息を吸えば何も残らない

部屋の隅、埃の積もった机の裏に落ちてしまった液体化した鉛のように、だらりひしゃげて横たわる。死んでしまった脳細胞は上体どころか瞼を持ち上げることすら出来ず、心も体も微動だにしない。足の十指と手に生えた一部の長い指だけが、何かを握りしめようともぞもぞと動く。好きな人からの強い言葉の一つでもあれば、まだ僕には救われる余地があるのではないかとか、素敵な人からの優しい言葉の一つでもあれば、かろうじてなんとかなるのではないかとの幻を僅か数秒見たりはするが、瞬きをすれば何も残らない息を吸えば何も残らない。