空を飛んで参りました。

僕が見る夢のパターンは大きく分けると2つしかなくて、殺したはずの人間が死んでなくて殺しに来るパターンと、殺されたのに死ななくて仕方が無く逃げ回るパターン。そんな中で例外的に、飛ぶ夢を時々見る。飛ぶと言っても空を飛べるわけではなく、1メートルから2メートルくらい浮かぶだけ。調子の悪い時は30センチくらいしか浮かべないし、推進力も存在しない。やっこらひっこら空気を漕いだり、壁や階段を蹴ったりして前に進む。そういう夢を久しぶりに見た。あたりは緑一色の春の田園で、電信柱を蹴って進んだ。頭上には電線があり、その中をもの凄いスピードで人々が走っていた。電信柱は蹴って進む為に作られた構造物ではないという現実が重く伸し掛かり、自らのまぬけさを呪い焦ったが、飛んでいるからには電信柱を蹴る以外に無い。凄まじい頭痛で目が覚めて夢精した。目覚めたばかりの憔悴の中で乾いた唇を宙に浮かべる。頭痛薬はない。水もない。