2016年3月21日月曜日

MVP Phoenixが優勝できた3つの理由。

・pickに失敗しなかった。
・相手が弱かった。



これだけです。
身もふたもない話をしてしまえば、MVPは全然強くありません。名実ともに世界最強チームであるEGを倒して優勝したMVPに対して、強くないというのは失礼であるというのは確かですが、そんな事を言っていたら世界中が強いチームで満ち溢れてしまいます。

xboctのempireはFrankfurt王者を倒してタイトルを獲りましたが、果たして強かったでしょうか。世界最強EGに勝ってtiに招待されたvegaは?fngは同じようにEGを倒しましたし、CDECはtiでti王者に2-0で完勝する形で実質優勝を成し遂げています。EHomeは世界最強のEGに3-0で勝ちましたが、果たしてどうだったでしょう。それらに対するこたえは全ておなじ、強くなかったです。強くなくても勝てるゲームがmobaなのです。はい、mobaってちょろいですね。ちょろいです。


ならば、どうすれば勝てるか、という話はしません。なぜかというと、勝つのはとても難しいです。難しい話をする自信はないので、簡単な話をします。負けるのはとても簡単なのです。dotaにおいて、負けるのはちょー簡単なのです。負ける為にはいろんな方法論があります。その中でも最も簡単なのが、ふざけたpickをすることです。


ということで、MVPがliquidにどうやって負けたかを思い出してください。10分でgg言って負けてます。ふざけたpickしてましたね。某日本語実況者さんは、リスペクトというものがないのかと不機嫌いんあっていました。なお3日くらい後に行われたEG戦では、不機嫌通り越して実況放棄してました。ふざけたpickをすれば負けるゲームなのです。


そして、今回のMVPはふざけたpickをしませんでした。全部鉄板pickしかしなかった上に、過大評価でしかないエンチャントレスを完全に切ってくるなど、取捨選択というよりは取捨取捨をきっちりとして、一切のチャレンジを行いませんでした。だいたいこのゲーム、「なんでも使えるから、なんでもpickしてくれていいよどんなロールもやるから」なんて人は居ません。そんなもの歴史を遡ってもdendiにsingsingにyyfにzaiにkurokyくらいしか居ません。Universeもかなりいい線行ってるんですが、ちょっとスケールが落ちるので除外します。


そんなわけで、卓上の空論では強いんだけれど、といった類いのものを全て無視した上で、pickで失敗しなかった、というのがMVP最大の勝因です。ふざけたpick&banをしてるから、QOが一皮むけて尚、mineskiに勝てないレベルのdotaをやってたんです。はっきり言ってしまうと、MVPはpicker以前に、リサーチャーが(たぶん今でも)酷いです。ベンチがアホです。(今回はとりあえず良かったけれど)1st&2ndのbanと、1st&2ndのpickが賞金額にかかわらず明らかにおかしいので。




そして、実はそれ以上に重要なのが、相手が弱かったことです。

この賞金額の低いアウェイの大会で、勝ちを捨ててどんな実験でも行える状況にあったEGが準備してきたのは、「なんかインターネットでspecっていうチャンピオンが強いって書いてたから、そのspecっていうキャラクターを使ってみたけれど、なんかインターネットってうそばっかり書いてるみたいで、ぜんぜん強くなかったからspecっていうやつ使うのやめるわ」でした。

さらにEGは、forevにネーチャープロフェットを渡したくないからと、キープレイヤーであるUniverseに振ってチームの蝶番を失うという酷いpickをするなど、惨憺たる内容。付け加えるならば、アンチヒーローが出てる中で、「なんかインターネットでspecっていうチャンピオンが強いって書いてたけどうまくいかなかったから何を使っていいかわからないからursaってのをつかうわ」というありえないpickをして最終的には負けます。

注意して欲しいのは、EGのpickがおかしかったんじゃなくて、rtzの準備が酷すぎるだけなので、今回のpick&banに関しては、ppdは完全に無罪です。一切の罪はありません。ppdはプレイ内容も含めて相当良かったです。少なくとも、世界最強EGにppdというロールは存在しているという事が証明された内容でした。

いや、味方のプレイヤーに必要なキャラクターを練習させるのもpickerの仕事だというならば、それは話が違ってくるのですが、その変は人間性や性格やチーム内の上下関係など、ゴシップに踏み込んでいく領域なので一切興味無いです。触れる気はないです。1手としては全くやくにたたないrtzを1手に固定し続けるEGのマネジメントが悪いのはまちがいないです。PPDの責任かどうかは知りませんし、PPDの責任ではないとおもいます。少なくとも今のPPDはPPDというロールにおいては相当強いです。じゃなきゃEGはこんなに勝てません。昔より相当強くなっています。





そんなわけで、失敗した途方も無い弱さを抱えたチーム(EG)に、幾多の失敗を繰り返し続けたチーム(MVP)が失敗しなかったが故に勝てた、という大会でした。規模の小さなシングルトーナメントで、粗が出なかったのもよかったです。

MVPのdotaが新しかったかどうかというと、ここも新鮮さは全く無かったと言っていいでしょう。歴史上最強チームであったsecretとdota2史上最強チームであったフルスタックAlliance第一期のリプレイをきちんと解釈している点で、素晴らしいものはあったのですが、ようするにside soloにベストプレイヤーが居て(Secret)、ガッチガチの3コア(LGD.sgty)で、roshanをとにかくとってaegisでごまかす(Alliance)という、ああ、シーンの流れを汲んでるなあ、というdotaではありました。

ここ数年の強いチームで、ガッチガチに前3人のプレイヤーパワーが揃っていたのは歴史上最強のSecretと、aui構成のEGだけです。だいたいxboctとがLodaとかrotkとかが居るチームが世界で一番強いチームだったわけで、もっとわかりやすく言えば、目も当てられないrtzが直視に堪えないセーフレーンヒッターをやってるようなチームが、文句なしの世界最強チームをやっている現在を見てわかるように、前3人のプレイヤーパワーというのはなかなか揃わないんですが、幸いにしてMVPは韓国語という特殊な要因によって、china pubの猛者を3人揃えることが出来、尚且つ彼らが離脱するリスクも極めて少ないという安定した状況にあります。しかも、その3人というのは現在では問答無用のMVP最強プレイヤーであるforevをkickする事を経た、淘汰を経たメンバー構成であり、「強そうだから作ってみた!」というチームではありません。

fun1kを強奪したnaviや、envyをkickして世界最強のsupを獲得したAlliance、LGDから4人を引き抜き2つのチームを崩壊させて10人のプレイヤーを集めながら僅か3ヶ月で5人をkickしたiG、役に立たないpickerであるzaiを即刻首にし、flyとnotailをkickしたSecret、あるいはfearが怪我から復帰した瞬間になんの迷いも無くmasonを切ったEGのように、きちんとした淘汰を経ているチームです。

これはなかなか、一見すると強いように見えるチームが出てきたなあ、どことやっても可能性が出てきたな、というのは上海Majorの時からの素直な感想であり、だからこそ上海MajorにおけるLiquid戦とEG戦のあの実況になったわけです。


そんなこんなで、遂に韓国が国際タイトルを獲りました。やっとです。QOが国内最強プレイヤーをやっている国からここまで強いチームが出てくるとは思ってなかったです。韓国はdota2が死んでるってレベルじゃないっていうネガティブな要員もあるし、フィリピンより可能性がないレベルだと思ってました。文化の力は強かった。eSportsプレイヤーが強くなる為の方法論みたいなのが一定のレベルで共有されてるんでしょう。QOは「なんで中国人のpub starはQOごときにmid譲って自分はside soloにまわるの?なんでこんなプレイヤーがリスペクト受けてるのか中国人の考えることはわけわからん、QOがmid or feedとか言って味方脅してるとか?」とか邪推していたところからすると、信じられないくらいつよくなって、戦えるプレイヤーになりました。今のQOはセーフレーンプレイヤーとしてはrtzの100倍強いです。forevたそもここまでのプレイヤーとはあの頃は思ってなかったし、MPはpubだともっとまとまって見える凄いプレイヤーだし。そんなMPを見てると、ああ、yaphetSがどこかで1つタイトルを獲ることにより、キャリアを続けてくれてたらなあと思わずに居られない部分があります。china pubにおけるスケールはyaphetSの方がMPより大きかったので。あの頃のkakaが今のkakaならねえ。。。

MVPはCDECやVPくらいは強いと思います。そして、安定性があるという点と、淘汰を経ているという点で、その2チームよりもちょっとだけ優位に立っていると思います。さらにはeSportsに理解を持った文化的背景もあり、面白いチームが出てきたと言っていいでしょう。中国鯖最強チームの座は、今回の再編を見た限り、たぶんしばらくは安泰です。最低でも、中国鯖最強チームの一角は担えるでしょう。今回の中国再編、まじで全部はしからはしまで全部希望がない状況なので。

MVPが覇権チームになれるかというと、現段階での感想としては、しばらくはまだ絶対にないです。世界最強の座を脅かせるかどうかというと、これもないと思います。もしもesl one Manilaを獲るような事があれば、完全に僕の目が節穴だったってことになりますが……。という話をしてしまうと、自分の正しさを証明する為にも負けろ負けろと思いながら見る事になるリスクがあるので、そういった話を僕は一切しないことにしています。はたして。