2009年2月20日金曜日

「おまえが、殴るまで、泣くのを、やめない!」



「おまえが、死ぬまで、殴るのを、やめない!」が正しいのか、
「おまえが、泣くまで、殴るのを、やめない!」が正しいのかがわからず、
気になって眠れなくなったので、仕方がなしに色々と考えていた。


「おまえが死ぬまで殴るのをやめない」ならば、わざわざ口に出して言う必要はない。実際に、死ぬまで殴り続ければ、死ぬのである。わざわざ口に出して言う必要のない台詞を口に出して言う。なぜ言うかというと、それは相手に絶望感を与える為である。「うわあ、死ぬか殴られるかしか選択肢が無いのかよ」という絶望感を与える為である。しかも、その選択肢のどちらを選んでも、どのみち死んでしまうのである。どのみち死んでしまうのだから、せめて楽に死のうと首でも吊ろうとロープを探すも、ロープを探すいとますら与えて貰えず、殴られ続けるわけである。まさしく、鬼畜にして外道。酷い男の話なのである。


いっぽうで、「おまえが泣くまで殴るのをやめない」という台詞はまったくそれとは対称的な、優しさ溢れる台詞である。慈愛である。菩薩である。「なんかこの人さっきからずっと殴ってくるんだけれど、どうしたらやめてもらえるんだろう……」と不安げに思っている相手に対して、「泣いてくれたら殴るのをやめます」という事を口に出して伝えているのである。「あー、そういうことね。わかった。うん。ウェーンウェーン(T_T;)」というわけである。あ、泣いたんだ。じゃあ殴るのやめるね。うん。という展開が待ち受けているのである。おそらくだけれど、殴っている方も実はそれなりに手とか痛くて、本当は殴るのを止めたかったに違いない。殴るのを止めたいのだけれど、一度殴り始めた手前、世間体とかもあって、止め時を見失っていたに違いない。僕自身、一度ゲームをしはじめたら20時間くらいゲームをしてしまって、頭痛と眠気と空腹で意識が朦朧としながらも、止め時が解らずにゲームをし続けた経験があるので、その辺りはよくわかる。殴るのを止めたい。そろそろしんどい。どうすればいいんだろう。と考えた結果、「そうだ、俺は、こいつを泣かせる為に殴っているという設定を後付で作ってしまえばいいのだ」というガンダムダブルオー的なグッドアイデアを思いついたに違いない。そして飛び出た台詞が「おまえが、泣くまで、殴るのを、やめないっ!」なのである。


では、「おまえが、死ぬまで、泣くのを、やめない!」ならばどうだろうか。これは、どこで泣くのかによる。たとえば、マンションの部屋の扉の前で泣き続ける、とか、アパートの一階の駐車場で部屋を見上げて泣き続ける、とか、そういう事であれば、それは嫌がらせである。パパパパーン、パパパパーン、パパパパーパパパパーパパパパーパパパパーと、結婚式の入場曲が流れている中で、なんか泣き続けている人が入り口から覗いている、などとなると、もう、これは、完全にテロである。テロというよりはゆすりである。「幾ら払ったらやめてもらえるんですか」と、弁護士を立てて懇願しに行く世界である。そこに待ち受ける回答こそが「おまえが(しくしく)、死ぬまで(しくしく)、泣くのを(しくしく)、やめない!(にやりと笑いながらしくしく)」である。考えようによっては、「おまえが、死ぬまで、殴るのを、やめない!」よりも悪質な嫌がらせである。たとえば、殴られ続けている人間を警察官が発見したならば、多分だけれど、止めてくれるだろう。殴っている人間を、どうにかしてくれるだろう。けれども、泣き続けている人間ならば、どうだろうか。不幸、泣き続けている人間が、年端もいかない美少女などであった場合は、これは、もう、とても悲しい事になるかもしれない。


他方、「おまえが、泣くまで、死ぬのを、やめない!」ならばどうであろうか。これは、もう、完全に、ホラーである。101回死んだ猫では、最後に死んでハッピーエンドだけれど、これは死んで死んで、また死んで、しかも死んでいるのにまた生き返って死んで、と延々死に続けるのである。これは、もう、完全なホラーである。電車に轢かれてぐちゃぐちゃになった脳みそがきゅきゅきゅきゅ、と鳥山明の漫画のように集合しては生き返り、また電車に轢かれて死ぬのである。中央線はいい迷惑である。世の中に、こんなに恐ろしい事があってよいのか、というくらいのホラーである。しかし、よくよく考えてみると、これはそんなに怖くない。なぜならば、泣けば死ぬのをやめてくれるからである。ただ泣いただけで、死ぬのをやめてくれるのである。有り難い話である。


あるいは「おまえが、殴るまで、泣くのを、やめない!」ならばどうであろうか。それは、おそらくだけれど、ただの変態であろう。一度で良いから胴長の美人に「おまえが、殴るまで、泣くのを、やめない!」と言ってみたい。「ほんまやな、おまえ言うたな。ほんまやな。ほんまに泣くのをやめへんのやな。おまえ、あれやで。男なんやから一度言うたことひっこめんなよ。おい。ちゃんと泣けや。こら。おい。泣け、ってんだろ。やぁめぇるぅなってんだろ。お、ま、え、が、言いだしたんだろ?おい。ぶっさいくやのお。なあ。むかつくわ。」とか言われて蹴られたい。競泳水着の中川翔子に足蹴にされたい。