海の裏側

両手の指を絡み合わせて唇に曲がった親指の山を当てていると、右手と左手のどちらかの指が自分のものではないように感じる。どちらが自分のものではないの か確かめるためにそっと指をほどいてみれば、右も左も全ての指が僕自身のものである事だけが確かめられ、触れる事も叶わず消えた昨日の夢に似た何かがする すると絹で出来た砂のようにそっと指先をぬぐいながら落ちてゆく。その感覚が忘れられず、左の親指で右の指先を、右の親指で左の指先を、交互にそっとなぞ ることを繰り返す。その感覚は蘇っても、地に落ちた砂は水に流れて海に溶けた。