それでも、7月は来ないと思う。
七月は来ないと思う。
12月は終わらないと思っていた。
6月は終わらないと思っていた。
2月は来ないと思っていたし、4月も来ないと思っていた。
7月だって同じように、来ないだろうと思っていた。
けれども、今は、七夕七日。
それでも、7月は終わらないと思う。
8月は来ないと思う。
時は日を経る事に冗長さを増してゆく。
今がねっとりと絡みついて離れない。
うんざりするくらい、1秒が長い。
どこかに行ってくれ、他の誰かに。
時を止めるなら時を止めるのもよかろうと思う。
時間が経つのを遅くするのもよかろうと思う。
それは、それで。
けれども、僕には、それはいらない。
他の誰かを幸せにしてやれ。
時を止めるなら、時が止まって欲しいと願う人の所へ行くべきだ。
時間が経つのを遅く感じさせるなら、そう感じたいと願っている人の所へ行くべきだ。
そう思う人のところへ行くといい。
ここは違う。そんなものいらない。
歳をとるにつれ時間が過ぎるのを早く感じるようになる、なんてのは嘘だ。
早く歳をとりたいと願う人は、時間の流れを遅く感じ、
遅く歳をとりたいと願う人は、時間の流れを早く感じる。
それだけの事だ。
欲しい物があるのならば、欲しいと願わないことだ。
欲しい物が無いのならば、欲しいと願うことだ。
願おう人の幸せを。
願う自分の幸せを。
地獄の底まで落ちて行け。