2005年10月21日金曜日

花火筒



溶解する痛みでくるくると丸まり花火筒のようになった体が飲んだばかりの水をぴゅうぴゅうと噴き上げ堪えんと口を結べば取り入れたばかりの活字と見逃したばかりの景色の入り交じった水が鼻から溢れ出す。


世に横たわる幾多の業を横断して解決出来る妙薬などあるはずもなし、人はそれぞれに好き勝手な薬を飲んでは好き勝手にその効果を謳う。泣かない人は泣いており、病んでる人は病んでいる。


それと同じように筒ばったテキストエディタが渾身のタイピングをはじき飛ばして寄せ流し、Ctrl+A, Deleteを押し急かす。掃除の度に雑巾は汚れてゆく。汚らわしさだけがただ憎く、魚も死に浮く清さが欲しい。


「N極のみで構成された世界に投げ込まれたS極」と自分自身をうまいこと例られたと悦に入ってからいくらか後、N極とS極は反発しあう間柄ではないと気がつく無教養さへの嫌悪感を丸めて撃ち上げる夜の訪れを寒さで知り、朝の訪れをさらなる寒さで知る。


飛べない人は飛んでおり、飛ばない人は落ちてゆく。