僕よりも幸せそうな人は皆、僕よりも努力をしている。



僕よりも幸せそうな人は皆、僕よりも努力をしている。事実である。これは紛れもない事実である。そして僕は今日、思い立った。努力をしようと思い立ったのである。いや、思い立ったなどという生ぬるいものではない。心に決めたのである。僕は幸せになりたい。20時10分に目が覚めて、目が覚めた事に対してがっかりするような人生には、もううんざりである。朝目が覚めて、喜びに打ち震えながら歯ブラシを口に突っ込みアイロンのスイッチを入れながらカーテンをザアと開けるくらいの目覚めを欲しているのである。僕は幸せになりたい。是が非でも幸せになりたい。なにものを犠牲にしても、幸せになりたい。幸せのためなら、もう、なにもいらない。だから僕は努力をしよう。努力をしようと思った。思ったけれども何をどう努力すればいいのかがわからない。努力とは何だ。努力とは一体何なのだ。どうすれば努力出来るのか。どうすれば努力というものが手に入るのか。見当すらつかない。まったくに困り果てる。困り果ててキーボードを叩いていると、1つの事に気がついた。僕よりも不幸せそうな人も皆、僕より努力していた、という事実である。この事実に気がついてしまったのは致命的な事であった。そして僕は努力をしようという気を失った。幸福への慕情を失った。