日本国民を守るため、まず最初に朝鮮人が排除され、次に支那人が排除された。台湾人は有用であるとの理由で排除の対象外となった。次に練炭が排除された。七輪は秋刀魚を焼くのに便利であるとの理由で排除の対象外となった。次に610ハップが排除された。サンポールはトイレ掃除に重宝するとの理由で排除の対象外となった。次に自転車と歩行者が排除された。自動車は我が国の経済を支える基幹産業であるとの理由で排除の対象外となった。そして我が国は平和になった。日本国民は幸福を手に入れた。
「しかし、であります。」我が国にはまだ、日本国民を害するものが存在していると主張する一派があった。「日本国民に最も害悪を及ぼしているものは日本国民である。」それが彼らの主張だった。日本国民こそが日本国民を最も苦しめ、日本国民こそが日本国民を最も迫害している。その事実はやがて認められ、日本国民が廃除される事になった。
けれども、日本国民を廃除するのは困難であった。他のものと同じように重しを付けて海に沈める訳にはいかなかった。なぜならば、そんな事をしてしまうと日本国民が傷つくからである。
「日本国民を害する事なく日本国民を廃除する。」その難題を克服する為にこんにゃくゼリーの形が決められた。2種類の形が憲法によって定められた。男は馬鹿なのでそれで満足したが、女は強欲なのでそれに満足出来ず、女性用に限りプラスチックと電池の使用が認められ、女も男も皆満足した。そうして1世代後には、日本国民は完全に廃除され、日本国民を害するものはこの国から姿を消した。