2007年7月13日金曜日

匿名コメンテーターは本当に匿名コメンテーターなのか?



「匿名コメンテーターは本当に匿名コメンテーターなのか?」
という問題には、2つの解釈が存在する。








「匿名コメンテーターは本当に匿名コメンテーターです。」
1つめ。
これは、シンプル。

匿名でコメントをつける人は、ハンドルネームなんて所持していなくて、ブログなんて一度も書いた事がない。もちろんTwitterも、ハンゲームも、非実名mixiアカウントも無し。

ネット上には一切の「名前」も「場所」も持って居ない。
彼ら匿名コメンテーターにあるのはただ「実名」だけ。
でも実名でコメントを書くのは敷居が高すぎる。
だから匿名コメンテーターは匿名なのです。




「匿名コメンテーターはハンドルネームを隠しているから匿名なのです。」
2つめ。
こちらも、シンプル。

匿名コメンテーターは、実はハンドルネームを持っている。持っているのだけれど、ハンドルネームを書き入れるのが憚られるようなコメントだから、そのようなコメントと自らのハンドルネーム(ネット上での個人活動)が結び付けられる事を避ける為に、ハンドルネームを隠してコメントしている。

自らのハンドルネームを隠匿してコメントを書き込んでいる。
だから、匿名コメンテーターは匿名なのです。








「匿名コメンテーター」という話題の最大の問題は、「全く別の問題」と言いきってしまっても差支えが無い、この2つの立場を、十把一絡げに「匿名コメント」という単語で括ってしまっている事にある。

言うまでもなく、前者と後者は別の問題である。




前者の匿名コメントを否定する事は、言論の弾圧である。
「ハンドルネームを持たない人間」から発言権を取り上げ、インターネットを「実名を公開できる人」と「ハンドルネームを持つ人」という、2種類の人達による世界を作り上げようとする選民思想の横暴爆慮である。

「今時ハンドルネームを持たない人なんていない」というのは、大きな間違いである。ハンゲームのユーザー数は1500万、mixiのユーザー数は1000万、ブログの数は500万、モバゲーダウンのユーザー数も500万、全て単純に加算しても、3500万にしかならない。「7000万人」という我が国のネット人口には遠く及ばぬ数字である。実名mixiユーザーや、重複ユーザーを計算に入れると、反論の余地無く、「ハンドルネームを持っている人はインターネットでは少数派」なのである。




彼ら、多数派、即ちハンドルネームを持たない人がブログにコメントをつけると、自ずから彼らのハンドルネームは「あわら市民」とか、「元高校球児」とか、「デスマーチ経験者」、あるいは「通りすがり」といった類のものになり、即ち所謂「匿名書き捨てコメント」の出来上がりである。







一方で、後者の匿名コメントを否定する事は、言論の弾圧ではない。
ハンドルネームを持つ人間が行う匿名コメントは、卑怯な行為である。

それは「自らのハンドルネームと結び付けられては困る」コメントであり、例えばブロガーにストレスを与える事を目的とした、嫌がらせや罵倒。あるいは「発言責任、説明責任を全て回避する」為に、ハンドルネームを隠匿して好き放題に書かれたコメントである。








両者はまったく違う別個の話であり、一緒くたに語ってはいけない。
「匿名コメント」について書く時は、それが「ハンドルネーム隠匿コメント」なのか、「ハンドルネーム未所持コメント」なのかを、しっかりと認識し、説明して書き記し、前者と後者をきっちりと区別した上で書かれねばならないのである。