まさに今、The International 5(以下、ti5)というdota2の大会がシアトルで開催されています。賞金総額は1790万ドル。日本円にして、22億2000万円です。
一方で、League of Legendという世界で一番プレイヤー人口が多いビデオゲームの大会の賞金総額は、213万ドル。たったの2億6300万円です。dota2よりも遙かに人気があり、5倍以上ものアクティブユーザーを誇るLoLですが、大会の賞金額ではdota2に遠く及びません。それは、何故でしょうか?
その原因は、dota2の課金システムにあります。
ti5に代表されるdota2の公式大会では、プレミアムチケットと称されるチケットを購入する事で、様々なゲーム内アイテムが手に入ります。それらゲーム内アイテムは、この機会にしか手に入りません。ti5のプレミアムチケットを購入しない限り、絶対に手に入らないのです。
しかも、ti5のプレミアムチケットには、kickstarterと同じようにストレッチゴールが設定されています。プレミアムチケットの売り上げが伸びれば伸びるほど、購入者が貰えるゲーム内アイテムは豪華になっていくのです。チケットを購入したユーザーは、フレンドにも「おまえも買えよ!」と薦めて回るわけです。この辺は、kickstarterが成功したのと同じテクニックを用いており、非常に今風の"お祭り的"なイベント課金システムです。
ti5のプレミアムチケットは9.99ドル。約10ドルです。その10ドルのうち、2.5ドルが大会の賞金に加算されます。残りの75%は、valveの取り分。プレミアムチケットが1枚売れる度に、ti5の賞金額は2.5ドル上がり、valveは7.5ドル儲かるシステムです。ナイスですね。
ti5は、「賞金額が上がれば上がるほど、valveが儲かる」という仕組みの大会なのです。ti5の賞金総額は最終的に22億円ですから、プレミアムチケットの販売だけで、valveはその3倍の、66億円の現金収入を手にした事になります。
一方で、LoL最大の公式大会であるWorld Championshipは、ti5とは全く違うシステムを採用しています。World Championshipは、LoLの開発会社であるRiot Gamesが独自に賞金額を設定し、自腹で賞金を出しています。
故にWorld Championshipの優勝賞金は100万ドル丁度。非常に区切りのいい金額です。一方でti5の優勝賞金は、646万5617ドル28セントと、歯切れの悪い金額になっています。LoLのWorld Championshipは運営が決めて自腹で支出した賞金額なので区切りがよく、dota2のti5はユーザーが出したお金が積み重なった賞金額なので、28セントという端数が出てしまっているのです。
他の例だと、日本人も活躍している格闘ゲームの祭典であるEvolutionの場合は参加者の登録費用が賞金に加算されていくシステムです。evoの参加者は1000人単位。dota2の課金者は1000万単位。Evoの賞金総額が3700万円を複数競技で分け合うのに対して、ti5は単一競技で22億円と、大きな差が生まれています。カプコンがストリートファイター5でゲーム内課金を導入しようとしているのは、もしかするとeSportsの賞金額にも原因があるのかもしれません。
同じビデオゲームの大会でも、
賞金の仕組みが全く違うのです。
LoLはユーザー数では10倍近い差を付けたdota2に賞金額で負けているだけではなく、SMITEというさらにマイナーなゲームにも、賞金総額では負けています。SMITEはdota2と同じ賞金額増加システムをとっており、「プレミアムチケットの25%を賞金に回す」というアプローチに対して、「中央集権的に運営会社が独自の賞金額を支出する」という手法は、どうあがいても、太刀打ち出来ないのです。
当然、私達は、1つの疑問を抱きます。
なぜ、LoLは、dota2と同じシステムを採用しないのでしょうか?LoLのアクティブユーザーはdota2の7倍。dota2と同じ賞金額増加システムを採用すれば、単純計算で大会の賞金額もdota2の数倍。100億円突破も夢ではありません!そうなれば、「世界最大のeSportsイベントに対する報道」は、dota2ではなく、LoLに対して行われるようになるのです。LoLのeSports playerは幸せになり、社会的な地位も上がり、LoLの開発会社であるRiotは儲かり、素晴らしい宣伝効果も生まれます。
なぜ、LoLを開発運営するRiot社は、それをやらないのでしょうか?dota2を開発運営するvalve社が行っているのと同じ事を、LoLでもやらないのでしょうか?
答えは単純です。
LoLは、やれないのです。
LoLというゲームと、dota2というゲームは、成り立ちが違います。
dota2はdota allstarsというWarCraft3のMOD(ユーザー制作ゲーム)のベタ移植です。それに対してLoLは、dota allstarsの制作者の一人がdota allstarsを元にして、明確な思想の元に、様々な改良と、刷新的なアイデアを詰め込んで作り上げたゲームです。LoLという全く新しいビデオゲームは、リリースされた段階ではプレイヤー人数が0の、新作ゲームでした。新作ゲームであるLoLは、プレイヤーがLoLをインストールし、初めて起動した瞬間に、「あ!このゲーム素敵!」と思わせるだけのグラフィックが必要でした。ですから、LoLはキャラクターがかっこいいのです。かわいいのです。美しいのです。おどろおどろしいのです。素敵なのです。そう、LoLはキャラクターが壮美なのです。
LoLのキャラクターはリザードンやフシギダネ、あるいはジャローダのように、かっこよくて、かわいくて、どこかキュートな、素敵なキャラクターなのです。そしてLoLはキャラクターをゲーム内通貨で購入し、アンロックしていくシステムを採用しています。「素敵なキャラクターを使いたい!」と思わせることで、課金させるシステムを採用しています。
ですから、どのキャラクターも例外無しに、最初からかっこよくて、かわいくて、一生懸命作り込まれたグラフィックを持つ、素敵な存在なのです。
一方で、dota2は違います。
ださいです。
キャラクターが、ださいのです。
僕は、dota2をダウンロードした時、びっくりしました。
dota2というゲームは、2011年にリリースされたゲームです。なのに、2003年にリリースされたWarCraft3よりも、解像度が良くなり、ポリゴン数が増えた以外は、グラフィックで明確に劣っていました。ださくて、ぶさいくで、もっさりしていて、どのキャラクターも青くてもわっとしているだけでした。キャラクターの造形が酷いだけではなく、キャラクターのアニメーションもまた酷く、素人が動かす糸繰り人形のようなモーションばかりでした。
それを見て僕は、「valveという会社は、見下ろし型のゲームを作った経験が無いから、dota2のグラフィックは酷いのだ」とばかり思っていました。
一方で、dota allstarsのモーションは、Blizzard Entertainmentが作ったものです。diablo2という伝説の見下ろし型ゲームを作り、StarCraftという伝説の見下ろし型ゲームを作った会社が、技術の全てをつぎ込んで世に送り出したゲームがWarCraft3です。Blizzardには素敵な見下ろし型ゲームを作るノウハウがあり、キャラクターの造形やモーションを作る事が出来る素晴らしい人材が居た。一方で、valveにはノウハウ無く、人材が居ないが故に、dota2は素敵さのかけらもない、ださくてぶさいくなゲームになったのだと思っていました。
けれども、それは間違いだったのです。
僕の見識不足による、間違いだったのです。
他ならぬ僕が間違っていたのです。
「パズル&ドラゴンズ」
というゲームがあります。
プレイヤーが最初に入手出来るキャラクターは、ださくてぶさいくです。凄く、ださいです。とても、ぶさいくです。一見するとポケモンのようですが、ポケモンのような愛らしさはなく、単純に醜いです。パズドラの初期キャラクターには、素敵に見せようという意志が存在していません。意図的にださく、ぶさいくで、そして貧相につくられいます。
「モンスターストライク」
というゲームがあります。
プレイヤーが最初に入手出来るキャラクターは、そう、そうなんです。このゲームもまた、ださいんです。ぶさいくで、貧相なんです。パズドラだけではなく、モンストもまた、初期キャラクターを素敵に見せようという努力を完全に放棄しているのです。リザードンのようなかっこよさも、フシギダネのようなかわいさも、ジャローダのような優雅さも存在していません。モンストの初期キャラクターは、貧相で、ださくて、ぶさいくで、しょぼいのです。意図的にしょぼく作っているのです。なぜでしょうか?答えは簡単です。そうなのです。
ポケモンには、ゲーム内課金はありません。
一方で、パズドラやモンストには、ゲーム内課金があります。
ポケモンの開発者は、「初期キャラクターにも愛着を持って貰おう」という意図で、素敵なキャラクターを作ろうとします。一方でパズドラやモンストは違います。「愛着が生まれないように、早くかっこいいキャラクターに入れ替えたいと思わせる為に、初期キャラクターをなるべくださくしよう」という、これまでのゲームとは全く逆方向の努力をするのです。なるべくださく、なるべくしょぼく、なるべく不格好に、なるべく貧相に。そう、それはまるでdota2のように。
ださい。
かっこわるい。
課金をすれば、
かっこいいものが手に入る。
そうだ、
課金しよう。
これが、「ソフトウェア買い切りシステム」であるポケモンと、「基本無料の課金でかっこよくなるゲーム」である、パズドラやモンストとの決定的な違いです。故にポケモンは、プレイヤーが愛着を持ってくれるようなキュートな初期キャラクターを用意し、パズドラやモンストは、プレイヤーがうんざりするような見窄らしい初期キャラクターを用意しているのです。(ポケモンも、進化したいと思わせるように、過剰にかっこよくは出来ないという制約を抱えてはいるのですが、、、。)
それでは、LoLはどちらでしょうか?
それでは、dota2はどちらでしょうか?
「ソフトウェア買い切りシステム」のポケモン側か。
「基本無料の課金でかっこよくなるゲーム」であるパズドラ側か。
そうなのです。
LoLとdota2は、違う側に存在します。
LoLはキャラクター買い切りシステムです。
確かに、ポケモンのようなソフトウェア買い切りシステムとは少し違いますが、使いたいキャラクターを購入する事で、そのキャラクターを永遠に使い続ける権利が手に入ります。LoLにおいてもしもあなたが、銃と短刀を装備した海賊のキャラクターを使いたいと思ったならば、それを購入する事で永遠にそのキャラクターを使い続ける権利が手に入ります。一度購入したが最後、使えなくなる事は決してありません。LoLは、買い切りシステムなのです。ポケモンの側に位置しています。全てのキャラクターがかっこよくて、全てのキャラクターが素敵に作られています。おどろおどろしいキャラクターもいれば、かわいいキャラクターも居ます。LoLのキャラクターは、Riot gamesのデザイナーが精魂込めて作り上げた、素敵な素敵な努力の結晶です。そのかわり、LoLは使いたいキャラクターをゲーム内通貨か、課金によって購入しない限り、使う事が出来ません。
一方、dota2は違います。
dota2は最初から全てのキャラクターが使用可能です。100体以上のキャラクター全てが、最初から使用可能なのです。LoLのように「使いたい素敵なキャラクターが居るんだけれど、購入しないと使えない……そうだ、じゃあ課金しよう!」というシステムではありません。全部使えるんです。dota2では、課金の必要性は全く存在しないのです。
ここで、1つの疑問があります。
ならば、dota2はどうやって課金させるのでしょうか?
そうです。
アイテム課金です。
ゲーム内のアイテムを売る事で、valveは儲けているのです。
ところが、です。
dota2では、課金アイテムを装備してもキャラクターの性能は変化しません。少しも強くならないのです。私達が知っている課金アイテムというのは、キャラクターが強くなる課金アイテム。札束で相手を殴る意味での、課金アイテム。けれどもdota2は違うのです。どんなアイテムを購入しても、キャラクターは強くなりません。中にはプレミアムがついて100万円の市場価値を持つアイテムまでも存在しますが、キャラクター性能は全く変化しません。グラフィックが変わるだけです。
ここで重要になるのが、「かっこわるさ」です。
dota2は2011年にリリースされたゲームであるにも関わらず、2002年にリリースされたWarCraft3よりもグラフィック的にも、キャラクターのモーション的にも、そしてゲーム内のエフェクト的にも退化した、かっこわるいゲームです。センスの欠片もありません。素敵さは微塵もありません。それこそが、dota2の課金システムにとって、何よりも重要な事だったのです。パズドラやモンストが、あるいはモバゲーの初期アバターや、アメーバピグの初期アバターがそうであったのと同じように。
ださい。
それは、装備アイテムを課金してでも買いたいという動機を生み出す源です。装備アイテムだけではありません。dota2では、キャラクターのモーションも販売しています。無課金では素人の糸操り人形レベルのモーションだったキャラクターが、課金のモーションを購入するとぬるぬると踊り出します。同じように、スキルのエフェクトも売っています。無課金ではみすぼらしいピンポン球が飛んでいくだけだったエフェクトが、課金のエフェクトを購入すると、空に輝く天の川のように美しい螺線を描きます。
課金したい。
dota2は、ユーザーがそう思うように作られています。
どこまでもしょぼく、
どこまでもださく、
どこまでもぶさいくに作られています。
課金を戸惑うユーザーも居るでしょう。
「ゲーム内で強さが変わらないアイテムに、金を出すなんてアホくさい」
そんな風に思うユーザーも、大勢居るでしょう。dota2は基本無料、それどころか全部無料で遊べるのです。課金しても、一切強くはならないのです。
そんな人達の背中を押す為の装置。
それが、The International 5 です。
そこでしか手に入らないアイテム。
この機会にしか手に入らない顔文字。
そして、他のどんなエフェクトよりもかっこいいエフェクト。
優雅な兜。
美しい武器。
煌びやかな盾。
勇壮なマウント。
光り輝く素敵なエフェクト。
どこかおかしげのあるかわいいペット。
この機会にしか手に入りません。
それが僅か10ドルで、全て手に入るのです!
そうやって、valveは背中を押します。
ti5とは、eSportsとは名ばかりの、課金のトリガーなのです。
いいえ、その通り。
eSportsだけではありません。
スポーツとは、課金のトリガーです。
みんなメイウィザーに課金しました。
みんな、プレミアリーグに課金したのです。
どこかで、課金が発生する。
その課金の為のトリガー。
それが、プロスポーツなのです。
eSportsも同じなのです。
少しだけ様相が違うのは、ビデオゲームの場合は開発運営会社が課金システムを牛耳っている事です。dota2の開発会社であるvalveは、おいしい所を全て持って行ける体勢にあります。その辺は、皆様ご存じの、パズドラやモンストと同じですね。パズドラが課金のトリガーとしてドラゴンボールとコラボするのと同じように、valveは課金のトリガーとしてeSportsを用いて、膨大な課金を発生させているのです。
dota2は、dota allstarsというWarCraft3のMODのベタ移植であり、新しくオリジナルに作られたLoLとは全く違う成り立ちを持つゲームです。dota allstarsは4000万人ものプレイヤー人口を誇ったMODであり、dota2はそのプレイヤープールの残党をそっくりそのまま盗む事によって、1000万人のプレイヤーを僅か4年で獲得しました。その最初のきっかけは、「賞金100万ドルトーナメント」である「The International 1(ti1)」を開催する事により、dota allstarsのeSportsシーンをそっくりそのまま掠め取った事でした。
ti5の賞金はユーザーがアイテム課金によって支払ったものですが、ti1の賞金はLoLの大会と同じように、開発会社であるvalveが自腹を切って支払ったものであり、僅かに100万ドルでした。言うならば、LoLはdota2の5年後ろを走っているようなものです。そして、「最初から素敵なLoL」は「最初はださいdota2」と違い、dota2がti5で行っているようなグラフィックに対する課金を誘発し辛い設計になっているのです。
LoLの大会は、LoLの知名度を上げ、大勢のプレイヤーに、ゲームをプレイする事よりもeasyな、ゲームを見るという娯楽を提供して一体感を与える為のイベントであり、アイテム課金の為のイベントではありません。一方でdota2の大会は、大勢のプレイヤーに娯楽を提供するという点では同じですが、あくまでもアイテム課金の為のイベントであり、アイテム課金の為のトリガーなのです。
そして、もう1つ、dota2には恐ろしい要素が存在しています。
それは、絶対に忘れてはならない、何よりも重要な要素です。
LoLにも、dota2と同じように、グラフィック課金は存在します。
「スキン」と呼ばれる、キャラクターのグラフィックが一変する課金です。課金スキンに対するRiot gamesの気合いの入れようは、ただ事ではありません。なにしろ、LoLの課金スキンはリアルマネーでしか購入出来ない特別なものです。ゲーム内通貨では購入不可能です。だからこそ、Riotは本気です。課金スキンに全力です。 新しいグラフィックだけではなく、新しいモーションまでも、1から作り直し、その作成にはコンセプトアートから含めて3ヶ月もの制作期間が必要だそうです。それは、大変な労力でしょう。
LoLのRiot社は3ヶ月かけて作ります。
では、dota2はどうでしょうか?
valveはdota2のアイテムを作るに際し、
どれ程の労力を費やしているでしょうか?
こたえは、0秒です。
0秒です。
僅か0秒です。
dota2のvalve社は、0秒で課金アイテムを作ります。
LoLのRiot社が3ヶ月かけて作るものを、valveは0秒で作ります。
一体どうやって?
これが、こたえです。
そうです。お金です。
valveは言います。
「That’s right: money.」
Riotは自分でスキンを作り、それを売ります。
valveはユーザーに作らせて、それを売ります。
LoLでは、Riotが3ヶ月かけて作ります。
dota2では、ユーザーが苦労して作ります。
それはちょうど、lineスタンプと同じです。lineスタンプにおけるクリエイター取り分が50%から35%に下げられた際には、ネット上で大きな騒動になりました。line株式会社は、lineスタンプを0秒で作ります。なぜならばユーザーが勝手に作るからです。dota2も同じ。ユーザーが勝手に作ります。
さて、dota2のクリエイター取り分は何パーセントでしょうか?ご名答。25%です。それも、ただの25%ではなく、10%から25%です。いやあ、valveの話を書いていると、line株式会社がまるで天使のように見えて参りました。ti5の賞金がそうだったように、四分の三がvalveの取り分。素晴らしい商売です。
モンストも、パズドラも、そしてLoLも、開発会社がお金と労力を費やして課金アイテムを作ります。新たなグラフィックや、新たなモーションを作ります。けれどもdota2は違います。ユーザーが勝手に作り、valveはそれに値札をつけて売るのです。その売り上げの、四分の三を懐に入れるのです。これは、現状のLoLでは決して不可能な事です。
「ユーザーが作ったものなんて、どうせしょぼいんだろ」
そう思う方もいらっしゃるでしょう。
「素人が作ったものなんて、たいしたもんじゃないだろ」
それは、自然な感想です。
リーナス・トーバルズがLinuxを作ろうとした時、誰もが同じ事を考えたでしょう。この広い世界のどこかには、3Dモデルの作成や、3Dアニメーションの作成を本業としている人達は大勢存在しており、彼らは気まぐれで、完全な趣味で、dota2のアイテムを作成し、なんと売り上げの10%~25%もの法外な報酬を受け取るのです。趣味で、ただ楽しみで、ホビーとして作っただけなのに!なんと、お金まで儲かる!こんな幸運があっていいのか!(もちろん、LoLやlineと同じように、運営会社であるvalveが作っているアイテムやエフェクトも存在します。)
現在、ゲームとしては、LoLがdota2を圧倒しています。
dota allstars(=dota2)は野生のmod制作者がパクリにパクリを重ねて闇鍋的に膨れあがったスパゲティコード的なゲームであり、ゲームデザインにおける思想が存在していません。バザール方式で発展したdotaは、ゲームデザイン面で致命的な欠陥を幾つも抱えており、パッチによって場当たり的な対処を繰り返す事しか出来ません。自ずから、ゲームとしての完成度や訴求力には限界があり、現在は数奇なマニアが遊ぶだけの、人気の無いビデオゲームです。dota2の月間アクティブユーザーは僅か1000万人しか存在せず、市場においては完全に敗北した極めてマイナーなビデオゲームです。
一方で、元々はdota allstarsのメンテナーだった人がRiotに入社して作り上げたLoLは、dota allstarsの悪い所を冷静に見つめ、反省し、見直し、改良し、良い所は伸ばし、素晴らしい所はそのまま残し、悪い所は取り除き、大勢の人が楽しく遊べるように、様々な創意工夫を凝らして作り上げたられた素晴らしいゲームです。
dota2の月間プレイヤーが僅か1000万人しか居ないのに対して、LoLの月間プレイヤー数は7500万人。明確な設計思想を持って、伽藍方式で中央集権的に0から作り上げられたゲームであるLoLは、ビデオゲームというジャンルにおいてはdota2を圧倒しているのです。
けれども、課金というジャンルにおいては逆です。課金というジャンルにおいては逆にdota2がLoLを圧倒しており、その結果が20億円と3億円という、プレイヤー数とは正反対の賞金額の違いとなって現れているのです。
美麗カードであり、リザードンである、かっこよくて美しい素敵なLoLは課金スキンを購入しなくても最初から素敵であるが故に課金への訴求力が弱い一方で、dota2は初期が醜いが故に、かっこよさが欲しくなるパズドラ&モンスト、あるいは初期アバターがださすぎて引いてしまうレベルのアメーバピグやモバゲー方式であり、しかもvalveの場合はユーザーに作らせたアイテムを売って75%以上を懐に入れるという、素晴らしい無限課金システムを完成させているのです。
その課金システムにおける最大の課金イベントこそが、この機会を逃すともう二度と手に入らない、武器や防具、マウントやエフェクト、さらにはペットや顔文字に至るまで、全てがセットになった「The International 5 プレミアムチケット」なのです。
人々が購入しているものはeSportsの観戦チケットではありません。プレミアムチケットを購入しなくても、ti5は見れるのです。彼らはアイテムに課金しているのです。この機会にしか手に入らない一年で一番お買い得な課金アイテムが欲しくて、課金しているのです。だからこその、22億2000万円なのです。「だささ」と「かっこよさ課金」の組み合わせと、イベントによる課金に対する背中押しは、どこの世界においてでも、昨日も明日も最強なのです。