2012年1月19日木曜日

1人のdota allstarsプレイヤーとしてdota2に望むこと。

dota2に望むことはただ1つ。

真っ当なLadder。
即ち真っ当なマッチングシステムだ。






dota allstarsにはLadderが無い。プレイヤーのレベルに応じたマッチングシステムが存在しない。WarCraft3にはそれがあった。ボタンを押して0.1秒(誇張抜きで)でそれ相応の実力の相手とマッチングされる神ラダーが存在していた。ところが、WarCraft3のマッチングシステムはWarCraft3のノーマルゲーム限定であり、modであるdota allstarsには存在しない。故にdota allstarsで遊ぶには、個人プレイヤーが勝手にホスティングしたゲームへ入り、実力差のある中で適当にプレイするしか方法が無かった。

その状況を変えたのがgg client dota allstars Ladderである。
p2p対戦ツールのgg clientはブリザードからWarCraft3を拝借してインスタントメッセンジャーを搭載し、ネット広告をでかでかと載せまくった、如何にも中国語圏のツールである。そこだけを見てとると公式のbattle.netで対戦が不可能な違法ユーザー向けのネット対戦ツールのように思えるけれど実体は僅かに違った。仮装LANであるgg clientはラグやディレイの面で公式のbattle.netよりも明らかに優れており、E sportsの大会などは、ほぼ全てがgg client上での対戦に移行したくらいである。まあ、一言で言えば違法ユーザー向けのプラットフォームである。




そんなgg clientに導入されたのがdota allstars Ladderだ。
これが神環境だった。

勝利数、敗北数、途中離脱数が記録される。勝率も表示される。さらにLadder部屋と野試合部屋に別れており、Ladder部屋には自然と腕に自信のあるプレイヤーが集まる。勝率が表示される事により、ホストの一存により勝率45%以上等での足切りも可能になった。おまけに、gg client シンガポール等の一部地域ではBANも機能しており、違法ツールの使用が認められたり途中で抜けまくったりといったプレイヤーには、Ladder部屋への入室が数週間から数ヶ月、あるいは無期限で不可能になるという非常に重いBAN機能も作動していた。

「BANされたら新アカウントを作れば終わりでは?」
と思うかもしれないが、gg clientのLadder部屋は入室に「gg clientレベル」という条件があり、gg clientレベル自体はプレイヤーの腕に関わらず、勝とうが負けようが自然と上がっていく単純加算の経験値システムではあるけれど、Ladder部屋に入室するにはみっちり数週間遊び続けてやっと、という位のめんどくささであり、BAN上等とばかりに新規アカウントを作りまくって滅茶苦茶な事をする余地は存在していなかった。

さらに、gg client ladderには連動式のウェブページまで存在していた。プレイしたheroの種類や勝敗結果が表示され、対戦したプレイヤーの過去のゲームの履歴を遡る事も可能だった。そんな神環境だったけれど、マッチングシステム自体は存在していなかった。誰かがホスティングして、そこに集まる、という図式自体はbattle.netと同じであり、「フレンドを集めた俺TUEEホストが徒党を組んで野良プレイヤーを狩る」という嫌な図式自体は再生産され続けていた。

酷いケースになると、勝率の高いプレイヤーが敵側として入室した場合はkickする、あるいは自分サイドに来させる等の健気な努力により、勝率95%以上を維持している人も居た。





そこに一石を投じたのがtaiwan room4である。

シンガポールのladder部屋がデフォルトのゲームルールである「all pick」であったのに対して、taiwan room4は「shuffle player」というゲームルールの為の部屋だった。all pickではゲームが始る前にチーム分けが判明する。ホストを含む上の5人は上側チーム、下の5人は下側チームに分けられる。

けれども「shuffle player」というルールはそうではない。
ホストがゲームモードを選択した瞬間に、チーム分けがシャッフルされる。自動でランダムに振り分けられる。故に、元祖dotaの時代から延々と繰り返されてきた「ホストがフレンドと共に徒党を組んで野良プレイヤーを狩る」という現象がtaiwan room4では遂に消滅した。シンガポールではそこら中に転がっていた勝率70%プレイヤーを、taiwan room4で見かける事は無かった。少なくともゲーム数200といった単位では7割プレイヤーは存在していなかったと思う。当時明らかな強キャラであり後に弱体化される事になるキャラをpickし続ける、明らかにレベルの違う上手いプレイヤーでも、3戦2勝ライン、即ち勝率66.6%を超えるか超えないかの所を彷徨っていた。




しかし、そんな神環境も長くは続かなかった。
gg clientのLadderが突然消失したのである。理由は知らない。dota allstarsのバージョンアップにgg clientが付いていけなくなったのかもしれないが、定かではない。はっきりした事は知らない。とにかく、ある日突然勝率が記録されなくなり、leaveも記録されなくなり、gg client ladderという神環境は跡形もなく完全に消滅してしまった。




そこに満を持して登場したのがbattle.netのホスティングbotである。
botホストという取り組み自体は太古の昔から存在しており、有名ではないmodの制作者が自らのmodを普及させる為にbot hostを動かしていたり、という事はあった。そんな古い取り組みであるbotホストがdota allstarsと本格的に出会い、各地のプレイヤーの改善要求を受け容れて前進し続けた結果、勝利数、敗北数、leave数が記録され、レートまで表示される上に連動式のウェブページまで存在するという神環境へと進化したのである。

残念な事にディレイの面でgg clientに大きく劣るという弱点こそ存在するものの、それ以外の面では勝るとも劣らない素晴らしい環境である。現在のdota allstarsにどれくらい日本人プレイヤーが存在しているのかはわからないけれど、gg clientのipによる国籍遮断が実施されて以降(ようするに、シンガポールにもtaiwanにも入れなくなってから)は、日本人プレイヤーは全員ホスティングbotで遊んでいると思う。





では、「battle.netのホスティングbot」という存在が僕のような末端のdota allstarsプレイヤーにとって遂に実現したエデンであるかというと、残念な事にそうではない。「フレンドを集めた俺TUEEプレイヤーが徒党を組んで野良プレイヤーを狩る」という構図自体は太古の昔と変わらずに繰り返され続けている。シンガポールのladderであったように、きちんとしたプレイヤーを5人集めれば敵方の強いプレイヤーを蹴るという行為を一切行わなくても、勝率70%台は容易である。

その行為自体を憎んでいるわけではない。かつてブログにも書いたように、勝率70%のホストを止める、というモチベーションのみでガチプレイを繰り返して20連勝した事もあった。それは刺激的で、楽しい事だった。しかし、である。本質的に求めていたのは刺激ではない。世界平和なのである。dota allstarsの平和である。dota allstarsの快適なプレイ環境である。ゲームを開始するよりも前に不平等が存在しない、公平なマッチングシステムなのである。




それは絵に描いた餅だろうか?
いや、違う。

WarCraft3には完璧なマッチングシステムが存在していた。僕のようなプレイヤーでも、日本人トップクラスのプレイヤーでも、1000ゲームという単位でプレイすれば勝率50%代に落ち着くような、恐るべき、そして素晴らしいマッチングシステムが存在していた。




しかも、「arranged team」と「random team」は別のものとして扱われていた。
「arranged team」というのはフレンドとのパーティーである。知った人と同じチームでプレイする事が出来る。その際は、相手側も、同じ「arranged team」である。友達と集まったパーティーが、同じように友達と集まったパーティーとマッチングされる。当然、実力差も考慮されて強いチームは強いチームと、弱いチームは弱いチームとマッチングされる。

一方の「random team」はランダムである。
プレイヤー1人1人は完全に個別の存在である。

「arranged team」と「random team」は混濁されない。別の物として扱われる。フレンドと集まったパーティーは同じようにフレンドと集まったパーティーと対戦し、「random team」を選択したsoloのプレイヤーは、敵も味方も「random team」を選択したsoloのプレイヤーとマッチングされる。そんな環境は、未だかつてdota allstarsには存在しない。そして、dota allstarsがWarCraft3のmodである以上、そのようなマッチングシステムは未来永劫実現しないだろう。だからこそ、WarCraft3のmodなどではない、独立したクライアントであるdota 2に望むのは、そこである。その一点である。

付け加えるならば、dota allstarsは5対5なので、arranged teamに関しては、「5人対5人」「3+2 対 3+2」の2パターンが存在すればそれで十分だろう。(4人の場合はフレンドを1人追加すれば済む。)







故に、もしもdota2のマッチングが駄目ならば、僕はdota2に心底失望するだろうし、マッチングさえ素晴らしければdota2を手放しで称賛するだろう。WarCraft3のmodプレイヤーが望み続けたのは、ただ1つWarCraft3本体と同等のマッチングシステムなのである。




具体的にdota2に失望しない条件を書いておく。

それはまず第一に、ネットコードが糞ではないこと。ping500でもそれなりにプレイ可能なFPSが存在する一方で、ping200でまともに遊べないFPSも存在する。ネットゲームの対戦環境は、pingによって左右される以上に、ゲーム側のネットコードが優秀かどうかで大きく左右される。仮装LAN環境のp2p対戦ツールであるgg clientでプレイした後に、ブリザード公式のbattle.netで遊ぶと、同じpingでも天と地ほどの差がある。gg clientが後発な上にp2pだから当然ではあるが、同じゲーム、同じpingなのに快適さが全然違う。

「ネットコードが素晴らしい事」を求めたりはしないけれど、「ネットコードがそれなりである事」は強く求める。ping 150で快適に遊べる程度の、最低限のラインを維持している事は絶対条件である。日本在住である限り、アメリカ西海岸、シンガポール、マレーシア、中国といった母数の多い地域と遊ぶとなると、ping 150前後で快適に遊べるかどうか境界線になるだろう。



次に重要なのが、「arranged team」と「random team」が混濁されるシステムでは無い事、である。dota allstarsではたった2人でも、前もってチームを組んでいるプレイヤーが居ると、ゲームが大きく変化する。以前のdota allstarsはそうではなかったのだけれど、現代のdota allstarsは、たった2人でも前もってチームを組んでいると展開が大きく変わるように調整されてしまった。(プレイヤー人口で言うと0.1%以下のプロゲーマーを対象とした調整が行われ、heavy carryとかlateとか呼ばれる晩成型のヒーローが異常なほどに強化された。)

故に、仮にたった2人でも事前にチームを組めれば、勝率は10%以上も違ってくる。そして勝率の差以上に、ゲーム内容が全く別の物になってしまう。だからこそ、arranged teamは同じようにarranged teamと、random teamは同じようにrandom teamとマッチングされなければならない。



最後にもう一つ、pingによるマッチングである。
米国西海岸を対象としてマッチングを探索したのにping 800のロシア人とマッチングされたり、東南アジアでマッチングを探索したのにping 800のブラジル人とマッチングされては、たまったものではない。住んでいる地域に応じて、自動的に近くのプレイヤーとマッチングされるというのは、当然の事であり、最低条件の1つである。

dota 2のマッチング画面に「地域選択」なるものがある時点で相当不安なのだけれど、そこはポジティブに「中国語で会話をしたい中国人の為のシステム」「北米語ではなく南米語でプレイしたいメキシコ人の為の地域選択」であると今の所は非常に前向きに受け止めている。中国人にとってpingが良いからとベトナム語やタイ語のプレイヤーとマッチングされる事は悪夢だろうし、メキシコ人、あるいはロシア人にとっても同じ事が言えるからだ。

そういった人々の為に「地域選択」が存在する上で、pingを踏まえてマッチングされるのが当然であろう。dota2のプレイ画面を見た感じ、成績は地域別ではなく、プレイヤー別に記録されているのだから、尚更である。気紛れで南米サーバーに参戦したロシア人とか、気紛れで欧州サーバーに参戦したブラジル人なんかと組み合わされて糞ゲーにされたら、たまったものではない。





付け加えておくならば、League of Legendsのマッチングシステムは明らかにWarCraft3のマッチングを参考にしており、かなり良いように見える。ただし、無料ゲーであるが故にランクマッチに参加する為には廃人である事が条件という理不尽設計の為、僕自身は一度としてランクマッチをプレイした事がない。そんな事態を避ける為にはdota2が普通の販売ゲー、1購入1アカウントである事が重要なのだけれど、dota2は無料ゲーなのではないかという噂が以前から根強くあり、雲行きが怪しい。

とにかく、dota allstarsに足りないのはただ1つマッチングであり、dota2に望む事は唯一マッチングである。その1点である。他の事は一切望まないし、言いたくはないがdota2にマッチング以外の何かを望む事自体が間違いだろう。

ブリザードエンタテイメントからdota allstarsの簒奪に一定規模で成功したゲームは全て、modの対戦環境が悪いというWarCraft3の隙を突く事により、顧客を奪う事に成功したのである。ネット対戦型ゲームのプレイヤーが欲しているのは優れたゲームではない。優れた対戦環境なのだ。