2011年11月26日土曜日

はてブにBANされて思い出した、Vavleとblizのdota戦争。

はてなブックマークのスパムフィルタにbanされてしまった。
これではてなブックマークのスパムフィルタにbanされるのは、3回目である。

仕方が無しに、株式会社はてなの「お問い合わせページ」なる場所に足を運ぶと、「受付時間は10時~19時」と書いていた。しかも「土日、休日は除く」と赤字の注意書きまである。神サポートである。




「突然に大量のブックマークがついたからスパムフィルタの誤爆も仕方がないか」とも思ったんだけれど、ネットで検索してみると「はてブのスパムフィルタにbanされました」という声、また声。これはもう、スパムフィルタの性能に問題があるとしか思えない。同一IPからのブックマークが付いたらBANとか書かれているけれどそれはイコール、悪意を持った第三者が意図的にbanを誘発させられるという事ではないか。そんな精度の低いスパムフィルタで誤爆banを連発しまくる一方で、自作自演によるホッテントリ入りとかは今も普通に行われている。レベルの低い会社だなあ、という感想が出てくる。





それで思い出したのは、速効でbanされて、速効でbanが解除された経験だ。

僕をbanしたのはブリザードエンタテイメントという会社で、banされた理由はネットで拾ったキージェネレーターで作った違法キーで、ブリザード社のゲーム専用ネットワーク「battle.net」にアクセスしたから。そしたら画面が立ち上がるなり速効でbanされた。PCのIDでbanをしているのか、ネットのIPでbanしているのかは知らないけれど、とにかくブリザードのbanは凄い。アンインストールして再インストールしてもbanは継続する。凄い威力だ。

ブリザードにBANされると、ネットワーク上でゲームは出来ないけれど、他人のリプレイを観戦する事は可能、という状態になる。僕は他人のリプレイを見るだけで楽しかった。その状況に満足していた。けれども、時々やっぱりゲームを遊びたくなる。どうしても、プレイしたくなってしまう。

そんな気持ちに陥る度に、WarCraft3を買って、正規キーを手に入れていた。けれども、である。正規キーで再インストールしてもbanはbanである。battle.netにはアクセス出来ない。正規品を購入したにも関わらず、プレイする事が出来ない。そういう時はブリザードのサポートに「正規版を買ったので解除してください」ってメールを出す。機械翻訳を使ってメールを出す。

そうすると、速効で解除される。一番早かった時なんて、ほんの10分くらいでbanが解除されてしまった。神サポートっていうレベルじゃない。もちろん土曜も日曜も無く速効で解除される。どこかの京都の株式会社はてなとは大違いだ。けれども、この違いは神サポートと糞サポートいう単純な違いではなく、何を商売にしているかの違いだろう。

はてなブックマークにとっての外部個人ブロガーは、広告入りのコメント欄を作成して商売をする為の種でしかない。世間一般の個人ブロガーははてなにとって、大切なユーザーではない。どうでもいいのだ。外部のブログをbanしまくる一方で、はてなに開設されたはてなダイアリーやはてなブログをスパムフィルタから除外すれば、自社サービスへの誘導にすらなる。その一方で、ブリザードエンタテイメントにとって、違法ユーザーは大切な顧客だ。




僕がプレイしてきたdota allstarsというゲームは、WarCraft3というゲームのmodなんだけれど、ユーザーの半数以上、約三分の二が違法ユーザーだと言われるくらいに違法ユーザーの多いゲームだ。WarCraft3の売り上げが500万とかそこらなのに、dota allstarsのプレイ経験者は1000万人を遙かに超える。「そういう人達の為のゲーム」なのだ。

違法ユーザーはbattle.netではプレイ出来ない。けれども、外部ツールを使えば何一つ不便する事がなく、ネット対戦が可能だ。好きなだけ遊ぶ事が出来る。そういった違法ユーザーと、非公式ツールに支えられて育って来たのがdota allstarsというゲームなのだ。

特にアジアにおいてそれは顕著で、僕がプレイしていたシンガポールでは、WarCraft3本体にpatchが当たった際に、200人以上が居る部屋で1時間待っても10人集まらず、途方に暮れたものである。チャットを見ても「パッチください」「新パッチはどこにあるんだ」とかそういった声で埋め尽くされていた。battle.netに接続すれば即アップデートされるんだけれど、彼らは違法ユーザーだからbattle.netに接続できない。そんな光景が間間、見られた。

しかし、ブリザードエンタテイメントという会社にとっては、違法ユーザーこそが自社のサポーターなのだ。ブリザードのゲームに親しんだ違法ユーザーが、いつの日かちょっとしたきっかけで正規版を買う。説明書の入っていない、簡易包装の廉価版を買う。あるいはブリザード社が次に出したゲームを買う。様々な形で正規ユーザーへと脱皮してゆく。ブリザード社は製品のスパンがもの凄く長い。数年に1本しか新作が出ない。だからこそ、違法ユーザーを手厚く守る事には大きな意味が出てくる。次の作品が出るまでの、2年以上もの年月で、違法ユーザーは歳を取る。成長する。大人になる。当然ながら、購買力も増す。50ドルのゲームを違法ダウンロードしてブリザード社の製品に慣れ親しんだ小学生は次の作品では高校生になり、次の作品では社会人になる。ゲームを買えるだけの余裕を手に入れ、そしてブリザード社の製品を買う。battle.netに参入していく。しかし、彼らはbattle.netで遊ぶ事は出来ない。何故ならば、banされているからだ。

違法ユーザーが正規ユーザーに変化しようとする際の、最大の障害。

それが、banだ。ブリザードエンタテイメントにbanされると、battle.netで遊べない。やっとの事で正規品を買ったのに、battle.netにアクセス出来ない。せっかくゲームを買ったのに、プレイする事が出来ない。そういった人達が世界には大勢居る。毎日大勢生まれている。生まれ続けている。だからこそ、ブリザードエンタテイメントにメールを送ると、速効でbanが解除されるのだ。ブリザードエンタテイメントにとって、違法ユーザーのコミュニティとは、大切な自社の牧場なのだ。自社ユーザーを育成する為の巨大なファームなのだ。一方のはてなブックマークがやっている事は、同じように見えて微妙に違う。彼らがやっているのは焼き畑農業である。インターネット上を片っ端から焼いて行く。そこに広告を植えて収穫する。




そんな事を考えていた時に目にしたのがこの記事だ。



ゲイブ:著作権侵害はValveにとって問題ではない、良いサービスの提供が多くのセールスを生む

著作権侵害の問題はValveにとって基本的に問題ではないと断言しました。

この記事を読んで、「dota war」即ちdota戦争、と呼ばれるものの正体が少しだけ見えた。




dota戦争の正体はdotaの奪い合いではない。
違法ユーザーの奪い合いなのだ。

ブリザード社が長年の歳月を費やして、大切に守り育ててきた大量の、巨大な違法ユーザーの奪い合いなんだ。dota allstarsというゲームはプレイ経験者の大半が非正規ユーザーだと言われるくらいに、完全にアレなゲームだ。故に、彼らの流動性は高い。同じようにタダで遊べて、賑わっているゲームがあればそちらへと流れる。だからこそ、Vavleはdota allstarsに目を付けた。

dota2というvavle社の製品の完成と公開は、ブリザード社の製品であるウォークラフト3のmodとして作られたdotaというゲームを盗んだのではなくて、一千万人は居るであろうブリザード製品の違法ユーザーの強奪だったのだ。ゲーム本体ではなく、あくまでもブリザード製品の違法ユーザーを盗む為の作品だったのだ。ブリザードという会社が黙認し、大切に守り育ててきた巨大な違法ユーザーのbliz牧場の所有権を突然主張しはじめたのがValveである。steamという看板を立て、自社の牧場だと主張したのがVavleなのだ。故にブリザードは激怒した。怒り狂った。そして後出しながら「dota戦争」なるものに打って出たのである。自社の違法ユーザーを取り戻すべく、挙兵したのである。

もちろん、ブリザードにも落ち度は有る。dota allstarsの元となったdotaというmodの開発者は、「俺はxboxがやりたいんだ!」と言ってmod制作から手を引いた。ブリザード社のゲームでmodを制作する事は、実利に繋がらない。

確かに、ブリザード社は素晴らしかった。自由に素晴らしいmodを作れるプラットフォームを作り上げて提供した。けれども、mod制作が実利を伴わないものである限り、mod制作者はいつか必ず去って行く。手を引いて行く。実利を伴わない行為を永遠に続けるのは不可能だ。どこかで限界が来る。dotaの制作者が「俺はxboxがやりたいんだ!」と言ってdota制作から手を引いたように、どこかで必ず終わりが来てしまう。

Iphoneでゲームを作れば、制作者には実利がある。Iphoneというプラットフォームには、制作者に利益を還元するシステムが有る。けれども、WarCraft3やStarCraft2、あるいはdiablo2というプラットフォームにはそれが無い。どれだけ素晴らしいゲームを作っても、制作者に利益を還元するシステムは用意されていないんだ。

故にdota allstarsの制作者は皆、四方八方へ散って行った。s2gameや、Riot Games、果てはvavleなんかに行ってしまった。利益を還元する方法を持たないプラットフォームである、ブリザード社製品を後にしたのだ。ブリザードは今になってdotaはブリザードのものだと主張している。今になって、「mod制作者に利益を還元するシステムを導入する」とか言っている。けれども、全てが遅すぎた。あまりにも遅すぎた。

大量のmodが作られたdiablo2から10年以上。WarCraft3からも10年。その間に、どれだけのmod制作者がブリザード社に貢献し、ブリザード社の正規ユーザーを楽しませ、ブリザード社の名声を高める事に貢献したか。けれども、彼らは何も得られなかった。Element TDも、dog of warも、The Great Strategyも、一円の対価をもたらさなかった。mod制作者の努力と情熱は、焼き畑農業の如く、使い捨てにされ続けた。

それが今頃になってやっと、「mod制作者に利益を還元するよ。支払い方法を用意するよ」なんて言った所で時既に遅し。ブリザードはユーザーを大切にした。違法ユーザーも大切にした。けれども、最も重要であったはずのmod制作者を見殺しにしたのだ。

本来ならばブリザード社が収穫するはずだった巨大な違法ユーザーのコミュニティ、無料ゲーを求めるハードコアゲーマーという極めて微妙でそれでいて決して小さくはないニッチは、ブリザード製品のmod制作者であった人達が作ったLeague of LegendsやHeroes of Newerth、あるいはdota2といったゲームによって、完全に埋められてしまったんだ。全てが手遅れだったんだよ。