連戦の一つめ、ポーランドで開催されたLAN大会で、アライエンスはmouzに敗れるという希代の番狂わせで敗退。この大会のオンラインフェイズでは、アライエンスはnaviを完膚無きまでに叩きのめして勝利しており、その際にdendiが言った「決戦の地はポーランドです」という負け台詞の伏線は、回収されぬまま終了。

これにて、「lodaのキャリアハイはいつだったのかよくわからない」という状態が継続される事になった。なお、直後のオンライン大会と、中国大会の予選ではアライエンスが綺麗に優勝。2013年の上半期は、lodaのキャリアハイ候補の1つに数えられるだろう。



4,躍動するEE。(aka:EternaLEnVy)

lodaのチームアライエンスからkickされたEEが、新チームkaipiで躍動。サポートからcarryに転向し、キルデス10をキープして完璧な仕事を続け、弱小無名チームにすぎなかったkaipiを二番手集団最後尾まであと一歩の所まで引き上げる。ところがti2013の欧米予選には招待されず、参加方法が"招待"というvalveの大会運営は腐りきっている。


EEは、プレイヤーとしては優秀だけれど、picker向きの人材ではなかった。pickerには研究力や反省力を含めたpick技術だけではなく、「この人ならpick負けしても仕方がない」という威圧感か、「この人ならpick負けしても許すしかない」という人間性が必要。EEはpickerに必要な能力を全て欠いていたと思う。




5,picker不在のvici。

430にsolo midで完勝出来るcty。yyfとyaoに次ぐオフレーンプレイヤー、傑物xtt。そしてあのzsmj。後衛にも素晴しい人材。面子だけ見れば中国3強に迫れそうなチームなのに、アジアの中堅にも勝ちきれないvici。

理由は、pickerの不在。「チームで一番上手い人」というだけの理由でctyがpickerを務めているものの、pick負けでルーザーズに落ち、グランドファイナルまで勝ち進むもpick負けでMUFCに敗れて初戴冠の好機を逸す。

こうも見事なpick負けを連続で見てしまうと、iGのpickerが如何に代え難い貴重な戦力であるかがよくわかる。ctyさんはチートシートをきっちり書いて、頑張ってpickerとして成長してください。本当は、pickerを変更するのが一番だと思うけれど、zsmj以外は若い人ばかりで適任が居ない。



6,mealk引退。

競技歴9年のmealkが引退。引退後はEGのスタッフへ。
デンマーク人であり、MYMを象徴するプレイヤーだった。
よくある一時的にやる気を無くしただけの名ばかり引退ではなく、やれる事は全てやった、戦い終えたやりきったという引退なので、真の引退だと思う。



7,見合わない中国長期滞在。

中国で長期にわたって開催される大会に、西側チームが招待されるも全員拒否して、結果招かれたのはマレーシアのorange。欧米シーンはオンラインの大会が多く、賞金もそれなりに高く、おまけにレベルが低くて勝ちやすい。欧米の強豪チームが中国に長期滞在するメリットは無い。



8,間に合わなかったTR。

pggにazenという現在も競争力を維持している伝説的なプレイヤーを獲得した新生TRだけれど、思うように勝てず、現状ではただの弱小チーム。ti2013の予選にも招待されず仕舞い。a-godをもう一度強いチームで見たいのだけれど現在のメンバーでは厳しい。強くなりそうな雰囲気が無い。



9,中国サーバー稼働。

dota2の中国サーバーが稼働。中国人proがアジアサーバーから居なくなるのではと懸念されていたけれど、今の所はまだアジアサーバーでプレイしているみたい。yyf、yao、zsmjなどはアジア魔境の華なので、出来る事なら残って欲しい。



10,中国に行き損ねたnavi。

G-1の欧州予選でnaviはアライエンスに敗北。さらにルーザーズでも負けてしまい、中国行きの切符を逃した。kurokyとfun1を加えたファイナルフォームnaviがきっちり仕上がれば、敵地で中国三強を相手にしても可能性があっただけに、ちょっと残念。

2013年5月7日火曜日

根拠

汚い言葉で必死になって怒鳴り続ける自分を夢で見て、嫌いになった。ただ眠っていただけの、実在しないことで嫌われる理不尽さを悲しみ嘆くのは簡単だけれど、幸いにして僕には嫌われるだけの十分な理由がある。

2013年5月5日日曜日

よかれよかれ

馬鹿って何。よかれと思った事が全て裏目に出るのが馬鹿。よかれよかれ。

2013年5月4日土曜日

今日も魔境で運動会。

2ページ。魔境ゲー。


味方はおそらく全員プロ。mith2人とminesuki、TnCかな?
相手にLGD.intのbrax。

マッチング自体は勝ちエンカっぽかったのに、「だって眠たいんだもん、もういいやおやすみー」とかさり気なく居なくなって3v5。スコアも4-14で終了……かと思いきや、mag ult一発で一死三殺、相手主力3人と僕のトレードが成立し、かろうじてゲームを繋ぎ止める。そこからしばらくmagのultと僕のultで遅延防御、遅延防御。するとtinkerがdagger dagonを完成させてはじまる無双。勝因はtinkerだけれど、勝ち負けに持ち込めたのはmagのおかげ。KYOSHさんがかっこよすぎた。これからはmith応援する。

2013年5月3日金曜日

ブログのエントリーは短ければ短い程、良い。

長いブログを読むのは、時間の無駄である。よって、ブログのエントリーは短ければ短いほど良い。1000文字よりは100文字が良いし、100文字よりは10文字が良い。ブログを読むのは、時間の無駄である。よって、ブログのエントリーは短ければ短いほど良い。10文字よりも0文字が良い。投稿されなかったエントリーだけが良いエントリーで、二度と更新されないブログだけが良いブログ。

2013年5月2日木曜日

ブンッ!!


敵も味方も大勢来ていたので、hockのcdを使わせようと、hock待ってhock待ってhock見てからdagger余裕でした!リアクションタイムが遅すぎて、全然余裕じゃないけど紙一重で成功!ブンッ!残像だっ!!!結果サポート一人落ちのみの1死4殺。快勝!きもちいいいいい!!!!!

寝ても、寝ても、

寝ても、寝ても、嫌な夢しか見ない。
起きても、起きても、嫌な現実しかない。

血湧き肉躍りたくない。

血湧き肉躍るというフレーズは、不快感にこそ相応しいフレーズだと思う。3日に6回くらい血湧き肉躍るけれど、これさえなければなと思う。寝ている時に血湧き肉躍ると、最悪の一日が保証される。かと言ってそれが無くなれば良いというわけでもない。毎日概ね虚しい。

初夏のdota2十題その1、帝国の滅亡。

富める者は富み、病めるものは病む。
              ~ヨブ記 25章 13節



努力は報われるという世界観と、努力は報われないという世界観は常に対立してきた。

努力は報われないという主張は、努力の無意味さを指し示すものではない。努力する事の困難さを指摘するものだった。僕等が住んでいるこの世界は、階層が固定された世界だ。金持ちの子供は金持ちになる。優秀な人の子は優秀になる。彼等は金を持っている。彼等は知識を持っている。知は集約され、経験は高く積もる。積み重なった資産と知識は、努力へのアクセスを可能とする。努力は金で買える。その一方で、持たざる者がアクセス出来るのは徒労だけ。有り金はたいて徒労を買う。死屍累累の徒労を乗り越え、僅かな人だけが努力へと辿り着く。屍の上に固定された階層社会。それがこの星の現実であり、それが僕等の国だ。

dota allstarsシーンが産声を上げた頃、凄まじい輝きを放つプレイヤー達が居た。彼等は人並み外れた操作量と正確なaimingで対戦相手を手玉に取り、卓越した判断力で無謀さと臆病さの間だを跳ね回りながら相手プレイヤーとの読み間を制し、誰もが恐れる強さが生んだ言葉の重みはリーダーシップへと転化されチームメイトを手足のように用いた。当然、彼等は勝った。




彼等が勝利する事で得たもの。
それは、富でも、名声でもなかった。




たかだか500万本ぽっちしか売れていないマイナーなゲームの、マイナーなmod。それも、目も当てられない酷い糞ゲーの大会で勝って得られる富など、二束三文。名声だとか、名誉だとかなんてものは、尚更無かった。彼等きら星のような超人的プレイヤーが勝利し続ける事で得た者はただ1つ。experience、経験だった。




世界は体系化されている。

金を稼ぐこと、賢くなること、強くなること、美しくなること、健康でいること、幸せになること。多くの先人達が夢見て、多くの失敗を繰り返した。その中で生まれた幾つかの成功例は、やがて書となり世界中に広まり、間違いは改められ、正解は突き詰められ、経験は集約され、巨大な書物の1ページとして、詳細に記され続けている。今も尚、この瞬間も、書き改められ続けている。先人の成功例をなぞり、取り入れ、巨人の肩に乗り進む。それがこの世の成功の術だ。




けれども、dota allstarsは白紙だった。
その世界に巨人は居なかった。
誰もが等身大の小人だった。




普通のプレイヤーが1時間で5killする間に、強いプレイヤーは10 killした。
普通のプレイヤーが1時間で10deathする間に、強いプレイヤーは5deathで済んだ。

超人的なプレイヤーは同じ時間で30killし、僅かに2 deathするだけだった。




濃い時間。
熱い時間。
濃密な経験。
圧縮された体験。

それを得る事が出来たのは、超人的なプレイヤーだけだった。
彼等はその強さが故に、掛け替えのない経験を得た。
そして、強くなった。強くなり続けた。





ビデオゲームの大会はリーグ戦ではない。
トーナメントである。

負ければ退場。
勝てば継続。

負けてしまえば、そこでおしまい。
もうそれ以上、経験を積むことは出来ない。





経験を積むには、勝つ必要がある。
勝つ為には、強くなる必要がある。
強くなるには、経験が必要だ。




然り、dota allstarsで強くなれるのは、強いプレイヤーだけだった。弱いプレイヤーは経験を得る機会すらなく、成長の機会を持たなかった。弱い者は永遠に、弱いままであり続けた。




他のスポーツでは違う。
知識が集約されている。
コーチが居て、監督が居て、強くなる方方が知れ渡っている。どのようなトレーニングをすればいいか、どのように自らを向上させればいいか、そういった事が知として集約されている。過去にプレイした幾千幾万ものプレイヤー達の成功と挫折が、経験が、体系化されて残っている。けれども、dota allstarsは違った。芽生えたばかりの世界だった。過去は存在していなかった。何も集約されていなかった。本人自らの経験だけが、強くなる唯一の術だった。




強いプレイヤーはより強く。
凄まじいプレイヤーはより凄まじく。
先を行く者と出遅れた者との差は、時間と共に広がり続けた。




凄まじく強いプレイヤーは凄まじく強くなり、その実力は傑出して、世界の全てを凌駕した。そんな彼等が到達したプレイスタイル。それが、「BAKAプレイヤー」だった。BAKAプレイヤー。




dota allstarsは5対5の対戦ゲームだ。
自ずから、チームワークが重要なゲームだ。

仲間との呼吸を合わせ、戦略的に行動する。
相手チームの思惑を読み取り、その裏をかく。

ところが、BAKAプレイヤーは、常識を無視した。
チームワークという概念を放棄した。




チームワーク?何それ。
戦略?何それ。
だってさ。
俺が殴れば相手死ぬじゃん?





然り、である。
彼等が殴れば相手は死んだ。




天賦の才が生んだ無数のkill。積み上げた勝利。得た経験。強さが生んだ驚愕の強さは、空を貫き雲を超え、銀河の果てに手を掛けた。幾多の激戦から得られた経験は彼等の六感を研ぎ澄まし、元々正確だったaimingは精密機械の域に達し、ミクロも、マクロも、判断力も、全てが他を圧倒していた。




ずかずか歩いて敵を探す。
敵を見つけたら追いかける。
追いついたら、殴って殺す。

チームワーク?何それ。
戦略?何それ。

歩調を合わせなかったせいで、チームメイトが無駄死にした?
別にいいじゃん、俺が生きてれば勝てるんだから。
俺が居れば勝てるんだから。




そんなはずはない。
dota alllstarsはチームゲームだ。

5対5の対戦ゲームであり、チームワークが勝利するはずだ。そう信じた多くの人達は、ただBAKAプレイヤーの血肉となった。「なるほどね。君たちの言う"チームワーク"ってのは、そういう挙動なんだ。」BAKAプレイヤーから見たチームワークとは、鴨を背負った葱だった。簡単。楽勝。安易。FOOD。FEED。ATM。




世界中の強いプレイヤーが集まって新しいチームを作り、新しい戦略を考え、練習して、練度を高め、新たな勝利を積み上げた。一勝、一勝、苦労して貯めた、努力の結晶の勝利の貯金は、全て極一部のBAKAプレイヤーらに強奪された。頑張る彼等はBAKAプレイヤーの集金係でしかなく、彼等の努力はBAKAプレイヤーの集金システムの一部でしかなかった。それは努力と呼べるものではなく、徒労と呼ぶべきものだった。




けれども、時代は変わる。




時は流れた。
dota allstasは元はBAKAゲーだった。
糞ゲーであり、ゴミゲーだった。
くだらない零細MODだった。




ところが、奇妙なことが起こり始めた。
WarCraft3本編よりもお気楽なBAKAゲーは、息抜きの余興として広がり始め、パーティーゲームとして市民権を得た。ユーザー数は増え続け、大会の規模も少しずつ大きくなった。そして彼等は声を上げた。「このゲーム、糞ゲーじゃん。」




その通りだった。
みんなの意見は正しかった。
dota alllstarsは糞ゲーだった。




ならばとばかりに、dota allstarsは糞ゲーから足を洗い始めた。毎週恒例のバージョンアップの度に、糞ゲー要素は少しずつだけれど改善された。BAKAゲー要素は少しずつだけれどマイルドになった。ゴミゲー要素は少しずつだけれど排除された。改善され、マイルドになり、排除され続けた。何週間、何ヶ月、いや何年もそれが続いた。dota allstarsはまともになり続け、多くのプレイヤーを集め、大会の規模は大きくなり、メジャーなスポンサーが流れ込んだ。BAKAゲーの面影は失われて行った。




プレイヤーが増えた。
BAKAゲーではなくなった。
賞金額が上がり、競技人口が増えた。
それらが同時に生じ、割を食った人達が居た。




BAKAプレイヤー。
あの伝説の人々である。




BAKAプレイヤーというスタイルが可能だったのは、糞ゲーだった過疎ゲーにおいて、彼等が飛び抜けて強かったからだ。他のプイレヤーよりも圧倒的に、上手かったからだ。それ故に彼等は経験を得て上手くなり、強くなり、後ろ姿すら見えないところまで一気に駆け抜け、誰も追いつけない所にまで辿り着いてしまった。

自分以外の9人は雑魚。自分だけが神。そんな世界で味方を見殺しにし、そんな世界で味方を使い捨て、千切っては投げ、千切っては投げ、BAKABAKAバカバカ叫びながら愉快に腕を振り回し、無邪気に暴れ回ったのがBAKAプレイヤーだった。

ところが、勝者だけが得られるexperienceという彼等の絶対敵な強みは、プイレヤー人口の増加と競技人口の増加が齎した知と経験の集約により、次第に薄れて行った。賞金額の増加やスポンサーの流入は、BAKAプレイヤーに弄ばれやる気を失うだけだった負け組のモチベーションに決定的な革命を起こした。糞ゲーであったが故に可能だった1対9というプレイスタイルは、まともなゲームへと変化し続けたdota allstarsのいて、次第に成り立たなくなって行った。チームワークが勝利する世界が訪れたのである。BAKAプレイヤーは輝きを失い、BAKAプレイヤーは過去の遺物となった。BAKAはチームの足並みを乱し、BAKAは罠にはめられてしぬんだ。BAKAは敵に逆転のチャンスを与え、BAKAは敗着のfailを生んだ。




敵がいなければ歩く。
敵を見つければ追う。
敵に追いつけば殴る。

BAKAという名の殺人機械。そんな馬鹿げたナンセンスなプレイスタイルが許されていたのは、dota allstars自体がBAKAゲーの過疎ゲーだったから。物好きの変人が余興で遊ぶ、場末のマイナーなmodだったから。時代は変わる。新しい時代。まともなゲーム。まともな競技。まともな時代。BAKAプイレヤーは息絶えた。絶滅した。みーんな居なくなった。けれども、引退したわけじゃない。




ただ、止めたのだ。
BAKAプレイヤーである事を止めた。




彼等は元々、超人的なプレイヤーだった。
凄まじく強いプレイヤーだった。
故に経験を積み、故にBAKAプレイヤーにまで成った。

誰よりも頭が良く、誰よりも正確な操作が可能で、
高い空間認識能力と判断力を持ち、誰よりも鼻がきいた。

BAKAプレイヤーとして積み上げた勝ち星。
BAKAプレイヤーとして積み重ねたkill streak。

彼等は勝利の味を知っていた。
誰よりも経験豊富で、誰よりも貧欲だった。




BAKAプイレヤー。
傑出した存在。

BAKAプレイヤー。
希有な才能。

馬鹿プレイヤー。
歴戦の勇者。




そんなBAKAプレイヤーが、BAKAプレイヤーをやめたその日、その瞬間から、彼等は最高の彼等は最高のチームプレイヤーであり、最高のチームリーダーであり、同時に最高のコーチでもあった。最高の頭脳であり、最高の戦略家になった。

彼等はもはやあの日のように、BAKABAKAバカバカ叫びながら無邪気に両手を振り回し、後先顧みず敵陣に一人、ずかずか歩く事などなかった。彼等は慎重に動き、慎重に立ち回り、チームメイトと呼吸を合わせ、優れたタクティクスを考え、それに忠実に従い、優れたチームワークを発揮した。彼等はあの日となんら変わらずシーンの中心に居座り続けた。ただ、BAKAプレイヤーである事をやめたのだ。




BAKAプレイヤーが滅びてから、随分の歳月が流れた。

現代において最も重要なのは、個人の才能である。プレイヤーとしてのスキルである。それは、太古の昔から変わっていない。けれども、現代のシーンには、プレイヤースキルと同じくらいに重要なものがたくさんある。それはコミニケーション能力であり、高いプロ意識であり、ルールに従う能力だ。

チームの和を乱さないこと。練習に欠席しないこと。退屈なトレーニングを毎日続けること。どのような役割にも不平を述べずにチームの歯車となること。ボイスチャットで的確に声を出し、意思を伝える事。チームメイトにネガティブな感情を与えないこと。同じ宿舎でなかよく共同生活をすること。




それはまるで社会の縮図。
つっっっっっっっっっっっっっまんねーーーーーーーーーーー。



だいたいさあ、はっきり言うけどなあ、そんなもんおもんないねん。こっちは社会から弾かれてるからゲームしてんねん。それがなんや。みんなで仲良くて、あほらしわ。真面目に練習?トレーニング?コミニケーション?くっだらんわあ。声を出して意思を伝える能力?そんなもんゲームでやんな。lineでもやっとけあほが。おもんないねん。がーんって行ってどーんてやって、ごーんってなるからおもろいんやろ。ほんなくだらんことやりたきゃなあ、リアルでやっとけリアルで。現実世界でやっとけ。こっちはいらんねん。








さて。


ti2012後の欧米シーン最強のチーム。
それは、紛れもなくempireだった。


勝率は常時7割維持。7割と言っても満遍なく負けているわけではなく、naviにしか負けないという状態で、数字以上の強さを見せていた。どの国のサイトのランキングでも、欧米1位はempireだった。当時のnaviは暗黒期にあり、リーグ戦ではempireに勝つものの、プレイオフ進出を逃したり、あるいはトーナメントではempireに当たる前に消えたりといった運も味方し、empireは勝ちまくった。



それも、ただ勝っていたのではない。
empireのsolo midはBAKAプレイヤー。
BAKAプレイヤーのBAKAプレイで勝っていたのだ。

そのBAKAプレイヤーこそが、スキャンダルさん。BAKAプレイヤーなんてものが成功するはずの無い現代シーンにおいて、ずかずか歩いて敵を探して、敵に出会ったら近づいて、近づいた等ならば殴って殺してまた歩く、というナンセンス極まるナンセンスの塊。

元々スキャンダルはHoNで名を成した人で、HoNにおいてはBAN枠を全てスキャンダル用ヒーローに使い、さらにスキャンダルの得意ヒーローを先にpickしてしまうという、酷いマンマークを受けていたスーパープレイヤー。けれども、そんなエピソードは過疎ゲーであり競技人口の少ないHoNだから成し遂げられたことであり、dota2で活躍出来る可能性は無いというのが僕の印象だった。スキャンダルさんはただのBAKAであり、足りていない人でしかなかった。




ところが、そんなスキャンダルさんが突如として欧州最高のsolo midと目されるまでになるんだから、世界は不思議なものである。スキャンダルさん成功の要因は、チームの3rdプレイヤーであるfun1の存在である。fun1は強くて上手くて賢くて、さらに多種多様なヒーローを使えるという、現代のプロに求められる能力を全て兼ね備えた素晴しいプレイヤーだった。そのfun1が2012年の9月にempireに合流した瞬間から、empireは欧米シーンのTOPに立った。

BAKAプレイヤーとして無謀で酷い立ち回りをするスキャンダルさんの意図を読みきり、強引に歩調を合わせてチームを1つに繋ぎ止めるfun1の存在により、empireは奇跡的な勢いで勝ちまくった。

スキャンダルとfun1の勝ちパターンは一見するとダブルBAKAプレイヤー体制に見えるほどの滅茶苦茶なものであり、スキャンダルさんがしっちゃかめっちゃかに飛び込んでチームを泥沼に引きずり込むも、fun1らがその意図を読み切り、他のチームメイトと共に強引にフォローし、BAKAプレイヤーの特権とも言える常人離れしたaimingと生存能力で強引に集団戦を乗り切り、無理矢理にリードを奪って勝つという、勝利は全てまぐれ勝ち、といった様相の酷いスタイルのチームだった。

けれどもそのようなスタイルと同時に、empireは1stプレイヤーとして何の変哲もない普通のcarryプレイヤーも擁しており、スキャンダルさんがBAKAをやって自滅しても、carryが普通にプレイして普通に勝つというパターンもあった。BAKAプレイで勝つか、普通に勝つかの判断を行うのはfun1であり、fun1に見捨てられたスキャンダルさんは借りてきた猫のように大人しくふて腐れながら存在感の無いプレイを真面目にこなしていた。

そんな黄金期のempireが唯一負け越していたのがnaviである。対navi戦の負けパターンはスキャンダルさんがdendiに封殺されて手も足も出ず終了というシンプルなもの。スキャンダルさんがdendiの飼い犬になって負けるという、ワンパターン。こればかりは何をpickしても駄目だった。かつてはBAKAプレイヤーをやっていた、世界最高のsolo midが相手では、BAKAプレイヤーは苦しすぎた。




栄光は長く続かない。
fun1がnaviに引き抜かれてしまったのだ。


これで現代に蘇った奇跡のBAKA帝国は完全に崩壊する。fun1の代役として太古のBAKAプレイヤーであるビゴスを加入させたものの、現代最高のタレントであるfun1の穴が埋まるはずもなく、empireは負けに負けまくる。勝率3割。強豪には全敗、中堅にも負け越し。落ちるところまで落ちてしまう。




そして、とあるゲームにおいてスキャンダルさんはBAKAプレイヤーのなんたるかを見せ付けるBAKAプレイに終始し、8-8-5というスコアを記録する。8kill 8death 5assist。これぞBAKAプレイヤーというスコア。しかも2度のbuy backを行い、2度とも即死。30分でノーアイテム。solo midが30分でノーアイテムって、、、、。

30分過ぎにスキャンダルさんが突撃して頓死。本陣に上陸もされていない状態で味方が「gg」をコールして即落ちし、続けざまにみんな抜け、スキャンダルさんだけは「lol」と発言してプレイを継続するという、相手困惑の状況に陥る。

結果、1人を残して全員退団。ti2以降の欧州シーンにおいて最強チームだったempireは完全崩壊。ここに滅亡。スキャンダルさんはコネを使ってstand inを呼びまくり、自らは後衛に回るという謎の献身性と必死さを発揮して頑張るも一勝もあげられず全敗。fun1の引き抜きにより、中堅どころか弱小ですらない零細チームにまで落ちぶれてしまった。もうどうしようもない。このまま行けばdisband濃厚。王LTHを加入させたものの、もはや手遅れだと思う。

かつてのBAKAプレイヤー達の半数はプレイスタイルを変更する事で生き延びたけれど、それが可能だったのはあの時代だから。今のスキャンダルは、BAKAプレイをしてゲームを破壊させたら一流だけれど、普通のプレイをする普通の一流プレイヤーには決してなれないと思う。fun1らがチームに加わるまでは、killはとるけれど勝てないプレイヤーの典型でしかなかったわけだし。

dotaプレイヤーの多くは5人でチームを組んで遊ぶわけではなく、1人でプレイする。戦術とか、戦略とか、練習とか、ボイスチャットとか、コミニケーションとか、そういったものの外側で遊んでいる。多くのプロが野良ではBAKAプレイヤーをやって舐めプ、ネタプのエンジョイプレイを行うように、世界は今もBAKAプレイヤーで満ちている。だからこそ、スキャンダルさんはみんなのアイドルになった。そのナンセンスさに世界が憧れた。そんな栄光のBAKA帝国がこんな形で終焉を迎えてしまったことは、なんとも残念である。勝っている間は勝ち続けられるし、1つ負ければ負け続ける。そして世の中金なのだ。

2013年5月1日水曜日

DQNネームのハッカーはDQNなブログを書く。

名高いハッカーの中にも10人に1人くらいの割合でDQNネームの人が居るけれど、そういう名前の人が書いているブログは一つの例外もなくDQN。

俺がやらねば誰がやる。

どんなに優れたライフハックも心理術も、最終的には僕自身が作業をしなければ何一つ片付かないのだという事に、最近になってやっと気がついた。