お腹がすいたのかもわからず、眠たいのかもわからず、頭が痛いのかもわからず、風呂に入りたいのかも、歯を磨きたいのかもわからず、歩きたいのかも走りたいのかも、歌いたいのかも泣きたいのかもわからず、戸惑って言葉を探す。自分が今何を欲しているのかを説明してくれる言葉を探す。心の中を素手でまさぐり、どこかに閉じられた弁があって、そこに少し触れてやるだけで弁が緩まりその僅かな隙間から無限の言葉があふれ出てそれは決して止めることの出来ない潮流となって僕をどこか素敵なところまで押し流してくれるのではないかと、僅かな期待を寄せて静穏な、心の中は踏み荒らされる。溢れ出るはずの何かを求めて彷徨う自らの手によって荒廃した心の中を少し覗くと悲しい気分になるけれど、溢れ出る涙はどこにもない。溢れ出る言葉はどこにもなくて、探し出されたのではなくまるで捏造されたに等しい言葉の羅列がこれであるそうだ。