宦官の恋煩い。

宦官は恋とかしたのかな。
あの娘とキスしたいとか思ったのかな。


宦官にだって、キスされたくない相手とか、抱きしめられたくない相手は居ただろう。同時にキスされても構わない相手とか、抱きしめられても大丈夫な相手も居ただろう。けれども積極的にそういう風に思ったりしたのかな。たとえばそういう風に思ったとして、念願叶ってそういう雰囲気になったとしても、抱きしめて、キスをして、でも宦官だからその先は無い。念願は成就すると同時に念願は成就しない。やだよね。辛いよね。死にたくなるよね。


けれども宦官は死なない。何故ならば宦官には仕事があるからだ。それも、ただの仕事ではない。宦官にしか出来ない仕事である。宦官は必要とされている。ただ必要とされているだけではない。地位も名誉も兼ね備えた、凄い人に必要とされているのだ。それだけではない。宦官は誰かに必要とされているだけではなく、国家にまで必要とされているのだ。宦官の仕事は世界の平和を守るための仕事であり、笑顔の未来を生み出す為の仕事なのだ。それはかけがえのない素晴らしい仕事なのだ。


僕は残念ながら宦官じゃない。だから仕事はない。僕にしかできない仕事、なんてものもない。当然ながら、誰からも必要とされていない。それどころか不用とされていて、居なくなった方がよい。地位も名誉も兼ね備えた、価値ある人に必要とされる事なんて、尚更無い。国家に必要とされる事など無論の事無い。未来永劫無い。それどころか、明らかに不用である。世界の平和を守りもしなければ、笑顔の未来も作りはしない。居ない方がよい人間である。けれども、そんな僕にだって、宦官に無いものがある。


でも、宦官に無くて僕にあるものって、必要なものなんだろうか。大切なものなんだろうか。何かの役に立ったりするんだろうか。誰かを幸せにしたりするんだろうか。しないよね。苦しさや悲しさを生むだけで、誰も幸せにしないよね。無くなった方がよい代物だよね。そうなんだ。僕は気がついてしまったのだ。実は、昨日までの僕は宦官を見下していた。宦官に無いものが自分には有るというだけの理由で、宦官を見下していた。自分より下に見ていた。宦官を鼻で笑い、優越感に浸っていた。


それは、完全な間違いだったんだ。過ちだったんだ。宦官に無いものを自分が持っているからって、自分の方が上だなんて思うのは愚かなことなんだ。他人に無いものが自分にはあるからって、優越感を感じるのは間違いだったんだ。そんなくだらない事で自分を正当化するのは、間違いなんだ。有るも、無いも、等価値なんだよ。どちらが偉いとか無いんだよ。どちらが凄いとか無いんだよ。




宦官は恋とかしたのかな。誰かを好きになったりしたのかな。もしも何かを切り取って、心の一部が消え去るのなら、いろんな所を切り取りたいね。今の僕には、必要のない心が多すぎるんだ。要らない心が荒れ狂い、心が乱れて何も考えられないんだ。酷く混乱しているんだ。以前にも増してそうなんだ。心が邪魔で生きられないんだ。同様に、要らないパーツも多すぎるんだよ。ちんこは要らない、完全に不用。足も要らないし、手も要らない。役に立ったためしがない。脳は要らないし、顔も要らない。なんの足しにもなりやしない。胃も要らない、腕も腹も胸も尻も要らない。要らないどころか、無い方がいい。無くなってしまえば良くなるんだ。僕はもっと頑張れるんだ。健全な人生を歩めるんだ。心だって要らないんだよ。役に立たないんだもの。ちっとも役に立たないんだもの。僕には、ただブログだけ有ればいいんだ。それだけでいいんだ。他はみんないらないんだ。なんの話だっけ。宦官って恋とかしたのかな。キスしたいとか思ったのかな。