2006年2月15日水曜日

「アルプス ストレート100%ジュース 信州もも」の情報が欲しい!



物欲は無い。
食欲も無い。
性欲も無い。
情報に対する欲求も無い。
まるで聖人、あるいは廃人。
しかしながら、こればかりは気になる。









「アルプス ストレート100%ジュース 信州もも」というはてなキーワードを目にして僕は激しく当惑した。


まず、このはてなキーワードのおかしい点は、誰も一度も言及していないという事である。当たり前である。「アルプス ストレート100%ジュース 信州もも」などという、スペースや全角パーセンテージを含む長い長いキーワードをはてなダイアリーに書き込む人間など存在するはずがない。




それでは、である。
なぜこのようなキーワードが存在するのか。
それが、謎である。




はてなのキーワードは「はてな市民」というはてなダイアリーを30日以上更新した人間のみが作成出来るらしい。詳細については知らない。知らないが、とにかくはてなキーワードは人力で作られる。それも普通は「キーワードを通じての繋がり」といったものを期待して作られるものである。


ところがこの「アルプス ストレート100%ジュース 信州もも」というキーワードから何らかの繋がりが生まれる可能性は皆無だ。即ち、作成者がどのような意図でこのキーワードを作成したのかがまったく理解出来ず、僕は奇妙な不愉快さに包まれて途方に暮れた。







しかしながら僕は天才であるからして、すぐにこのキーワードが存在する意味を悟った。これは、広告即ち宣伝行為なのだ。「アルプス」というどこかの誰も知らないような零細会社が自らの会社の商品のSEOの為に、はてなキーワードというgoogleと極めて相性のよいスパミング作成装置のようなシステムを利用して、自社製品の宣伝を行っているのだと僕は推理した。


あるいは、株式会社はてな自体が、企業側にアプローチして「はてなキーワードに登録したらSEOありまっせ」などと売り込みをかけてがっぽがっぽやっているものかもしれぬと読んだ。




けれども、そのような僕の予想は木っ端微塵に打ち砕かれる事になる。
何故ならば、このキーワードを作成した人間が明らかに「アルプス」というジュース製造会社とはまったく関係の無さそうな生粋のネット右翼だったからである。




この、ネット右翼が明らかに自らのダイアリーとも、ダイアリーから読み取れるダイアラー自身の趣旨趣向ともかけ離れた商品のキーワードを作成しているという事実は尋常ならざる興味を引き立てられるものであり、「アルプス ストレート100%ジュース 信州もも」について少し調べてみた。




まず、キーワードの文章は食材工房ゼニヤという通販サイトからのコピーアンドペーストである。これに対してはてなキーワードによる著作権侵害はどうこう、などというのは僕の役目でもないし、役割でもなければ興味も無い。とりあえずはオリジナルの文章ではないという事からして、オリジナルの文章を書くほどに強い思い入れはないが、キーワードを作ってコピペをし、書式を調える程度には思い入れがあるらしい、という事がわかる。物凄い浅い読みである。







次にこのジュースを作っているアルプスという会社についてである。
正式名称は「アルプスワイン株式会社」であるらしい。
これがやっかいな事に、同名の会社が2つある。


しかもその両者ともが国産ワインを主商品としており、サブでジュースを作っている。おまけに「国産」「アルプス」といった安易なキーワードをブランド力に利用し、一方は「山梨」一方は「信州」といった具合にこれまた安易な地場力をブランド力に利用して商品を売りまくっているという、非常に似通った会社である。




7 :一升瓶バカ ◆44O71rUn/o :05/02/04 06:48:02 ID:sEwUKTbq
アルプスワイン ルナール赤
色はキレイなルビー色。褒められるのはコレだけ。
果実のそれとは明らかに異なる強烈な酸味。
口の中に残る化学薬品の匂いはなんとなく灯油を
連想させる。今まで色々ワインを飲んできたけど
そういう意味ではブッチギリの味。
このワインの処理をどうしようか、後悔とともに考え中。



そのワインの評判はどのようなものなのかと調べていたらこんなレビューに行き当たり、その悲惨さに思わず笑ってしまった。この何が滑稽であるかというと、一見したところ、長野塩尻のアルプスワイン社の商品に対するレビューなのか、山梨笛吹のアルプスワイン社の商品に対するレビューなのかが判別不可能な点にある。



丹誠込めて作り上げられた社の主商品であるワインが「褒められるのは色だけ」だとか「灯油を連想させる」などと散々に言われてまるでそれが宇宙で最もまずいワインであるかのように評されているわけで、これを見た人間のほとんどは「ここまで言われてしまうアルプスワインは、きっと駄目な会社なのだろう」と思うだろう。


自社の商品をそう評されたのならば自業自得、仕方がないとも言えるのだけれど、他者の商品で巻き込まれて呼ばれた同姓同名のアルプスワインさんはたまったもんじゃない。こんなgoogleな時代だと、凡庸で埋もれてしまう社名は逆効果だと思ったりした次第。まあそれさえも、安易な「アルプス」というブランドに頼るという南アルプス市級のまぬけさによる自業自得であると言えばそれまでであるが、さすがに少しは同情したくなる。




とりあえず少し調べて解ったのは、「アルプスワイン ルナール赤 」というのは「ストレート100%ジュース 信州もも」を作っている会社とは別の、山梨の方のアルプスワインさんの商品であるという事であり、なんとなく一安心である。







さて、何が気になるかというと、この一介のネット右翼にキーワードを作成させるに至らせるまでの力を持つこの「ストレート100%ジュース 信州もも」は本当においしいものなのかどうか、という点である。どうにもこうにも気になって仕方が無くなり、楽天で検索してみたところ、


こんなに美味しいジュースは他に知りません。ちょっと物足りないくらいの飲み切りサイズが、また飲みたい‥と思わせたりして!?



といういかにも楽天っぽい脳みそパッパラパーなレビューに行き当たったが、その評判のナイヤガラというぶどうのジュースは「売り切れました」との事でほぞを噛む。と言っても別に在庫があったからと言って買うわけではないけれど、何故か途方もなく悔しい。



その商品紹介文章に「1本100円」と書かれているのを目にし、「なんだ安物のジュースなのか」とかなり萎えたのもつかの間、その信州ももとやらは、135mlで147円もするらしい。高い。高すぎる。並のジュースの実に10倍の値段だ。ふざけている。なんかうまそうだ。値段が高いと「おいしいんじゃないか?」と思ってしまういかにも貧乏人な発想で非常に悔しいのだけれど、それだけの値段なのに売り切れまくるということはよっぽどうまいんじゃないか、と非常に悔しい。よくわからないけれど悔しすぎる。


そこでどこかに在庫は無いかと調べていた所、売ってる所があった(よく見たらさっきのサイトにもあった)。1リットルで893円。250mlで210円。それにしても高い。世界の王貞治も愛飲しているセービングのコーラが何本買えると思ってるんだ。こんなもん誰が買うんだ。










即ち、何が言いたいかというと僕はこの「アルプス ストレート100%ジュース 信州もも」というジュースについての情報が欲しい。いったいどのような味がしてどのようにうまくてどれくらいぼったくりなのかという事について知りたい。そしてその上で、何故他のりんご味やぶどう味ではなく、もも味なのかという点について物凄く知りたい。このアルプスジュースシリーズの中でも、信州もも味というのは抜群においしいものなのか、といった辺りが知りたい。どうして信州ももなのだ。別に甘くておいしいジュースを飲みたいだなんて思った事など一度も無い。僕は水道水さえあれば満足出来る性質だ。人間の体には電解質的に言って水が一番なのだ。しかも日本の水道の水は非常においしいのだ。世界的に見て凄く安全だし、安いから皆して飲むべきであり、僕はただ桃好きの彼女からバレンタインのチョコレートを貰ったのでそのお返しに何か無いかとウェブサーフィンをしていた所このようなウェブサイトに行き当たったに過ぎない。


そういう設定で行くことにした僕は少し満たされ満足し、冷蔵庫の中で見つけた生姜を細かく刻んでコップに投げ込みレンジでチンして砂糖を山盛り三杯入れて、溢れたターンテーブルをちり紙で拭いて掃除して、部屋に逃げ帰ってふうふうして飲んだ。