おはようございます。

悲鳴のように絞り出された今日の"おはようございます"もまた、目に見えて飛び交う小さな部屋埃に当たって無惨に散って、部屋中に染み渡ってゆく。音も香りも無い部屋を粘り気がとぐろを巻いて飛び回る。不自然なホームポジションでキーボードに指を乗せたまま、身動きが取れない。梅雨を台無しにする夏だけがひたひたと迫る。眠たさにやる気を無くした瞼が土下座をしながら勝手に言う。おはようございます。そんな独り善がりなつぶやきに、応える僕はどこにも居ない。見殺しにした心苦しさから、声にならない小さな吐息でそれを真似ておはようと言う。やはり誰も居ない。