二度寝しようと目を閉じて諦めて起きる敗北感ったらありゃしないね。

自由な気分で新しい朝を迎えるには幾分か眠り足りない時間に目が覚め、僅かばかりもぼんやりとしないはつらつとした一日を求める欲望が自らをもう一度眠らせようと懸命に説得を続ける。このまま起きたところで睡眠が足りない僕の頭はいつもにも増して鈍く歪に軋む音を立てながら空転するだけであり、君がこの10年間渇望し続けてきた理想の一日は昨日までと同じようにまた訪れずに終わってしまう。眠りなさい。もう一度眠りなさい。些細な心のわだかまりなんて綺麗に忘れてしまって、不滅の向上心がかきたてる焦燥感は今ではなく4時間後に澄んだ心と十分な休養の後にとっておきなさい。眠って、お願いだから眠って。そんな懸命の説得も今の僕には騒音でしかなく、興味本位の歩行者が途切れる事なく流れ続ける信号の無い交差点を、自らの力ではどのような努力を持ってしても動かす事の出来ないくだらない怒りや、インターネットが生んだ度し難い憎しみ、あるいは単純な空腹や胸の痛みといった物事が、タクシーに乗って時々人をはねながら四方八方に走り去っていく。自らが何であるのかがわからない。交差点そのものであるのか、歩いていただけのはねられた人であるのか、行き交う車なのか、空なのか、電柱なのか、あるいは街そのものなのか。おそらくはその何れでもなく、世間一般では人間と呼ばれている存在にすらなれなかった、何一つ叶わない小さな存在であるということだけはわかる。この一生において、今では二度寝すらも成し遂げるのは不可能である。