この世界において、誰もが望み欲するものが存在しているというならばそれは愛でも幸福でもお金でも無く、爆弾であろう。木っ端微塵に粉砕し消し飛ばしてしまいたいものを、木っ端微塵に粉砕し消し飛ばしてしまえる爆弾。この地球上には無数の木っ端微塵に粉砕したいものが存在しており、同じように無数の爆弾が存在しているにも関わらず、爆弾は人の自由にならず、爆破されるべきものが爆破されることはない。爆弾にも様々な種類があって、核爆弾ともなれば多くのものをまとめて吹き飛ばせるが、一国の独裁者の力を持ってしてもその爆弾は思うがままにはならないらしい。では、任意の場所に爆弾を振らせるボタンは存在しない幻の道具であるかというとそんなことはなく、合衆国の大統領は全世界から巻き上げた国民の金で、任意の場所に任意のタイミングで爆弾を降らせ続けている。あいにく僕は、大統領になる資格を有しておらず、その大統領ですら、任意の場所に任意のタイミングで爆弾を降らせるボタンがあるにもかかわらず、任意の場所に任意のタイミングで爆弾を降らすこともままならないらしい。僕等の生きてるこの世界は、なんとも、夢の無い世界だ。