2012年1月29日日曜日

僕は馬鹿だからLodaが勝つと楽しい。

NaViが終わった。遂に終わった。やっと終わった。直近7試合の成績は3勝3敗1分け。これはもう完全に終わったと考えるのが自然だろう。遂に終焉、NaViの終焉である。








NaViは昨日の試合までに、EG、KuroKy、モスクワ5、DTS、未知強ニュージーランドオーストラリアなどを相手に満遍無く負け始めており、あとはLodaがNaViに勝てば往年のdotaシーンが復元される、という所まで来ていた。




そして昨日のxP対NaVi。

xP.Loda
xP.pajkatt
xP.ミラクル
xP.akke
xP.pinoy

EGに居たパジャがLodaと合流。
かつて欧州dotaシーンで完全無敵の絶対王朝を築いたLodaだけど、KuroKyという悪魔的なタレントにその地位を追われて、一時期はKuroKyに負けっぱなしだった。その最大の要因は「チームメイトの差」であり、その時期に「彼がLodaと組めば」と世界中から望まれ続けていたのが、同じスウェーデン人であり、そつなく上手いなんでも出来る万能系プレイヤーとして注目を浴びていたパジャキャットだった。そのパジャは事もあろうかKuroKyと組んでタイトルを獲ったりして、世界中が待ち望んだLodaとの合流は中々果たされなかったものの、紆余曲折と長い長い歳月を経て、シーンの盛り下がりとKuroKyのうざすぎる強さからdota allstarsに対するモチベーションを失いつつあったLodaとドリームチームを結成し、欧州シーンの象徴的な場であるDreamHack Winterで遂に悪魔のKuroKyは討たれ、王冠はLodaの頭上に輝きめでたしめでたし大団円、という事で欧州dotaシーンはエンディングを迎えて終了したのである。




そして、dota2。
パジャは当たり前のようにEGでプレイしていた。
EGはEスポーツチームとしての競争力があり、アメリカ人のフィアーとデーモンという古豪を軸にした強いチームでもある。だから、パジャはこれから先もEGでプレイし続けるのだと思っていた。そしてパジャが売り切れたという事は、スウェーデン人(スウェーデン語話者)のクラックが売り切れたという事を意味し、「Lodaが上を目指そうにも世界的名手は見あたらない」という残酷な現実だけがそこにあった。ところが、そのパジャがEGを抜けてLodaと合流したのだから笑いが止まらない。



xP.Loda、欧州シーンの頂点。
xP.パジャ、遅れてきたスウェーデン人クラック。
xP.ミラクル、KuroKyと組んで頂点、Lodaと組んで頂点。
xP.akke、SK.Lodaのチームメイト。可もなく不可もなし。
xP.pinoy、情報が無い。見た感じ可もなく不可もなし。

こんな感じの面々で、戦える戦力が遂に揃った。
Loda本人もいい感じに仕上がってきており、あとはNaViを討伐するだけ。

展開はNaVi、farmはLodaといった感じの順当な立ち上がりから、ほとんど互角でゲームは進み、15対15くらいまではがっぷり四つ。けれどもその辺りからNaViの大切な主戦力であるdendiが次第にゲームの枠組みから外れて行き、欧州1のファーマーという不当な評価を受け続けてきたLodaの超一流のファーム技術と神ミクロが見事に生きて全ての会戦で一手、あと一手が足りずに負けまくるNaVi、勝ちまくるLoda、次第に空気化するxboct。aegisを使ったLodaの攻めも綺麗に決まり、決定的な差が付いてテンションだだ下がりのロシア語実況。melee raxを2つ割られてどうしようもなくなるNaViと、テンションが下がりすぎて遂にストリームを中止するロシア語実況者。一段落して「これ、bo1?」と聞くdendi。「bo2」との回答を得た瞬間にgg。いつもはBGMにKpopとか流してる癖に何故か鳴り響くUSオーエンは彼女なのかのギターアレンジ。Lodaがー、Lodaが欧州に帰ってきた!!!!


2ゲーム目は開始3分前に終了したレベルのpick負けなので何も書く事は無い。プレイヤーとしてのLodaは復活したものの、pickerとしてのLodaは全然駄目。賢明に勉強している事だけは伝わってくるが、場数が足りていない。NaViのpickerであるPuppeyは、5年以上の長きにわたり、pickerとして負けに負け、pick負けという屈辱を積み重ね続けて来たという強みがある。一方のLodaは一時期pickerをしていなかったし、「pick負け」の経験自体が皆無。puppeyやpggといった良いpickerが「pick勝ちしないと勝てないチーム」で長く過してきたのに対して、Lodaにはその経験が無い。この差は一朝一夕には埋まらないだろう。けれども、プライオリティの低い対戦の場で、完全な勝利と完全なpick負けを同時に経験した事は、今後のLodaにとって大きなプラス。歯痒いpick負けは今後も幾らかは繰り返されてしまうだろうけれど、それは仕方のないこと。とにかく、dotaたるLoda、lodaたるシーンが復活したのだ!同時に、僕は馬鹿だからLodaが勝つと楽しいという単純な生き物である事が判明した。よくよく考えてみたら中国人とか好きでもなんでもないから、中国とかどうでもいいし。どんな糞ゲーでもどんな糞シーンでも、Lodaが勝てばそれで満足。ハイ、大円団。






NaViに土を付けた他のチームをざっと。


DTS(TR)
モスクワ5

これは共にソビエト最高のpickerであり、チームリーダーであるpggのチーム。中国の820と並び賞された賢い系チームプレイヤーのpggが適当に仲間を集めて「ソビエトオールスター」であるはずのNaViに勝利。pggという人は志向する勝ちパターンが独特で、結果が出なければ「pggのpickと作戦が敗因」とされるタイプのプレイヤーで、毀誉褒貶が定かでない人。けれども、個人性能もpick性能も、そしてチームを纏めて勝利に導く腕も全てが本物で、決してモチベーションを失わない執念も凄まじい。今後も結果を残す可能性は非常に高い。3人殺して4人目と相打ち、というスタイルで一世を風靡したdotaシーン黎明期を象徴する大スターのvigossも居るよ。流石に長い長いブランクの間にdendiに追い抜かれた感があり、昔を知らない人にとっては見るべきものは無いかも知れないけれど。

pgg脱退後のモスクワ5は、god、NS、santaと優れたプレイヤーを揃え、こちらもトップシーンに踏みとどまりそう。NSは一時期はdendiやLTHやpggよりも格上だったソビエトを代表するプレイヤー。




KuroKy

KuroKy。KuroKy以外の何物でもない。mouz.KuroKyとして世に出た瞬間から明らかにものが違った、悪魔的プレイヤー。あのKuroKy。mouz脱退後は次から次にチームを乗り換え、金と名誉とチームメイトを求めて世界中を転々としながらLoda王朝を完全に崩壊させた張本人。Lodaとの決定的な違いは、常軌を逸した万能性。全てのヒーローを気持ち悪いレベルで使用可能で、一体どのヒーローが得意で、どのヒーローがお気に入りなのかさっぱりわからないという変態プレイヤー。そんなKuroKy唯一の弱点は母語がドイツ語であるという点。そして、世界中を彷徨いに彷徨ったKuroKy自身が異言語話者とのプレイに対する限界を明瞭に語っており、「今後はドイツ語話者とプレイする」という方針を打ち出している以上、WarCraft3シーンとdota allstarsシーンにおいて何一つインパクトを残せなかったドイツという弱小国に縛られ続ける事になる。

それが「致命的な弱点」になるかどうかは、今の所はっきりしない。この所KuroKyとプレイしていたleafというプレイヤーは、明らかに世界的な競争力を持っている。このレベルのプレイヤーが4人居れば、一時代を築く事も可能だろう。ドイツの人口自体は決して少なくないので、HoNやLoLからの参入者も含めて、強いチームが出来上がる可能性自体は存在している。

ただし、KuroKyはやはりKuroKyで、現在プレイ中のチームが3チーム(パンツァー、J4T、10000th)もあるという意味不明な状況であり、あの世界中を旅して回ったKuroKyであるからして、一寸先は闇である。誰と組むかもわからないし、どのチームでやるのかもわからない。代役としてドイツ最強の傭兵プレイヤー的な立ち回りをしているけれど、このまま傭兵家業を続けていては未来が無い。強い母体のあるEスポーツチームに所属し、5人揃えて練度を高めなければ、天下を取るのは不可能である。いや、そんなリアル立ち回りでもNaViに勝ったんだから十分と言えば十分なのだけれど……。

本来ならばKuroKyが所属するべきチームであるはずのmouzは、HONのトッププレイヤーを集めて、1人のドイツ人も存在しないチームを結成して低迷するという離れ業を見せている。mouzがこのまま負け続け、尚かつdota2をクローズしないならば、KuroKyに白羽の矢が立てられる日が来るかもしれない。けれども、そんな遠い話を気長に待つ余裕は誰にも無く、今の所はあまり良くない。もったいない、の一言である。





EG.Fear
EG.demon
EG.Playmate
EG.ミザリー

パジャが抜けたEGは、MYM繋がりのチームである。かつてMYMを率いたfearとdemon。時期は違えどMYM最強のキラーであったプレイメイトとミザリー。そこにパジャまで居たのだから当然強かった。パジャの後釜はmaelk。長きにわたりMYMを率いたプレイヤーであり、前衛後衛全て揃ったバランスの良いチーム。

EG最大の弱点はミザリーのプレイスタイル。勝ちゲームでは常に巨大な存在なのに、負けゲームでは目を凝らして探してもどこに居るのかわからない位に空気。同じpotm使いでも、どんな展開であろうと賢明に自分の居場所を創り出すSK.AngeLとは対称的なプレイヤー。プレイメイトはシンプルな極太carry屋なので、相性自体は良いと思う。




SK.miGGel
SK.AngeL
SK.link
SK.mania
SK.ryze

SKにmaniaが加入。
maniaはMYMでプレイし続けた欧州最高のsand king専。中衛プレイヤーとしてはスカンジナヴィア最高のプレイヤーであり、中衛/後衛が必要だったSKには理想的すぎる補強。世界最高のツーマンチームとしてアップセットを起こし続けたミゲルアンゲルを主軸とし、ミゲルアンゲルを支え続けた後衛のryze、世界的な競争力を手に入れたlink、欧州一のsand屋mania。贅沢を言えばミゲルを後衛に回したいのだけれど、十分に頂点を目指せる面子。AngeLは誰がなんと言おうと、世界最高のpotm乗り。




最後に、NaVi。
NaViはアートスタイルが脱退。これが致命的だった。他のチームはメンバー交代で強くなり、NaViはメンバー交代で弱くなった。思えば短い天下だったが、昨年秋のNaViの完成度と強さ群を抜いており、完全に世界はNaViのものだった。たとえどれだけ時代が進み、どれだけNaViが弱くなろうとも、あの時代におけるあの強さは疑う余地の無い圧倒的なものであり、決して過小評価されるべきものではない事だけは決して忘れないようにしたい。




最低限、リプレイ観戦用のクライアントだけは配布してくれないかな。
ストリーミング及び動画で見るのは観戦コストが高すぎて身が持たない。


今気になってdota2の入手方法を調べたら、dota2を第三者から直接購入するのは規約違反だけど、何かゲームを買ってそれをdota2と交換するのはOKなのか。それでスカイリム(現在30ドル~40ドル)やトロピコ4(40ドル)で交換出来ているみたいだ。なんだかな……。