さようなら。

少しずつ春はどこかへ行って、寒さと暑さが入り交じり、ひたひたと冬が迫り来る。春はもう二度と戻らずに、力を失った指が絡み合う。僕はとにかく悲しい。僕の回りには誰も居なくて、誰も居ないことが寂しいのではなく、冬が近い事が寂しい。自分自身が血管を止めて、自分自身を腐らせていく。もうここには日本語もない。なにかの涙を、なにかの夢を。壊れていくほどの思い出はなく、他の何かが腐っていく。さようなら。さようなら。