2005年6月22日水曜日

能動から受動へ。お気に入りからRSSへ。



かつて、ウェブサイトを読む事は能動であった。
自ら文章を読むために、動き求める行為であった。

けれども、今ではもう違う。
文章自らRSSに乗り飛んできて、受動的に読まされる。




  アクセスする。
  更新されている。

と、アクセスした読者は更新されているという事実だけで幾分かは満足していた。





  飛んできたRSSを読まされる。
  くだらない更新が成された事にがっかりする。

以前は喜びであった「毎日更新」というものが今ではスパム、RSSスパムである。毎日更新は地に落ちて、幾分かの失望や幾分かの苛立ちを押しつける嫌がらせ行為に成り下がった。更新されたエントリーとは無理矢理に送りつけられるダイレクトメールとなってしまった。

隠されれば見たくなる。見せつけられればうざくなる。追う追われるの単純な関係がホームページにも持ち込まれ、誰も更新を待ち望まなくなった。










また、RSS層と一般読者層の違いというのもある。

RSSを利用している人間というのは平均レベルのウェブサーファーではなくて、少し先行くスマートな人々だし、これから先もRSS的な読み方をする人口がインターネット人口とイコールになる日は来ないだろう。時代遅れな古風な読者さんも存在し続ける、って事だ。


つまり、旧時代的な読者を意識するならば内容が伴っていなくても「毎日更新」は有効な手法であり、新時代の上級職的読者を意識するなら「更新しない」というアプローチが有効だ。

故郷から毎日届く中身のないメールはうざいが、半年1度のメールであれば、中身が無くても嬉しく思う。人間ってのはそういうものだと思う。拾いに行って何かがあったらそれがゴミでも嬉しいが、送り付けられる迷惑なゴミは迷惑なゴミだ。そのままだ。









話は少し逸れるが、「とりあえずRSS登録」という人達は、RSS以前では素通りしていたようなブログの読者になり、カップラーメンの裏蓋の文字列程度の緩い情報としてエントリーを消費して行っているのだと思う。書き手の人物像や、ブログタイトル、ハンドルネームすら把握できていないような緩い常連が増えているんじゃなかろうか。
これは単に情報処理能力が違うだけなのかもしれないが、はてなアンテナが200だとか、購読RSSが140だとかいった数字には途惑いを越して目眩を覚える。


「族で1000人の友達がいた」といった類の、極めて神奈川的な隔離される事への恐怖、孤独感といったものが「とりあえずRSS登録」の背を押しおり、結果として寄せるRSSの物量に目を通し処理するだけでイッパイイッパイ、言い換えれば満足してしまい、本来は読み解き受け取れるはずだった情報すら読み逃すという孤立化、繋がりの希薄化というのが、進行しているように思う。


つまりは本末転倒、繋がりを求めて繋がりを失う、というわけだ。
八方美人のOLが囲み潰され繋がり失い消えてゆくのと同じように。












読者の属性によって「毎日更新RSS」を喜ぶか喜ばないかは違うだろう。

信者と呼ばれる人達や、書き手と属性が120%一致している人達、あるいは24時間暇しているような方々は、どのような内容が送り付けられてきても喜ぶだろう。逆に、価値あるエントリーが成される事を期待して「とりあえずRSS」した人達は、毎日更新RSSによってふるい落とされ消えてゆく。


極端に言うと、毎日更新されるブログに内容を求めるまともな読者は残らない。ふるい落とされ残るのは、人間観察的な閲覧者と、コミニケーション重視の取り巻き、気持ちの悪い信者とネットジャンキーくらいのものだ。言うなれば、変な読者しか残らない。RSSが滲透すればするほど、その傾向は強まるだろう。






滅多に更新されないという希少性と、更新を待ちわびる涸渇感、それに幾分かの内容が加われば、RSSした人皆が、それなりに読み、満足する。
内容重視、後読感重視のブログというものを指向し、中身の伴う更新を行う自信があり、それを読んでくれるような読者を欲するならば、毎日更新しない、という逆方向の努力が必要である。

「中身の伴う毎日更新」というのが最もシンプルな解き方なのだろうとは思う。中身の伴う毎日更新を行える人間にのみ許された解き方ではあるが。







RSSがさらに滲透すると、ブログは「読みに行くもの」から「読まされるもの」へと完全な変化を遂げ、毎日更新される事のポジティブな側面は地に落ち、マイナス面ばかりが残るだろう。


書き手に出来る「とりあえずRSSな読者」をがっかりさせない為の数少ない防衛策としては、「更新しない」これだろう。更新しないという事により、書き手は自由な時間を得られるし、読み手は失望のRSSを送り付けられずに喜ぶ。Win-Winの関係である。
























じゃ、lose-loseで。