真性引き篭もり : Surrender!

一日24時間ゲームを続ける生活を止めれば、2~3日で体調が良くなるという事は、知っていた。経験則で知っていた。だがしかし、今回は事情が違った。酷い下痢になったばかりではなく、謎の音楽の一小節が頭の中で流れ続けたのである。いよいよ、耄碌してきたかとも思いつつ、得体の知れないその一小節が何物かを調べようにも、頭に浮かぶ歌詞は「サレンダー」だけ。即ち一日中目が覚めるなり頭の中では5秒間隔で「サレンダー」、「サレンダー」と繰り返されるのである。たまったものではない。確かに、たまったものではない。謎の音楽に乗って等間隔で鳴り響く「サレンダー」の得体の知れ無さと、暑気にやられた具合の悪さに意気消沈した。しかし、である。これは吉兆なのだと考えていた。

即ち、我が肉体に、あるいは精神に、そして何よりもブログに、魂という物が戻りつつある予兆なのだと思った。僕は「サレンダー」という言葉を、ただウィンストン・チャーチルのによってのみ知っていた。チャーチルがナチスドイツと、戦うことを宣言した際に使った「サレンダー」によってのみである。

つまり、このように考えたのである。我が魂の奥底に宿った底知れぬ闘志が、遂に深い暗闇の奥底より地上へと舞い戻ったのだと。それにより、頭の中で、見知らぬ一小節が鳴り続け、「サレンダー」「サレンダー」とのべつ幕無しに繰り返されているのだと。その事実に勇気づけられ、音楽の正体などはもはやどうでもよくなり、今の僕にはサレンダーがあるのだ!心に強くサレンダーを持て!サレンダーを味方に付けた俺は無敵だ!サレンダーさえあれば恐れる物無し!などと、とてつもなく勇敢な気持ちで夏風邪を小康状態に持ち込み、ナチスドイツを一蹴出来んばかりの勇壮さを手に入れ強くなり、ふと「サレンダー」とはどのような意味なのかと気になって、我が栄光の「サレンダー」をweb翻訳に通してみると、そこにはただ一言、「降伏」とだけ書かれていた。