2012年4月12日木曜日

チャンスをあげよう。

君にチャンスを与えよう。
これは、君が成長するチャンスだ。








何かをしなければならない。なんとかしなければならない。その為にはまず眠らなければならない。そんな風に言い聞かせて、毎朝汚れた寝床へ向かう。汚れた部屋の薄汚れた床で春を逃れて丸くなる。背筋が曲がり、心が曲がり、根性は捻くれる。純真さと向こう意気を取り戻す為のミッションは今日も儚く砕け散る。名誉は失墜し、人々は外方を向く。それだけの時間を使って水で出したイエローラベルは天井にしがみつく渋さ。見殺しにし、見捨てられ、また一人ぼっちだ。

人は成長する。人は大きくなる。人は幾らでも変われる。なりたいものになれる。それらは全て事実だ。嘘偽りの無い真実だ。ドリームズカムトゥルー。夢は必ず叶う。夢を持つことさえ叶えば。それさえ叶えば。両手の指は胸の前で固く結ばれ、キーボードを拒み続ける。その間中揺れ動く。揺れ動いた心は喉の奥、胸の前で舞い踊る。安定した不安定さだけがここに有り、顔色は無い。これを失ったら僕はどうなるのだろう。これを乗り越えたら僕はどうなるのだろう。

君に課題を与えよう。これは君が、乗り越えるべき課題だ。そしてこれは、君にとって大きなチャンスだ。これまで君が幾つもの課題を前にそうしてきたように、この課題も乗り越えられる。君は努力をし、着実に進歩し、確実な成果を上げ、幾らかの反省と達成感を得て、もっと大きな人物になれる。以前より素晴らしい、ずっと立派な人間になる。これまでそうしてきたように、この課題も乗り越えるんだ。こんなチャンスはもう二度とないよ。みすみす座って見逃す手は無い。

全ては僕を非難する為だけに利用される。おまえはチャンスを逃した。おまえは努力を怠った。おまえは自分に嘘をついた。未知の挑戦を恐れ、他人の視線を恐れ、何よりも変化を恐れた。成功を、栄光を、幸せを恐れたのだ。願いが叶う事を恐れ、堕落と抱きしめ合う事を願ったのだ。とんだ愚か者だよ。あんたみたいな醜悪な人間は見た事がない。下衆野郎が。この、下衆野郎が。

人差し指の火傷の痕を見る。右手で抱えて親指でなぞる。これは努力の痕跡だ。課された課題を乗り越え、チャンスを物にした証拠だ。評価される事への恐れ、無能さに対する嫌悪、夢無き努力への憎しみ、全て乗り越えてきた。乗り越えて成長してきた。大きくなった。立派になった。まるで素晴らしい人間になった。誰もそれを褒めやしない。誰もそれを認めはしない。一粒の果実も手に出来ない。

あるのはチャンスだ。成長するチャンスだ。心を入れ替え、朗らかに笑い、健全な生活を送るチャンスだ。過去を気にしてくよくよしてるのはおまえだけ。過ぎた過ちは、乗り越える為の手頃な課題でしかない。可能性を足蹴にするな。臆病に逃げ惑うな。その手で未来を切り開け。そして掴み取れ。おまえなら出来る。おまえにでも出来る。出来るとわかってるからこうして言ってるんだ。草原で羊を追うべき犬が耳元で吠えたて目を開かせる。

幸せにしたい。期待に応えたい。叶うならば少しでも近づきたい。叶わぬならばそっと見ていたい。何か一つでも貢献したい。あなたの力になりたい。憎んだ事など一度もないし、呪ったことなど一度もない。一分の悔いもない。心から望み、望んだからこそ石の下で五年、耐えて努力を続けてきたんだ。何が出来る。あなたの為になにが出来る。自分の為に何かをする。そんなのはもうごめんだ。自分の為に乗り越える、成長する、立派な人間になる。そんなのはもうごめんだ。

あなたは何を望む。僕に何を望む。素知らぬ顔で努力を続け、成長し、立派な人間になる事を望むか。これまで通り変わらぬ強さで、同じ高度を飛ぶことを望むか。それとも、あなたはもう僕に、何の1つも望まないか。全ては終わった事であり、みんな忘れてしまったか。以前のように笑ってはくれぬか。あの日のように嘆いてはくれぬか。怒っても、悲しんでも、見守ってもくれぬか。書いたブログを読んでもくれぬか。

そうであったとして、それでも喜ばせたい。それでも幸せにしたい。どのように思われようと、それでもあなたを守りたい。思い上がりであろうと、どうにかして、救いたい。あなたが乗り越えた恐怖を、あなたに課せられた課題を、あなたに訪れたチャンスを、この手で取り除きたい。全て壊してしまいたい。今からでも遅くない。まだ間に合うはずだ。乗り越えるべきではない、克服するべきではない、掴み取るべきではない。じっとしていてくれ。動かないでくれ。少しの間だけ待っていてくれ。

僕が成長し、大人になり、立派な人間になって、大金を手にし、その辺の安い女なら札束で軽くはたける位の、大きな男になって君を迎えに行くから。言ってたじゃないか。世の中は金だって。金さえあればなんだって叶うって。だから僕が稼ぐ。あなたは笑ってるだけでいい。少しだけ待ってくれ。時間が必要なんだ。成長が必要で、克服が必要で、前進が必要、それには時間が必要なんだ。2億年、いや5000万年でいい。ほんの少しだけ待ってくれ。守りたい。幸せにしたい。願いを1つでも叶えてあげたい。

最も強いのが放射能ならば、最も残酷なのは無関心だ。あなたのシナプスは皆全て、僕のことなど忘れただろう。僕のことなど、思わないだろう。それでも僕はあなたが好きだ。あなたの事ばかり考える。毎日々々、あなたを幸せに出来ないかとか、どうにかして守れないかだとか、救い出すことは出来ないかだとか、ありえもしない妄想と格闘する。今の自分に出来る事なんて、何も無いんだって事くらいはわかっている。頭では理解している。わかっていても、立ち止まることすら出来ないんだ。後ずさることも、前進することも、出来ないんだ。

せめて、願ってくれ。せめて、祈ってくれ。僕の不幸を願ってくれ。僕の破滅を祈ってくれ。その期待に、僕は応える事が出来る。その願いだけを、叶えてあげられる。だから、お願いだから、僕の不幸を願ってくれ。僕の絶望を願ってくれ。心の底から願ってくれ。もしもあなたがそれを願わないと言うならば、あなたの家族を追いかけて、精神的に追い詰めて、人生を全部台無しにしてやる。なんだってしてやる。いいか、覚悟しとけよ。俺にはもう捨てるものなど何も無いんだ。そういう人間が、一番恐ろしいんだって事を思い知らせてやる。おまえの頭の中が、僕の事であふれ出し、おまえが心の底から、僕の不幸を願えるようにしてやる。それ以外なにも、考えられなくしてやる。それ以外なにも、思えなくしてやる。そうなってはじめて、あなたに報いる事が出来る。

だから、お願いだから、好きな人よ。僕の不幸を願ってくれ。愛しい人よ、僕の破滅を願ってくれ。ずっと好きだった人よ、ずっとずっと好きな人よ、僕の未来を呪ってくれ。心の底から呪ってくれ、たのむ。