宇宙の果て

幼い頃の僕は、この世界において人類の英知が及んでいない、未だわかっていないことなんて、もはや存在しないものだと思っていた。未だわかっていないことなんて精々、宇宙の果てに何があるかくらいのものだと思っていた。いまではそれが、全くの見当違いだったとわかる。でも、じゃあ、なに?この世界に残っている不思議はなに?人類の英知が及んでいない、未知の領域って何?解かれていない謎って、なあに?残念ながら今の僕は、そんな簡単な質問に答えることも出来ない。


何かあるよ、何かある。いろいろある、いろいろね。頭の中で浮かんではじけるのは、自らの不誠実さを意味するぼんやりとしたイメージ。この世界は果てしなく広くて、不思議なことがいっぱいあるんだというイメージ。そして僕はそこに向かって手を伸ばす事もなければ、知的好奇心を差し向けることもなく、目を擦りながら椅子の上に座って液晶モニタの白い光に焼かれている。不思議なことが宇宙の果てにしか無いのであれば、宇宙の果てを見てみたいと思ったのも今は昔。不思議なことに今の僕は、知りたい事があってもブラウザの検索バーにその文字列を打ち込むことすらせず、遠い他の誰かから見れば宇宙の果てであろう場所に浮かんでいる。

知らない方がいいよ。
宇宙の果てなんて。
見たい方がいいよ。
宇宙の果てなんて。