具合が悪い。半分は夏のせいで、半分は僕のせいだ。けれども、夏には責任能力がないから、その責任は全て僕にのし掛かってくる。尻ぬぐいはいつも僕の役目で、それにつけ込み真夏は増長し続ける。熱帯夜にまでも踏み台にされ、僕はますます失われてゆく。理不尽とまでは言わないけれど、嫌な季節だなと思う。
蝉が童が夏風が、壁と雨戸を貫いて、僕の行く手を妨げる。入道雲に解き放たれた熱い視線と希望の群れが、四角くなって押し寄せて、エクリン腺を閉じ塞ぐ。僕が夏を嫌っているのと同じくらいかそれより強く、夏だって僕を嫌ってるんだろう。頭痛、朦朧、意識は飛んで、熱く、熱く、引き剥がされてゆく。余計なものは、蒸けてなくなる。