2004年11月18日木曜日

堀井雄二は泥棒だ。



馬鹿だ。
僕は馬鹿だ。
馬鹿に馬鹿といわれる筋合いは無いのだけれど、馬鹿だ。
いや、馬鹿って言う奴が一番馬鹿だから、馬鹿なのは僕じゃなくて僕だ。馬鹿だ。


http://www.square-enix.co.jp/dragonquest/eight/
ドラゴンクエスト8のプロモーションムービーの第二段を見た。
ちょっと酔った。

けれども、ちょっとだけであったし、もう一度見たいと思ったので、もう一度見たらもう少し酔った。
カメラが鳥のように飛ぶ所とフラッシュが眩しすぎるシーンさえ目を伏せながら見ればば酔わないだろうと思ってもう一度見てみたら、目を伏せるのを忘れて酔った。馬鹿だ。五臓六腑がくねくねしている。


あの男は悪人だ。
いや、極悪人だ。

堀井雄二は、僕の穏やかな平日の午後をそのままそっくり盗んで行った。なんの怨みがあって、僕の午後を盗むのだ。

いや、盗みというのは堀井雄二のライフワークなのだろう。
怨みがあろうと無かろうと、堀井雄二は盗むのだ。
そして、今日一番の被害者が僕だ。
まぶたの上の裏側でカマキリが孵化している。
カマキリキリカマキリと。



堀井雄二は盗むのだ。
日本国中を駆け巡り、盗んで回る魂胆だ。
堀井雄二だけではない。
皆泥棒だ。

日本国中が泥棒で満ちている。
日本だけではない。世界中が泥棒だらけだ。
苫小牧、アメリカ、ロシア、ウランバートル、ミシシッピ、オーストリア、オーストラリア、台湾、フランス西岸部、世界中が泥棒だらけだ。
今では盗まれぬように錠前を下げて暮らす事も出来ない。どのような盗難対策を講じても、盗られる日々が待っている。
善良な市民も悪人も極悪人もDOTA allsatars中毒者も、皆盗まれる。
一億総、盗難被害者だ。



憎きは堀井雄二だ。
頭痛が耳たぶに降りてきた。
これがディアブロ2のプレイ中であれば、「頭痛が酷い時の方がいいアイテムを拾える」といった馬鹿げたジンクスがあるので、かろうじて我慢出来るのだけれど、ディアブロ2と別離していしまった今の僕にとって、頭痛は泥棒でしかない。吐き気が酷い。大丈夫、いつもの事だ。


泥棒だ。
堀井雄二は泥棒だ。
泥棒に泥棒といわれる筋合いは無いのだろうけれど、泥棒だ。
どれだけ盗めば気が済むのだ。


人は盗む。
盗み盗まれる。

盗まれている最中は盗まれている事には気がつかない。
「HOLY SHIT!」と人が叫ぶのは、盗まれてから随分と経ってからだ。
盗んでいる最中に盗まれていると気がつく人もいるけれど、それは例外的で、たいていの場合はあれもない、これもない、と、随分と後になってから盗まれたものの多さに気がつく。


「堀井雄二は泥棒じゃないよ!」
ああ、そうだろう。
そうだろう。
それ以外の何物かだろう。
でも、それは仮面だ。
仮面の裏に潜むのは、泥棒という正体だ。

ドラゴンクエスト8が発売される。
300万本売れて、平均20時間プレイしたとして、6000万時間だ。6000万時間あれば、おさげ眼鏡の利発な学級委員長が90000万個のリンゴを剥ける。器用にだ。長野も青森もバーモンドも真っ青だ。


僕は泥棒だ。
盗んでいる。
ブログを書いては人から時間を盗っている。
これは社会に対する復讐であり、聖戦だ。
盗んで盗んで盗みまくってやる。
罪悪感など無い。


しかし、思う。
日本中に満ち溢れている泥棒を見て思う。
もう盗むのはよしてくれと。切に願う。
盗まれたものの大きさに気がついた時には、手遅れなのだから。


日本を盗んだ大泥棒は、今幸せだと感じているのだろうか。
短辺が70センチ程もある黒鉛まみれの紙の束をサングラスの奥から眺めていたあの男は、今幸せだと感じているのだろうか。
同じ泥棒仲間として、幸せであってくれればいいなと思う。