さようなら夏

苦しみと希望が乖離してゆく。体は二つに引き裂かれそれぞれいびつに羽ばたいてゆく。人生はつらく苦しく、また悲しく耐えがたく、それでいて希望に満ち溢れている。少しおいしいものを食べると、幸せな人生の中で幸せな人とこれを食べれば楽しかったろうにという未練でも惨めさでもない空虚な感情が僕の中に広がって、僅かに残った外皮を侵食し全ての輪郭を失わせてゆく。消えてゆく僕が消えてゆくあの夏も、またあの夏も消えてゆく。