2012年4月16日月曜日

罵られるに値する人。

あれは罵られるに値する人である。
だから私は罵るのだ。
ただ罵るわけではない。
丁寧な言葉で、失礼の無いよう、オブラートに包んで罵るのだ。



あれは笑われるに値する人である。
だから私は笑うのだ。
ただ笑うわけではない。
面白おかしく囃し立てて、より笑えるよう仕立て上げるのだ。



あれは馬鹿にされるに値する人である。
だから、私は馬鹿にするのだ。
ただ馬鹿にするわけではない。
その愚かさをつまみ引っ張り、雲丹の形の飾りパンのよう、より奇妙にして馬鹿にするのだ。




あれは、罵られるに値する人だ。
あれは、笑われるに値する人だ。
あれは、馬鹿にされるに値する人だ。
あれは、晒されるに値する人だ。

それでは、と私は問うた。





あなたは、罵るに値する人なんですか?

いいえ、違うんです。私は罵るに値する人では無いんです。けれども、ですよ。あれは、罵られるに値する人なんですよ。私が罵らなくても、どうせ、いずれは、誰かが罵るんです。もしも、あいつをですよ、誰も罵らなければ、*本来ならば罵られる人*が、罵られる事なく、世にはびこるんです。*馬鹿にされて然る可き人が*、馬鹿にされることなく、世にはびこるんです。*笑われるべき馬鹿が*、世にはびこるんです。私は、ただ、使命感から、あいつを、罵っているんです。私はこの世に正義を取り戻す為に、晒し、あざ笑い、取り巻き含めて、小馬鹿にしているんです。そうしないと、この世界は、駄目になってしまう。はんかくさんはまだ幼いからわからないだろうけれど、世の中ねえ、罵るに値する人なんて、いないんですよ。それでも、罵られるに値する人は居る。だから、そうしているだけの事なんです。当たり前のことを、当たり前に行っているだけなんです。これは、チャンスなんですよ。罵るチャンス。馬鹿にするチャンス。笑うチャンス。私にはわかりますよ。あなたみたいな引きこもりという人種は、人生のチャンスを全て逃してきたんでしょう。だから引きこもりなんでしょう。全てのチャンスをみすみす逃してきたからそんななんでしょう。いいですか、改める事ですね。馬鹿にするチャンスを見つけたら、即馬鹿にする。罵るチャンスを見つけたら、即罵る。それが正しい生き方ですよ。人として正しいあり方ですよ。かくして僕は丁寧な言葉で罵られ、助言の体で馬鹿にされ、暗黙の内に笑われた。





誰かを罵る声が聞こえる。
誰かを馬鹿にして賢さを得ている。
誰かを笑って手を叩っている。
素敵な場所で。