天気というものは、見えない。目で見てわかるものではない。明るくても晴れではなく、雲の隙間から君を目指して光が射しただけかもしれない。昼間なのに暗くても、それはただの有り触れた日食かもしれない。そんな中で、音の鳴る天気は素晴らしい。絶え間なく地面に水滴が叩き付けられる音が聞こえたならば、それはおそらく雨だろう。落ちていく無数の水滴の糸が見えたならば、それはおそらく雨だろう。まだ自信が持てないならば、雨をさわりに行けばいい。触って確かめに行けばいい。晴れに触れる事は出来ない。太陽は高く、彼方にある。太陽に触れた人は居ない。けれども雨なら簡単である。雨は天気の中で、一番素敵な天気だと思う。今日は一年のうちで、一番素敵な日だと思う。