2004年11月9日火曜日
1人きりのチャット
DOTA allstarsがやりたくてたまらない。たまらないのだ。
興奮して眠れないのだ。眠れないのだ。
たとえばブレスオブファイア4うつろわざるものが発売された時などは、ブレスオブファイア4うつろわざるものが発売される前日から眠れぬ状態にあり、ブレスオブファイア4うつろわざるものを入手してからは1度めのプレイは10時間ほどでやりなおし、2度めのぷれいは8時間ほどで最初からやりなおし、3度目のプレイにてやっとこさクリアしたのだけれどまだ眠れず、新しいデータでプレイを始めて、少し飽きたので先程クリアしたデータでそてそこら中の魚を釣って回り、釣った魚と交換できる最高級の虎用武器を入手した瞬間にやっと眠れたくらいに僕は興奮に弱いのである。
まったく、眠れぬのだ。
動揺に対する耐性というものが無いのだ。
僕に対して降りかかるイベントなどというのは、DOTA allstarsにおいてはインビシブルのルーンを拾って透明化した敵プレイヤーに背後を取られて殴りかかられるくらいが関の山だったのだ。
慶応ボーイのあのような優男に襲われるなどというのはまったくもって理不尽な展開であり、とてもではないがもうしばらくは眠れる状態ではない。
ここで僕が取り得る選択肢はウォークラフト3をインストールし、DOTA allstarsをプレイするというその一点以外に存在せぬのだ。
しかしながら、僕自身を一番傷つけているのは切込隊長でもその取り巻きでも、ましてやブロックブログでもアメーバブログの目もくらむような大金でもなく、DOTA allstarsであり、ゲームであるのだ。
絶対にゲームをしてはならぬという強い信念の元でウォークラフト3のインストールを2度まで阻止してみせた。まさしく今、今宵の僕は鉄の女だ。フランクリン・サッチャーだ。
では、僕自身は今日に入ってからの4時間30分をいかにして過ごしていたのか?という事になる。
お答えしよう。
それは1人の男と延々チャットをしていたのだ。
もう、これは罵詈雑言の飛び交う大論争といっていいレベルの壮絶なまでのチャットをしていたのだ。
その男は、大学教授であり、二児の父親であり、よき夫であり、学内では生徒とよろしくやりまくりであり、ブログを書いては100万ヒットという巨大サイトの管理人であり、その筋では神とも悪魔とも崇めたてられている巨人なのだ。地位も名誉も家族も栄光も人類が望む欲望の全てを手に入れた男なのだ。
その男と僕は4時間半もの間2人きりでチャットをしていたのだ。まったく、気が狂いそうだ。この男は全てを手に入れている。
僕自身にあるものはといえばせいぜい、せいぜい、いや、何も無い。せいぜい、ウォークラフト3のCDキーを完璧に記憶しているとかその程度だ。
僕は絶対にこの男をただでは帰さぬ。
決して許さぬ。
もう切込隊長のような小物はどうでもいい。
だいたい、あれは童貞でありシドマイヤーズアルファケンタウリを愛する同士なのだ。シドマイヤーズアルファケンタウリを愛する人間に、悪人など存在しないのだ。いわば僕自身と切込隊長は同じ穴の狢である。愛すべき戦友であり、部下であり、大学の後輩なのだ。かわいいものだ。いとおしくてたまらない。
だからこそ、僕は4時間半ものあいだ僕と2人きりでチャットをし、4時間半もの間僕を罵倒し、馬鹿にし続けてきたこの栄光に包まれた男が許せぬのだ。
僕はこの男の幸せという幸せその人生の全てを奪ってやる。奪ってやるまではいかぬとも、その栄光に陰りが見える所まで持ち込んでやる。
いわばこの男は象牙で大財産を築いた大商人である。
僕がそこへ乗り込んでいって、象牙椰子の実をばらまきにばら撒いてやる。象が象牙椰子の実に生き埋めとなり死に絶え、アフリカ大陸の象牙海岸という象牙海岸が象牙椰子に埋め尽くされ、象牙椰子海岸と呼ばれるくらいまでに、徹底的に叩きのめしてやる。
僕は物凄く強い男だ。
正義の象徴であり、いわば救世主だ。
世界を救うスーパーヒーローが地位も名誉も権力も手に入れた大悪党に対して着の身着のまま寝具のままで挑むのだ。これは壮絶なネバーエンディングストーリーだ。そのネバーエンディングストーリーももうすぐ終わる。この正義の象徴、あるいは少しだけちょっとおかしなゲーム中毒者の完全勝利によって。
覚悟しておけ、地位も名誉もその他全ての地球上にありとあらゆる栄光を手に入れた1人の男よ。お前の栄光の全て、あるいは2%ほどは僕が今から奪い取ってやる。今日中にだ。
4時間半に渡りDOTA allstars界最強最弱のAIである僕を罵倒した罪は償ってもらう。待っているのは屈辱の日々だ。お前に待っているのは、肥溜めの中で黒柳徹子を探してうんこまみれになるくらいの恥辱の日々だ。青森に旅行に行って土産に長野産のりんごを掴まされるくらいの事は覚悟しておけ。
もう許さぬ。
もう僕はゲームなどという地雷に足を奪われる事はない。
ただ一心不乱だ。
もうDOTA allstarsなどどうでもよい。
これは史上最大の作戦だ。
人生における戦いだ。
僕の生き様だ。
奪ってやる。
その栄光の全てを。