春に力が吸い取られていく

力が吸い取られていく
吸い取っているのは自分

必要の無い目標をたてて
必要の無い努力をさせて
必要の無い叱咤激励

時には自分を褒めたりして
あるいはどうしようもない
現実を叩付けたりもして

力が吸い取られていく
体のあちらこちらから
新緑が芽生えて育つ

初々しい茂みだった僕は
苦悩と努力を重ねた末に
枯れ木を引きずって僅かに歩く

葉は落ち、枝は折れ、根は腐る。
体の表面に大きく歪な穴を作って抜け落ちる。

そこから肉が腐っていく
痛みと悪臭に耐えかねて
澄んだ心も濁っていく

枯れた大木の最後の一本を
胸にしっかりと抱えて歩く

かつては命溢れる新芽だったそれも
今は腐って垂れている

命ある物はもう何も無い
吸い取る力も残っていない
けれども春、また、新芽が生える

今度は何を吸い取るつもりか
僕から何を奪い去るのか