夕暮れを夢見て。

薄明かりの中で目が覚める。僕には仕事がない。僕には知り合いが居ない。この薄明かりが夕暮れであろうと、夜明けであろうと、僕は構わない。それでも思う。夕暮れであってくれ。薄明かりよ、夜明けではなく夕暮れであってくれ。この部屋には時計がない。この部屋には携帯もない。お願いだから、夕暮れであってくれ。PCの電源を入れる。07:41。午前七時。悲しい夜明け。ただ目が覚めただけで希望を胸に抱き、それはすぐに裏切られる。僅か1時間20分の睡眠で目が覚めてしまった理由を、推し量ることが出来ない。昨日は悲しかった。昨日は辛かった。けれども、いったい、そのどれなのだ。悲しみも、苛立ちも、怒りも、全てのネガティブな感情はあまりにも有り触れていて、自分にとってどれが深刻なものであるかを判断する事が出来なくなってしまった。昨日は蜘蛛を見た。いつの日か部屋で死んでいた五本足の蜘蛛と同じ色の小さな蜘蛛を部屋で見た。アシタカグモの黒い個体であろう。蜘蛛は壁を登っていき、何をするでもなくそれを見ていると、ふいに真っ逆さまに落ちた。夕暮れよ、友よ、愛する人よ、そんなものはない。一日が始る。目が醒めただけで砕け散った希望が始る。