中国3強+2(もしくは、4強+1)のレベルの高さは昨日今日に始ったことではないけれど、ESWC中国予選勝者組準決勝EHome対SGtyが凄まじかった。今のところ動画でしか見てないんだけれど、実機で見る為にWarCraft3インストールしてしまいそうなくらい狂気に満ちた内容だった。
EHomeとSGtyという2チーム、どちらが「王者」であるかというと、非常に難しい。実際に「チャイナオールスター」の呼称に相応しかったのは、EHomeだった。けれども、昨年のSMM(賞金額一位の大会)でSGtyがpick負けしてルーザーズに回りながら、pick負け以外は危ういところすら無く完全優勝してしまった。ならばSGtyが王者なのかと言われるとこれも違う。3強+2の5チームはどこも皆、ポロポロと取りこぼす。それは「王者たる強さ」に手が届かないからではない。レベルが高すぎるのだ。酷い次元でメタ合戦をしている。この準決勝も、その傾向が顕著に出た。
1ゲーム目は、EHomeがpush戦略を選択。6つあるraxのうち、3つを早々に落とし万事休すと思いきや、そこからSGtyが粘りに粘り逆転勝利。それにしても、勝ち確するなり速攻で「gg wp」とtypeするSGty.2009のウザさは本物。SGtyファンだけれど、これだけはちょっとピキピキくる。実際にやられたら相当ストレスフルだろう。
普通、このレベルでraxを3つ落とされると詰むんだけれど、何故詰まなかったのかについて考えてみると、SGtyの凄さがわかる。SGtyのpickは、last pickでフリオンを選択するという、傍目から見ると完全に意味不明なpickだった。ところが、このpickが不利情勢を守りきる鍵だった。フリオンの全体攻撃ultにより、5対5で睨み合いをしながらも、他レーンを押し返す事が出来た。
よって、完璧なポジションと布陣で睨み合いを行う事が出来、他レーンの守備に人手を裂いた隙を突いて雪崩れ込むという、push戦略の典型的な勝ちパターンを選択する事が出来ず、最終的にはSGtyのダメージ源であるSGty.ZSMのDR砲(+メデューサ)を止めきれずに負けた。SGtyのDRは僅か半年前までは試みられさえしなかったpickだけど、今のSGtyは完全に「DR砲のチーム」と言っても過言ではないくらいこの戦術に自信を持っているようだ。
フリオンのアイテムビルドも凄い。オーラ装備のみを取り切り、決戦においてはオーラ維持の為のポジショニングでなかなか死なない。確かにフリオンが死ぬと、ultでの他レーン押し返しも出来なくなり情勢は一気に傾いてしまうので、「フリオンにこれだけのプレイヤーを振れる」というチーム力が成せる技だった。
一方初戦に敗れたEHomeの側も、必殺の戦術を持っている。それが神手中の神手たる中国最強オールラウンダーEHome.820のPL砲だ。PL砲 vs DR砲。全ヒーロー中最も凶悪なmeleeと、全ヒーロー中最高ダメージのrange。2ゲーム目はお互いの必殺戦法同士がぶつかり合う完璧な決戦になった。
その大事なゲームで、20分にフル武装のPLがRadを完成させるという、EHomeにとってはこれ以上ない完璧な展開。おまけに、SGtyの主砲であるZSMのDR砲は、砲というよりは小銃状態のヘコみスタート。ところが、その序盤から中盤にかけての最も苦しい時間をpugnaの神ミクロで凌ぎきると、lion、rasta、pugnaの3 hexと2 daggerで一気に流れを取り戻し、EHomeは万事休す。PL砲を選択し、完璧な時間に完璧な装備を手に入れ、これ以上ないという状態だったのに、820の立ち回りがちょっと軽率だったような気がする。もしも820がもう少し良い立ち回りをみせていたならば、EHomeは勝てたろうと思う。
今のEHomeは、820が突出しすぎているが故に、どのような作戦を選択しても820頼りになってしまっている。にわかには信じがたい話だけれど、下位プレイヤーの実力不足という印象すらある・・・。一方のSGtyは全員中途半端という段階を突き抜けて全員エースという次元に突入しており、名実ともにアジア最強まであと一歩というところなんだけれど、無念中国はレベルが高すぎて取りこぼしとは呼べないくらいに負けが目立つ。
重ね重ねになってしまうが、アジア8強(中国3強+2+2+1)のレベルは異常だ。欧州がここに入り込むにはもはや、LodaとKurokyの合体以外に手は無い。仮に2人が手を組んだとしても、8強の下位陣に追いつく為には相当のトレーニングと時間が必要だろう。Kuroky、Lodaともにチームが崩壊してしまった現状では、たとえ1000の奇跡が起きたとしても、ESWCはアジアが持ってってしまうだろう。WCGは中国開催だし、SMMはマレーシアだしで、アジア全勝は必至か・・・。旧dDream+αか、Nirvana.int+TR(kurokky+Azen+ pgg+puppey+fier/pajj)なら可能性は感じられたのだけれど、今では全てがゆめまぼろし。