2005年9月23日金曜日

ブログにはエントリーが改変されていない事を証明する手段が存在しない。



ブログのエントリーには投稿日時が必ず併記されている。

けれどもそれは、エントリー内の文章がその日時に書かれた事を保証するものではない。ブログのエントリーは投稿後に好きなだけ改変可能だからである。




それにより生じる最も大きな問題は、読み手側が投稿日時を無条件で受け入れ、「その文章はその日時に書かれたものである」と誤解してしまう点にある。

もちろん、多くの場合エントリーの投稿日時と文章が書かれた日時はイコールで結ばれるのだが、そうではない可能性があるという事を忘れてはならない。

ブロガーがなんらかの意図を持って文章に手を加えれば、巧妙に書き換えて別の話にしてしまったり、まったく逆の話にしたりといった事は簡単に行えるのである。



その、ブロガーの都合の良い改編に対して読み手の側が取り得る対抗策はほとんどない。
検索エンジンのキャッシュを当たったり、インターネットアーカイブサービスを利用したり、といった方法は可能であるが、それらとて現実的な改編への対抗手段には成り得ない。

それらはある特定の日時の状態を保存するものに過ぎず、文章の書かれた日時、改編日時を確認する事は不可能に近いからである。



この問題を取るに足らない事とするのは容易い。

しかし、マスメディアや書籍に同様の問題が存在したとすると、新聞や本といったものが現状ほどの信頼を得る事が可能だったろうか。出版物の信頼の幾らかは、改変不可能性に対する責任から生じているものだと僕は考えている。



この問題は読み手にとっての問題であると同時に、書き手にとっての問題でもある。

ブロガーは、自身の書いた文章が投稿日に書かれたものであり、改変を行っていないという事を証明する手段を持たない。現状では「私を信用してください、私は改変しませんよ」という態度を表明する以外に手は無く、読み手はその主張を信じる以外に他はない。

この、改変が可能であるというブログの致命的な問題点を解決する手段が存在していない現状では、ブログはリアルタイムメディアの領域を抜け出すことが出来ず、真のログメディアには成り得ないと言えるだろう。



しかし、この問題は「改変不可能な日時付きの書庫サービス」が存在すれば完全に解決する。書き手が満足の行く誤字脱字等の修正を終えた時点でそのサービスに自らの投稿を保存しておくことにより、エントリーが書かれた日時と改変されていない事の証明が可能となり、自らの文章に対する書き手責任を果たそうとするブロガーはその証明を行う事により、相応の信頼を得る事が可能となるだろう。



そんなサービスは既にあるんじゃないかと探してみたのだけれど、見つけられなかった。
名前だけ見ればそれっぽいウェブログ図書館なんて、ただの手動リンク集だったし。