2005年5月15日日曜日

悪いパクリと良いパクリ



少し前、wikiという韓国産のPCゲームがゼルダの伝説風のタクトをパクったと話題になり、任天堂がコメントを発するまでの騒ぎとなった。


韓国、パクリ、ゲーム、といった流れで語られるこのニュースにはかなりの違和感を覚えた。なぜならば、我が国のゲーム史も、パクリ抜きでは語れない程にパクリだらけだからだ。




不満を抱きながら色々調べまわっていると、次のような文章を見つけた。


韓国・中国がオンラインゲームで先行する理由は、海賊版横行ゆえに従来型ソフトウェア事業が成立しないからそこが発展せず、開発投資がオンラインゲームに向かったからとのこと。面白い。


  My Life Between Silicon Valley and Japan/梅田望夫



韓国、パクリ、ゲーム、という文脈の諸悪の源を見つけた。
梅田望夫じゃなくて小林雅一。
梅田望夫が読んだ本の著者。



ゲームを知らない人間は大前研一のように、「主張したい事」と統合の取れる都合の良い情報だけを取り出して文章にして広める。小林雅一の文章はその典型だろう。
というわけで、小林雅一は馬鹿、韓国、パクリ、ゲームについて書く。





まずは、最も重要な事から。





「韓国にゲームは無かった」
という事を知らない人が多いようである。





韓国には、日本文化の輸入を禁止する法律がある。
緩和されたとはいえ今も尚存在する。なんとも凄い隣国だ。
その日本文化禁止法に基づき、日本製ゲーム機の販売は禁止されていた。


つまり、韓国にはファミコンもPCエンジンもスーファミも、3DOもピピンアットマークもドリームキャストもメガドライブも存在しなかったのである。
ゲーム機=日本という時代の中で、韓国にはゲームは無かったのである。




韓国でも家庭用ゲーム機の需要はあった。
その人達は、日本へ買出しに行っておみやげとして持ち帰ったり、日本への旅行者や運び屋と呼ばれる人達が日本で仕入れた物を闇市で定価の倍近い金額で購入したりしていた。


ソフトウェアはほとんどが不法コピー品。
しかし、従来型ソフトウェア事業が成立しなかったのではなくて、それ以前の問題として日本製ゲームソフトウェアの販売が禁止されており、正規の家庭用ゲーム市場そのものが無かったのである。





けれども、ここだけの話、実は韓国にもゲームはあったのである。
それがパソコン用ゲームソフトである。


韓国の日本文化禁止法では、家庭用ゲーム機と家庭用ゲームソフトの製造、販売、輸入は認められていなかったのに、パソコン用ゲームソフトには規制が無かった。




その日本文化禁止法の隙間を突いて韓国市場を切り開いた唯一とも言ってよい企業が存在する。それが、株式会社光栄(現コーエー)である。




1993年に韓国に参入した光栄のパソコンソフトは、韓国で出す度に大ヒットを記録した。光栄の技術力と三国志という題材は韓国でも通用したのである。大ヒット、と言っても10万本程度であるが。


しかし、その10万本という数字は韓国の市場規模からすれば正しく大ヒットであった。
比較対照として、韓国ナンバー1のRPG「西風の狂詩曲」日本語版の謳い文句を引用する。


韓国No.1RPGが遂に、日本に上陸!


5000本でヒットと呼ばれる韓国のゲーム業界において驚異の80000本をセールス!「新ソフトウェア大賞(情報通信部長官賞)」、「ソフトエキスポ'98商品賞コンテンツ(国務総理賞)」など数々の賞を受賞した超大作RPG『西風の狂詩曲(ラプソディ)』がついに日本に上陸!!



5000本でヒット(笑)
脅威の8万本(笑)
これが、1998年以前の韓国ゲームである。



「韓国のPCゲーム業界」ではない。
「韓国のゲーム業界」の話である。


たかだか5000本も売れない市場に開発投資が注ぎ込まれるだろうか?
韓国史上最高のRPGが80000本しか売れない市場に金が流れ込むだろうか?
今現在の日本のアダルトゲームの市場規模にも大きく劣る所に人が向かうだろうか?


否。否だ。
物凄く否だ。


つまり、不法どうこう以前に、家庭用ゲーム機という世界を制覇した最強のゲームを遊ぶ道具が存在しない韓国の国民はゲーム市場という枠組みの外側に居たのである。





では、なぜ韓国がゲーム大国化したのか?
それは、1本のソフトウェアを抜きには語れない。




そう。
毎度おなじみの、あれである。
人類の歴史上最も偉大なリアルタイムストラテジーゲームである。
スタークラフト(ブリザードエンタテイメント社)である。




1997年、韓国は未曾有の通貨危機に遭遇した。
「愛国心あるなら金製品を御国の為に差し出すべ~」とか、もー滅茶苦茶になった。
お寺の鐘まで溶かした戦時中の日本かよ。IMFの監視下に入った。終わった。


そして、韓国政府は財閥をいくつか解体し、鉄と船に見切りをつけて1から出直そうとした。そこで選ばれたのがIT産業である。IT関連企業への税制優遇、多額の融資、起業環境の整備を行った。


「ITこそが韓国経済の明日だ!」と、インフラを整えた。
1997年、通貨危機直後に起業されたハナロテレコムは国のIT後押しにより韓国第二の通信業者となり、1998年に民営化された韓国電気通信公社(コリアテレコム)を脅かす存在にまで成長した。


5年後の2002年には、先進国である日本のブロードバンド契約者数が50万にも満たなかったのに対し、中進国である韓国のブロードバンド契約者数は300万を突破し、韓国の全世帯の半数を越え、IT大国となった。





そういう大企業の流れとは別の場所で、もう1つの流れが起きた。
PC房と呼ばれるインターネットカフェである。PC房は国のIT化政策と1本のゲームソフトの後押しを受けて、通貨危機で職を失った失業者達が手軽に始める事が可能で簡単に儲かるビジネスとして飛びついて、韓国全土に広まった。


PC房を後押ししたゲームソフト。
そう、毎度おなじみのあれである。
人類の歴史上最も偉大なリアルタイムストラテジーゲームである。
スタークラフト(ブリザードエンタテイメント社)である。


スタークラフトは瞬く間に韓国全土を覆いつくし、3年かけて200万本を売った。
それどころか、今も尚売れ続けており、累計で350万本にも達している。


ゲーム房でスタークラフトの8人対戦を楽しんだ学徒は進学や就職、兵役終了の褒美としてスタークラフトとブロードバンド回線を手に入れ、ADSL契約世帯数を引き上げ続けた。PC房に据え置かれた一本の不世出の伝説の名作、スタークラフトがIT大国を作り上げたのである。




このスタークラフトの登場を持って、マリオもゼルダもソニックも、ストIIもドラクエもスターソルジャーもメガマンも無かった、即ちゲームが無かった韓国に「ゲーム」が登場したと言う事が出来る。日本の一般大衆がファミリーコンピュータを認知した15年後、韓国の一般大衆はゲームを認知したのである。





同時に、スタークラフトは韓国ゲームを滅ぼした。


ブリザードエンタテイメントという会社は、「100万本売れないゲームは出さない」という物凄いポリシーを持った世界最強のソフトハウスである。


そのハイクオリティ会社が生み出した最高傑作であるスタークラフトというゲームで"ゲーム"を知ってしまった韓国人は、並大抵の事では他のゲームソフトを買わなくなった。




スタークラフトとは、インターネットで対戦が可能な戦争ゲームである。
提供されたチャットサーバーの上で友達同士で待ち合わせて会話を楽しんだ後、ワイワイガヤガヤと4vs4で対戦して遊ぶ。また、真剣に1vs1で、時には友達の中で一番上手い人を1vs4でいじめたりもする。


そして、プレイ料金は無料である。
何千ゲーム遊ぼうと、何時間チャットしようと未来永劫無料である。ゲームの歴史上最も完成度が高く面白いと評価されているゲームソフトが無料でいくらでも遊べるのである。


ゲームとしての完成度はスタークラフトの足元にも及ばず、おまけに高価格で、10時間も遊べばクリアできてしまう韓国産ゲームを買う人はいなくなった。


韓国では「オフラインゲームは儲からない」という定式が出来てしまった。不正コピーの影響も少なからずあっただろうが、元凶はスタークラフトが面白すぎた事である。


ブリザードエンタテイメントは韓国を殺した。


1996年 ディアブロ(2万5000本)
1998年 スタークラフト(350万本)
2000年 ディアブロ2(220万本)


2002年には、ブリザードエンタテイメント社の韓国での累計売り上げ本数は600万本にまで達した。ブリザードエンタテイメントの一人勝ちとなり、韓国で他のゲームはまったくと言っても過言ではない程に売れなくなってしまった。ゲームは死んだ。




これが、韓国ゲームの始まりの歴史である。
さて、夜が明けてからの韓国ゲームについて語りたい。





IT化政策の中にあった韓国では「ゲーム」と言うだけで開発資金が手に入った。
「ネットワーク対応ゲーム」と言えばもっと楽に手に入った。


しかし、ゲームを作っても儲からない。
何故ならば、敵は100万本売れないゲームは作らないという社是と、豊富な開発資金と、蓄積されたノウハウと、優秀なプログラマーを多数か抱えた世界最強のソフトハウス、不世出のゲーム製作者ビル・ローパー率いるブリザードエンタテイメントである。


勝ち目が無かった。
歴史が違いすぎた。
予算規模が違いすぎた。


作っても売れない。
開発資金を回収できない。
「諦めよう」と、韓国ゲームは息絶えた。
ゲームという土俵から降りた。勝てっこない。





そして、他の戦場へと旅立った。
「コミニケーション」である。


ブリザードエンタテイメント社のゲームは全てが殺し合いである。
殺伐としている。1分間に60回もの操作を求められ、上級者ともなれば1分間に200回もの操作を行う。ゲーム中はゆっくりと喋ってなどいられない、忙しいゲームなのである。
コミニケーションは自ずと軽視され、ゲームに集中する事を求められる。


その隙間を突いたのが韓国ゲーム業界である。
ゲームの面白さでは太刀打ちできない。
けれども、コミニケーションの楽しさなら勝算がある!




その「コミケーションなら戦える」という事を人気で証明したのが、Lineageである。
そのソフトは、スタークラフトの発売以前に開発が開始されていた。


スタークラフトの登場直後にリリースされたLineageは韓国産ゲームとしては唯一といっていい健闘を見せ、「無料ダウロード」と「コミニケーションを楽しめるゆとり」という2つの武器があれば、ゲーム内容はスタークラフトよりも圧倒的につまらなくても戦える事を証明した。


こうして、Lineage以降の韓国ゲームは無料で入場可能だけれど、継続するには月額料金が必要なSNSチャットツールへと特化して行ったのである。





やっとこさ、この投稿のメイン題材の1つである「パクリ問題」に辿り着けた。そう、リネージュは疑う余地の無いパクリゲームだったのである。


リネージュとは何か。
ウルティマオンラインとディアブロを継ぎ接ぎにして劣化させ、"Lineage(人気コミック)"のスキンを被せたのがリネージュである。


それは酷いゲームだった。
壮絶な駄目ソフトであった。
けれども、スタークラフトの魔の手から生き延びる事に成功したのである。
コミニケーションツール、チャットゲームとして。


韓国には、ゲームの歴史が無かった。
蓄積されたノウハウ、シリーズ、オンライン化出来る材料がまったく無かった。
そこで韓国ゲーム業界は、既存のゲームをパクリ、繋ぎ合わせてオンライン化した。




韓国で最も成功したチャットツールの1つであるポトリスは、ワームズアルマゲドンというゲームの完全なコピーであった。キャラクターを虫から戦車に変更しただけである。


あろう事かスタークラフトをまんまパクって100人規模の国対抗戦化し、レベル上げ要素を加えただけのシャタードギャラクシーというタイトルがリリースされ、ヒットした。


パクリの旨味に味をしめた韓国はボンバーマンを完全にパクリ、なんと経営的に行き詰っていたハドソンとの提携に漕ぎ着けた。パクリ元が折れたのである。無茶苦茶な話だ。


コミニケーションを求める若い男女を取り込める「かわいさ」というものが普及に効果があると判明してからというもの、リネージュに毛が生えたようなものにかわいいドット絵を被せただけの劣悪なゲームが大量に生産され、そのいくつかはヒットし、やがてラグナロクオンラインの登場へと繋がった。




マリオもゼルダも源平討魔伝も知らない多くの韓国人は「参考にして新しいアイデアを捻り出す」という事が出来なかった。彼らが取り得た唯一の行動は「パクリの繋ぎ合わせ」であった。


それら全ての「成功したパクリの繋ぎ合わせゲー」に共通していたのは、ソフトウェア自体は無料でダウンロード可能であり、月額料金を支払うというものである。
我が国がテレホーダイやらISDLやらでピーコピーコやっていた頃、韓国の過半数の世帯にはスタークラフトが引っ張ったADSLがあり、巨大なサイズのソフトを丸ごとダウンロードさせて、今で言うmixi的な閉じたコミニケーションの輪の中にユーザーを引きずり込み、月額料金で儲けるというビジネスモデルが成り立った。




韓国のゲーム産業は「ブリザード社には勝てない」という敗北宣言で幕を開け、コミニケーションの道具にパクリまくったゲームを被せただけのチャットツールとして発展した。


「実はゲームでは無いゲーム」を作る会社は国のIT化政策の加護を受けて雨後の筍のように登場し続けたものの、その多くはパイの少なさからすぐに行き詰まり、淘汰され消えて行った。





韓国とゲームを巡るこれからは、僕に予測出来るような事ではない。
ただ、スタークラフトプロゲーマーに象徴される韓国のゲーム熱は少しずつ冷め行き、今よりも少し低い位置で落ち着くだろう。
スタークラフト、ウォークラフト、ディアブロといった韓国の国民的"ゲーム"を世に送り出したビルローパーがブリザードエンタテイメント社を退社した今、ブリザード社は少しずつだけど凡庸化しながら形を変え、韓国での影響力を弱めて行くと思う。


だからと言って、韓国からゲームが消えるわけではない。
スタークラフトが築いた土台の上でいくつかのゲーム会社は栄え、それらは次第にチャットツールとしてのコミニケーションゲームの域を少しずつではあるが抜け出し、ゲームの土俵でも戦う事の出来るオンラインゲームへと進化しつつある。
スタークラフトが切り開いた300万の"ゲーム"ユーザーのおかげで、10万本売れるタイトルは以前よりも格段に増し、その中のいくつかは韓国産ゲームである。
淘汰による選別、チャットツールからの離別、ゲームとしての質向上、ジャンルの多様化の4つが同時に進み、韓国ゲーム界は急速な進歩を遂げている。メイプルストーリーやゴルフパンヤのようなゲームは、日本の企業が出さねばならなかったタイトルであると思う。両方ともパクリ元が日本なだけに微妙に悲しい。





韓国・中国がオンラインゲームで先行する理由は、海賊版横行ゆえに従来型ソフトウェア事業が成立しないからそこが発展せず、開発投資がオンラインゲームに向かったからとのこと。面白い。



従来型ソフトウェア事業というのが日本式ソフトウェア事業を指すならば、発展しなかったのは日本文化禁輸政策が原因。そもそも、ハードが無かった。また、海賊版の横行とは無関係に質の高い光栄のゲームソフトは売れ続けていた。



従来型ソフトウェア事業というのがオフラインゲームであれば、元々5000本売れればという市場であり、スタークラフトという究極のゲームを知ってしまった韓国人は5000本が損益分岐点であるような低予算ゲームに魅力を感じない。
また、今でもオフラインゲーム一筋の従来型韓国企業は僅かだが存在し、スタークラフトと競合しない客層をターゲットにしてしたたかに生き延び進化を続けている。


開発投資がオンラインゲームに向かったのは、入場(ダウンロード)無料、継続(月額)有料のゲームSNSへと進み、スタークラフユーザーの数パーセントを切り取る事が最もリターンの見込めるやり方であったから。


また、スーファミもプレステも存在しなかった韓国において、ゲームを作る特別な才能を持った人は育っておらず、継ぎ接ぎのパクリチャットツールがせいぜいであったから。




この小林雅一の汚さは「韓国では海賊版が横行している」という真っ黒な事実を巧みに紛れ込ませている点だ。日本文化の輸入が禁止されていた低モラル後進国であった韓国において、日本製ゲームソフトの入手方法は不正コピー品の入手か、不正コピー品の購入しか無かった。


しかし、その低モラルを笑う事は出来ないだろう。
我が国でも過去にはファミコンソフトやビデオのコピー販売が平然と行われていたという歴史があり、相当に遅れている韓国で海賊版が消え去るには膨大な時間がかかるだろう。また、大手の出版社から不正コピー用の純国産ファイル交換ツールの指南本が次から次へと発売され続けているという現状から考えると韓国のモラルを笑える状況には無い。




中国は別の問題なので一行で申し訳ないのだけれど、
「中国がオンラインゲームで先行している」という事実は無い。




よって、小林雅一は馬鹿だ。
こんなのでコロっと行くような梅田望夫も馬鹿だ。
元の本を読んでないのであんましはっきりとは言えないけれど多分。


とりあえず、韓国の話は終わり。
最後にパクリと日本の話を少しして終わる。







韓国ゲームはパクリだらけである。
日本も同じくパクリだらけである。
それらを無視して「韓国=パクリ」を語ってはいけない。


メタモードというコーエーから発売されたゲームがある。
それは、ゼルダの伝説のパクリである。


デュアルハーツというSCEから発売されたゲームがある。
それは、ゼルダの伝説のパクリである。


キングダムハーツというスクウェアから発売されたゲームがある。
それは、ゼルダの伝説のパクリである。




数え上げればきりが無い。
そして、それらを並べる事には何の意味も無い。
なぜならば、ゲームにおいてのパクリとは否定されるべき物ではないからである。


工業製品や、機能を求められる道具においてのパクリは否定されるべきだ。
車のデザインとか、掘削機械とか、薬の成分といったパクリは許されるべきではない。


けれども、文化財におけるパクリは否定されるべきではない。
芸術作品の多くはなぞった上での再現か、なぞった上での改良か、なぞった上での否定のいずれかであるからだ。絵画も文学も映画も音楽も、なぞりなぞられパクリあって発展してきたのである。




ゲームだって同じである。


FF1の魔法システムがウィザードリィの丸パクリだったのは有名な話だし、不思議のダンジョンシリーズはローグライクのパクリだ。


鉄拳はVFのパクリだし、ドンキーコンガをビートマニアとは無関係のオリジナルだと考えるのは不可能だ。


三国無双は武器を持った鉄拳だし、真・三国無双はスパイクアウトに三国志を被せただけのパクリだ。


聖剣伝説や武蔵伝がゼルダとは無関係だと考えるのは難しいし、ジェットセットラジオとトニーホークは無関係だと言われても疑ってしまう。


MOONはパクった上での否定であったし、カプコンが「我々が創造した画期的なゲーム」だと胸を張るものはアローンインザダークのパクリだ。




けれども鉄拳は鉄拳2へと進化し、VFを鉄拳化させるまでになった。
真・三国無双はパクられる側へと回り、スパイクアウトは忘れ去られた。
パクりパクられ日本のゲームというものは進化してきたのである。
パクりに手を染めていない企業など存在しないと言ってもよい。
パクった、パクられた、という事自体は非難されるべき事ではない。


まあ、よくゆや、リスペクト!じゃん。
被リンクの多いウェブサイトみたいな。
あれだよ、ビートルズとかそういう偉大なのみたいなもんじゃん。
ゼルダなんて、特に。





けれども、ゲームにおいても否定されるべきパクリは存在する。


1、デザインのパクリ。
   キャラクターデザインの無断使用。
   ディズニーの許可なしでミッキーマウスを使ってはいけないのと同じ事。
   ゼルダ-wikiはこれだと判定されたので任天堂はコメントを出したのだと思う。


2、データのパクリ。
   ドット絵、ポリゴンデータ、BGM、効果音等、デジタルなデータを盗用する行為。


3、パクリ元に対抗する為のパクリ。
   デュアルハーツ。


4、パクリ元を無視してのオリジナル主張。
   バイオハザード。


5、完全なパクリ。
   パズループ。





本当に問題化されるべきなのは、直感ヒトフデというゲームソフトを作り出した我が国の優秀な末端弱小ソフトハウスであるミッチェルが開発したパズループ盗作問題である。


パズループという無名なゲームは、RealPlayer(動画再生のやつ)のダウンロードゲームとしてパクられ、「2004 年度ゲーム オブ ザ イヤー、RealArcade 部門」を受賞した。


なんと驚くべき事に、パズループ自体もRealPlayerのダウンロードゲームに後発として参戦し、同じ舞台に上がったのだが登場の遅さゆえか完全に掻き消えた。
まったく、激しい怒りを覚える。


パズルゲームというのは、アイデア勝負である。
そのアイデアをまんま、完全に、そのままパクられたらやってられん。
正直、日本の弱小パズル系会社が世界企業にパクられて黙っていたらおしまいだ。
やられ放題ボロボロになるではないか。


ゼルダとwikiなど、別舞台でありまったく競合しない。
確かにキャラクターを意図的に似せたのは確かだろうが、ゼルダを名乗っているというわけではないわけで、致命的な問題ではない。それと比べればパズループとズーマは致命的だ。同じ土俵で、小さな国の小さな法廷闘争能力の無い企業の小さなソフトのアイデアをそっくりそのまま盗用する。非常に悪質である。




確かに、パズループなんて誰も知らないし、ミッチェルなんてニュースバリューが無い。
けれども、我が国のソフトウェア産業の歴史を下の方で表側から見えない形で支えてきたのはこのような特別な才能に満ち溢れた小さな人達の手による小さな名品の積み重ねである。このようなコンテンツ産業の縁の下の力持ちであった無名下請けソフトハウスが完パクで無視して開き直る事が許されるインターネットの法秩序に酷い絶望を感じる。まことに無念である。




パズループスクリーンショット/株式会社ミッチェル
ズーマスクリーンショット/PopCap Games
『ZUMA』は『パズループ』のパクリ?/MGS/この問題はこちらが非常に詳しい。
スタークラフトとは/Espoir Starcraft House ME




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