2005年6月23日木曜日

見てはいけないものを見てしまった



負けた。
自分に負けた。


日常は抑揚が足りずに少し退屈であると誰もがどこかで思っている。その日常を少し華やかなものとする為に、誰もが適当な俺ルールを作り、それを胸張り生きているわけである。

横断歩道の白い所を踏まずに信号を渡れたら勝ちとか、家まで赤信号にひっかからずに帰宅できたら勝ちとか、目覚ましが鳴る前に起きれたら勝ちとか。あるいは、モスはいいけどマクド食べたら負けとか、ビッグブランはいいけど月見バーガーは負けとか。



僕のそういうちょっとしたルールの1つが、はてなブックマークのコメント欄を見たら負け、見なければ勝ちというものであり、随分と長く勝ち続けてきていたのに、ついうっかりとクリックして見てしまい、勢いで全部見てしまった。
壮絶へろへろ負けムードが漂って情けなく消えない。



いつ頃から、というより物心がつく前からコミニティのようなものとの相性の悪さ、より正確に言うならば人間というものとの相性の悪さというものを自分自身に感じており、「人が沸いている場所には近づかない」という光栄的な縛りプレイでMMOだとか、メール、mixi、BBSといったものに近づかずに生きてきたわけである。

と、言うと、まるで僕が社会不適合の歪がり者のように聞こえてしまうがそうではなくて、「パチンコをやったら負け!」とか、「年金払ったら負け!」とか、「アルコール飲んだら負け」とか、「不貞をはたらいたら負け!」「エロゲーやったら負け!」といったような、そういうちょっとしたルールは誰だってあるわけで、そういう類。至って普通。一般人。



つまり、はてなブックマークのコメント欄に目を通してしまった今の気分は「絶対にパチンコなんてやらねえ!」という人が朝の9時から夜の9時までパチンコを打って10万円負けてしまったのと同じくらいのものであり、壮絶なまでの脱力である。




「陰でこそこそコメントしてるこいつらキモッ・・・」みたいな印象を最初は受けたのだけれど、そういう事ではないと仮定すると、ウェブサイト単位のまとまりであったコメント欄を、コメンテーター単位のまとまりにパラダイムシフトしただけ、というわけか。そう解釈すれば気持ちの悪さはかなり減る。自分のコメント自分の発言を大切にしたい、相手の側に持ってかれるのは悔しい、己のタイピングは1タイプ漏らさず自コンテンツ化してやるという自己愛だろう。自分の足跡の一覧を目視したい、というのは解るところであるし。
とはいえ、やっぱり厳しいものがある。いや、悪いのはこちらの体質だし、見ていて当然的な使われ方をされていたのは度々言及していたこっち側に責任があるんだけど。



ウェブサイトはどこまでが誰のもの?といったような話は昔からあったのだろうと思うし、多分これからもあるのだろう。ウェブサイトに落書き出来るツールや、同じウェブサイトを見ている人同士でチャット出来るツールの延長線上に、盗まれたコメント欄としてのはてなブックマークがある。書き手の側からすると不可視な、何を言われているかわからない新たなる場所の誕生であり、抑圧と支配の構造である。それに怯えて陰コメントを読む為にアクセスした人間を取り込みはてな化する、って読み方をするとまるで恫喝だ。

幸いにして現状ではSBS利用者人口が少ないから、そのような裏コメント欄的なものとしては完全には機能していないのだろうけれど、人が増えるとどうなるのだろう。

捨てコメントの吐き捨て場、暴徒の便所の走り書き的な使われ方をする人が少しずつ増えて行き、一定数を確保するのかもしれない。まあ、はてな自体がどちらかというと実名コミニティに近い存在であるからして、そこまで匿名的な捨てブックマークユーザーが増えるとは思えないけど。


・・・って、そういや複数ID取ってた人いたな・・・
捨てコメントをしたい人は、それ用のIDを取れば済む話であり、ダイアリー~ブックマーク間の極めて実名的な繋がりは、所謂荒れコメント的なものの抑止には成り得ないか。







次の一手としてまず浮かぶのは、はてなブックマークのコメントをウェブサイト側に表示するコンポーネントの提供か。

おそらく、はてなダイアリーあたりにそれを追加してユーザーの囲い込みとかしていくんだろうと思う。そうなると「読みに行かないと読めないコメント」という盗まれたコメント欄がウェブサイト側に返還され、「コメント欄単位からコメンテーター単位への変化」という色が明確になり、ハテナーユーゲントの閉じた馴れ合いの場、盗まれたコメント欄という色は薄れるのかもしれない。





いや、まあ、ブックマーカー側から見ると、タグの利便性と外出先でも使えるブックマークという機能が根本にはあって、それが根本にあるのだろうけど。

というか、タグの表示システムはレッテル張りに最高だ。「包茎」とか、「この人、ストーカー。」とか、「ピースボート」とか、「ネカマ」といったようなタグをお調子者の人達が数人で談義してつけておけば、それが目について幾らかはアウトになる。そういうレッテル張り工作に張られた側も抵抗し、やがてはレッテル張り戦争に突入して新たな記事が書かれる度に不毛な巨大タグが画面を覆う、といった時代が訪れればそれはもう血みどろであり、最高。









というか、なんかやんごとなきにしもあらずな人がコメント入れてたりしてドン引き。お前らそんなことやってる暇あったら働けよ。仕事しろよ仕事。引くわ。マジ引くわ。









とりあえず、見てはいけないものを見てしまった事を酷く後悔しつつ、二度と見ない縛りプレイ再開。僕自身の軟弱さからして100%違いなく、遠からずまた見てしまうのだろうけれども。