2018年4月30日月曜日
2018年4月27日金曜日
Mineskiは如何にしてDAC2018優勝を成し遂げたのか。
先日、中国の上海でDOTA2 アジアチャンピオンシップ(DAC 2018)が開催されました。そのDAC2018において、フィリピンに拠点を置くMineskiは、東南アジア勢としては歴史上初となる、メジャートーナメント制覇を成し遂げます。
DAC2018におけるMineskiの栄冠は、どのようにして成し遂げられたのかを紐解くと同時に、後世にこの偉業を少しでも残しておこうというのが、この文章の目的です。
「Mineskiが優勝したのは何故か。」
いきなり本題です。
そしてそれに対する私の回答は明確です。
強い相手と当たらなかったから。
それに尽きます。
現代のdota2シーンにおいて、強い相手とは、世界最強に君臨する2つのチームを指します。1つは、全員が凶器、3 carryを超えた究極のcarry集団、5 carryのソ連に拠点を置くVersus Pro、通称VP。もう一方は、様々なゲームジャンルの全てのプロゲーマーの中で最高の生涯賞金額を誇る、かつては魔王と呼ばれたkurokyが率い、現在dota2の頂点に立つプレイヤー、miracle-を擁するLiquidです。
LiquidとVP。
この両者の強さは圧倒的です。
様々な要因により、他のライバルチームが弱体化してしまったこともあり、VPとLiquidは、他の全てのチーム相手に60%以上の勝率を残せる、凄まじい強さを誇る最強のチームです。両者は天下を二分する形で、現在のdota2シーンに、圧倒的な覇権チームとして君臨しています。
Mineskiは、世界最強チームと当たりませんでした。
DAC2018のトーナメントラウンドにおいてMineskiはLiquidと対戦せず、また、VPとも対戦することなく優勝を果たします。グループステージで行われたVP対MineskiがMineski唯一の世界最強チームとの対戦機会。そこでは、VPがMineskiを文字通り捻りつぶす形で圧勝しています。
しかし、です。
世界最強Liquidと、世界最強VPが、共にグランドファイナルに辿り着けなかったということは、世界最強チームを打ち倒したチームが存在するということです。しかも、そのチームはどちらか一方に勝ったというわけではありません。なんと、現在のdota2シーンを二分しては君臨する、LiquidとVP、両者に勝利したチームが存在するのです。それが、地元中国のLGD。LGDは勝者側決勝で0勝2敗、グランドファイナルでは2勝3敗と、壮絶な7連戦の末に力尽き、Mineskiの戴冠を許してしまいます。
このテキストは、世界最強の両雄を共に打ち破る快挙を成し遂げた地元中国のLGDが、如何にして、Mineskiに敗れ去ったかを書き記すことに、その全てを費やす事になります。
1,大会期間中にpatchが当たった。
ビデオゲームはpatchによってバランスが変わります。dota2もその例に漏れません。そして、こともあろうか、DAC2018の初日が終了した時点で、予告もなく突然patchが当たりました。わたしがもう少しだけの実直さと行儀の悪い文体を共に有していたならば、口汚くvalveを罵るところです。けれども、そうはしません。わたしは分別のある大人です。冷静に行きましょう。
グループステージの初日が終了した後で、dota2を開発するvalveはdota2にpatchを当てました。最大の変更点は、それまで普通のゲームでは使用可能だったものの、eSports大会用のモードでは使用不可能だった、パンゴリラというヒーローが使用可能になった事です。そして、Mineskiにはシンガポールが世界に誇る変態プレイヤー、iceiceiceが居ました。
iceiceiceはdota史上に残るポジション3プレイヤーです。dotaの16年の歴史の中で、無理矢理ランキングを付けるならば、4位か5位くらいでしょう。そして、iceiceiceは変態です。ただのプレイヤーではありません。変態プレイヤーです。
新しいヒーローが実装されたり、大幅にリメイクされると、iceiceiceは必ずpubでそのヒーローを使い続け、ほぼ全てのロールで無理矢理新ヒーローでプレイします。iceiceiceがpubで見せた、carry ogre mageや、side solo troll、nyx carryなどは記憶に新しいところです。世界中のチームのコーチは、新ヒーローが実装されたならば、まずiceiceiceのリプレイをチェックしにいくとまでうたわれた、あの変態iceiceiceです。
そんなiceiceiceにパンゴリラを与えたらどうなるでしょうか?
他のチームが一切の対策をしていない大会期間中のpatchという最悪のタイミングで、トリッキーでテクニカルな変態iceiceiceが使う為にデザインされたような新ヒーローが使用可能になると、いったい何が起こるでしょうか?
DAC2018において、パンゴリラで勝利したポジション3のプレイヤーは世界でただ一人、優勝したMineskiが擁する変態iceiceiceだけでした。iceiceiceはDAC 2018でパンゴリラを3度使います。DAC 2018におけるパンゴリラの戦績は、3勝7敗でした。
Mineski 対 LGDの7連戦において、パンゴリラは2度pickされ、2度BANされました。残る3ゲームのうち2ゲームは、LGDのchaliceというプレイヤーを巡る特殊なpick&ban進行があったので、7連戦においてパンゴリラが無視されたのは1ゲームだけという、惨状。そう、言葉で言い表すならば、それはもはや惨状でした。
DAC2018の期間中、iceiceiceはパンゴリラをx回BANされます。
他のチームのpick&banは、大会期間中、パンゴリラ対策が一切出来ていない状態でのパンゴリラ実装によって、滅茶苦茶になってしまいました。それによって利益を得たのは、変態iceiceiceを擁するMineskiただ1チームだけだったのです。
これが、もう少しまともなタイミングでの実装であれば、「変態iceiceiceというプレイヤーを獲得していたMineskiの勝利」と言うことも出来るのですが、グループステージ初日終了後という、あまりにも酷いタイミングであるが故に、そのようにiceiceiceを称えることも出来ません。ひどいはなしも、あったものです。かなしい話です。
2,LGDは何故負けたのか。
勝因は時として不思議であるが、敗因は常に明確であると、eSportsではないスポーツの有名な監督が、繰り返し口にするのを、いつかどこかで耳にしました。曰く、勝ちに不思議の勝ち有り、負けに不思議の負け無し。ならば、グループステージ初日終了後のpatchによるパンゴリラ実装は、正しく不思議の勝ちに分類されます。そして、LGDには不思議では無い負けが存在しています。明確な敗因があるのです。LGDが負けた理由。LGDの敗因。
それは、マネジメントです。
かつて、中国には「dota10年の歴史の中で最大の才能を持ったプレイヤー」とまで評された人物が居ました。現在LGDのポジション2(mid)を務めている、maybeです。Naviのdendiが築いた永遠に続くかに思われたdendi時代を終わらせるはずだった人物であるmaybe。そんなmaybeを獲得しながら、僅か2ヶ月でkick(解雇)したチームがありました。
DAC2018におけるLGDの快進撃を成し遂げたmaybe。
そのmaybeを僅か2ヶ月でkickしたチーム。
それが、LGDです。
LGDはmaybeを獲得しながら、「maybeはこの2ヶ月の間、一度も優勝出来なかった」というわけのわからない理由でkickしてしまいます。なお、maybeはその2ヶ月間で世界のトップシーンにおける存在感を増し続け、最終的にはメジャートーナメントにおいて、当時の世界最強チーム相手に2勝3敗で準優勝を成し遂げる所まで行きます。LGDはそのmaybeを、「この2ヶ月の間、一度も優勝出来なかった」としてkickした上で、他のチームがmaybeを奪い去れないようにと、急造の2部チームを作成し、maybeを契約で雁字搦めにした上で飼い殺しにする事を選択します。
そのLGDの二軍チームにおいてmaybeは、トッププレイヤーとは言い難い雑にかき集められた二流の集団を率い、何度もLGDを倒したばかりに収まらず、過酷な中国予選を勝ち抜いて世界大会に出場し準優勝するなど、maybeという一人の才能の存在により、LGDの二部チームは後にThe Internationalで準優勝するなどの成績を収めるまでの成功を手にします。
一方その頃LGDは、maybeをkickしたあと、新しくとったプレイヤーを「maybeはこの2ヶ月の間、一度も優勝出来なかった」というのとほとんど同じレベルの理由により、とっかえひっかえ、kickしては新たなプレイヤーを獲り、kickしては新たなプレイヤーを強奪し、ということを際限なく繰り返し続けます。LGDのマネジメントの酷さは枚挙にいとまがないのですが、DAC2018におけるLGDの快進撃を生み出した、他ならぬmaybeを、「この2ヶ月間優勝出来なかった」という理由によりkickしたという過去を述べるだけで、その酷さは十二分に伝わるでしょう。
Mineskiは大会期間中のpatchで勝ち、
LGDはマネジメントで敗れた。
では、具体的にはどのように?
いよいよ、本題であります。
Mineskiが勝利し優勝するよりも前に、
LGDが敗れ去り準優勝に終わるよりも前に、
DAC2018では重大な出来事が発生していました。
それは、LGDの奇跡的な快進撃です。
世界中どのチームを相手にしても、60%以上の勝率を残せる無敵のチームであるVPとLiquid。グループステージにおいて、Mineskiを踏みつぶした世界最強VPと、そのVPにトーナメントラウンドで2勝0敗で勝利した世界最強Liquid。この両者を、LGDは打ち破ったのです。これは、想像を絶する奇跡的な快進撃でした。Mineskiの優勝よりも、LGDの準優勝の方が、私達にとっては、そして現代のdota2シーンにとっては、衝撃的な出来事だったのです。
果たして、LGDは如何にしてLiquidとVPに勝利したか。
答はmaybeの一語で事足ります。
LGDの勝因は、LGDにmaybeという、dota10年の歴史の中で最大の才能が存在していた事です。なお、dotaの歴史は16年です。maybe以後の6年間で、maybeを超える才能が生まれてしまい、LGDにkickされて時間を無駄にしたmaybeは天下を獲り損ねてしまうのですが、それはまた別の話。ここでは、世界最強Liquidには、現在dota2シーンの頂点に君臨するmaybeを超越したプレイヤー「One man dota allstars」こと、miracle-が所属している、という事だけを記して話しを戻します。
昨年、LGDは自分達の二軍チームから、一人のプレイヤーを昇格させます。
そのプレイヤーの名はYao。所謂Yao先生です。
Yao先生は、LGDの黄金時代を築き、「万年二位のLGD」を作り上げた功労者です。iGにチームのプレイヤー4人を引き抜かれ、残された一人のプレイヤーもモチベーションを失う中で、キャプテンxiao8という伝説のpickerに率いられ、世界二位の地位を維持し続けたdota2黎明期のLGDにおける、最強のプレイヤーです。往年のLGDが世界に誇った、当時の世界最強プレイヤーの一人です。
けれども、LGDがyao先生を再獲得した時点におけるYao先生は、往年の輝きは見る影もない、トップシーンにおける断トツのワーストプレイヤーでした。なぜ、そんなプレイヤーをLGDは二軍から一軍に引き上げたのか、それは、義理人情であり、論功行賞です。
あの頃のLGDは、iG、Navi、Alianceといった目の上のたんこぶに邪魔される形で、遂に大きなタイトルを手にすることは出来ませんでした。さらに、Yao先生が世界最強プレイヤーの一人だった時代のdota2シーンは、まだ立ち上がったばかり。賞金も今のようには高くなかったのです。
そんなYao先生に、賞金を稼がせてあげよう、タイトルを獲らせてあげよう。世界中の強豪チームが様々な理由により迷走している今ならば、Yao先生を使ってもタイトルを獲れるチャンスがある。そう考えたLGDは、義理人情により、論功行賞により、Yao先生を一軍に引き上げたのです。もしもYao先生が存在しなければ、LGDはdota2から撤退していたかもしれません。そんなifが簡単に想像出来るくらい、当時のyao先生はLGDにとって特別なプレイヤーだったのです。
キャプテンxiao8の用心棒として、プレイヤーとしては平凡なxiao8が太刀打ち出来ないプレイヤーが相手に来た際には、xiao8とポジションを交換して、xiao8が絶対に勝てないような相手と対峙し、LGDの黄金時代を成し遂げたYao先生に、賞金額がインフレした現代シーンで稼がせてあげたい。そんなLGDの人情人事は、一定の成功を収めました。LGDに再加入する以前からトップシーンにおけるワーストプレイヤーであり、LGD在籍時もトップシーンにおけるワーストプレイヤーであり続けたYao先生を抱えながらも、LGDは昨年のThe International 7で四位という好成績を収め、LGDは巨額の賞金を手にします。Yao先生がLGDにおいて、dota2チームを解散させない為の勝利を積み重ねるという、最も重要な仕事を成し遂げた当時の大会の優勝賞金は、僅か1000ドルやそこら。当時のdota allstarsは、完全に死んだゲームだったのです。Yao先生の全盛期は、dota2がリリースされる以前、あるいはちょうどリリースされた頃まで遡る、むかぁしむかしの話なのです。
yao先生を義理人情で昇格させたLGDはどうなったでしょうか?
まったく勝てませんでした。
あたりまえですね。
LGDはyao先生をkickします。
「どこが義理人情なんでしょうか」
と書いてしまうと、話に支障が出てしまうかもしれません。少なくともYao先生は、当時では考えられなかった額の賞金を稼ぐことに成功したわけですから、LGDの義理人情は確かに義理人情として成立した、という見方も可能です。けれども、殿堂入りして然るべきチームのレジェンドに、LGD最大の功労者に、「yao先生が弱すぎて優勝出来ない」という恥をかかせるのが、人情なんでしょうか?他に道は無かったのでしょうか?Yao先生が弱いが故に勝てなかった他のプレイヤーのキャリアはどなるのでしょうか?マネジメントとは、勝利を追求するものであって、義理人情で行うものではないと私は考えます。そもそも「2ヶ月もの長きにわたり優勝出来なかった」という理不尽な理由でmaybeをkickしたチームがやることでしょうか。LGDのマネジメントは、この10年間ずっと、世界最悪の地位を維持し続けています。彼等は、でたらめにプレイヤーを強奪し続け、でたらめにプレイヤーをkickし続け、中国が誇る才能を使い捨て、消耗させ続けることが、マネジメントだと思っているのです。
そんなわけで、yao先生は「チームのワーストプレイヤーだから」という理由により、LGDを追われます。当たり前ですね。LGDが昇格させた時点で既に、yao先生はチームどころかトップシーンにおけるワーストプレイヤーだったのですから。
LGDがyao先生をkickしたのはこの1月。LGDが現在のメンバー構成になったのは、今年に入ってから、つまりDAC 2018におけるLGDは、急造チームでした。LGDで変更になったプレイヤーはYao先生だけではありません。
ポジション4プレイヤーの方が貴重であるとの理由から、ポジション3で成功を収めていたfyというプレイヤーがポジション3にスライドするなど、ポジション1と2を除く3つのポジションでプレイヤーが変わりました。
同じポジションでプレイし続けていたのは、ポジション1のameと、ポジション2のmaybeの2人だけ。DAC 2018において、グループステージで低調な内容に終始したLGDが、トーナメントラウンドを迎えるにあたり、ameとmaybeの2人と心中するという戦略を選択したのは、当然の帰趨だったのかもしれません。それを生んだのは決断ではなく、その決断に至までの、世界最悪のマネジメントでした。LGDは、世界最悪のマネジメントのつけを、よりによって自国開催のグランドファイナルで支払わされる事になります。
3,LGDの快進撃
LGDの快進撃は、maybeによって生み出されました。
dota10年の歴史の中で最大の才能を持ち、世界で最もレベルが高く、世界で最もプレイヤー人口が多い中国サーバーで、異次元のプレイを見せ続けた最強プレイヤーmaybe。グループステージで煮え切らない戦績と内容を残してしまったLGDは、全てをmaybeに賭けることにします。そして、maybeは賭けるに値するプレイヤーであり、maybeはその期待に完璧に応えます。
maybeは、"One man dota allstars" miracle-を擁するLiquidを、10キル0デスの完璧なスコアで無慈悲に叩きのめし、"捕食者Ramzes666"を擁する全てを粉砕する5carryのVPを、累計33キルという圧倒的な破壊力で逆に粉砕して見せます。
トーナメントラウンドにおける、世界最強の両者を相手にしたmaybeの戦績は、57キル、23デス、64アシストで4勝2敗。maybeの万能性を調整役として用いようとして失敗に終わったグループステージの結果を見て、maybeをチーム唯一の最強の主砲として用いるという戦略転換を行ったLGDの判断の正しさと、それに応えたmaybeの勝利でした。
ところがです、このLGDの快進撃の裏で、犠牲になったプレイヤーが存在しました。それが、ポジション3のchaliceです。現代のdota2では、ポジション3プレイヤーの地位は相対的に低下しています。なぜならば、現在のdota2は、所謂tankが有利な環境だからです。
tankという概念は、テンセントのLeague of Legendsというゲームが作ったものです。League of Legendsは元々はdotaを作っていた人がdotaを離脱して作ったゲームなのですが、「初心者にわかりやすいゲームを作る」という事を公言し、様々な初心者が"わからん殺し"される要素を弱体化した一方で、初心者にとって遊びやすい要素を数多く導入します。その一つが、"tank"でした。
dotaには存在しなかった、魔法耐性を上げるアイテムを導入し、耐久力が上がるアイテムに様々な特殊効果を付け加え、「どうぞ、耐久力をあげてください!それは、LoLにおいて、強い選択肢です!」という態度を明確にしめしました。
「相手が現れた瞬間に自分は死んでいる」
という初心者が最もゲームを投げ出したくなる理不尽な状況を、ゲームから削除するように努めたのです。tankは、League of Legdensが初心者にプレイを継続させ、世界的に大きな躍進を遂げた、最大の要因の一つです。tankとは、素晴らしい要素です。それが故に、dotaはプレイヤー人口の減少期を迎えるにあたり、あわてて、「私達も初心者優遇します」とばかりにLoLのアイテムを、そっくりそのまま露骨にコピーするという下劣な策を用いて、tankが有利な環境を作り出しました。
そんなtankにも弊害があります。
死ななくなる事です。
死ななくなるとどうなるでしょうか?
tankは、延々と死のリスクを局限まで低下させた状態で、のんびりレベリングを続けます。5分、10分、15分。dotaは長いゲームです。時として20分、25分……。人数をかけて相手にしたら、人数をかけた分だけ損をするので、無視するしかありません。tankは放置されます。ずーっと、レベリングしてるだけです。ずっと、farmをしているだけです。けれども対面に誰もいないとまずいので、誰かを配置する必要があります。誰を配置するでしょうか?それは当然、tankです。tankの対面にtankがいて、1vs1の状況下では、2人とも死ぬリスクは0です。tankは硬いです。火力なんてたかがしれています。dotaのtankは、近年になって慌ててLoLから、形だけパクったものですから、LoLのtankよりも遙かに低い火力しか出ません。ダメージスキルを1つしか持たないtankと、ダメージスキルを1つしか持たないtankが、お互いに「1対1では絶対死なないから、別に囲まれて死ぬなら死んだっていいし」という投げやりな態度で、時々己のハンドスキルの高さをアピールする為にお互いの体力を2割3割削るなどして、ずっとfarmしているだけ。そんな事が許されてしまうのが、現在のバージョンのdota2における、ポジション3です。
以前のポジション3は違いました。
ポジション3とは、相手の布陣を乱すために、真っ先に仕掛ける疾風の矛だったのです。現在のポジション3は、死ぬリスクをが0のまま、対面とだらだらいちゃつき続け、チームファイトの為のtankアイテムを買い進めるだけの、退屈なロールなのです。
だからこそ、LGDは考えました。
「現在のdota2における最も退屈なロールならば、今年になってトップシーンに初参戦した、chaliceという経験の浅いプレイヤーでも簡単にこなせるはず!」それは、大正解でした。LGDはトーナメントラウンドにおいてchaliceに対し、dota2における最も退屈なポジションの中でも、最も退屈で負担の少ない、プレッシャーのかからない役割を割り振り続けます。
その一方で、困難な役割を担当する事になったのは、ameとmaybeという、トップシーンにおける、名声も、実績も、経験も、その他全てを兼ね備えた百戦錬磨の強者。中国が誇る最強のプレイヤー2人でした。maybeは彼が特別な存在であった頃の輝きを取り戻すかのように躍動し、現代シーンを象徴するプレイヤーを千切っては投げ、千切っては投げます。ameはグループステージで担当したDPS所謂アタックダメージキャリーではなく、チームの扇の要としての、飛び道具(所謂initiator)や、チームのバランスを取る為のヒーローなど、様々な役割を担当してはその全てを、世界中他の誰一人として真似出来ない完成度で完璧にこなし、中国server最強の猛者としての懐の深さを見せつけます。
一方その頃、難しい役割を完全に免除されたポジション3のchaliceは、mobaにおいて最も気楽で簡単な、死ぬリスクがなく、死んでも別にいいよという、tankという役割を、黙々とこなし続けます。それは、素晴らしいと書くに値する内容でした。tankは簡単な仕事ではありますが、世界最強のチームを向こうにまわし、簡単な事を簡単に行ってみせるのは、実は案外案外難しいものです。それが出来れば、あなたも私もトッププロです。トップシーンにおいては、僅か3ヶ月ほどの経験しか持たないchaliceは、トッププロとしての資質とクオリティを見せ続けたのです。
ところが、LGDの快進撃が止まります。
世界最強Liquidを打ち負かして勝ち上がった勝者側決勝戦において、LGDは、Mineskiに敗れます。敗因はchaliceでした。
4,シンガポールが世界に誇る変態プレイヤーiceiceice。
トップシーンにおいて、ポジション1から5まで、全てのポジションを務めた事があるプレイヤーを、思い浮かべてみて下さい。dotaを長く見て来た人の頭の中には、幾つものIDが浮かんでは消えるでしょう。そう、消えるでしょう。
何故ならば、そんなプレイヤーは存在しないからです。
血で血を洗うeSportsのトップにおいて、5つのポジションを務めるなんてことは、常人には不可能です。全てのポジションで結果を出すとなれば、それはもはや、神でも悪魔でも不可能です。世界を闇で覆い尽くした、あの魔王kurokyにだって、そんなことは出来やしません。ところが、世界に一人だけ、それを成し遂げた男が居ます。変態です。変態iceiceiceです。
勝者側決勝、chaliceの眼前に一人のプレイヤーが立ちます。
dota唯一にして、dota最強の変態プレイヤー、iceiceiceです。
iceiceiceを擁するMineskiは、LGD戦の必勝法を見いだしていました。それは、chaliceをiceiceiceで潰す事です。他に類を見ない魔術的な器用さと多様性を持つ、変態としか形容の出来ない、酸いも甘いもかみ分けた長いキャリアを持つ、百戦錬磨の変態iceiceiceはLGD戦で、chaliceがこれまで務めてきた役割を、そっくりそのまま乗っ取ります。
Mineskiは、iceiceiceiをchaliceとして用いたのです。
Mineskiはiceiceiceから難しい役割を完全に免除しました。dotaにおいて最も気楽で簡単な、どうでもいい役割を割り振ったのです。死ぬリスクがなく、別に死んでもいいから勝手にやっててという役割を、こともあろうか、あの、iceiceiceに割り振ったのです。dotaにおいて、最も退屈な役割を、他ならぬiceiceiceに担当させたのです。dota2史上最強にして唯一の変態プレイヤーiceiceiceを、chaliceとして扱ったのです。
現在のMineskiが抱える、チーム最強の武器であるiceiceiceに、そんな退屈でどうでもよい役割を割り振って、Mineskiが勝てるはずがありません。けれども、です。そうはなりませんでした。
先ほど述べたように、tankにはtankを当てるのが定石です。鉄板の対応です。どうでもいいtankには、どうでもいいtankを当てて、お茶を濁すというのが定石なのです。他の選択を行うと、高い耐久力を背景とした大胆なレベリングと、リスクとしてのデスを考慮しなくていいtank相手にラストヒット戦で負けてしまい、収支で大きく不利になってしまいます。
「iceiceiceをchaliceとして用いる」という、Mineskiのtank戦略に対して、tankを返します。tankを担当するのは当然chaliceです。けれども、最も簡単なtankヒーローは場に存在しません。何故ならば、Mineskiが1st pickで拾ったからです。
どうでもいい、くだらない、退屈な、猫も喰わないようなヒーローを、Mineskiは1st pickで確保していました。これはLGDにとって、想定外の事態でした。
唯一にして無比たる変態、iceiceice。
そんなプレイヤーの為に、どうでもいい、くだらない、退屈で猫も喰わないようなヒーローを、貴重な1st pickを消費してまで確保するなど、下策の下策、愚の骨頂でした。LGDはMineskiの、あまりにも愚かな自殺行為の愚策を完全に無視します。当然です。
Mineskiの「1st pick退屈なtank」を完全にを完全に無視したプレイヤーは、チーム内の重要なプレイヤーから順番にpickしていきます。chaliceはどうでもいいので、最後に残されました。dotaには切り札としてのlast pickも存在するのですが、Mineskiの愚策を確認出来たからには話は別です。Mineskiの弱すぎる1st pickに対して、強いプレイヤーの強いヒーローを、相手にBANされてしまうよりも前に確保する事がLGDの急務でした。
Mineski対LGDの勝者側決勝。
第一ゲーム、第二ゲームとも、
全く同じpick&ban進行です。
・1st pick退屈なtankをiceiceice。
・それを見たLGDは強ヒーローの確保を急ぐ。
・chaliceはどうでもいいので後回しのlast pick。
そして、第三ゲームが行われる事は終ぞありませんでした。
LGDは0勝2敗でMineskiに敗れ、ルーザーズに叩き落とされます。
5,iceiceiceの勝因。
話は2年ほど前に遡ります。
当時のdotaには、幻の最強キャラクターが存在しました。
それが、「China pub lycan」です。
ようは、中国のパブにおけるライカンです。
バージョンは、7.00。
>>
弱体化 Agility gain from 1.5 to 1
弱体化 Howl mana cost from 30 to 40
弱体化 Howl cooldown increased from 50/45/40/35 to 55/50/45/40
弱体化 Howl mana cost increased from 15/20/25/30 to 30
弱体化 Lycan Level 10 Talent reduced from +20 Damage to +15 Damage
弱体化 Lycan agility gain reduced from 1.9 to 1.5
弱体化 Reduced All Stats modifier from +4 to +2
弱体化 Recipe cost increased from 725 to 800
弱体化 Helm of the Dominator All Stats from 6 to 4
弱体化 Helm of the Dominator creeps now give a constant 125 gold bounty
<<
どのくらい強かったかは、上記の弱体化を見ればわかります。全て、china pub lycanに絡んだ弱体化です。中国のパブの頂点における勝率は、9割程度。他の地域のサーバーでは、強さが知れ渡る前に弱体化されてしまいました。僅か八日間の、幻の最強キャラクターでした。
どういうヒーローだったかというと、ゲーム開始と同時にタンクアイテムを買ってジャングルクリープを手下として使役し、序盤も序盤の段階で、自分のレーンのタワー2本と、midのタワー1本を割ってしまい、ゲームがゲームとして成立するまえに、消化試合に変えてしまうヒーローです。その、幻のchina pub lycanが、iceiceiceの手によって蘇ります。
1st pickでiceiceiceの為に、レーンをベタ押しする為のtankヒーローをchaliceから強奪していたMineskiは、iceiceiceに「別に死んでもいいからレーンをベタ押ししてください」という、絶望的に退屈な役割を担当させます。そのiceiceiceを向こうに回して、手も足も出なかったプレイヤーがいます。chaliceです。chaliceはiceiceiceに手玉に取られる形で、ゲーム開始と同時に「自分が何をすればチームに貢献出来るのか全くわからない」という状況に陥り、その存在が完全に消えてしまいます。
Mineskiのpick&banを見てLGDが選択したのは、自分達の強いプレイヤーに、強いヒーローを確保することでした。「iceiceiceが猫も跨いで通るレベルの退屈なtankヒーロー、即ち弱いヒーローをを選択したんだから、自分達は強いヒーローを確保しよう」という考えです。それにより、chaliceのpickは後回しにされ、ラストピックで「iceiceiceの選択よりも、さらに退屈でさらに簡単なtank」を割り振られます。iceiceiceのベタ押しを、押し返せるだけのヒーローは既に残っておらず、iceiceiceのでたらめさと精密さをあわせもつ、変態挙動に対応出来るだけのプレイヤーパワーをchaliceは持っていませんでした。
そして何よりもchaliceは、自らの陥っている状況をチームメイトに伝える術がありませんでした。何故ならば、DAC2018において、いや、chaliceがLGDに加入して以降、chaliceは「一生懸命頑張ってくれればいい新人」という扱いを受けてきたからです。
「私はiceiceiceにやられている」
「チームにとって深刻な事態に陥りかけている」
「こうしてくれればiceiceiceに勝てる」
ということを、チームメイトに伝えるだけの発言権を、chaliceは持たなかったのです。それは、chaliceの一挙手一投足から、悲しいまでに伝わってきました。LGDの快進撃を陰で支えてきたchaliceは、目の前に隆起する深刻な事態に対して、「これまで通りプレイしていれば勝てる」と自らに頑なに言い聞かせるように右往左往してはiceiceiceに手玉にとり続けられるだけで、第1ゲームが終わってしまいます。それは、あっという間の出来事でした。
iceiceiceは一度も死なず、LGDが誇る最強のmaybeは2キル2デス2アシスト。LGDは、5人全員が、ゲームをプレイする事なく、席に着いただけで敗北します。
iceiceiceはその為にドミネーターというアイテムを用いました。プレイヤーとしての能力に問題があり、失敗しているプレイヤーが、その失敗を補う為に、自分ではなくチームメイトに活躍を託す為のアイテムである、ドミネーターというベタベタなメタアイテムを利用して、LGDにゲームをさせることなく2キル0デス9アシストの内容で完勝します。
現在のバージョンにおいて、トップシーンにおけるドミネーターは、購入すると勝率が10%下がるアイテムです。世界中のプロチームのほとんどは、チーム内にうまくいっていないプレイヤーを抱えており、そのうまくいっていないプレイヤーが購入するアイテムです。世界最強レベルのプレイヤーを抱えるチームは、ドミネーターを購入しません。
たとえば、Liquidのmind_controlという世界最強のポジション3は、ドミネーターを購入しません。EGのSumaiLという昨年の夏までは世界最強のmid lanerだったポジション3は、ドミネーターを購入しません。5carryで全てを踏みつぶす世界最強VPのポジション3である9pasは、ドミネーターを購入しません。世界最強のポジション3になるはずだったyangという中国で最も刺激的なポジション3はドミネーターを購入しません。世界最強EGを支え続けた現FnaticのUniverseというかつての世界最強ポジション3は、ドミネーターを購入しません。
ところが、世界中の、ほとんどのチームには、最強のポジション3なんて居ません。ドミネーターという、退屈でくだらない、勝率が10%下がるアイテムに頼らなくていいポジション3は、世界中探し回っても、ほとんど存在しないのです。
かつてトップシーンにおける勝率が30%台に落ち込みながらもpickされ続けたundyingやrasta、Jakiroやbatなどと同じように、失敗しているプレイヤーが頼り縋って買うアイテム、それがドミネーターなのです。なお、全てを踏みつぶす5 carryの世界最強VPはドミネーターを誰も買いませんが、同じ世界最強のLiquidはドミネーターを買います。Liquidでドミネーターを買うのは、ポジション1で勝てないから2に行き、2でも勝てないから1&2手兼任となっている、マツンバマンです。Liquidのポジション3は世界最強のポジション3なので、当然ドミネーターは買いません。
さて、iceiceiceはどうでしょうか?
ドミネーターを購入する事で勝率が10%下がる世界最強プレイヤーでしょうか?それとも、ドミネーターを頼り縋って買う事で、勝率が5%上がる平凡なトッププロでしょうか?こたえは、既に、あなた方の頭の中にあります。そうです。変態プレイヤーです。dota16年の歴史の中でただ一人、変態という言葉を持って形容される、唯一にして無比なる変態。それが、iceiceiceです。
「的確な行動をすれば、的確な行動をするだけリターンを得られるヒーローを担当すれば強くなる」というのが、トップシーンにおける最強プレイヤーです。iceiceiceは違います。常道を外れた挙動を行うことで、相手を手玉にとるタイプのプレイヤーです。純粋な最強プレイヤーではありません。
ドミネーターは、ジャングルクリープを自らの手下として使役する事が可能になるタンクアイテムです。dota2には、ジャングルクリープを自らの手下として使役する事が出来る、chenというヒーローが存在します。そのヒーローを、トップシーンで使った経験を持つポジション3は、iceiceice以外に存在しません。
全ての点が、線で繋がりました。
iceiceiceは常人ではありません。世界中にその名を馳せた最強プレイヤーが担当すれば、弱くなるであろう退屈で消極的な選択肢を担当しても、弱くならないという、特殊なプレイヤーだったのです。iceiceiceがchaliceを相手にして行ったプレイは、それまでLGDが快進撃の中で使ってきたメインタクティクスでした。LGDのメインタクティクスである「ポジション3に簡単でプレッシャーの少ない役割を」というtankタクティクスは、現在のバージョンにおいて非常に有り触れたものです。そして、先ほど述べた世界最強のポジション3プレイヤーらは見向きもされない、二線級の消極的な選択肢です。
何故、そんなものにLGDは敗れたのか。
属人性。
その一語に尽きます。
シンガポールが世界に誇る変態プレイヤー。
けれども、勝者側決勝は1本先取ではありません。
2本先取です。
まだ終わっていません。
自国開催のDAC2018において、世界最強の2チームを共に撃破するという、破竹の快進撃を見せ続けたLGDには、まだ後がありました。
6,LGDが頼った先。
勝者側決勝の第二ゲーム。
Mineskiのpick&ban進行は、第1ゲームと全く同じでした。iceiceiceに、LGDの快進撃を陰で支え続けたchaliceがやっていた退屈な役割を割り振ります。それに対して、LGDのpick&ban進行もまた、第1ゲームと全く同じものでした。LGDは、自分達の持てるpickの中で、最強のpickを選択し続け、chaliceを除く4人に、最強のヒーローを割り振ろうと、BANされそうな所から順にpickしてゆきます。最後に残されたのはポジション3、chaliceでした。
last pick。
プレイヤーはchalice。
LGDの選択は、バットライダーでした。
この瞬間に勝敗は決していた、というのは些か大げさでしょうか。
第1ゲームにおいて「tank vs tankでは、iceiceiceというdota仙人に新人chaliceが手玉に取られて負けてしまい、ゲームが成立しない」という事実を冷静に分析し、chaliceにtankではない役割を任せました。それが、バットライダー。
バットライダーはtankではありません。DAC2018において快進撃を続けたLGDにおいては、ameとmaybe、さらには後衛の2人のプレイヤーが分担して持ち回りで担っていたイニシエーターという役割です。
chaliceは、その役割を、合格点でこなしたと言えるでしょう。ただし、それは決して絶賛に値するという内容ではなく、合格点にしかすぎませんでした。そしてなによりも、現在のバージョンは、dota2が安易にLoLのtankアイテムをインフレさせた上で完全コピーする形でパクった事によって生み出されてしまった、tankメタだったのです。batはタンクではなく、iceiceiceはタンクでした。
属人性。
「これがiceiceiceでなければLGDは勝てていた」
勝者側決勝を見終えたとき、わたしはそう、思ってしまいました。それは、iceiceiceが居なければMineskiは敗れていたという事を意味します。かつて所属していた中国のViciというチームにおいて、造反という言葉を持って言い表された尋常ならざる低迷を見せ、チームを解散に追い込み、中国の栄光と中国の未来を闇に葬った、中国の仇。中国の大敵。そんなiceiceiceは長い低迷を脱し、復調傾向にありました。そのiceiceiceが、復調ではなく、復活を成し遂げてしまった。遂に、あの男が蘇ってしまった。わたしはそう思い、私はそう喋りました。「iceiceiceが居たからMineskiは勝った」
それは、世界中のトップチームにまばらに存在する、片手で数えられる程の、精密で繊細なプレイが可能で、リスクとリターンを常に頭に入れて正しいプレイを選択しようと試みる、幾人かの特別な才能を持つ世界最強を争うポジション3プレイヤーよりも、人を喰ったような行動を選択しては、相手を煽る課金エモートを打ち鳴らしながら当然のように頓死していくという、常軌を逸した不可解で意味不明な行動を繰り返すiceiceiceの方が、dotaというビデオゲームにおいては強いということなのです。
そうです、あの男が蘇ってしまったのです。
DK dream teamの最強プレイヤー、変態iceiceiceが。
7,グランドファイナル。
けれども、LGDは終わっていませんでした。
何故ならば、LGDは敗者側決勝において、5carryで全てを踏みつぶしてきた世界最強VPに対して、2勝1敗で勝利して、中国を歓喜と熱狂で包み込みながら、グランドファイナルへと舞い戻ってきたからです。グランドファイナルは3本先取。Mineskiの手の内はばれています。1日夜を跨いで、対策を考える時間も十分にありました。グランドファイナルの初戦、LGDはMineskiに勝利します。膠着した試合展開を打ち破ったのは、ameとmaybeという、LGDの二枚看板でした。それにより、Mineski対LGDにおける、変態iceiceiceの属人的な強さという現実と併走する、もう一つの現実の存在が浮かび上がります。
その現実とは、LGDのポジション1とポジション2が、Mineskiのそれよりも遙かに強いという、揺るぎがたい現実でした。Mineskiのポジション1とポジション2は、弱かったのです。そして、LGDは、他ならぬそこが強かったのです。
初戦、mobaはハックアンドスラッシュです。
レベルを上げて、物理で殴るゲームです。
ポジション1(所謂ADC)と、
ポジション2(所謂solo mid)のゲームです。
サブアカウントで格下の相手に得意気に勝って配信で稼ぐ、元プロプレイヤーを見て下さい。みんな、ポジション1かポジション2をやりたがります。mobaとはそういうゲームです。「自分の力で勝ちたければ1か2をやりましょう」と、まるでハウトゥーのように書かれています。
即ち、LGD 対 Mineskiの勝負の行方は定まりました。
ポジション3で勝るMineski。
ポジション1と2で勝るLGD。
LGDが勝つのは自明の理です。
第1ゲームにおいて、LGDはそれを証明します。
一晩かけてLGDが考えたpickは、maybeとameの2人が、レベルを上げて物理で殴るという、ガッチガチのハックアンドスラッシュ戦略でした。初戦ハクスラというのは、攻撃力と攻撃速度とアーマー低下を重ねて相手を殴るのが最強という、単純なゲームのジャンルなのです。そして、mobaとは、RTSという複雑なゲームではなく、単純なゲームをやりたいという人々の欲望によって、その隆盛を極めたビデオゲームの1ジャンルなのです。
ameは8キル1デス。
maybeも8キル1デス。
中盤まで一見すると硬直していたかのように見えるゲーム展開は、ameとmaybeの両者が後半戦用の武器を手にした瞬間に崩れました。太古の世界最強チーム、DK dream teamの最強プレイヤー、変態iceiceiceが完全復活だなんてのは、ただの幻だったのです。世界中が騙された、幻覚であり、ただのボタンの掛け違え、サイコロの出目が悪かっただけなのです。もちろん、嘘です。
続く第二ゲーム、LGDは何も出来ずに敗れます。
LGDの敗因は明確でした。
maybeです。
何故、maybeが「天下を取り損ねた男」なのか。
何故、maybeが天下を取り損ねたのか。
それは、maybeはその長いキャリアの中で、常にライバルの存在せぬ、無敵の存在だったからです。maybeが獲るはずだった天下を、盗み去り奪い取り見る者全てを絶望させた"絶望の化身"の異名を持つArteezyと比較しても、maybeは圧倒的に優れたプレイヤーでした。少なくとも、レベルを上げて物理で殴るというゲームにおいて、maybeの勝負勘とハンドスキル、さらには操作ミスをする確率の低さや、的確に相手を殺し続けるマップ上の大きな挙動など、dotaにおいて優れたプレイヤーを構築する全ての要素において、maybeはArteezyを凌駕していました。
Arteezyがmaybeに勝っていたのは、死に続けるセンスと、マップ上を逃げ回るセンスだけ。もちろんそれは当時のバージョンにおいては決定的なセンスであり、「逃げ回るセンスと死ぬセンスによってチームを勝利させるArteezy」という時代を嫌がったvalveのpatchによってArteezyの時代は終わりを迎えます。
"純粋な強さ"という単語が何を意味するのかを僕は知りませんが、"純粋な強さ"においてmaybeは、天下を取り損ねてなお、圧倒的なものを持っていたのです。けれども、それも、過去の話です。遠い昔に過ぎさった、むかしむかしのお話です。valveのpatchによってArteezyの時代が終焉して幾年月。もう、随分と前から、maybeは圧倒的なプレイヤーではありません。極めて平凡な世界最強プレイヤーの一人です。
maybeが圧倒的だった時代は遠い昔に終わりました。けれども、maybeが圧倒的だった時代は、あまりにも長すぎたのです。それ故に、maybeは今も尚、「自分は触れようとする者全てを破壊する、圧倒的なプレイヤーである」という振る舞いをします。その振る舞いは「maybeは雑である」という表現を持って言い表す事が可能です。
自分がいいプレイをしなければチームが負けてしまうという場面においても、maybeは普段通りのプレイをします。他の素晴らしいプレイヤーならば、最悪の事態を想定して、自分が不利な状況に陥る事で招いてしまう敗北の可能性を、1パーセントでも減らそうという挙動をとります。けれどもmaybeは違います。それはまるで暇人が、暇つぶしの為にゲームをしているかの如く、「来るなら来れば?」というポジションを選択し、挙動を選択し、チームの勝利の事など気にもかけません。
もちろん、maybeだって勝ちたいでしょう。
真剣に勝利を追い求めているでしょう。
けれども、maybeの体の中には、触れようとする相手を全て破壊する事が出来た時代の感覚が、血となり肉となり染みついているのです。そして、それが、よりによってグランドファイナルの大事なゲームで顕在化してしまいます。チーム一丸となって、チームオーダーを組む事によりmaybeにキーアイテムを入れたLGDは、maybeがキーアイテムを抱えて、雑に(雑にとしか形容出来ない形で)頓死し続ける事で、何も出来ずに敗北します。
「LGDのポジション2maybeは、Mineskiのポジション2のnanaよりも遙かに強いからLGDが勝つ」。そんなものは、卓上の空論でした。それを成し遂げられるのは、あの頃のeSportsシーンにおけるmaybeであり、2018年のeSportsシーンは、あの頃よりもずっとレベルの高い、血で血を洗うビッグビジネス。大Eスポーツ時代なのです。
1勝1敗で迎えた第3ゲーム。
ame、9キル1デス9アシスト。
maybe、9キル2デス10アシスト。
所詮mobaはハックアンドスラッシュ。
レベルを上げて物理で殴るゲームでした。
maybeのワンパンでMineskiは消し飛びます。
話は少し遡りますが、0勝2敗でLGDが敗れた勝者側決勝において、LGDは2ゲーム共にGyroというヒーローをpickします。gyroは、DAC2018が始まった時点において、トップシーンにおいては最強のヒーローだというのが、衆目の一致するところでした。そんな強キャラクターであったgyroですが、グループステージ初日終了後のpatchによって、致命的な弱体化を喰らっています。LGDは勝者側決勝で、2ゲーム続けてgyroを選択して敗れた事で、敗者側決勝とグランドファイナルの8ゲームでgyroをpickしませんでした。この大会において、幾つかの強豪チームが「大会の為に一生懸命gyro戦略を仕上げてきたんだから、大会期間中にpatchで弱体化されても、使うしかない」という形でgyroと心中して散って行きました。返す返すも、酷い大会でした。DAC2018において、gyroを使って勝てたチームは、たったの1チームだけでした。Mineskiです。
8,maybe対maybe。
ここに、最悪の現実がありました。
このグランドファイナルは、maybe対maybeだということです。
maybeが雑ならばLGDは敗れ、maybeが普通ならLGDが勝つ。
強さとは、属人的なものです。
藤井六段は強いから藤井六段は勝利し、羽生結弦は強いから羽生結弦は勝利するのです。それはチーム競技においても同じです。クリスティアーノ・ロナウドが強いからマドリーは勝利します。一定のラインを超えたとき、どのような競技も極めて強い属人性に陥ってしまいます。DAC2018の敗者側決勝がiceiceiceによってはじまり、iceiceiceによって終わったのと同じように、グランドファイナルはmaybeによってはじまり、maybeによって終わる。その、はずでした。
勘のいい読者ならば、もう、おわかりですね。
グランドファイナルの第四ゲームになってはじめて、Mineskiには、その名を思い出したくもない、一人のプレイヤーが存在していた事を、否が応でも思い出さざるをえないpick&ban進行が発生します。パンゴリラです。iceiceiceです。DAC 2018において、唯一勝利したポジション3のパンゴリラです。DAC2018において、3勝7敗だったパンゴリラで、一人勝ちしたiceiceiceです。グランドファイナルは、maybe対maybeなどではなかったのです。DAC2018のグランドファイナルは、Mineski対LGDでした。
DAC2018。
それは、幾つかのあっけない局面と、幾つもの残念なpatchの影響を抱えながらも、歴史に残る壮絶な死闘でした。そして、変態iceiceiceが世界に向けて、完全復活を宣言する為の大会であり、変態の為の変態による変態の大会でした。それは、ある視点においては、大会期間中のpatchにより台無しにされた、あの闘劇や、あのti、あるいはあのマニラにも匹敵する、eSports史上最悪の大会でした。
第四ゲームにおいて、圧勝した第1ゲームと全く同じpick&banを試みたLGDの消極的なpick&ban戦略は、変態iceiceiceにパンゴリラを信じて託すというMineskiの勇敢さの前に敗れ去りました。
Mineskiの弱いポジション1がLGDによって完全に潰され、中盤も半ばを過ぎてもノーアイテムという惨憺たる内容の中で、iceiceiceは最悪のケースを想定して自らがADCする選択も視野に入れながらもLGDを一人で翻弄し続ける事により、完全に4人対5人のゲームになってしまったゲームにおいて、4人しかプレイヤーが居ない側のMineskiに小さなそれでいて確かな勝利をもたらし続け、iceiceiceが積み重ねたナイスプレイの塵の山が、巨大な雪崩となってLGDを飲み込んで行くこととなります。
Mineskiには信じられるものが常にあり、
LGDは信じられるものを失いました。
DAC2018で、不滅に思えた世界最強Liquidと世界最強VPの両雄を共に打ち破ったLGDは、その貴重な勝利の中で、chaliceというプレイヤーから、自立自尊の精神を奪ってしまっていました。3本先取のグランドファイナルにおいて、優勝に王手をかける2勝にまでは辿り着いたLGDでしたが、優勝に必要な3勝目は、遠く遠く、見果てぬ夢でした。
世界最強VP相手の3戦。
世界最強Liquidとの5戦。
対Mineskiの2日にわたる6連戦。
LGD最強のgyroという選択も大会期間中のpatchと勝者側決勝の2敗によって消えてしまっていました。LGDの矢玉は、完全に尽きていました。矢玉が尽きたLGDが頼り縋ったのは、強そうなヒーローです。それは、中国が最後にThe Internationalで優勝した際の、最終ゲームのヒーロー。もはや神話となった跳刀跳刀に率いられた、あの栄光のWingsが、The Internationalのグランドファイナル最終ゲームで用いたヒーロー。LGDの脳裏には、あの瞬間の中国全土を熱狂させる歓喜の渦が蘇ってしまったのでしょう。
そのヒーローとは、中盤と終盤の境目である35分~40分という短い時間帯において、圧倒的な強さを発揮する、繊細で儚い、それでいて強烈な強さを持つ、ミッドレンジcarry、アンチメイジでした。けれども、それは、儚いものです。アンチメイジとは、強く儚いものなのです。
chaliceのpickを見てから、iceiceiceが後出しじゃんけんを行うというpick&ban進行が行われた第五ゲームにおいて、そのような儚いヒーローが勝利を収められる可能性は存在していませんでした。ameのアンチメイジは一度としてゲームの糸口を掴むことが出来ず、LGDはameと共に沈んで行きます。天に輝いたのはMineskiの旗。
藤井六段には藤井六段が居るが故に藤井六段は勝利し、羽生結弦には羽生結弦が居るが故に羽生結弦は勝利し、ウサインボルトにはウサインボルトが居るが故にウサインボルトが勝利するのと同じようにMineskiは、iceiceiceが居るが故に勝利し続け、優勝を成し遂げました。
DAC2018は、「Liquidにはmiracle-が居るが故にLiquidが優勝した」となるはずの大会でした。DAC2018は、「VPには捕食者Ramzes666が居るが故にVPが優勝した」となるはずの大会でした。そうはなりませんでした。dota 10年の歴史の中で断トツの才能を持った、あのmaybeを以てしても、そうはなりませんでした。
蘇ったのです。
あの男が、蘇ってしまったのです。
iceiceice。
Mineskiのポジション3。
それは、シンガポールが世界に誇る変態プレイヤーです。
9,追記せねばならないこと。
さて、書き漏らしてしまった重大な事実が幾つかあります。
まず第1に、Mineskiのポジション5は、世界最強プレイヤーであるということです。Mineskiのポジション5はninjaboogieというプレイヤーなのですが、この人は極めて平凡な、ローカルレベルのプロプレイヤーでした。東南アジアにおいてでさえ、平凡なプレイヤーだったのです。実際に、Mineskiの2ndチームを一瞬でkickされるなど、チームを転々としています。現在のMineski以前に、ninjaboogieが最も世界大会に近づいたのは、raveに所属していた時だと思いますが、ビザが出ずに出場を辞退するなどして、大きな結果を手にすることが出来ずに終わっています。
そんなninjaboogieですが、現在のMineskiに加入して以降の内容は特筆に値するもので、DAC2018以前、もっというと、iceiceiceが復調するよりも前から、ninjaboogieに関しては「世界的な名手に劣らない内容を残している」と言い続けて参りました。
さらに、Mineskiのポジション4は、造反レベルの低迷により中国を追われたiceiceiceが自分のチームを立ち上げるにあたり、Twitter公募によって獲得したjabzというタイのプレイヤーであり、世界では1勝も出来ず、アジアでは1敗もしないという、私達東南アジアサーバーのプレイヤーが頭を抱える、最弱の最強チーム「アジア無敵のfaceless」というチームでポジション2を務め、世界では1勝も出来ないが故に煮詰まりに煮詰まり煮詰まりすぎて、アジアでは無敵だったにも関わらず、ポジション2(solo mid)から、ポジション4(サポート)へと転向し、遂に念願の世界初勝利をあげた人です。世界シーンにおけるfacelessは、世界初勝利をあげたというだけで解散してしまいました。facelessは少なくとも、アジアでは無敵だったわけで、その中核プレイヤーであったjabzは当然ですが素敵なセンスの持ち主で、素晴らしいプレイヤーです。
MineskiのDAC2018優勝は、ninjaboogieとjabzという、世界のどのチームと比較しても決して劣ることの無い、世界最強レベルのバックラインによって、成し遂げられたという事実だけは、追記しておかねばなりません。散々書き散らかした後に言うのは気が引けますが、dotaは一人では勝てません。全体的には苦しい部分もありましたが、ポジション2のnanaもまた、「完璧な」と形容したくなる、幾つかの素晴らしいリプレイを大会期間中に複数残しています。
Mushi、iceiceice、nana、ninjaboogie、jabz。
この4人には共通点があります。
それは、最強チームでプレイした経験を持つということです。
そして、誰一人として、mineskiが見出したプレイヤーではありません。
LGDの「yao先生に対する人情人事」とはかけ離れた、真のeSportsチームによる、正しいお金の使い方、自分達の将来に対する投資こそが、Mineski優勝の裏には存在します。良いマネジメントが、悪いマネジメントに勝った。そんな事実も残るのです。大会期間中のpatchにより、味噌がついてしまいましたが、その味噌を振り払えるかどうかは、これからのMineskiにかかっています。少なくとも、Mineskiには世界的な名手が所属しています。そして、Mineskiに所属している世界的な名手は一人ではありません。それが4人なのか、あるいは5人なのか、はたまた3人であるかというのは、またいつか、どこか見果てぬ場所で、語り明かそうではありませんか。三途の川を渡ったあたりで。
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//なお、途中数字が入るべきところがxとyになっていると思いますが、昨日秀丸エディタが初期設定のままだとバックアップをとっていないせいで、草案と、資料用のデータと、序盤のテキストからなる11000字のテキストファイルが吹っ飛んだせいです。追って数値いれます。流石に今日はデータ取り直す気力ないです。ごめんなさい。
DAC2018におけるMineskiの栄冠は、どのようにして成し遂げられたのかを紐解くと同時に、後世にこの偉業を少しでも残しておこうというのが、この文章の目的です。
「Mineskiが優勝したのは何故か。」
いきなり本題です。
そしてそれに対する私の回答は明確です。
強い相手と当たらなかったから。
それに尽きます。
現代のdota2シーンにおいて、強い相手とは、世界最強に君臨する2つのチームを指します。1つは、全員が凶器、3 carryを超えた究極のcarry集団、5 carryのソ連に拠点を置くVersus Pro、通称VP。もう一方は、様々なゲームジャンルの全てのプロゲーマーの中で最高の生涯賞金額を誇る、かつては魔王と呼ばれたkurokyが率い、現在dota2の頂点に立つプレイヤー、miracle-を擁するLiquidです。
LiquidとVP。
この両者の強さは圧倒的です。
様々な要因により、他のライバルチームが弱体化してしまったこともあり、VPとLiquidは、他の全てのチーム相手に60%以上の勝率を残せる、凄まじい強さを誇る最強のチームです。両者は天下を二分する形で、現在のdota2シーンに、圧倒的な覇権チームとして君臨しています。
Mineskiは、世界最強チームと当たりませんでした。
DAC2018のトーナメントラウンドにおいてMineskiはLiquidと対戦せず、また、VPとも対戦することなく優勝を果たします。グループステージで行われたVP対MineskiがMineski唯一の世界最強チームとの対戦機会。そこでは、VPがMineskiを文字通り捻りつぶす形で圧勝しています。
しかし、です。
世界最強Liquidと、世界最強VPが、共にグランドファイナルに辿り着けなかったということは、世界最強チームを打ち倒したチームが存在するということです。しかも、そのチームはどちらか一方に勝ったというわけではありません。なんと、現在のdota2シーンを二分しては君臨する、LiquidとVP、両者に勝利したチームが存在するのです。それが、地元中国のLGD。LGDは勝者側決勝で0勝2敗、グランドファイナルでは2勝3敗と、壮絶な7連戦の末に力尽き、Mineskiの戴冠を許してしまいます。
このテキストは、世界最強の両雄を共に打ち破る快挙を成し遂げた地元中国のLGDが、如何にして、Mineskiに敗れ去ったかを書き記すことに、その全てを費やす事になります。
1,大会期間中にpatchが当たった。
ビデオゲームはpatchによってバランスが変わります。dota2もその例に漏れません。そして、こともあろうか、DAC2018の初日が終了した時点で、予告もなく突然patchが当たりました。わたしがもう少しだけの実直さと行儀の悪い文体を共に有していたならば、口汚くvalveを罵るところです。けれども、そうはしません。わたしは分別のある大人です。冷静に行きましょう。
グループステージの初日が終了した後で、dota2を開発するvalveはdota2にpatchを当てました。最大の変更点は、それまで普通のゲームでは使用可能だったものの、eSports大会用のモードでは使用不可能だった、パンゴリラというヒーローが使用可能になった事です。そして、Mineskiにはシンガポールが世界に誇る変態プレイヤー、iceiceiceが居ました。
iceiceiceはdota史上に残るポジション3プレイヤーです。dotaの16年の歴史の中で、無理矢理ランキングを付けるならば、4位か5位くらいでしょう。そして、iceiceiceは変態です。ただのプレイヤーではありません。変態プレイヤーです。
新しいヒーローが実装されたり、大幅にリメイクされると、iceiceiceは必ずpubでそのヒーローを使い続け、ほぼ全てのロールで無理矢理新ヒーローでプレイします。iceiceiceがpubで見せた、carry ogre mageや、side solo troll、nyx carryなどは記憶に新しいところです。世界中のチームのコーチは、新ヒーローが実装されたならば、まずiceiceiceのリプレイをチェックしにいくとまでうたわれた、あの変態iceiceiceです。
そんなiceiceiceにパンゴリラを与えたらどうなるでしょうか?
他のチームが一切の対策をしていない大会期間中のpatchという最悪のタイミングで、トリッキーでテクニカルな変態iceiceiceが使う為にデザインされたような新ヒーローが使用可能になると、いったい何が起こるでしょうか?
DAC2018において、パンゴリラで勝利したポジション3のプレイヤーは世界でただ一人、優勝したMineskiが擁する変態iceiceiceだけでした。iceiceiceはDAC 2018でパンゴリラを3度使います。DAC 2018におけるパンゴリラの戦績は、3勝7敗でした。
Mineski 対 LGDの7連戦において、パンゴリラは2度pickされ、2度BANされました。残る3ゲームのうち2ゲームは、LGDのchaliceというプレイヤーを巡る特殊なpick&ban進行があったので、7連戦においてパンゴリラが無視されたのは1ゲームだけという、惨状。そう、言葉で言い表すならば、それはもはや惨状でした。
DAC2018の期間中、iceiceiceはパンゴリラをx回BANされます。
他のチームのpick&banは、大会期間中、パンゴリラ対策が一切出来ていない状態でのパンゴリラ実装によって、滅茶苦茶になってしまいました。それによって利益を得たのは、変態iceiceiceを擁するMineskiただ1チームだけだったのです。
これが、もう少しまともなタイミングでの実装であれば、「変態iceiceiceというプレイヤーを獲得していたMineskiの勝利」と言うことも出来るのですが、グループステージ初日終了後という、あまりにも酷いタイミングであるが故に、そのようにiceiceiceを称えることも出来ません。ひどいはなしも、あったものです。かなしい話です。
2,LGDは何故負けたのか。
勝因は時として不思議であるが、敗因は常に明確であると、eSportsではないスポーツの有名な監督が、繰り返し口にするのを、いつかどこかで耳にしました。曰く、勝ちに不思議の勝ち有り、負けに不思議の負け無し。ならば、グループステージ初日終了後のpatchによるパンゴリラ実装は、正しく不思議の勝ちに分類されます。そして、LGDには不思議では無い負けが存在しています。明確な敗因があるのです。LGDが負けた理由。LGDの敗因。
それは、マネジメントです。
かつて、中国には「dota10年の歴史の中で最大の才能を持ったプレイヤー」とまで評された人物が居ました。現在LGDのポジション2(mid)を務めている、maybeです。Naviのdendiが築いた永遠に続くかに思われたdendi時代を終わらせるはずだった人物であるmaybe。そんなmaybeを獲得しながら、僅か2ヶ月でkick(解雇)したチームがありました。
DAC2018におけるLGDの快進撃を成し遂げたmaybe。
そのmaybeを僅か2ヶ月でkickしたチーム。
それが、LGDです。
LGDはmaybeを獲得しながら、「maybeはこの2ヶ月の間、一度も優勝出来なかった」というわけのわからない理由でkickしてしまいます。なお、maybeはその2ヶ月間で世界のトップシーンにおける存在感を増し続け、最終的にはメジャートーナメントにおいて、当時の世界最強チーム相手に2勝3敗で準優勝を成し遂げる所まで行きます。LGDはそのmaybeを、「この2ヶ月の間、一度も優勝出来なかった」としてkickした上で、他のチームがmaybeを奪い去れないようにと、急造の2部チームを作成し、maybeを契約で雁字搦めにした上で飼い殺しにする事を選択します。
そのLGDの二軍チームにおいてmaybeは、トッププレイヤーとは言い難い雑にかき集められた二流の集団を率い、何度もLGDを倒したばかりに収まらず、過酷な中国予選を勝ち抜いて世界大会に出場し準優勝するなど、maybeという一人の才能の存在により、LGDの二部チームは後にThe Internationalで準優勝するなどの成績を収めるまでの成功を手にします。
一方その頃LGDは、maybeをkickしたあと、新しくとったプレイヤーを「maybeはこの2ヶ月の間、一度も優勝出来なかった」というのとほとんど同じレベルの理由により、とっかえひっかえ、kickしては新たなプレイヤーを獲り、kickしては新たなプレイヤーを強奪し、ということを際限なく繰り返し続けます。LGDのマネジメントの酷さは枚挙にいとまがないのですが、DAC2018におけるLGDの快進撃を生み出した、他ならぬmaybeを、「この2ヶ月間優勝出来なかった」という理由によりkickしたという過去を述べるだけで、その酷さは十二分に伝わるでしょう。
Mineskiは大会期間中のpatchで勝ち、
LGDはマネジメントで敗れた。
では、具体的にはどのように?
いよいよ、本題であります。
Mineskiが勝利し優勝するよりも前に、
LGDが敗れ去り準優勝に終わるよりも前に、
DAC2018では重大な出来事が発生していました。
それは、LGDの奇跡的な快進撃です。
世界中どのチームを相手にしても、60%以上の勝率を残せる無敵のチームであるVPとLiquid。グループステージにおいて、Mineskiを踏みつぶした世界最強VPと、そのVPにトーナメントラウンドで2勝0敗で勝利した世界最強Liquid。この両者を、LGDは打ち破ったのです。これは、想像を絶する奇跡的な快進撃でした。Mineskiの優勝よりも、LGDの準優勝の方が、私達にとっては、そして現代のdota2シーンにとっては、衝撃的な出来事だったのです。
果たして、LGDは如何にしてLiquidとVPに勝利したか。
答はmaybeの一語で事足ります。
LGDの勝因は、LGDにmaybeという、dota10年の歴史の中で最大の才能が存在していた事です。なお、dotaの歴史は16年です。maybe以後の6年間で、maybeを超える才能が生まれてしまい、LGDにkickされて時間を無駄にしたmaybeは天下を獲り損ねてしまうのですが、それはまた別の話。ここでは、世界最強Liquidには、現在dota2シーンの頂点に君臨するmaybeを超越したプレイヤー「One man dota allstars」こと、miracle-が所属している、という事だけを記して話しを戻します。
昨年、LGDは自分達の二軍チームから、一人のプレイヤーを昇格させます。
そのプレイヤーの名はYao。所謂Yao先生です。
Yao先生は、LGDの黄金時代を築き、「万年二位のLGD」を作り上げた功労者です。iGにチームのプレイヤー4人を引き抜かれ、残された一人のプレイヤーもモチベーションを失う中で、キャプテンxiao8という伝説のpickerに率いられ、世界二位の地位を維持し続けたdota2黎明期のLGDにおける、最強のプレイヤーです。往年のLGDが世界に誇った、当時の世界最強プレイヤーの一人です。
けれども、LGDがyao先生を再獲得した時点におけるYao先生は、往年の輝きは見る影もない、トップシーンにおける断トツのワーストプレイヤーでした。なぜ、そんなプレイヤーをLGDは二軍から一軍に引き上げたのか、それは、義理人情であり、論功行賞です。
あの頃のLGDは、iG、Navi、Alianceといった目の上のたんこぶに邪魔される形で、遂に大きなタイトルを手にすることは出来ませんでした。さらに、Yao先生が世界最強プレイヤーの一人だった時代のdota2シーンは、まだ立ち上がったばかり。賞金も今のようには高くなかったのです。
そんなYao先生に、賞金を稼がせてあげよう、タイトルを獲らせてあげよう。世界中の強豪チームが様々な理由により迷走している今ならば、Yao先生を使ってもタイトルを獲れるチャンスがある。そう考えたLGDは、義理人情により、論功行賞により、Yao先生を一軍に引き上げたのです。もしもYao先生が存在しなければ、LGDはdota2から撤退していたかもしれません。そんなifが簡単に想像出来るくらい、当時のyao先生はLGDにとって特別なプレイヤーだったのです。
キャプテンxiao8の用心棒として、プレイヤーとしては平凡なxiao8が太刀打ち出来ないプレイヤーが相手に来た際には、xiao8とポジションを交換して、xiao8が絶対に勝てないような相手と対峙し、LGDの黄金時代を成し遂げたYao先生に、賞金額がインフレした現代シーンで稼がせてあげたい。そんなLGDの人情人事は、一定の成功を収めました。LGDに再加入する以前からトップシーンにおけるワーストプレイヤーであり、LGD在籍時もトップシーンにおけるワーストプレイヤーであり続けたYao先生を抱えながらも、LGDは昨年のThe International 7で四位という好成績を収め、LGDは巨額の賞金を手にします。Yao先生がLGDにおいて、dota2チームを解散させない為の勝利を積み重ねるという、最も重要な仕事を成し遂げた当時の大会の優勝賞金は、僅か1000ドルやそこら。当時のdota allstarsは、完全に死んだゲームだったのです。Yao先生の全盛期は、dota2がリリースされる以前、あるいはちょうどリリースされた頃まで遡る、むかぁしむかしの話なのです。
yao先生を義理人情で昇格させたLGDはどうなったでしょうか?
まったく勝てませんでした。
あたりまえですね。
LGDはyao先生をkickします。
「どこが義理人情なんでしょうか」
と書いてしまうと、話に支障が出てしまうかもしれません。少なくともYao先生は、当時では考えられなかった額の賞金を稼ぐことに成功したわけですから、LGDの義理人情は確かに義理人情として成立した、という見方も可能です。けれども、殿堂入りして然るべきチームのレジェンドに、LGD最大の功労者に、「yao先生が弱すぎて優勝出来ない」という恥をかかせるのが、人情なんでしょうか?他に道は無かったのでしょうか?Yao先生が弱いが故に勝てなかった他のプレイヤーのキャリアはどなるのでしょうか?マネジメントとは、勝利を追求するものであって、義理人情で行うものではないと私は考えます。そもそも「2ヶ月もの長きにわたり優勝出来なかった」という理不尽な理由でmaybeをkickしたチームがやることでしょうか。LGDのマネジメントは、この10年間ずっと、世界最悪の地位を維持し続けています。彼等は、でたらめにプレイヤーを強奪し続け、でたらめにプレイヤーをkickし続け、中国が誇る才能を使い捨て、消耗させ続けることが、マネジメントだと思っているのです。
そんなわけで、yao先生は「チームのワーストプレイヤーだから」という理由により、LGDを追われます。当たり前ですね。LGDが昇格させた時点で既に、yao先生はチームどころかトップシーンにおけるワーストプレイヤーだったのですから。
LGDがyao先生をkickしたのはこの1月。LGDが現在のメンバー構成になったのは、今年に入ってから、つまりDAC 2018におけるLGDは、急造チームでした。LGDで変更になったプレイヤーはYao先生だけではありません。
ポジション4プレイヤーの方が貴重であるとの理由から、ポジション3で成功を収めていたfyというプレイヤーがポジション3にスライドするなど、ポジション1と2を除く3つのポジションでプレイヤーが変わりました。
同じポジションでプレイし続けていたのは、ポジション1のameと、ポジション2のmaybeの2人だけ。DAC 2018において、グループステージで低調な内容に終始したLGDが、トーナメントラウンドを迎えるにあたり、ameとmaybeの2人と心中するという戦略を選択したのは、当然の帰趨だったのかもしれません。それを生んだのは決断ではなく、その決断に至までの、世界最悪のマネジメントでした。LGDは、世界最悪のマネジメントのつけを、よりによって自国開催のグランドファイナルで支払わされる事になります。
3,LGDの快進撃
LGDの快進撃は、maybeによって生み出されました。
dota10年の歴史の中で最大の才能を持ち、世界で最もレベルが高く、世界で最もプレイヤー人口が多い中国サーバーで、異次元のプレイを見せ続けた最強プレイヤーmaybe。グループステージで煮え切らない戦績と内容を残してしまったLGDは、全てをmaybeに賭けることにします。そして、maybeは賭けるに値するプレイヤーであり、maybeはその期待に完璧に応えます。
maybeは、"One man dota allstars" miracle-を擁するLiquidを、10キル0デスの完璧なスコアで無慈悲に叩きのめし、"捕食者Ramzes666"を擁する全てを粉砕する5carryのVPを、累計33キルという圧倒的な破壊力で逆に粉砕して見せます。
トーナメントラウンドにおける、世界最強の両者を相手にしたmaybeの戦績は、57キル、23デス、64アシストで4勝2敗。maybeの万能性を調整役として用いようとして失敗に終わったグループステージの結果を見て、maybeをチーム唯一の最強の主砲として用いるという戦略転換を行ったLGDの判断の正しさと、それに応えたmaybeの勝利でした。
ところがです、このLGDの快進撃の裏で、犠牲になったプレイヤーが存在しました。それが、ポジション3のchaliceです。現代のdota2では、ポジション3プレイヤーの地位は相対的に低下しています。なぜならば、現在のdota2は、所謂tankが有利な環境だからです。
tankという概念は、テンセントのLeague of Legendsというゲームが作ったものです。League of Legendsは元々はdotaを作っていた人がdotaを離脱して作ったゲームなのですが、「初心者にわかりやすいゲームを作る」という事を公言し、様々な初心者が"わからん殺し"される要素を弱体化した一方で、初心者にとって遊びやすい要素を数多く導入します。その一つが、"tank"でした。
dotaには存在しなかった、魔法耐性を上げるアイテムを導入し、耐久力が上がるアイテムに様々な特殊効果を付け加え、「どうぞ、耐久力をあげてください!それは、LoLにおいて、強い選択肢です!」という態度を明確にしめしました。
「相手が現れた瞬間に自分は死んでいる」
という初心者が最もゲームを投げ出したくなる理不尽な状況を、ゲームから削除するように努めたのです。tankは、League of Legdensが初心者にプレイを継続させ、世界的に大きな躍進を遂げた、最大の要因の一つです。tankとは、素晴らしい要素です。それが故に、dotaはプレイヤー人口の減少期を迎えるにあたり、あわてて、「私達も初心者優遇します」とばかりにLoLのアイテムを、そっくりそのまま露骨にコピーするという下劣な策を用いて、tankが有利な環境を作り出しました。
そんなtankにも弊害があります。
死ななくなる事です。
死ななくなるとどうなるでしょうか?
tankは、延々と死のリスクを局限まで低下させた状態で、のんびりレベリングを続けます。5分、10分、15分。dotaは長いゲームです。時として20分、25分……。人数をかけて相手にしたら、人数をかけた分だけ損をするので、無視するしかありません。tankは放置されます。ずーっと、レベリングしてるだけです。ずっと、farmをしているだけです。けれども対面に誰もいないとまずいので、誰かを配置する必要があります。誰を配置するでしょうか?それは当然、tankです。tankの対面にtankがいて、1vs1の状況下では、2人とも死ぬリスクは0です。tankは硬いです。火力なんてたかがしれています。dotaのtankは、近年になって慌ててLoLから、形だけパクったものですから、LoLのtankよりも遙かに低い火力しか出ません。ダメージスキルを1つしか持たないtankと、ダメージスキルを1つしか持たないtankが、お互いに「1対1では絶対死なないから、別に囲まれて死ぬなら死んだっていいし」という投げやりな態度で、時々己のハンドスキルの高さをアピールする為にお互いの体力を2割3割削るなどして、ずっとfarmしているだけ。そんな事が許されてしまうのが、現在のバージョンのdota2における、ポジション3です。
以前のポジション3は違いました。
ポジション3とは、相手の布陣を乱すために、真っ先に仕掛ける疾風の矛だったのです。現在のポジション3は、死ぬリスクをが0のまま、対面とだらだらいちゃつき続け、チームファイトの為のtankアイテムを買い進めるだけの、退屈なロールなのです。
だからこそ、LGDは考えました。
「現在のdota2における最も退屈なロールならば、今年になってトップシーンに初参戦した、chaliceという経験の浅いプレイヤーでも簡単にこなせるはず!」それは、大正解でした。LGDはトーナメントラウンドにおいてchaliceに対し、dota2における最も退屈なポジションの中でも、最も退屈で負担の少ない、プレッシャーのかからない役割を割り振り続けます。
その一方で、困難な役割を担当する事になったのは、ameとmaybeという、トップシーンにおける、名声も、実績も、経験も、その他全てを兼ね備えた百戦錬磨の強者。中国が誇る最強のプレイヤー2人でした。maybeは彼が特別な存在であった頃の輝きを取り戻すかのように躍動し、現代シーンを象徴するプレイヤーを千切っては投げ、千切っては投げます。ameはグループステージで担当したDPS所謂アタックダメージキャリーではなく、チームの扇の要としての、飛び道具(所謂initiator)や、チームのバランスを取る為のヒーローなど、様々な役割を担当してはその全てを、世界中他の誰一人として真似出来ない完成度で完璧にこなし、中国server最強の猛者としての懐の深さを見せつけます。
一方その頃、難しい役割を完全に免除されたポジション3のchaliceは、mobaにおいて最も気楽で簡単な、死ぬリスクがなく、死んでも別にいいよという、tankという役割を、黙々とこなし続けます。それは、素晴らしいと書くに値する内容でした。tankは簡単な仕事ではありますが、世界最強のチームを向こうにまわし、簡単な事を簡単に行ってみせるのは、実は案外案外難しいものです。それが出来れば、あなたも私もトッププロです。トップシーンにおいては、僅か3ヶ月ほどの経験しか持たないchaliceは、トッププロとしての資質とクオリティを見せ続けたのです。
ところが、LGDの快進撃が止まります。
世界最強Liquidを打ち負かして勝ち上がった勝者側決勝戦において、LGDは、Mineskiに敗れます。敗因はchaliceでした。
4,シンガポールが世界に誇る変態プレイヤーiceiceice。
トップシーンにおいて、ポジション1から5まで、全てのポジションを務めた事があるプレイヤーを、思い浮かべてみて下さい。dotaを長く見て来た人の頭の中には、幾つものIDが浮かんでは消えるでしょう。そう、消えるでしょう。
何故ならば、そんなプレイヤーは存在しないからです。
血で血を洗うeSportsのトップにおいて、5つのポジションを務めるなんてことは、常人には不可能です。全てのポジションで結果を出すとなれば、それはもはや、神でも悪魔でも不可能です。世界を闇で覆い尽くした、あの魔王kurokyにだって、そんなことは出来やしません。ところが、世界に一人だけ、それを成し遂げた男が居ます。変態です。変態iceiceiceです。
勝者側決勝、chaliceの眼前に一人のプレイヤーが立ちます。
dota唯一にして、dota最強の変態プレイヤー、iceiceiceです。
iceiceiceを擁するMineskiは、LGD戦の必勝法を見いだしていました。それは、chaliceをiceiceiceで潰す事です。他に類を見ない魔術的な器用さと多様性を持つ、変態としか形容の出来ない、酸いも甘いもかみ分けた長いキャリアを持つ、百戦錬磨の変態iceiceiceはLGD戦で、chaliceがこれまで務めてきた役割を、そっくりそのまま乗っ取ります。
Mineskiは、iceiceiceiをchaliceとして用いたのです。
Mineskiはiceiceiceから難しい役割を完全に免除しました。dotaにおいて最も気楽で簡単な、どうでもいい役割を割り振ったのです。死ぬリスクがなく、別に死んでもいいから勝手にやっててという役割を、こともあろうか、あの、iceiceiceに割り振ったのです。dotaにおいて、最も退屈な役割を、他ならぬiceiceiceに担当させたのです。dota2史上最強にして唯一の変態プレイヤーiceiceiceを、chaliceとして扱ったのです。
現在のMineskiが抱える、チーム最強の武器であるiceiceiceに、そんな退屈でどうでもよい役割を割り振って、Mineskiが勝てるはずがありません。けれども、です。そうはなりませんでした。
先ほど述べたように、tankにはtankを当てるのが定石です。鉄板の対応です。どうでもいいtankには、どうでもいいtankを当てて、お茶を濁すというのが定石なのです。他の選択を行うと、高い耐久力を背景とした大胆なレベリングと、リスクとしてのデスを考慮しなくていいtank相手にラストヒット戦で負けてしまい、収支で大きく不利になってしまいます。
「iceiceiceをchaliceとして用いる」という、Mineskiのtank戦略に対して、tankを返します。tankを担当するのは当然chaliceです。けれども、最も簡単なtankヒーローは場に存在しません。何故ならば、Mineskiが1st pickで拾ったからです。
どうでもいい、くだらない、退屈な、猫も喰わないようなヒーローを、Mineskiは1st pickで確保していました。これはLGDにとって、想定外の事態でした。
唯一にして無比たる変態、iceiceice。
そんなプレイヤーの為に、どうでもいい、くだらない、退屈で猫も喰わないようなヒーローを、貴重な1st pickを消費してまで確保するなど、下策の下策、愚の骨頂でした。LGDはMineskiの、あまりにも愚かな自殺行為の愚策を完全に無視します。当然です。
Mineskiの「1st pick退屈なtank」を完全にを完全に無視したプレイヤーは、チーム内の重要なプレイヤーから順番にpickしていきます。chaliceはどうでもいいので、最後に残されました。dotaには切り札としてのlast pickも存在するのですが、Mineskiの愚策を確認出来たからには話は別です。Mineskiの弱すぎる1st pickに対して、強いプレイヤーの強いヒーローを、相手にBANされてしまうよりも前に確保する事がLGDの急務でした。
Mineski対LGDの勝者側決勝。
第一ゲーム、第二ゲームとも、
全く同じpick&ban進行です。
・1st pick退屈なtankをiceiceice。
・それを見たLGDは強ヒーローの確保を急ぐ。
・chaliceはどうでもいいので後回しのlast pick。
そして、第三ゲームが行われる事は終ぞありませんでした。
LGDは0勝2敗でMineskiに敗れ、ルーザーズに叩き落とされます。
5,iceiceiceの勝因。
話は2年ほど前に遡ります。
当時のdotaには、幻の最強キャラクターが存在しました。
それが、「China pub lycan」です。
ようは、中国のパブにおけるライカンです。
バージョンは、7.00。
>>
弱体化 Agility gain from 1.5 to 1
弱体化 Howl mana cost from 30 to 40
弱体化 Howl cooldown increased from 50/45/40/35 to 55/50/45/40
弱体化 Howl mana cost increased from 15/20/25/30 to 30
弱体化 Lycan Level 10 Talent reduced from +20 Damage to +15 Damage
弱体化 Lycan agility gain reduced from 1.9 to 1.5
弱体化 Reduced All Stats modifier from +4 to +2
弱体化 Recipe cost increased from 725 to 800
弱体化 Helm of the Dominator All Stats from 6 to 4
弱体化 Helm of the Dominator creeps now give a constant 125 gold bounty
<<
どのくらい強かったかは、上記の弱体化を見ればわかります。全て、china pub lycanに絡んだ弱体化です。中国のパブの頂点における勝率は、9割程度。他の地域のサーバーでは、強さが知れ渡る前に弱体化されてしまいました。僅か八日間の、幻の最強キャラクターでした。
どういうヒーローだったかというと、ゲーム開始と同時にタンクアイテムを買ってジャングルクリープを手下として使役し、序盤も序盤の段階で、自分のレーンのタワー2本と、midのタワー1本を割ってしまい、ゲームがゲームとして成立するまえに、消化試合に変えてしまうヒーローです。その、幻のchina pub lycanが、iceiceiceの手によって蘇ります。
1st pickでiceiceiceの為に、レーンをベタ押しする為のtankヒーローをchaliceから強奪していたMineskiは、iceiceiceに「別に死んでもいいからレーンをベタ押ししてください」という、絶望的に退屈な役割を担当させます。そのiceiceiceを向こうに回して、手も足も出なかったプレイヤーがいます。chaliceです。chaliceはiceiceiceに手玉に取られる形で、ゲーム開始と同時に「自分が何をすればチームに貢献出来るのか全くわからない」という状況に陥り、その存在が完全に消えてしまいます。
Mineskiのpick&banを見てLGDが選択したのは、自分達の強いプレイヤーに、強いヒーローを確保することでした。「iceiceiceが猫も跨いで通るレベルの退屈なtankヒーロー、即ち弱いヒーローをを選択したんだから、自分達は強いヒーローを確保しよう」という考えです。それにより、chaliceのpickは後回しにされ、ラストピックで「iceiceiceの選択よりも、さらに退屈でさらに簡単なtank」を割り振られます。iceiceiceのベタ押しを、押し返せるだけのヒーローは既に残っておらず、iceiceiceのでたらめさと精密さをあわせもつ、変態挙動に対応出来るだけのプレイヤーパワーをchaliceは持っていませんでした。
そして何よりもchaliceは、自らの陥っている状況をチームメイトに伝える術がありませんでした。何故ならば、DAC2018において、いや、chaliceがLGDに加入して以降、chaliceは「一生懸命頑張ってくれればいい新人」という扱いを受けてきたからです。
「私はiceiceiceにやられている」
「チームにとって深刻な事態に陥りかけている」
「こうしてくれればiceiceiceに勝てる」
ということを、チームメイトに伝えるだけの発言権を、chaliceは持たなかったのです。それは、chaliceの一挙手一投足から、悲しいまでに伝わってきました。LGDの快進撃を陰で支えてきたchaliceは、目の前に隆起する深刻な事態に対して、「これまで通りプレイしていれば勝てる」と自らに頑なに言い聞かせるように右往左往してはiceiceiceに手玉にとり続けられるだけで、第1ゲームが終わってしまいます。それは、あっという間の出来事でした。
iceiceiceは一度も死なず、LGDが誇る最強のmaybeは2キル2デス2アシスト。LGDは、5人全員が、ゲームをプレイする事なく、席に着いただけで敗北します。
iceiceiceはその為にドミネーターというアイテムを用いました。プレイヤーとしての能力に問題があり、失敗しているプレイヤーが、その失敗を補う為に、自分ではなくチームメイトに活躍を託す為のアイテムである、ドミネーターというベタベタなメタアイテムを利用して、LGDにゲームをさせることなく2キル0デス9アシストの内容で完勝します。
現在のバージョンにおいて、トップシーンにおけるドミネーターは、購入すると勝率が10%下がるアイテムです。世界中のプロチームのほとんどは、チーム内にうまくいっていないプレイヤーを抱えており、そのうまくいっていないプレイヤーが購入するアイテムです。世界最強レベルのプレイヤーを抱えるチームは、ドミネーターを購入しません。
たとえば、Liquidのmind_controlという世界最強のポジション3は、ドミネーターを購入しません。EGのSumaiLという昨年の夏までは世界最強のmid lanerだったポジション3は、ドミネーターを購入しません。5carryで全てを踏みつぶす世界最強VPのポジション3である9pasは、ドミネーターを購入しません。世界最強のポジション3になるはずだったyangという中国で最も刺激的なポジション3はドミネーターを購入しません。世界最強EGを支え続けた現FnaticのUniverseというかつての世界最強ポジション3は、ドミネーターを購入しません。
ところが、世界中の、ほとんどのチームには、最強のポジション3なんて居ません。ドミネーターという、退屈でくだらない、勝率が10%下がるアイテムに頼らなくていいポジション3は、世界中探し回っても、ほとんど存在しないのです。
かつてトップシーンにおける勝率が30%台に落ち込みながらもpickされ続けたundyingやrasta、Jakiroやbatなどと同じように、失敗しているプレイヤーが頼り縋って買うアイテム、それがドミネーターなのです。なお、全てを踏みつぶす5 carryの世界最強VPはドミネーターを誰も買いませんが、同じ世界最強のLiquidはドミネーターを買います。Liquidでドミネーターを買うのは、ポジション1で勝てないから2に行き、2でも勝てないから1&2手兼任となっている、マツンバマンです。Liquidのポジション3は世界最強のポジション3なので、当然ドミネーターは買いません。
さて、iceiceiceはどうでしょうか?
ドミネーターを購入する事で勝率が10%下がる世界最強プレイヤーでしょうか?それとも、ドミネーターを頼り縋って買う事で、勝率が5%上がる平凡なトッププロでしょうか?こたえは、既に、あなた方の頭の中にあります。そうです。変態プレイヤーです。dota16年の歴史の中でただ一人、変態という言葉を持って形容される、唯一にして無比なる変態。それが、iceiceiceです。
「的確な行動をすれば、的確な行動をするだけリターンを得られるヒーローを担当すれば強くなる」というのが、トップシーンにおける最強プレイヤーです。iceiceiceは違います。常道を外れた挙動を行うことで、相手を手玉にとるタイプのプレイヤーです。純粋な最強プレイヤーではありません。
ドミネーターは、ジャングルクリープを自らの手下として使役する事が可能になるタンクアイテムです。dota2には、ジャングルクリープを自らの手下として使役する事が出来る、chenというヒーローが存在します。そのヒーローを、トップシーンで使った経験を持つポジション3は、iceiceice以外に存在しません。
全ての点が、線で繋がりました。
iceiceiceは常人ではありません。世界中にその名を馳せた最強プレイヤーが担当すれば、弱くなるであろう退屈で消極的な選択肢を担当しても、弱くならないという、特殊なプレイヤーだったのです。iceiceiceがchaliceを相手にして行ったプレイは、それまでLGDが快進撃の中で使ってきたメインタクティクスでした。LGDのメインタクティクスである「ポジション3に簡単でプレッシャーの少ない役割を」というtankタクティクスは、現在のバージョンにおいて非常に有り触れたものです。そして、先ほど述べた世界最強のポジション3プレイヤーらは見向きもされない、二線級の消極的な選択肢です。
何故、そんなものにLGDは敗れたのか。
属人性。
その一語に尽きます。
シンガポールが世界に誇る変態プレイヤー。
けれども、勝者側決勝は1本先取ではありません。
2本先取です。
まだ終わっていません。
自国開催のDAC2018において、世界最強の2チームを共に撃破するという、破竹の快進撃を見せ続けたLGDには、まだ後がありました。
6,LGDが頼った先。
勝者側決勝の第二ゲーム。
Mineskiのpick&ban進行は、第1ゲームと全く同じでした。iceiceiceに、LGDの快進撃を陰で支え続けたchaliceがやっていた退屈な役割を割り振ります。それに対して、LGDのpick&ban進行もまた、第1ゲームと全く同じものでした。LGDは、自分達の持てるpickの中で、最強のpickを選択し続け、chaliceを除く4人に、最強のヒーローを割り振ろうと、BANされそうな所から順にpickしてゆきます。最後に残されたのはポジション3、chaliceでした。
last pick。
プレイヤーはchalice。
LGDの選択は、バットライダーでした。
この瞬間に勝敗は決していた、というのは些か大げさでしょうか。
第1ゲームにおいて「tank vs tankでは、iceiceiceというdota仙人に新人chaliceが手玉に取られて負けてしまい、ゲームが成立しない」という事実を冷静に分析し、chaliceにtankではない役割を任せました。それが、バットライダー。
バットライダーはtankではありません。DAC2018において快進撃を続けたLGDにおいては、ameとmaybe、さらには後衛の2人のプレイヤーが分担して持ち回りで担っていたイニシエーターという役割です。
chaliceは、その役割を、合格点でこなしたと言えるでしょう。ただし、それは決して絶賛に値するという内容ではなく、合格点にしかすぎませんでした。そしてなによりも、現在のバージョンは、dota2が安易にLoLのtankアイテムをインフレさせた上で完全コピーする形でパクった事によって生み出されてしまった、tankメタだったのです。batはタンクではなく、iceiceiceはタンクでした。
属人性。
「これがiceiceiceでなければLGDは勝てていた」
勝者側決勝を見終えたとき、わたしはそう、思ってしまいました。それは、iceiceiceが居なければMineskiは敗れていたという事を意味します。かつて所属していた中国のViciというチームにおいて、造反という言葉を持って言い表された尋常ならざる低迷を見せ、チームを解散に追い込み、中国の栄光と中国の未来を闇に葬った、中国の仇。中国の大敵。そんなiceiceiceは長い低迷を脱し、復調傾向にありました。そのiceiceiceが、復調ではなく、復活を成し遂げてしまった。遂に、あの男が蘇ってしまった。わたしはそう思い、私はそう喋りました。「iceiceiceが居たからMineskiは勝った」
それは、世界中のトップチームにまばらに存在する、片手で数えられる程の、精密で繊細なプレイが可能で、リスクとリターンを常に頭に入れて正しいプレイを選択しようと試みる、幾人かの特別な才能を持つ世界最強を争うポジション3プレイヤーよりも、人を喰ったような行動を選択しては、相手を煽る課金エモートを打ち鳴らしながら当然のように頓死していくという、常軌を逸した不可解で意味不明な行動を繰り返すiceiceiceの方が、dotaというビデオゲームにおいては強いということなのです。
そうです、あの男が蘇ってしまったのです。
DK dream teamの最強プレイヤー、変態iceiceiceが。
7,グランドファイナル。
けれども、LGDは終わっていませんでした。
何故ならば、LGDは敗者側決勝において、5carryで全てを踏みつぶしてきた世界最強VPに対して、2勝1敗で勝利して、中国を歓喜と熱狂で包み込みながら、グランドファイナルへと舞い戻ってきたからです。グランドファイナルは3本先取。Mineskiの手の内はばれています。1日夜を跨いで、対策を考える時間も十分にありました。グランドファイナルの初戦、LGDはMineskiに勝利します。膠着した試合展開を打ち破ったのは、ameとmaybeという、LGDの二枚看板でした。それにより、Mineski対LGDにおける、変態iceiceiceの属人的な強さという現実と併走する、もう一つの現実の存在が浮かび上がります。
その現実とは、LGDのポジション1とポジション2が、Mineskiのそれよりも遙かに強いという、揺るぎがたい現実でした。Mineskiのポジション1とポジション2は、弱かったのです。そして、LGDは、他ならぬそこが強かったのです。
初戦、mobaはハックアンドスラッシュです。
レベルを上げて、物理で殴るゲームです。
ポジション1(所謂ADC)と、
ポジション2(所謂solo mid)のゲームです。
サブアカウントで格下の相手に得意気に勝って配信で稼ぐ、元プロプレイヤーを見て下さい。みんな、ポジション1かポジション2をやりたがります。mobaとはそういうゲームです。「自分の力で勝ちたければ1か2をやりましょう」と、まるでハウトゥーのように書かれています。
即ち、LGD 対 Mineskiの勝負の行方は定まりました。
ポジション3で勝るMineski。
ポジション1と2で勝るLGD。
LGDが勝つのは自明の理です。
第1ゲームにおいて、LGDはそれを証明します。
一晩かけてLGDが考えたpickは、maybeとameの2人が、レベルを上げて物理で殴るという、ガッチガチのハックアンドスラッシュ戦略でした。初戦ハクスラというのは、攻撃力と攻撃速度とアーマー低下を重ねて相手を殴るのが最強という、単純なゲームのジャンルなのです。そして、mobaとは、RTSという複雑なゲームではなく、単純なゲームをやりたいという人々の欲望によって、その隆盛を極めたビデオゲームの1ジャンルなのです。
ameは8キル1デス。
maybeも8キル1デス。
中盤まで一見すると硬直していたかのように見えるゲーム展開は、ameとmaybeの両者が後半戦用の武器を手にした瞬間に崩れました。太古の世界最強チーム、DK dream teamの最強プレイヤー、変態iceiceiceが完全復活だなんてのは、ただの幻だったのです。世界中が騙された、幻覚であり、ただのボタンの掛け違え、サイコロの出目が悪かっただけなのです。もちろん、嘘です。
続く第二ゲーム、LGDは何も出来ずに敗れます。
LGDの敗因は明確でした。
maybeです。
何故、maybeが「天下を取り損ねた男」なのか。
何故、maybeが天下を取り損ねたのか。
それは、maybeはその長いキャリアの中で、常にライバルの存在せぬ、無敵の存在だったからです。maybeが獲るはずだった天下を、盗み去り奪い取り見る者全てを絶望させた"絶望の化身"の異名を持つArteezyと比較しても、maybeは圧倒的に優れたプレイヤーでした。少なくとも、レベルを上げて物理で殴るというゲームにおいて、maybeの勝負勘とハンドスキル、さらには操作ミスをする確率の低さや、的確に相手を殺し続けるマップ上の大きな挙動など、dotaにおいて優れたプレイヤーを構築する全ての要素において、maybeはArteezyを凌駕していました。
Arteezyがmaybeに勝っていたのは、死に続けるセンスと、マップ上を逃げ回るセンスだけ。もちろんそれは当時のバージョンにおいては決定的なセンスであり、「逃げ回るセンスと死ぬセンスによってチームを勝利させるArteezy」という時代を嫌がったvalveのpatchによってArteezyの時代は終わりを迎えます。
"純粋な強さ"という単語が何を意味するのかを僕は知りませんが、"純粋な強さ"においてmaybeは、天下を取り損ねてなお、圧倒的なものを持っていたのです。けれども、それも、過去の話です。遠い昔に過ぎさった、むかしむかしのお話です。valveのpatchによってArteezyの時代が終焉して幾年月。もう、随分と前から、maybeは圧倒的なプレイヤーではありません。極めて平凡な世界最強プレイヤーの一人です。
maybeが圧倒的だった時代は遠い昔に終わりました。けれども、maybeが圧倒的だった時代は、あまりにも長すぎたのです。それ故に、maybeは今も尚、「自分は触れようとする者全てを破壊する、圧倒的なプレイヤーである」という振る舞いをします。その振る舞いは「maybeは雑である」という表現を持って言い表す事が可能です。
自分がいいプレイをしなければチームが負けてしまうという場面においても、maybeは普段通りのプレイをします。他の素晴らしいプレイヤーならば、最悪の事態を想定して、自分が不利な状況に陥る事で招いてしまう敗北の可能性を、1パーセントでも減らそうという挙動をとります。けれどもmaybeは違います。それはまるで暇人が、暇つぶしの為にゲームをしているかの如く、「来るなら来れば?」というポジションを選択し、挙動を選択し、チームの勝利の事など気にもかけません。
もちろん、maybeだって勝ちたいでしょう。
真剣に勝利を追い求めているでしょう。
けれども、maybeの体の中には、触れようとする相手を全て破壊する事が出来た時代の感覚が、血となり肉となり染みついているのです。そして、それが、よりによってグランドファイナルの大事なゲームで顕在化してしまいます。チーム一丸となって、チームオーダーを組む事によりmaybeにキーアイテムを入れたLGDは、maybeがキーアイテムを抱えて、雑に(雑にとしか形容出来ない形で)頓死し続ける事で、何も出来ずに敗北します。
「LGDのポジション2maybeは、Mineskiのポジション2のnanaよりも遙かに強いからLGDが勝つ」。そんなものは、卓上の空論でした。それを成し遂げられるのは、あの頃のeSportsシーンにおけるmaybeであり、2018年のeSportsシーンは、あの頃よりもずっとレベルの高い、血で血を洗うビッグビジネス。大Eスポーツ時代なのです。
1勝1敗で迎えた第3ゲーム。
ame、9キル1デス9アシスト。
maybe、9キル2デス10アシスト。
所詮mobaはハックアンドスラッシュ。
レベルを上げて物理で殴るゲームでした。
maybeのワンパンでMineskiは消し飛びます。
話は少し遡りますが、0勝2敗でLGDが敗れた勝者側決勝において、LGDは2ゲーム共にGyroというヒーローをpickします。gyroは、DAC2018が始まった時点において、トップシーンにおいては最強のヒーローだというのが、衆目の一致するところでした。そんな強キャラクターであったgyroですが、グループステージ初日終了後のpatchによって、致命的な弱体化を喰らっています。LGDは勝者側決勝で、2ゲーム続けてgyroを選択して敗れた事で、敗者側決勝とグランドファイナルの8ゲームでgyroをpickしませんでした。この大会において、幾つかの強豪チームが「大会の為に一生懸命gyro戦略を仕上げてきたんだから、大会期間中にpatchで弱体化されても、使うしかない」という形でgyroと心中して散って行きました。返す返すも、酷い大会でした。DAC2018において、gyroを使って勝てたチームは、たったの1チームだけでした。Mineskiです。
8,maybe対maybe。
ここに、最悪の現実がありました。
このグランドファイナルは、maybe対maybeだということです。
maybeが雑ならばLGDは敗れ、maybeが普通ならLGDが勝つ。
強さとは、属人的なものです。
藤井六段は強いから藤井六段は勝利し、羽生結弦は強いから羽生結弦は勝利するのです。それはチーム競技においても同じです。クリスティアーノ・ロナウドが強いからマドリーは勝利します。一定のラインを超えたとき、どのような競技も極めて強い属人性に陥ってしまいます。DAC2018の敗者側決勝がiceiceiceによってはじまり、iceiceiceによって終わったのと同じように、グランドファイナルはmaybeによってはじまり、maybeによって終わる。その、はずでした。
勘のいい読者ならば、もう、おわかりですね。
グランドファイナルの第四ゲームになってはじめて、Mineskiには、その名を思い出したくもない、一人のプレイヤーが存在していた事を、否が応でも思い出さざるをえないpick&ban進行が発生します。パンゴリラです。iceiceiceです。DAC 2018において、唯一勝利したポジション3のパンゴリラです。DAC2018において、3勝7敗だったパンゴリラで、一人勝ちしたiceiceiceです。グランドファイナルは、maybe対maybeなどではなかったのです。DAC2018のグランドファイナルは、Mineski対LGDでした。
DAC2018。
それは、幾つかのあっけない局面と、幾つもの残念なpatchの影響を抱えながらも、歴史に残る壮絶な死闘でした。そして、変態iceiceiceが世界に向けて、完全復活を宣言する為の大会であり、変態の為の変態による変態の大会でした。それは、ある視点においては、大会期間中のpatchにより台無しにされた、あの闘劇や、あのti、あるいはあのマニラにも匹敵する、eSports史上最悪の大会でした。
第四ゲームにおいて、圧勝した第1ゲームと全く同じpick&banを試みたLGDの消極的なpick&ban戦略は、変態iceiceiceにパンゴリラを信じて託すというMineskiの勇敢さの前に敗れ去りました。
Mineskiの弱いポジション1がLGDによって完全に潰され、中盤も半ばを過ぎてもノーアイテムという惨憺たる内容の中で、iceiceiceは最悪のケースを想定して自らがADCする選択も視野に入れながらもLGDを一人で翻弄し続ける事により、完全に4人対5人のゲームになってしまったゲームにおいて、4人しかプレイヤーが居ない側のMineskiに小さなそれでいて確かな勝利をもたらし続け、iceiceiceが積み重ねたナイスプレイの塵の山が、巨大な雪崩となってLGDを飲み込んで行くこととなります。
Mineskiには信じられるものが常にあり、
LGDは信じられるものを失いました。
DAC2018で、不滅に思えた世界最強Liquidと世界最強VPの両雄を共に打ち破ったLGDは、その貴重な勝利の中で、chaliceというプレイヤーから、自立自尊の精神を奪ってしまっていました。3本先取のグランドファイナルにおいて、優勝に王手をかける2勝にまでは辿り着いたLGDでしたが、優勝に必要な3勝目は、遠く遠く、見果てぬ夢でした。
世界最強VP相手の3戦。
世界最強Liquidとの5戦。
対Mineskiの2日にわたる6連戦。
LGD最強のgyroという選択も大会期間中のpatchと勝者側決勝の2敗によって消えてしまっていました。LGDの矢玉は、完全に尽きていました。矢玉が尽きたLGDが頼り縋ったのは、強そうなヒーローです。それは、中国が最後にThe Internationalで優勝した際の、最終ゲームのヒーロー。もはや神話となった跳刀跳刀に率いられた、あの栄光のWingsが、The Internationalのグランドファイナル最終ゲームで用いたヒーロー。LGDの脳裏には、あの瞬間の中国全土を熱狂させる歓喜の渦が蘇ってしまったのでしょう。
そのヒーローとは、中盤と終盤の境目である35分~40分という短い時間帯において、圧倒的な強さを発揮する、繊細で儚い、それでいて強烈な強さを持つ、ミッドレンジcarry、アンチメイジでした。けれども、それは、儚いものです。アンチメイジとは、強く儚いものなのです。
chaliceのpickを見てから、iceiceiceが後出しじゃんけんを行うというpick&ban進行が行われた第五ゲームにおいて、そのような儚いヒーローが勝利を収められる可能性は存在していませんでした。ameのアンチメイジは一度としてゲームの糸口を掴むことが出来ず、LGDはameと共に沈んで行きます。天に輝いたのはMineskiの旗。
藤井六段には藤井六段が居るが故に藤井六段は勝利し、羽生結弦には羽生結弦が居るが故に羽生結弦は勝利し、ウサインボルトにはウサインボルトが居るが故にウサインボルトが勝利するのと同じようにMineskiは、iceiceiceが居るが故に勝利し続け、優勝を成し遂げました。
DAC2018は、「Liquidにはmiracle-が居るが故にLiquidが優勝した」となるはずの大会でした。DAC2018は、「VPには捕食者Ramzes666が居るが故にVPが優勝した」となるはずの大会でした。そうはなりませんでした。dota 10年の歴史の中で断トツの才能を持った、あのmaybeを以てしても、そうはなりませんでした。
蘇ったのです。
あの男が、蘇ってしまったのです。
iceiceice。
Mineskiのポジション3。
それは、シンガポールが世界に誇る変態プレイヤーです。
9,追記せねばならないこと。
さて、書き漏らしてしまった重大な事実が幾つかあります。
まず第1に、Mineskiのポジション5は、世界最強プレイヤーであるということです。Mineskiのポジション5はninjaboogieというプレイヤーなのですが、この人は極めて平凡な、ローカルレベルのプロプレイヤーでした。東南アジアにおいてでさえ、平凡なプレイヤーだったのです。実際に、Mineskiの2ndチームを一瞬でkickされるなど、チームを転々としています。現在のMineski以前に、ninjaboogieが最も世界大会に近づいたのは、raveに所属していた時だと思いますが、ビザが出ずに出場を辞退するなどして、大きな結果を手にすることが出来ずに終わっています。
そんなninjaboogieですが、現在のMineskiに加入して以降の内容は特筆に値するもので、DAC2018以前、もっというと、iceiceiceが復調するよりも前から、ninjaboogieに関しては「世界的な名手に劣らない内容を残している」と言い続けて参りました。
さらに、Mineskiのポジション4は、造反レベルの低迷により中国を追われたiceiceiceが自分のチームを立ち上げるにあたり、Twitter公募によって獲得したjabzというタイのプレイヤーであり、世界では1勝も出来ず、アジアでは1敗もしないという、私達東南アジアサーバーのプレイヤーが頭を抱える、最弱の最強チーム「アジア無敵のfaceless」というチームでポジション2を務め、世界では1勝も出来ないが故に煮詰まりに煮詰まり煮詰まりすぎて、アジアでは無敵だったにも関わらず、ポジション2(solo mid)から、ポジション4(サポート)へと転向し、遂に念願の世界初勝利をあげた人です。世界シーンにおけるfacelessは、世界初勝利をあげたというだけで解散してしまいました。facelessは少なくとも、アジアでは無敵だったわけで、その中核プレイヤーであったjabzは当然ですが素敵なセンスの持ち主で、素晴らしいプレイヤーです。
MineskiのDAC2018優勝は、ninjaboogieとjabzという、世界のどのチームと比較しても決して劣ることの無い、世界最強レベルのバックラインによって、成し遂げられたという事実だけは、追記しておかねばなりません。散々書き散らかした後に言うのは気が引けますが、dotaは一人では勝てません。全体的には苦しい部分もありましたが、ポジション2のnanaもまた、「完璧な」と形容したくなる、幾つかの素晴らしいリプレイを大会期間中に複数残しています。
Mushi、iceiceice、nana、ninjaboogie、jabz。
この4人には共通点があります。
それは、最強チームでプレイした経験を持つということです。
そして、誰一人として、mineskiが見出したプレイヤーではありません。
LGDの「yao先生に対する人情人事」とはかけ離れた、真のeSportsチームによる、正しいお金の使い方、自分達の将来に対する投資こそが、Mineski優勝の裏には存在します。良いマネジメントが、悪いマネジメントに勝った。そんな事実も残るのです。大会期間中のpatchにより、味噌がついてしまいましたが、その味噌を振り払えるかどうかは、これからのMineskiにかかっています。少なくとも、Mineskiには世界的な名手が所属しています。そして、Mineskiに所属している世界的な名手は一人ではありません。それが4人なのか、あるいは5人なのか、はたまた3人であるかというのは、またいつか、どこか見果てぬ場所で、語り明かそうではありませんか。三途の川を渡ったあたりで。
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//なお、途中数字が入るべきところがxとyになっていると思いますが、昨日秀丸エディタが初期設定のままだとバックアップをとっていないせいで、草案と、資料用のデータと、序盤のテキストからなる11000字のテキストファイルが吹っ飛んだせいです。追って数値いれます。流石に今日はデータ取り直す気力ないです。ごめんなさい。
2018年4月26日木曜日
国分太一の福島と、パブロ・エスコバルの慈善事業。
山口達也が強制猥褻で送検されるや否や、国分太一がテレビの生放送で福島を語り始めた。これが日本の慈善事業であり、日本のマスメディアである。
慈善事業を行った著名人の中に、パブロ・エスコバルという人物がある。慈善活動によりエスコバルは名声を手にした。エスコバルは麻薬王でこそあったが、エスコバルは人民の救世主であり、エスコバルは人民の英雄であった。エスコバルは自らの身に 不祥事が降りかかる度に、慈善活動によって築き上げた名声を、自らの盾として用いた。エスコバルにとっての慈善活動とは、盾であった。慈善活動は彼にとって、暴力と同じくらいに重要な盾でありつづけた。
我が国においても、阪神大震災の時に山口組が、というのはよく語られる話である。慈善事業は悪事を働く者にとって最強の盾の一つであり、突如として身に降りかかる不祥事をおさめる為の最大の武器である。慈善事業とは人が平時に築くことが出来る城であり、石垣であり、堀である。慈善活動とは、ダメージコントロールなのだ。
であるからと言って、慈善活動を行うものを指して、「あいつは盾を積み増ししているだけだ」というのは間違いである。残念なことに、どの国の政府も、その巨大さや様々な制約が故に、多くの場合、常にどこかが不完全である。世界中のどこにでも、誰かの善意なしに、強いて言えば慈善活動なしには、成り立たない人々の暮らしがある。
震災の例をあげずとも我が国は、第2次世界大戦後、アメリカの慈善活動によって立ち直った。たとえばそれが、アメリカにとって、盾を積み増しする為の行為にすぎなかったとしても、それはそれ、これはこれである。純粋なる慈善活動などというものは存在しない。誰もが利益の為に生きている。
では、歓迎すべき慈善活動、あるいは見過ごすべき慈善活動と、ただの盾の積み増しである慈善活動、ダメージコントロールの為の邪悪な慈善活動を見分けるにはどうすればいいのだろうか。それは、不祥事が起こるのを待つ事である。気分の良い話しではないが、不祥事が起これば、それが慈善活動であったのか、あるいは私利私欲の為に盾を積み増していただけなのかがわかる。
真の慈善活動家は、身に降りかかる不祥事に、慈善活動で得た名声の貯金を用いない。自らが窮地に陥った際に、それまでの慈善活動に関して触れ回らない。
さて、国分太一はどうか。
いえ、TOKIOはどうか。
正確には、ジャニーズはどうか。
明確である。
メンバーという得体の知れない呼称をマスメディアに強制するジャニーズ事務所は、山口達也の不祥事が起こるやいなや、国分太一をテレビの生放送に送り込み、「福島が」「福島が」と得意気に繰り返させた。
ジャニーズにとっての慈善活動とは盾であり、TOKIOにとっての福島とは盾である。彼等がこの日の為に一生懸命築き上げた、自らの私利私欲の為に積み上げた、最も使い勝手のよい、不滅の無敵の盾である。
不祥事が起こるや否や福島を、自分達の身を守るための無敵の盾として利用するジャニーズ事務所は、我が国にとって最も忌むべき存在の1つであり、言うまでも無くTOKIOは、福島を自らの保身の為に都合良く利用する、福島の、そして私達日本国民の敵である。
慈善事業を行った著名人の中に、パブロ・エスコバルという人物がある。慈善活動によりエスコバルは名声を手にした。エスコバルは麻薬王でこそあったが、エスコバルは人民の救世主であり、エスコバルは人民の英雄であった。エスコバルは自らの身に 不祥事が降りかかる度に、慈善活動によって築き上げた名声を、自らの盾として用いた。エスコバルにとっての慈善活動とは、盾であった。慈善活動は彼にとって、暴力と同じくらいに重要な盾でありつづけた。
我が国においても、阪神大震災の時に山口組が、というのはよく語られる話である。慈善事業は悪事を働く者にとって最強の盾の一つであり、突如として身に降りかかる不祥事をおさめる為の最大の武器である。慈善事業とは人が平時に築くことが出来る城であり、石垣であり、堀である。慈善活動とは、ダメージコントロールなのだ。
であるからと言って、慈善活動を行うものを指して、「あいつは盾を積み増ししているだけだ」というのは間違いである。残念なことに、どの国の政府も、その巨大さや様々な制約が故に、多くの場合、常にどこかが不完全である。世界中のどこにでも、誰かの善意なしに、強いて言えば慈善活動なしには、成り立たない人々の暮らしがある。
震災の例をあげずとも我が国は、第2次世界大戦後、アメリカの慈善活動によって立ち直った。たとえばそれが、アメリカにとって、盾を積み増しする為の行為にすぎなかったとしても、それはそれ、これはこれである。純粋なる慈善活動などというものは存在しない。誰もが利益の為に生きている。
では、歓迎すべき慈善活動、あるいは見過ごすべき慈善活動と、ただの盾の積み増しである慈善活動、ダメージコントロールの為の邪悪な慈善活動を見分けるにはどうすればいいのだろうか。それは、不祥事が起こるのを待つ事である。気分の良い話しではないが、不祥事が起これば、それが慈善活動であったのか、あるいは私利私欲の為に盾を積み増していただけなのかがわかる。
真の慈善活動家は、身に降りかかる不祥事に、慈善活動で得た名声の貯金を用いない。自らが窮地に陥った際に、それまでの慈善活動に関して触れ回らない。
さて、国分太一はどうか。
いえ、TOKIOはどうか。
正確には、ジャニーズはどうか。
明確である。
メンバーという得体の知れない呼称をマスメディアに強制するジャニーズ事務所は、山口達也の不祥事が起こるやいなや、国分太一をテレビの生放送に送り込み、「福島が」「福島が」と得意気に繰り返させた。
ジャニーズにとっての慈善活動とは盾であり、TOKIOにとっての福島とは盾である。彼等がこの日の為に一生懸命築き上げた、自らの私利私欲の為に積み上げた、最も使い勝手のよい、不滅の無敵の盾である。
不祥事が起こるや否や福島を、自分達の身を守るための無敵の盾として利用するジャニーズ事務所は、我が国にとって最も忌むべき存在の1つであり、言うまでも無くTOKIOは、福島を自らの保身の為に都合良く利用する、福島の、そして私達日本国民の敵である。
デスクトップが汚い
デスクトップが汚い。2820*1080の広大な空間が、得体の知れないファイルとショートカットで溢れている。モニタの中央ど真ん中にある、「コリコリがコリだなー.txt」というわけのわからないファイルをクリックしてみると、中身は空。このファイルを作った時の自分がいったい何を考えていたのか、サルベージすることはもう出来ない。
デスクトップはいつからか、僕が自由に出来る空間では無くなった。行き倒れた夢や、膨らみ続ける怒りで溢れて、デスクトップは破裂している。かつては夢や希望といった言葉で言い表されていた何かが、正当性だけを残した他の何かに化けて溜まり、木工用ボンドが入ったシャボン玉のように、粘りを持った膨らみとなっては割れて落ちては膨らんでくる。
人生と同じように、デスクトップも自由にならない。インターネットに繋がっている限り。いいえ、インターネットに繋がらなくとも。諦めで満たされた日常からは、文章を纏める体力も生まれない。何も自由にならない。デスクトップも、ブログも、自分の感情も。ただぼんやりと眠たい。眠る理由は別にない。生きる理由は無論無い。汚いデスクトップを綺麗にしよう。
デスクトップはいつからか、僕が自由に出来る空間では無くなった。行き倒れた夢や、膨らみ続ける怒りで溢れて、デスクトップは破裂している。かつては夢や希望といった言葉で言い表されていた何かが、正当性だけを残した他の何かに化けて溜まり、木工用ボンドが入ったシャボン玉のように、粘りを持った膨らみとなっては割れて落ちては膨らんでくる。
人生と同じように、デスクトップも自由にならない。インターネットに繋がっている限り。いいえ、インターネットに繋がらなくとも。諦めで満たされた日常からは、文章を纏める体力も生まれない。何も自由にならない。デスクトップも、ブログも、自分の感情も。ただぼんやりと眠たい。眠る理由は別にない。生きる理由は無論無い。汚いデスクトップを綺麗にしよう。
2018年4月25日水曜日
わたしには夢がある。
夢を叶える為に努力をするのは素晴らしいことだと思い込んで生きてきた。それ故に夢を持たない自分自身を好きになれなかったし、夢のために努力をしない自分が嫌いだった。その困難さや複雑さこそ違えど、誰にでも夢があって、いつか夢が叶えばいいなと願いながら生きている。それが人間なのだろうと思っていた。人っていうのは、そういうものだと。だからこそその範疇に居ない自分自身は、不完全で人に満たない出来損ないの人間なのだろうと思っていた。ふと、自分には壮大な夢があることに気がついた。私には夢がある。そして僕は困ってしまった。果たして僕は夢を叶えるべきか。夢を叶える為に一心不乱の努力をすべきか。それとも、夢を鼻で笑い小馬鹿にし、「そんなものは夢のうちには入らない」などと嘲るべきか。
この世界は否定する言葉で溢れている。誰かが夢を語ればそれを鼻で笑い、そんなものは夢のうちには入らない、それは社会では妄想というんだと叩きつぶされる。誰かが努力を誇ればそんなものは努力のうちには入らない、俺がおまえくらいの歳のころには、と雄弁に語り出す。僕が果たしてするべき事は、それらと同じように自らの夢を鼻で笑い、はなから否定することなのだろうか。それとも、一心不乱に夢の実現の為にあくなき努力を続ける事なのだろうか。
夢を叶えれば世界は変わる。当たり前の事だ。どのような些細で小さな夢も、それが叶えば世界が変わる。何も変わらず全てが永遠に変わらないであって欲しいという夢すらも、もしも叶ったならば世界が変わる。夢なんて叶えなくたって、あなたの世界は変わっていく。そして、夢を叶えれば世界は変わる。多くの場合は、劇的に変わるだろう。少なくとも、夢を叶えないという生き方を選択した場合よりも、遙かに満たされた人生が待っている。
漠然と、夢を追いかけないという生き方に憧れる。夢を追いかけないことで、夢は永遠に夢のままで維持される。わたしには夢があると、永遠に語り続けられる。それだけで満たされるならば、それでいいとおもう。それだけで生きていけるならば、それでいいと思う。世界には、そういう人が大勢居る。夢を追いかけなくても生きていける人達。けれども僕は彼等とは違う。生きていける見込みも無いし、生きていくつもりもない。夢を追いかけないという選択をとる余地はない。わたしには夢がある。必ず叶えてみせる。その為に努力を、一切の言い訳をせぬ、不断の努力を。
この世界は否定する言葉で溢れている。誰かが夢を語ればそれを鼻で笑い、そんなものは夢のうちには入らない、それは社会では妄想というんだと叩きつぶされる。誰かが努力を誇ればそんなものは努力のうちには入らない、俺がおまえくらいの歳のころには、と雄弁に語り出す。僕が果たしてするべき事は、それらと同じように自らの夢を鼻で笑い、はなから否定することなのだろうか。それとも、一心不乱に夢の実現の為にあくなき努力を続ける事なのだろうか。
夢を叶えれば世界は変わる。当たり前の事だ。どのような些細で小さな夢も、それが叶えば世界が変わる。何も変わらず全てが永遠に変わらないであって欲しいという夢すらも、もしも叶ったならば世界が変わる。夢なんて叶えなくたって、あなたの世界は変わっていく。そして、夢を叶えれば世界は変わる。多くの場合は、劇的に変わるだろう。少なくとも、夢を叶えないという生き方を選択した場合よりも、遙かに満たされた人生が待っている。
漠然と、夢を追いかけないという生き方に憧れる。夢を追いかけないことで、夢は永遠に夢のままで維持される。わたしには夢があると、永遠に語り続けられる。それだけで満たされるならば、それでいいとおもう。それだけで生きていけるならば、それでいいと思う。世界には、そういう人が大勢居る。夢を追いかけなくても生きていける人達。けれども僕は彼等とは違う。生きていける見込みも無いし、生きていくつもりもない。夢を追いかけないという選択をとる余地はない。わたしには夢がある。必ず叶えてみせる。その為に努力を、一切の言い訳をせぬ、不断の努力を。
2017年9月20日水曜日
2017年8月2日水曜日
The International 7 プレイヤーレビュー。
途中から泣きそうになりながら書いた毎年恒例プレイヤーレビュー。
『今年のプレイヤーレビューが不可能に等しい理由。』
今年のプレイヤーレビューが極めて困難なのは、dotaシーンにおいて、この一年間というものが存在しないに等しいものだからです。欧米の主要チームはti6後の移籍期間で軒並み崩壊し、中国に至ってはiGVが最強格というだけで頭を抱える展開なのに、そのiGVにビザが出ないという悲惨な環境下で開催されたのが、昨年10月のボストンメジャー。
そこからシーンは立ち直る事がなく、新patchでマップが変わり、dota史上に残るワースト要素が含まれたバージョンが続きました。しかもpatchで悉くバランスが変わるものですから、シーンを曲がりなりにも制したOGと、シーンの中心的な存在であったVPですらも、シーンの文脈を作る事は出来ませんでした。「ラムゼス凄いね」「Universe凄いね」で終わってしまい、彼等がどのようなdotaを目指していたか、どのような成長をしてきたか、どのように新マップを解きほぐしていったか、という見所が曖昧になる環境が続きました。プレイヤーの進化よりpatchの影響の方が大きすぎたのです。アジアチャンピオンシップにおけるiG bobokaのwinキーに、一体どのような文脈があるでしょうか。ふざけた話でした。
唯一の例外はOGで、OGだけは僅かに文脈を作る事に成功しました。そのOGですら、notailの苦肉の策と、s4の弱点克服(できなかった)問題、そして『JerAxやべえJerAx居れば勝てる』というテーマが主で、チームとしてはpatchの影響が強すぎました。OGは、jax強いね、fly強いねという個の力、世界最強のサポート2人によって裏打ちされたチーム力によって、ti6からの一年間、メジャー大会を全て勝ちきってしまいました。
この一年間のシーンにおけるプレイヤーの輝きを、単純なプレイヤーの評価に繋げる事が極めて難しい中で開催されるti7。そのプレイヤーレビューです。上位10人は凄く書きやすいけれど、それ以下は凄くしんどかった。なきそうだった。せめてレソリュと跳刀跳刀とshadow-が切符を逃していなければ、下位でも筆も踊ったのに。
星5,一名。
★★★★★ JerAx
OGはti6後に開催されたメジャー大会3つを全て勝ってしまいました。何故OGが勝てたか、という原因を探るよりも、その前に、否が応でもjaxです。何はともあれjaxです。
JaxがOGに居なければ、OGは必ずどこかで負けていたでしょう。それどころか、1つのタイトルも獲れていなかった可能性まであります。本来ならばLiquidが獲得していたはずのcr1tが、黄金期を迎えていたppdを地下牢に押し込めるという暴挙に出たEGに掻っ攫われた段階で、もしもLiquidにjaxが出戻っていたならば、この一年間シーンを制していたのはOGではなく、Liquidだったでしょう。これは仮定の話だとか、ifだとか、そんな生ぬるいものではないです。現実です。真実です。ifではありません。この1年間のjaxとはそういう存在でした。jaxが居るから勝てる。それがjax。一人でチームを勝利に導いてしまう存在。クラックそのものでした。「dendiが居るから勝てる」をサポートで再現してしまったのです。有り得ない話です。
jaxが辿り着いた高みは、dota16年の歴史の中で、誰一人として辿り着けなかった場所です。全てのサポートプレイヤーが辿り着けなかった、辿り着けないはずの場所です。
ti6以前の一年間、dota2は現在のバージョンとは違うマップのゲームでした。ゲームバランスも全く違いました。そのバージョンにおいて、Jaxがプレイしている4手というポジションは、ゲーム展開に対する影響力を非常に強く持つポジションでした。
アライエンスが誇った世界最強のサポートEGMと、アライエンスが誇る最強のキルプレイヤー Killer Akke & passive Akke の組み合わせは、ti3の決勝において、違いを作る事が出来るサポートプレイヤーを有していなかったnaviに、一度ならずも二度までも完全な勝利を収めました。midでは勝っていた、1手は甲乙付けがたく、3でも優位性はあった。にもかかわらず、サポートをどうゲームに組み込むかという差で、naviは負けたのです。
それからのシーンを制したのは、zai、aui2000という北米でプレイした2人の4手であり、バージョンの変更によりさらに4手の重要性が上がった結果、フィアーとChuaNの2人を筆頭に、世界最強cr1t、zfreek、maybenexttime、ppy、そしてjaxといった面々がシーンの主役となっていったのが、昨年のti6までの流れです。
ところが、ti6以降その光景が完全に変わりました。
東の横綱ChuaNが休業し、西の横綱fearは座敷牢へ。世界最強の4手だったcr1tは、ポジションを変えた事により4手としては完全消滅。zfeekとmaybenexttimeは所属チームの問題から切符を安定して獲る事も叶わなくなります。
そんな中で、追い打ちとなったのが7.00系列の新マップ。コアプレイヤーに追加のリソースが与えられた事により、サポートのゲーム介入能力は低下。サポートは悲しくバウンティルーンにピンポンダッシュ。ゲームを硬直させてだらだらファームをし、フルビルドを備えてドーンとぶつかるのが最適解という、サポートがゲームを作っても相手を押しつぶせないバージョンが来てしまうのです。このバージョンにおいては、カブト虫を食べるフィアー・ザ・ダークネスや、銀の弾丸ChuaN ザ・シルバーブレットは実現しなかったでしょう。
ライバルが悉く自然消滅し、patchにより4手の比重が下がってしまったそんな環境下で、JerAxだけが異質の存在感を放ち続けます。cr1tを僅かな差で追う世界で2番目の4手だったjaxは、どんな役割を担当しても、何故か違いをつくれてしまうという、驚異的な、まるで奇跡のようなプレイヤーと化してしまったのです。
振り返ればjaxは、ゲームの脆弱性を悪用してレートを上げる事で成り上がるという、eSportsプレイヤーとしては非常に汚れた経歴を持つプレイヤーです。だからこそ僕は、5j加入当初の5人の中で断トツで弱く、トップシーンで通用する見込みの無いjaxを指して、「JerAxはペテンである」と言っていたわけです。
この種の、ゲームの脆弱性を利用して成り上がったプレイヤーは、ゲームの脆弱性が埋められると同時に「何をやっていいのかわからない」「扱えるキャラクターが居ない」という苦境に陥って消えて行くのが世の常です。jaxはそうはならず、明確な意志を常に持ち、どんな役割をも担えるという超人へと進化しました。それも僅か5ヶ月くらいで。
MVPで何の結果も残せなかったjaxが、フィンランドコネクションを用いる事で、職場を追われた浪人の集まり程度のアマチュアチームに滑り込んでいなかったら、僕等の見て来たeSpretsシーンは全く違う光景だったでしょう。そのアマチュアチームには、かつてはdota史上最強のタレントだったkurokyが居て、尚且つjaxが加入した5jという有象無象のアマチュアチームでkurokyは、驚愕の全盛期を迎えてしまうのです。
全盛期kurokyの成果は、全盛期kuroky自身がタイトルを獲得してシーンを制圧する事によってではなく、彼が育ててしまったjax、そして移籍市場における敗北により、OGへと放出してしまったjaxが、dotaシーンを完全に制圧するということで、その結実を見てしまったのです。
そして、全盛期kurokyがjaxを失ってからの一年間は、dotaシーン15年の歴史の中で、どんなサポートプレイヤーも決して成し遂げられなかった、「世界最強プレイヤーはサポート」という、未曾有の現実をも招いてしまったのでした。その頃kurokyのLiquidはしんでました。
世界最強プレイヤー。
現時点においてのそれは、他ならぬjaxです。
世界最強carry。
現時点においてのそれは、他ならぬjaxです。
実際、サポート担当プレイヤーが勝利を運んでいるんだから、jaxはcarryでしょう。全然ファームしないけど。ファームするのはファーマーであって、carryじゃないでしょう?ひたすらファームしてるサポートを「carry Support」とか言うの、ちゃんちゃらおかしいですよ。それは「farm Support」です。jaxはどちらかというと、farmしない方に属する4手です。キルも取りに行かない方の4手です。何してるんでしょうね。どういう仕組みなんでしょうね。未だに言葉では表現出来ません。臨機応変にいろいろやっているだけです。
さて、jaxのプレイヤーとしての特色は、まず第一に人を食ったような気質です。jaxのプレイには緊張感がありません。たとえばChuaNは、自らの一挙手一投足が勝敗を左右するという事を明確に認識し、常に緊張感を持ってプレイするのですが、jaxにはそれがありません。自分が何かをして勝つという責任感を持たず、なおかつ日和ってゲームから浮いてしまう事も無いというjaxのバランスは、「所詮これはゲームにすぎない」というjaxの人を食った態度によって成し遂げられています。その態度が成り立つのは、「俺はファームしなくても勝ってきた」というjaxが積み上げてきた実績が故でしょう。
自らのプレイに対する強固な意志を持たない、自らのプレイに固執しないという事はjaxの弱点でもあるのですが、今のバージョンは4手に対する弱体化が幾重にも重なった果てのバージョンなので、jaxのプレイスタイルが最適解と言うことが出来るでしょう。
唯一の懸念はauiとlilをはじめとしたvisage playerのvisageです。中国もvisage大国であり、visageはjax唯一の泣き所です。幸いにして、現状では、visageはjaxの地位を脅かすまでには至っていません。ハンドスキルタイプのプレイヤーではなく、目で見てキーボードを叩ききるタイプのプレイヤーな為、rubickにも多少の問題はあり、enigma戦に不安があるのですが、こちらはチームオーダーで対処可能です。
多くのサポートプレイヤーは「結局ファームしていれば勝てるゲーム」というdotaのゲームデザインに縛られ、相手のファームを潰すか自分がファームするかの、旨味の少ない2択を強いられてきましたが、過剰な自信と人を食った態度に裏打ちされたjaxのマインドは、「別に俺が何もしなくたってチームは勝つ」という達観に至り、他のプレイヤーのように「相手を潰すか、自分が伸びるか」という回答不可能な命題に向き合わずに済んだのです。それもこれも、jaxのパートナーが全盛期kurokyと、世界最強の5手flyという、他の誰もが羨むようなプレイヤーだったのですが、それはそれ。jaxは居るだけでいい。居れば勝てるんです。
kurokyと組むということも、flyと組むということも、jaxが自らの力で勝ち取ったものです。もちろん、その"力"というのは、ゲームの脆弱性の悪用であり、同じ言語を喋るフィンランド人プレイヤーと友達の力を活かしたコネクションによる強引な席確保ですが、その強欲さ、傲慢さ、バイタリティこそが、eSportsプレイヤーに最も必要な能力だったのでしょう。
貪欲であれ。
それがjaxが人々に伝える教訓であり、
jax最大の成功要因です。
「意志を持ったプレイ」である能動的なプレイと、「ファームしていれば勝てるゲームにおいてみんなファームしたい」という受動的なプレイの狭間でjaxは抜群のバランス感覚を見せ、個人性能では決して優れているわけではないのに、気がついたらdotaシーンを完全に支配し、「OGが何故勝てるのか?」に対する最もシンプルなアンサーになっていました。
jaxはもう既に、歴史上最強の4手です。しかも、まだ伸びる余地があります。jaxははじまったばかりです。遡っても彼以上のプレイヤーは思い浮かびません。ChuaNは休みすぎですし、ChuaNは強いチームに居ました。jaxは今も尚、弱いチームに居ます。
faerがずっと4手に専念していれば、あるいはChuaNが休暇を取らなければ。そんなifは不要です。jaxの最強のポイントはその向上心です。fearは立ち止まりました。ChuaNは立ち止まりました。jaxは望み続けました。ゲームの脆弱性を利用してMMRを上げ、eSportsシーンでは一切の結果を残せないまま、MMRを見せ札にして自らを売り込み、使えるコネクションというコネクションを全て使い、立身出世の為にチームを変え続ける事で、なんの実績も持たないままで、全盛期kurokyのパートナーに滑り込んでしまった、jaxのコミュニケーション能力、そして自らを売り込むバイタリティ、誰よりも全てを欲しがった、jaxの強欲さの勝利でありました。もちろん忘れてはならないころは、当初のjaxは断トツで5j(現Liquid)のワーストプレイヤーだったことです。kurokyがjaxを育てたのではなく、jaxがkurokyを喰らって、伸びたのです。
「現在、世界最強のdotaプレイヤーは誰か?」
それに対する私の回答は明確です。
その回答に、一切の迷いはありません。
星4,3人。
★★★★ Universe。
jaxが居なければ、現在世界最強のプレイヤーはmiracle-ではなくUniverseです。中国人の3手が全て迷走しました。それだけではなく、欧米の3手も全て精彩を欠いています。唯一の輝きを見せていたVPの9pasは、事もあろうかUniverseに白黒つけられてしまいました。1手から転向したばかりの9pasと、eSportsプレイヤーとしてのキャリアを全て3手に費やしてきたUniverseとでは、選択可能な選択枝があまりにも違いすぎたのです。
現在Universeの所属するEGには、世界最高のmid lanerであるSumaiLが居るのですが、SumaiLが作れるアドバンテージは決して大きくはありません。何故ならば、現代シーンのポジション2というのは、世界中のサーバーにおける、最強のpubプレイヤーが、pubで鍛えた筋肉を背景に暴力と暴力で殴り合う場所だからです。SumaiLは最強なので、誰が来ても殴り勝てるのですが、その差は僅か。ほんの僅かです。
一方でUniverseは違います。3手というポジションにおいて、並ぶ者が居ません。単純な話をするとSumaiLの方が優れていたとしても、実情としてはUniverseの方が圧倒的に大きな貯金を作れるのです。思い返せば、世界最強のチームには常に世界最強の3手が所属していました。Universeは正にそれです。あの平凡なUniverseが、現代シーンにおける最大の「違いを作れるプレイヤー」になってしまったのです。それは、決して、世界的な3手が迷走したキャリアを辿ったが故の地盤沈下などではありません。棚ぼたではなく、Universeの平凡なキャリア全てが、Universeの力となて、世界最強の3手を形作っているのです。
昨年、Universeはmooというレベルの低いプレイヤーにゲームインパクトの作り方で完敗してしまいました。今年のUniverseもcr1tのpick&ban次第で潰れるでしょう。Universeには無限の選択肢があり、その選び方を間違えれば簡単に潰れてしまう結果が待っているのです。
★★★★ miracle-
やっと、2手です。
やっと、midです。
当代最強miracle-です。
とりあえず、現代シーンにおける最大のプレイヤーパワーを持ったプレイヤーである事だけは間違いありません。Liquidはこの1年間負けに負け続けましたが、miracle-の問題ではなく、ppdを地下牢に押し込めるという暴挙に出たEGにcr1tを掻っ攫われてしまったというのがLiquid低迷の50%です。残り50%はマツンバマンです。miracle-はとりあえず強いままで、一年間を過ごしました。
eSportsプレイヤーなどではなく、血と肉で出来た野心がmiracle-の首を狙っています。もう既にmid lanerとしてはSumaiLに刺されてしまい、現在のmiracle-が当代最強のプレイヤーであるという事実は事実でありながらも、砂上の楼閣であります。
「miracle-の時代」の訪れを待たぬままで、「miracle-が最強プレイヤーであった時代」は終わろうとしています。いいえ、まだです。まだはじまってもいません。遂にLiquidはcr1tショック&JerAxショックから立ち直り、名実共に世界最強の一角を担う地位へと自力で舞い戻ったのですから。これは全盛期kurokyの闘いではなく、当代最強miracle-が、真の最強プレイヤーの座を、たかだかJerAx如きから取り戻す為の夏なのです。
★★★★ SumaiL
世界最強の mid laner。
それがSumaiLです。
かつてのSumaiLはレーンで気がついたらダイブして勝手に死んでいました。今のSumaiLはレーンで死なないばかりか、負けません。負けないというのは大げさにしても、最強のmid lane能力を持つプレイヤーである事は、疑う余地がありません。
今のSumaiLの強さを見て思う事は、世界のトップレベルでプレイし続けた経験こそがSumaiLの強みであり、それはUniverseとまったく同じ意味を持ちます。若干15歳にしてキャリア16年を誇ったSumaiLも、気がつけばそのキャリア19年。現代シーン最強のベテランプレイヤーです。
もちろんpick プール的に大きな問題を抱えており、かつてのs4やmushiと同じように、invokerをpick出来ない程度のプレイヤーパワーしか持ち合わせていません。その個としての若干の弱さを、SumaiL最大の強みである暴力的なひらめきと、円熟味を増した死なずにキルを重ね続ける能力、そして気がつけば、往年のctyを彷彿とさせるmid laneの圧倒的な強さにより逆転し、miracle-すらもその影を踏む事が出来ないレベルのmid lanerとして、世界の頂点に君臨しています。それが、あの頃のSumaiLとはまったく違う、進化したSumaiLです。
もしも、去年のEGに今年のSumaiLが居たならば……。
歴史は変わっていたでしょう。
星3,五人。
★★★ sccc。
ライジングサン。
昇る太陽scccです。
Hao、mu、ChuaNという3人の主力ベテランプレイヤーを休業で失いながら、2ndチームから1stチームに引き上げられたscccは、抜けた3人の穴を一人で埋めるという、あまりにも衝撃的な、日の出の勢いでシーンに登場しました。
確かにあの頃のnewbeeは、iGVよりも弱かったのですが、それはscccの責任ではありません。確かに今のnewbeeも、決して強くはないのですが、それはscccの責任ではありません。
果たしてこの広い世界にchina dota至上主義者というものが存在しているかどうかはわかりませんが、その架空の実在しないchina dota至上主義者にとっては、全ての答弁において「でも中国にはscccが居る」という回答を可能とした、この一年間の中国最強プレイヤーでした。
彼の適正が本当に2手なのかという疑問は今も残りますが、チームメイトに恵まれれば天下を獲れるプレイヤーであることは間違いありません。残念ながら現段階ではチームメイトに恵まれていませんが、それはまた別の話。少なくとも個人としてのscccは、現代中国が誇る特別なタレントなのです。scccの栄光は、この夏には無いでしょう。けれどもその話はnewbeeのチームレビューにて行われるべきであり、この段落で行われるべき話ではありません。
★★★ xxs
現代最強の中国人プレイヤーはxxsです。
話が混乱してきましたが、scccのことは一度忘れて下さい。現在、世界中の3手が滅びました。ムーンメンダーはtiの切符を取り逃し、elvenはこの一年半、迷走に迷走を重ねました。昨年の優勝プレイヤーであるbianは切符を逃し、昨年のtiで準優勝を成し遂げたmooは1手にポジションを変えて切符を獲りました。マイコンは添え物としては最強なのですが、主役になるタイプのプレイヤーではありません。
そんな3手の地盤沈下の中で、xxsはUniverseと同じように、地盤沈下によって浮上したのではなく、自らの才能によって浮上しました。他のプレイヤーが嫌がるプレッシャーの高いヒーローを恐れずにpickし、結果を出し続ける事で、本来ならば中国最強の3手になるであろうyangとの中国NO1プレイヤー争いにも完全に白黒をつけました。yangは心が折れて低難易度のキャラクターへと軸足を移しましたが、xxsは最後まで折れず、心にナイフを隠し持ち続け、要所で誰かの心臓を刺しました。
scccが「本人は輝いているけれど」というプレイヤーなのに対して、xxsは本人が輝き、尚且つ結果が出たプレイヤーでした。身も蓋もない話をすると、全く違うゲームアプローチを持つinjuryとの差は決して大きなものではないのですが、少なくともinjuryには絶対に不可能なロールを担当出来るという点において、xxsに対する評価は揺るぎないものであると思われます。
低難易度のキャラクターで結果を残すプレイヤーを軽んじるのではなく、簡単なプレイスタイルでチームに大きな貢献をし、結果を残すプレイヤーを軽んじるのではなく、xxsは素晴らしい仕事をしている。現在の中国人プレイヤーの中で、最も大きな利益をチームにもたらす事が出来る。それだけの理由で、xxsは中国最強のプレイヤーなのです。ただし、紙一重です。scccとの話が混乱したのも、その辺りですし、後ろにも大勢控えています。
★★★ fly
世界最強の5手。
それがキャプテンflyです。
かつてはサポートのレベルが低い地域であるヨーロッパで唯一、攻撃的なサポートをプレイ可能だった、あのFnaticのキャプテンflyです。この一年間実はflyにとっては少し弱いバージョンが続いていたのですが、それでもflyは無敵でした。JerAx+flyが無敵だったのではなく、fly単独で、他の追随を許さない、無敵の5手でした。
MMYとkakaを失った中国に、flyを討ち果たす力はなく、ppdは地下牢に押し込められ、cr1tは一年の歳月を経てなお、ポジション5に適応出来ませんでした。UniverseやJerAxと同じくらいの、飛び抜けたプレイヤーなのですが、残念ながら今はサポートが弱いバージョン。5手が決定的な仕事をするのは、以前にも増して難しくなっています。それでも、flyのプレイヤーパワーこそが、この一年間のOGの快進撃の根底にあったという事実は揺るぎません。
バージョン的には、昨年のtiよりも都合が良いでしょう。本人に能力がありすぎるが故に、pick&banで自らがコアロールを割り振りに行ってしまうリスクがありますが、流石にその心配は無用だと思います。OGの成功は、失敗の積み重ねであったというのも、flyにとってはポジティブです。
★★★ notail
最悪です。
迷いに迷った結果、ここ以外にnotailを置く場所が無くなってしまいました。ご存じ、なんの取り柄も無いnotailです。集団戦で自らのHPをコストとして支払い、相手のcarryのHPを回復しに行くnotailです。しかも1回じゃなく2回。けれども残念ながら、世界最強のcarry playerであるレソリューションがtiの切符を逃した事により、ポジション1の一番上にnotailを置かざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。論点は理解しています。ラムゼスです。
確かにラムゼスは素晴らしいプレイヤーです。
ラムゼスはnotailと違い、相手を叩きのめす事が出来ます。全てにおいて、ラムゼスの方がnotailよりも上です。notailがラムゼスに勝っている点は思い浮かびません。唯一思い浮かんだのは、実績くらいです。あとは精々1st タワーに対するダメージくらいです。
notailの項でラムゼスの話をするのは忍びないのですが、残念ながらそれを避ける術はありません。何故ならば、脳味噌が付いている人間にとって、ラムゼスはnotailよりも明確に優れたプレイヤーだからです。わたしには脳味噌というものがありません。
一つだけラムゼスについて述べるならば、ラムゼスも実は完璧なプレイヤーではありません。VPは「相手を叩きつぶす」というゲームアプローチが故に、この一年間大きなタイトルとは無縁でした。では、何故VPが「相手を叩きつぶす」というゲームアプローチに縛られていたのでしょうか。その原因はラムゼスにあります。ラムゼスのプレイスタイル自体が「相手を叩きつぶす」「キルでゲームを作る」というプレイスタイルであり、それ以外のゲームアプローチを行った際のラムゼスは、rtzやburningと甲乙つけがたい、極めて平凡な超一流のトッププレイヤーです。
つまり、ラムゼスを世界最強のcarryとして運用したいならば、VPは自ずから「相手を叩きつぶす」というゲームアプローチを選択せざるを得ないのです。そして、dotaというビデオゲームにおいて、「相手を叩きつぶす」というゲームアプローチは、LGD.sgtyによって、フルスタックアライエンスによって、歴史上最強secretによって、否定され続けてきたゲームアプローチなのです。
だだっぴろいマップでグダグダとファームを続けるのがdotaです。dotaは、「相手を叩きつぶして勝つ」というビデオゲームではありません。つまり、VP最強のプレイヤーは疑う余地なくラムゼスなのですが、そのラムゼスこそが、VPに「相手を叩きつぶして勝つ」という弱い、しかしロマン溢れる、そして痛快で、爽快な、プレイスタイルを強いているのです。ラムゼスの強さこそが、ラムゼスの弱点です。
一方でnotailは違います。
notailは何の役にも立たないので、notailがチームに何かを強いるのは「notailが弱いから」です。ラムゼスは「ラムゼスが強すぎるが故に」チームの足枷となってしまっていますが、notailは「notailが弱すぎるが故に」チームの足枷となっています。
「ラムゼスが強すぎるが故に」チームの足枷。
「notailが弱すぎるが故に」チームの足枷。
果たして、どちらが良いでしょうか?
果たして、どちらが悪いでしょうか?
少なくとも、この一年間の結果だけを見ればnotailの方がマシです。そして単純な結果だけではなく、両チームが残してきたリプレイから見ても、notailの方がマシです。今のnotailはあの頃のnotailとは違うのです。チームの足枷となっているのは確かですが、notailという明確な限界の中で、横に太く、縦に長く、下に重く、巨大な1手として、現代シーンに、凜と立っているのです。立ってしまっているのです。
人は自らの強さから逃れる事は出来ません。
自らの強さから逃げると、強さを失うだけです。
その一方で、弱さから逃げる事は簡単です。
努力をすれば強くなります。
そしてnotailはそうしました。
ラムゼスのゲームアプローチが、dotaというビデオゲームにおいて、強いゲームアプローチだったならば……。そんなifは、ここでは忘れて下さい。事実として、残念ながら、何の取り柄も無いnotailは、ソ連が誇る世界で最も暴力的なcarryよりも、明確に強いのです。
レソリューションが切符をとっていればこの項は、
レソリュって書いとけばそれで終わりだったのに。
★★★ raven
無敵のravenです。
アジア最強プレイヤーが世界最強プレイヤーの座についたのは、DK dream teamのiceiceiceが最後。現在のravenは、アジアに久々に登場した、世界最強を目指せるタレントです。以前僕がmiduanの事をそう評価していたのはもはや周知の事実ですが、それを取り下げたのも周知の事実だと思います。ravenは違います。miduanに対しては初見のインパクトで評価を見誤ってしまいましたが、ravenは泥臭いキャリアを全て見続けた上で言っています。
レソリュやzyfが切符を逃したti7において、最強の1手はもう既にravenです。下にはmonetやame、1手に専念するならば拒絶者、そして一皮むけて世界的なタレントになろうとしているuuu9が控えています。とりあえずti7が開幕するまでの、ti7に出場する1手の中の頂点は、ravenとラムゼスが半分ずつ分け合う形です。notailに関しては忘れて下さい。この辺ややこしいので、とりあえずnotailの事は忘れて下さい。
ravenはその苦難に苦難を重ねるキャリアから、ラムゼスとは違い完成された1手です。もはや、ravenに足りないものは何も無いと思います。努力に努力を積み重ねて、アジアの僻地から世界シーンを目指すというそのキャリアが故に、オリジナルのキャラクターという点では少し弱いですが、そんなもの必要ありません。よっぽどメインメタがおかしな事にならない限り、ravenの強さは揺るぎません。
無敵のravenが、ti7には出場しない世界最強レソリューションを、この1夏で超える為に必要なのは、優勝だけです。ti7の優勝だけ。ti7で優勝するだけ。たったそれだけです。ravenが無敵であるならば、そんなもの容易いことです。そしてravenは無敵のravenです。無理だと思います。無理なんてものはないんです。
@星2。10人。
★★ dog1fight
悩みに悩み抜いた結果、星二つ筆頭に置いて一番しっくりと来るIDは、dog1fightでした。かつてのdog1fightは十把一絡げのpub starですらないSEA pub playerだったわけですが、気がついたら凄い事になっていました。ti6以降の中国最強チームは、ti6を獲ったwingsに匹敵する強さを感じさせながら、「中国のレベルは低いから」という忖度を私達に求めてきたiGVでしたし、7.00に至ってはそんな憂慮は不要の世界最強チームとなったのがiGVでした。
そのiGVが何故勝っていたかというと、拒絶者、injury、dog1fightと、3つのポジションで中国最強のプレイヤーが揃ったと書いても全く違和感の無い3人のプレイヤーが故でした。
もちろん、ポジションを変えたkakaやcr1t、ストーブリーグで敗北して完全に消滅した全盛期kurokyと当代最強miracle-とは名ばかりのLiquid、奇妙な低迷を見せるムーンメンダー、SumaiLに「もう二度と天下は望まず」とまで白黒つけられてしまったmaybe、ChuaN、fear、envyといった世界的名手の事実上の失踪など、高額賞金大会であるti6後のストーブリーグと燃え尽き症候群により、世界中のチームが弱くなった結果ではあったのですが、それはそれ、これはこれ。
あの頃のiGVは強く、尚且つ今のiGVも、中国予選を堂々と勝ち抜いてシアトル行きの切符を獲得してしまうくらいには強いのです。そして、そのiGVのベストプレイヤーを一人あげるならば、それは弱いInjuryでも、1手適正が無い中で無理矢理1手をやり、尚且つチームとしても2手に置くか1手に置くかを不安げに迷い続けている拒絶者でもなく、中国最強のサポートプレイヤー、dog1fightということになるでしょう。少なくともこの1年間のリプレイを見る限りは、中国最強のサポートは、newbeeではなく、ほんの僅かだけiGVの近くに居ました。
「このキャラクターでMMRを上げました」
という空気を感じさせない、厳しく言えば必殺キャラクターを持たないdog1fightですが、もう、ChuaNだfearだauiだzaiだって時代ではないのです。dog1fightこそが、今なのでしょう。現在のバージョンは残念ながら、サポートプレイヤーで勝てるバージョンではないのです。OGが有する、たった一人の例外を除けば。
最高の普通の4手。
それがdog1fightです。
★★ maybe
いや、ちょっと待って下さい裁判長。
総理!総理!総理!総理!総理!話を聞いて下さい総理!
maybeがSumaiLに白黒完全につけられて格付け完了してしまったのは、ボストンメジャー。つまりは、ti6からti7の間。即ち、このプレイヤーレビューの対象期間です。にもかかわらず厚顔無恥にもmaybeのIDをこの段落で出すとは、恥ずかしくないのでしょうか。shame on you。いいえ、ちょっと待って下さい。許しては頂けないとは理解していますが、弁解させてください。
ti7前ということで、見ていなかったチームのリプレイも含めて、出場チームのリプレイを片っ端から見て行きました。そこで出た結論は、
maybe、super、noone、ana、fata-
という並びです。
この順番の並びです。
こればかっりはどうしようもないです。
僕が、見て、そう思ったんです。
この一年間あんだけ糞味噌だったmaybeが、nooneより明らかに強かった。現在のバージョンにおいてnooneより取り回しがよく、わりとバージョンの恩恵を受けているように見えるsuperよりも、maybeの方が強かった。こればかりはどうしようもないです。
SumaiLとmaybeは完全に別のフィールドに立っているプレイヤーであるという事をまざまざと見せつけられたのは昨年11月のボストンメジャー。実際今も、maybeよりもSumaiLの方が圧倒的に上で、「めぼしいプレイヤーがみんな居なくなったから、maybeがここに居る」というだけの話です。レソリュだけではなく、跳刀跳刀もshadow-も居ませんからね。彼等が居たらこんな所にmaybeのIDを書く羽目には陥っていませんでした。
とりあえず、maybeは中国が遂に手に入れた真の才能だったんです。あの頃のmaybeはdendiの時代を終わらせるはずのプレイヤーだったんです。実際に終わらせたのはrtzとその時代でしたが、本当はmaybeが演じる役回りだったんです。まあ、色々ありました。maybeは失墜しました。失墜して尚、このくらいはある、というのがmaybeの凄さであり、残念さです。
この段落でmaybeと書く事に対する最大の疑念はnooneの存在でしょう。実際に、nooneとmaybeのどちらが現状のdota playerとして上なのかは、かなり迷いました。まず、nooneは弱さを見せているのですが、nooneの持つ弱さに関しては様々な弁護が可能です。ラムゼスのプレイスタイルに合わせる事を強いられているとか、9pasが未だ完成していないプレイヤーであるとか、lil-soloの関係性が整理されていないとか、soloの戦略自体が痛快なものでこそあれ、dotaというビデオゲームにおいては強い戦略ではないとか。一方でmaybeの弱さに関しては弁護が不可能です。「maybe負けた」「うん、負けたね。」くらいの同意しか出来ないからです。この一年間、世界のトップレベルに対してmaybeが負け続けてきたんだから、maybeは弱い。実際弱いと思います。思いますが、結局maybeはSumaiL以上のひらめきを持ったプレイヤーでしたし(過去形)、SumaiLやmiracle-よりも遙かに成熟した多様性を持つプレイヤーです。maybeはシーンに登場した瞬間から、シーンで最も老獪で知的なプレイヤーだったのですから、当然です。結局その辺の、maybeが持つ個としての強さ、いわゆるサバンナにおける強さを突破するには、よっぽどのものが必要で、そのよっぽどのものを現代シーンにおいて有しているのはmiracle-とSumaiLだけかなあ、という気がしたのです。正直、ti7対策でリプレイを一生懸命に見るまでは、「今も強いかつての名選手」という枠に入れていたプレイヤーなので、こんなところにmaybeのIDを書く羽目に陥って一番驚いているのは僕です。跳刀跳刀がLGDの切符を、分捕ってくれてればなぁ……。
忘れないで下さい。
これだけは忘れないで下さい。
maybeよりも先に、scccと書いています。
★★ uuu9
newbee最大の懸念材料は、uu9です。
newbeeはti7で絶対に優勝出来ないチームなのですが、最近のuu9は見違える程によくなりました。ti6後によくなり続けていたにも関わらず出場権を確保出来なかったshadow-とは違い、uu9は右肩上がりでよくなり続け、日々改善され続けていると言っていいでしょう。それもここ半年です。uu9にとっては、最高のタイミングのtiです。居ないレソリュの首は掻けませんが、ravenやnotailの首は掻けます。
拒絶者が1手にするのか2手にするのかという問題で迷走している現状、中国最強1手の座は、uu9、monet、ameの3人が争う展開でしょう。現在はスペシャルオーダーでmonetが、1手として求められる多様性の高さではuu9が先んじています。なお、IDはmoogyと変わったようです。なんででしょうね。英語実況でID読みづらくて不評だったから、とかでしょうか。
絶対に優勝出来ないチームであるnewbee最大の不安要素。
それが、最近のuu9の異常なまでの成長と強さです。
dotaは3人では出来ないと思うのですが……。
★★ kuroky
ここで名前を挙げるには、かなり抵抗のあるプレイヤーです。
実際問題、今もkurokyはふわふわとしたプレイヤーです。全盛期kurokyの代名詞である、わけのわからないキャラクターを突然必殺技として使いだす、という所は変わっていません。4手寄りとは言え、5手なのに、何をやっても一人で相手を完全粉砕してしまいそうな雰囲気を常に漂わせ、尚且つそれを実現してしまう能力もあります。ただし、最近は若干丁半博打気味。
話は変わりますが、AAが大きく強化されています。1st pick AAというのは、全盛期kurokyの最強キャラクターでしたね。正直、kurokyはそんなに強くないです。それでも、ppyとか、zaiとか書くよりは、自然なIDだなと思います。
とにかく、この辺の名前の並び方は悉く違和感があるのですが、この1年感のdotaシーンは全部水泡に帰したと言っても過言の無いバージョンでのtiですから、こればかりはどうしようもありません。OGのプレイヤーのIDを全部並べてればいいんじゃないの、とまで思います。そのくらい、今振り返るこの一年間は空虚なものでした。こうして振り返らなければ、jaxとSumaiLとレソリュとscccのおかげで、それなりに充実していたのですけれど。現在のバージョンは5手のIDをあげるのが極めて困難なバージョンになってしまいました。kurokyだって厳密には4.5です。
★★ s4
s4は弱いです。
無茶苦茶弱いです。
すぐに行方不明に陥ります。
今のs4は割と壊滅的だと思います。
s4は昔はそれなりに強い部類のプレイヤーでした。あの頃のs4が強かったのは、s4がdotaのポジションの中で一番簡単なポジションを担当していたからです。しかも、あの頃はまだ野心溢れた若い才能がMMRを見せ札にして現金をつかみ取りに来るよりも前でした。けれども今は違います。midなんて、MMRが1万あれば誰でも出来るんです。一方で、ポジション3は違います。そして今のs4はポジション3専任です。
s4は一人でゲームを破壊して帰ってきます。悪い方に。その問題に関しては、ボストンメジャーからずっと解決していません。けれども、ゲームを壊さないように頑張り続けたmagやkyxyやマイコンといった人達がその存在感を失い続ける一方で、s4は何が強いか全くわかりませんが、何故かti6以降のメジャー大会を全て優勝したOGというチームの3手を勤めていました。論拠はわりとそれだけです。実際問題、s4はblink強いし、ピックプールもいいし、多分強い方だと思います。「dsをふっておけばユニバースと互角」みたいな論拠にならない論拠がflyのpick&banを支えていたと思いますし、今の壊滅的なs4でも、3手の中では抜群に強いと言わざるを得ないでしょう。難しいヒーローをpickして、どつぼに嵌まらなければいいですね。s4は所詮s4ですが、s4はs4です。今のs4は明確に弱いプレイヤーなので、かつてのs4につけていた2つ星とは全く意味合いの違う2つ星です。みんな居なくなって、誰も輝くことの出来なかった一年間を踏まえての、少なくとも鈍く弱く輝き続けていたプレイヤーに対する、ある意味では論功行賞のような2つ星です。s4よりも、僕のプレイヤーレビューが今年は滅法弱いです。
★★ 9pas
VPが何故浮上できたかというと、9pasの1手から3手へのコンバートが完璧な形で当たったからです。当たりキャラクターはもちろんsladerでした。それがあまりにも大きく当たりすぎたが故に、少しsladerに執着してしまった感はありますが、VPのベストプレイヤーは9pasでは無いにせよ、VP最大の勝因は9pasだったように私の目には見えました。正直な話、injuryよりも先に9pasの名前を挙げるのには非常に強い抵抗を感じるので、このあたりは横一線です。この一年間のdotaシーンはpatchによって全ての文脈を完全破壊し尽くし続けた果てに待ち受けているのがti7ですから、「ユニバース!」とか「ジャックス!」とかそのレベルを通過した後に待っているのは、「誰も残らない。何も残っていない。」という焼け野原です。9pasはその焼け野原に咲いた一輪の花という感じがするのでとりあえず9pasを。
★★ Injury
この一年間中国最強の3手はInjuryとxxsでした。
全くロマンの無いプレイヤーですし、全くロマンの無いIDですが、同じようにロマンが無いながらも素晴らしいプレイヤーであるmind_controlとは違い、充実した1年間を過ごしてきました。今や世界最強のbat playerはInjuryと言ってもそう強い違和感はありません。Universeだけど。
難易度の高いキャラクターを動かす事が出来ないという問題は幸いにしてti7のバージョンにおいては大きな問題にはならないでしょう。そういう点も含めてInjuryです。miracle-のような属性を持ったプレイヤーが3手に転向したら一瞬で消し飛びますが、ifはif、現実は現実。Injuryという完全に終わったIDが中国最強の3手になってしまったという現実を僕等はそろそろ受け入れる段階に来ていると思うのです。あの頃の僕等が夢見ていた2017年というのは、全てのレーンにmiracle-のようなスキルフルプレイヤーが居るチーム同士の闘いでした。賞金額は跳ね上がり、シーンには終末感が漂うまでになりましたが、そこに待っていた現実は、神と神とがぶつかり合うような頂上決戦ではなく、世界最高の名手が地下牢や座敷牢に押し込められたり、世界最強のプレイヤーが個人としての絶頂期にモチベーションをなくして隠居していく現実でした。Injuryは素晴らしかった。それでいいじゃありませんか。事実、Injuryは素晴らしかったのですから。そして今も素晴らしいのですから。
★★ ラムゼス666
ラムゼスに関しては随分と述べました。
弱さはチームを束縛しませんが、強さはチームを束縛します。ラムゼスは強いです。最強です。ただし、「このビデオゲームにおいて弱い戦略」との親和性があまりにも高すぎます。相手を蹂躙するというVPの戦略は、悪い戦略ですが、soloは悪い戦略を選択していません。チームが最強の1手を有し、2手も3手もその戦略との相性が悪くない以上は、soloにとっての最良の選択は「このビデオゲームにおいて弱い戦略」である、というだけの話なのです。
ラムゼスがあまりにも強すぎることはラムゼスの不幸であり、soloの不幸であり、VPの不幸です。それが幸運に転じるかどうかは、ti7をただ待つばかりです。これまで僕等は待ち続けてきました。DDOS攻撃による出場権喪失を経て、遂に辿り着いたグランドファイナルで、待っていたのはOGの優勝でした。相手を殴らずファームしているだけの、anaという名の悪魔的な暴力でした。
★★ super
世界中のmid playerを見て感じた事は、残念ながら未だに人類最強superは人類最強であり、superを超える為には人間を辞めなければいけないという、あの頃に抱いていたのとまったく同じ感覚でした。
果たして、miduanは人間を辞めていませんし、nooneも弱さを持った人間です。qoも一年間流浪の旅を続けましたし、fata-よりもsuperの方が今のバージョンにおいても強い、というのが率直な感想です。何人も人間を辞める事には成功していません。opも、sakataもそうです。DKでラストヒットをとってるだけのsuperに完敗した、ctyだってそうです。
世界中の2手が人間を辞めるというミッションに成功していない以上は、弱い弱い生き物で有り、サバンナで生きていく力を持たない人間でしかないsuperは今も尚、一つの指針として働きます。superを凌駕すれば世界屈指の名手。superに並べば世界的な名手。
才能の「さ」の字もなく、ひらめきの「ひ」の字も持たないsuperですが、今もsuperは人類最強のプレイヤーであり、特別な才能を持たない人間が、努力を継続し続ける事で辿り着ける高みは、僕等が思っているよりもずっとずっと高いものなのです。
あと、バージョンに恵まれすぎです。stormをまともに動かせず、qopもぎこちないsuperには好都合な微調整がありました。その辺も含めて。
★★ 拒絶者
プレイヤーレビューにおいて必要なものは論拠です。素晴らしいプレイヤーの存在ではありません。monetも素晴らしい。lilも素晴らしい。みんな素晴らしい。ではその全員素晴らしいということが明確なプレイヤーの中から、「この一年間」「どういう素晴らしさで」「どういう結果を残したか」という点が問題になります。たとえばKAKAは素晴らしいのですが、では他のプレイヤーではなくKAKAというIDをここですんなり書く事が出来るかというと、違います。拒絶者は素晴らしいのですが、1手としてのヒーロープールが揃わず、チームも1手で使うか2手で使うか未だに迷いがあります。LFYのリプレイを見た感じだと、LFYはmonetの個としての強さが根底に流れているように見えたので、この項第一の候補はmonetです。あとはVPの後ろ2人のうちのどちらか。miduanも素晴らしいプレイヤーなのですが、miduanはこの一年間世界で戦い続けてきたプレイヤーではありません。QOも同じですね。ということで、全部論拠がないので、なんとなく拒絶者にしておきます。拒絶者が1手か2手かで定まらないのは拒絶者の責任ではなく、iGVの2手が一部のプレイヤーに明らかな敗北を喫してしまうという現実があるからです。拒絶者のピックプールが改善されない問題は明確な問題として残り続けていますが、この際忘れましょう。ここ、15人くらい候補が居て決まりませんでした。
以上です。
『今年のプレイヤーレビューが不可能に等しい理由。』
今年のプレイヤーレビューが極めて困難なのは、dotaシーンにおいて、この一年間というものが存在しないに等しいものだからです。欧米の主要チームはti6後の移籍期間で軒並み崩壊し、中国に至ってはiGVが最強格というだけで頭を抱える展開なのに、そのiGVにビザが出ないという悲惨な環境下で開催されたのが、昨年10月のボストンメジャー。
そこからシーンは立ち直る事がなく、新patchでマップが変わり、dota史上に残るワースト要素が含まれたバージョンが続きました。しかもpatchで悉くバランスが変わるものですから、シーンを曲がりなりにも制したOGと、シーンの中心的な存在であったVPですらも、シーンの文脈を作る事は出来ませんでした。「ラムゼス凄いね」「Universe凄いね」で終わってしまい、彼等がどのようなdotaを目指していたか、どのような成長をしてきたか、どのように新マップを解きほぐしていったか、という見所が曖昧になる環境が続きました。プレイヤーの進化よりpatchの影響の方が大きすぎたのです。アジアチャンピオンシップにおけるiG bobokaのwinキーに、一体どのような文脈があるでしょうか。ふざけた話でした。
唯一の例外はOGで、OGだけは僅かに文脈を作る事に成功しました。そのOGですら、notailの苦肉の策と、s4の弱点克服(できなかった)問題、そして『JerAxやべえJerAx居れば勝てる』というテーマが主で、チームとしてはpatchの影響が強すぎました。OGは、jax強いね、fly強いねという個の力、世界最強のサポート2人によって裏打ちされたチーム力によって、ti6からの一年間、メジャー大会を全て勝ちきってしまいました。
この一年間のシーンにおけるプレイヤーの輝きを、単純なプレイヤーの評価に繋げる事が極めて難しい中で開催されるti7。そのプレイヤーレビューです。上位10人は凄く書きやすいけれど、それ以下は凄くしんどかった。なきそうだった。せめてレソリュと跳刀跳刀とshadow-が切符を逃していなければ、下位でも筆も踊ったのに。
星5,一名。
★★★★★ JerAx
OGはti6後に開催されたメジャー大会3つを全て勝ってしまいました。何故OGが勝てたか、という原因を探るよりも、その前に、否が応でもjaxです。何はともあれjaxです。
JaxがOGに居なければ、OGは必ずどこかで負けていたでしょう。それどころか、1つのタイトルも獲れていなかった可能性まであります。本来ならばLiquidが獲得していたはずのcr1tが、黄金期を迎えていたppdを地下牢に押し込めるという暴挙に出たEGに掻っ攫われた段階で、もしもLiquidにjaxが出戻っていたならば、この一年間シーンを制していたのはOGではなく、Liquidだったでしょう。これは仮定の話だとか、ifだとか、そんな生ぬるいものではないです。現実です。真実です。ifではありません。この1年間のjaxとはそういう存在でした。jaxが居るから勝てる。それがjax。一人でチームを勝利に導いてしまう存在。クラックそのものでした。「dendiが居るから勝てる」をサポートで再現してしまったのです。有り得ない話です。
jaxが辿り着いた高みは、dota16年の歴史の中で、誰一人として辿り着けなかった場所です。全てのサポートプレイヤーが辿り着けなかった、辿り着けないはずの場所です。
ti6以前の一年間、dota2は現在のバージョンとは違うマップのゲームでした。ゲームバランスも全く違いました。そのバージョンにおいて、Jaxがプレイしている4手というポジションは、ゲーム展開に対する影響力を非常に強く持つポジションでした。
アライエンスが誇った世界最強のサポートEGMと、アライエンスが誇る最強のキルプレイヤー Killer Akke & passive Akke の組み合わせは、ti3の決勝において、違いを作る事が出来るサポートプレイヤーを有していなかったnaviに、一度ならずも二度までも完全な勝利を収めました。midでは勝っていた、1手は甲乙付けがたく、3でも優位性はあった。にもかかわらず、サポートをどうゲームに組み込むかという差で、naviは負けたのです。
それからのシーンを制したのは、zai、aui2000という北米でプレイした2人の4手であり、バージョンの変更によりさらに4手の重要性が上がった結果、フィアーとChuaNの2人を筆頭に、世界最強cr1t、zfreek、maybenexttime、ppy、そしてjaxといった面々がシーンの主役となっていったのが、昨年のti6までの流れです。
ところが、ti6以降その光景が完全に変わりました。
東の横綱ChuaNが休業し、西の横綱fearは座敷牢へ。世界最強の4手だったcr1tは、ポジションを変えた事により4手としては完全消滅。zfeekとmaybenexttimeは所属チームの問題から切符を安定して獲る事も叶わなくなります。
そんな中で、追い打ちとなったのが7.00系列の新マップ。コアプレイヤーに追加のリソースが与えられた事により、サポートのゲーム介入能力は低下。サポートは悲しくバウンティルーンにピンポンダッシュ。ゲームを硬直させてだらだらファームをし、フルビルドを備えてドーンとぶつかるのが最適解という、サポートがゲームを作っても相手を押しつぶせないバージョンが来てしまうのです。このバージョンにおいては、カブト虫を食べるフィアー・ザ・ダークネスや、銀の弾丸ChuaN ザ・シルバーブレットは実現しなかったでしょう。
ライバルが悉く自然消滅し、patchにより4手の比重が下がってしまったそんな環境下で、JerAxだけが異質の存在感を放ち続けます。cr1tを僅かな差で追う世界で2番目の4手だったjaxは、どんな役割を担当しても、何故か違いをつくれてしまうという、驚異的な、まるで奇跡のようなプレイヤーと化してしまったのです。
振り返ればjaxは、ゲームの脆弱性を悪用してレートを上げる事で成り上がるという、eSportsプレイヤーとしては非常に汚れた経歴を持つプレイヤーです。だからこそ僕は、5j加入当初の5人の中で断トツで弱く、トップシーンで通用する見込みの無いjaxを指して、「JerAxはペテンである」と言っていたわけです。
この種の、ゲームの脆弱性を利用して成り上がったプレイヤーは、ゲームの脆弱性が埋められると同時に「何をやっていいのかわからない」「扱えるキャラクターが居ない」という苦境に陥って消えて行くのが世の常です。jaxはそうはならず、明確な意志を常に持ち、どんな役割をも担えるという超人へと進化しました。それも僅か5ヶ月くらいで。
MVPで何の結果も残せなかったjaxが、フィンランドコネクションを用いる事で、職場を追われた浪人の集まり程度のアマチュアチームに滑り込んでいなかったら、僕等の見て来たeSpretsシーンは全く違う光景だったでしょう。そのアマチュアチームには、かつてはdota史上最強のタレントだったkurokyが居て、尚且つjaxが加入した5jという有象無象のアマチュアチームでkurokyは、驚愕の全盛期を迎えてしまうのです。
全盛期kurokyの成果は、全盛期kuroky自身がタイトルを獲得してシーンを制圧する事によってではなく、彼が育ててしまったjax、そして移籍市場における敗北により、OGへと放出してしまったjaxが、dotaシーンを完全に制圧するということで、その結実を見てしまったのです。
そして、全盛期kurokyがjaxを失ってからの一年間は、dotaシーン15年の歴史の中で、どんなサポートプレイヤーも決して成し遂げられなかった、「世界最強プレイヤーはサポート」という、未曾有の現実をも招いてしまったのでした。その頃kurokyのLiquidはしんでました。
世界最強プレイヤー。
現時点においてのそれは、他ならぬjaxです。
世界最強carry。
現時点においてのそれは、他ならぬjaxです。
実際、サポート担当プレイヤーが勝利を運んでいるんだから、jaxはcarryでしょう。全然ファームしないけど。ファームするのはファーマーであって、carryじゃないでしょう?ひたすらファームしてるサポートを「carry Support」とか言うの、ちゃんちゃらおかしいですよ。それは「farm Support」です。jaxはどちらかというと、farmしない方に属する4手です。キルも取りに行かない方の4手です。何してるんでしょうね。どういう仕組みなんでしょうね。未だに言葉では表現出来ません。臨機応変にいろいろやっているだけです。
さて、jaxのプレイヤーとしての特色は、まず第一に人を食ったような気質です。jaxのプレイには緊張感がありません。たとえばChuaNは、自らの一挙手一投足が勝敗を左右するという事を明確に認識し、常に緊張感を持ってプレイするのですが、jaxにはそれがありません。自分が何かをして勝つという責任感を持たず、なおかつ日和ってゲームから浮いてしまう事も無いというjaxのバランスは、「所詮これはゲームにすぎない」というjaxの人を食った態度によって成し遂げられています。その態度が成り立つのは、「俺はファームしなくても勝ってきた」というjaxが積み上げてきた実績が故でしょう。
自らのプレイに対する強固な意志を持たない、自らのプレイに固執しないという事はjaxの弱点でもあるのですが、今のバージョンは4手に対する弱体化が幾重にも重なった果てのバージョンなので、jaxのプレイスタイルが最適解と言うことが出来るでしょう。
唯一の懸念はauiとlilをはじめとしたvisage playerのvisageです。中国もvisage大国であり、visageはjax唯一の泣き所です。幸いにして、現状では、visageはjaxの地位を脅かすまでには至っていません。ハンドスキルタイプのプレイヤーではなく、目で見てキーボードを叩ききるタイプのプレイヤーな為、rubickにも多少の問題はあり、enigma戦に不安があるのですが、こちらはチームオーダーで対処可能です。
多くのサポートプレイヤーは「結局ファームしていれば勝てるゲーム」というdotaのゲームデザインに縛られ、相手のファームを潰すか自分がファームするかの、旨味の少ない2択を強いられてきましたが、過剰な自信と人を食った態度に裏打ちされたjaxのマインドは、「別に俺が何もしなくたってチームは勝つ」という達観に至り、他のプレイヤーのように「相手を潰すか、自分が伸びるか」という回答不可能な命題に向き合わずに済んだのです。それもこれも、jaxのパートナーが全盛期kurokyと、世界最強の5手flyという、他の誰もが羨むようなプレイヤーだったのですが、それはそれ。jaxは居るだけでいい。居れば勝てるんです。
kurokyと組むということも、flyと組むということも、jaxが自らの力で勝ち取ったものです。もちろん、その"力"というのは、ゲームの脆弱性の悪用であり、同じ言語を喋るフィンランド人プレイヤーと友達の力を活かしたコネクションによる強引な席確保ですが、その強欲さ、傲慢さ、バイタリティこそが、eSportsプレイヤーに最も必要な能力だったのでしょう。
貪欲であれ。
それがjaxが人々に伝える教訓であり、
jax最大の成功要因です。
「意志を持ったプレイ」である能動的なプレイと、「ファームしていれば勝てるゲームにおいてみんなファームしたい」という受動的なプレイの狭間でjaxは抜群のバランス感覚を見せ、個人性能では決して優れているわけではないのに、気がついたらdotaシーンを完全に支配し、「OGが何故勝てるのか?」に対する最もシンプルなアンサーになっていました。
jaxはもう既に、歴史上最強の4手です。しかも、まだ伸びる余地があります。jaxははじまったばかりです。遡っても彼以上のプレイヤーは思い浮かびません。ChuaNは休みすぎですし、ChuaNは強いチームに居ました。jaxは今も尚、弱いチームに居ます。
faerがずっと4手に専念していれば、あるいはChuaNが休暇を取らなければ。そんなifは不要です。jaxの最強のポイントはその向上心です。fearは立ち止まりました。ChuaNは立ち止まりました。jaxは望み続けました。ゲームの脆弱性を利用してMMRを上げ、eSportsシーンでは一切の結果を残せないまま、MMRを見せ札にして自らを売り込み、使えるコネクションというコネクションを全て使い、立身出世の為にチームを変え続ける事で、なんの実績も持たないままで、全盛期kurokyのパートナーに滑り込んでしまった、jaxのコミュニケーション能力、そして自らを売り込むバイタリティ、誰よりも全てを欲しがった、jaxの強欲さの勝利でありました。もちろん忘れてはならないころは、当初のjaxは断トツで5j(現Liquid)のワーストプレイヤーだったことです。kurokyがjaxを育てたのではなく、jaxがkurokyを喰らって、伸びたのです。
「現在、世界最強のdotaプレイヤーは誰か?」
それに対する私の回答は明確です。
その回答に、一切の迷いはありません。
星4,3人。
★★★★ Universe。
jaxが居なければ、現在世界最強のプレイヤーはmiracle-ではなくUniverseです。中国人の3手が全て迷走しました。それだけではなく、欧米の3手も全て精彩を欠いています。唯一の輝きを見せていたVPの9pasは、事もあろうかUniverseに白黒つけられてしまいました。1手から転向したばかりの9pasと、eSportsプレイヤーとしてのキャリアを全て3手に費やしてきたUniverseとでは、選択可能な選択枝があまりにも違いすぎたのです。
現在Universeの所属するEGには、世界最高のmid lanerであるSumaiLが居るのですが、SumaiLが作れるアドバンテージは決して大きくはありません。何故ならば、現代シーンのポジション2というのは、世界中のサーバーにおける、最強のpubプレイヤーが、pubで鍛えた筋肉を背景に暴力と暴力で殴り合う場所だからです。SumaiLは最強なので、誰が来ても殴り勝てるのですが、その差は僅か。ほんの僅かです。
一方でUniverseは違います。3手というポジションにおいて、並ぶ者が居ません。単純な話をするとSumaiLの方が優れていたとしても、実情としてはUniverseの方が圧倒的に大きな貯金を作れるのです。思い返せば、世界最強のチームには常に世界最強の3手が所属していました。Universeは正にそれです。あの平凡なUniverseが、現代シーンにおける最大の「違いを作れるプレイヤー」になってしまったのです。それは、決して、世界的な3手が迷走したキャリアを辿ったが故の地盤沈下などではありません。棚ぼたではなく、Universeの平凡なキャリア全てが、Universeの力となて、世界最強の3手を形作っているのです。
昨年、Universeはmooというレベルの低いプレイヤーにゲームインパクトの作り方で完敗してしまいました。今年のUniverseもcr1tのpick&ban次第で潰れるでしょう。Universeには無限の選択肢があり、その選び方を間違えれば簡単に潰れてしまう結果が待っているのです。
★★★★ miracle-
やっと、2手です。
やっと、midです。
当代最強miracle-です。
とりあえず、現代シーンにおける最大のプレイヤーパワーを持ったプレイヤーである事だけは間違いありません。Liquidはこの1年間負けに負け続けましたが、miracle-の問題ではなく、ppdを地下牢に押し込めるという暴挙に出たEGにcr1tを掻っ攫われてしまったというのがLiquid低迷の50%です。残り50%はマツンバマンです。miracle-はとりあえず強いままで、一年間を過ごしました。
eSportsプレイヤーなどではなく、血と肉で出来た野心がmiracle-の首を狙っています。もう既にmid lanerとしてはSumaiLに刺されてしまい、現在のmiracle-が当代最強のプレイヤーであるという事実は事実でありながらも、砂上の楼閣であります。
「miracle-の時代」の訪れを待たぬままで、「miracle-が最強プレイヤーであった時代」は終わろうとしています。いいえ、まだです。まだはじまってもいません。遂にLiquidはcr1tショック&JerAxショックから立ち直り、名実共に世界最強の一角を担う地位へと自力で舞い戻ったのですから。これは全盛期kurokyの闘いではなく、当代最強miracle-が、真の最強プレイヤーの座を、たかだかJerAx如きから取り戻す為の夏なのです。
★★★★ SumaiL
世界最強の mid laner。
それがSumaiLです。
かつてのSumaiLはレーンで気がついたらダイブして勝手に死んでいました。今のSumaiLはレーンで死なないばかりか、負けません。負けないというのは大げさにしても、最強のmid lane能力を持つプレイヤーである事は、疑う余地がありません。
今のSumaiLの強さを見て思う事は、世界のトップレベルでプレイし続けた経験こそがSumaiLの強みであり、それはUniverseとまったく同じ意味を持ちます。若干15歳にしてキャリア16年を誇ったSumaiLも、気がつけばそのキャリア19年。現代シーン最強のベテランプレイヤーです。
もちろんpick プール的に大きな問題を抱えており、かつてのs4やmushiと同じように、invokerをpick出来ない程度のプレイヤーパワーしか持ち合わせていません。その個としての若干の弱さを、SumaiL最大の強みである暴力的なひらめきと、円熟味を増した死なずにキルを重ね続ける能力、そして気がつけば、往年のctyを彷彿とさせるmid laneの圧倒的な強さにより逆転し、miracle-すらもその影を踏む事が出来ないレベルのmid lanerとして、世界の頂点に君臨しています。それが、あの頃のSumaiLとはまったく違う、進化したSumaiLです。
もしも、去年のEGに今年のSumaiLが居たならば……。
歴史は変わっていたでしょう。
星3,五人。
★★★ sccc。
ライジングサン。
昇る太陽scccです。
Hao、mu、ChuaNという3人の主力ベテランプレイヤーを休業で失いながら、2ndチームから1stチームに引き上げられたscccは、抜けた3人の穴を一人で埋めるという、あまりにも衝撃的な、日の出の勢いでシーンに登場しました。
確かにあの頃のnewbeeは、iGVよりも弱かったのですが、それはscccの責任ではありません。確かに今のnewbeeも、決して強くはないのですが、それはscccの責任ではありません。
果たしてこの広い世界にchina dota至上主義者というものが存在しているかどうかはわかりませんが、その架空の実在しないchina dota至上主義者にとっては、全ての答弁において「でも中国にはscccが居る」という回答を可能とした、この一年間の中国最強プレイヤーでした。
彼の適正が本当に2手なのかという疑問は今も残りますが、チームメイトに恵まれれば天下を獲れるプレイヤーであることは間違いありません。残念ながら現段階ではチームメイトに恵まれていませんが、それはまた別の話。少なくとも個人としてのscccは、現代中国が誇る特別なタレントなのです。scccの栄光は、この夏には無いでしょう。けれどもその話はnewbeeのチームレビューにて行われるべきであり、この段落で行われるべき話ではありません。
★★★ xxs
現代最強の中国人プレイヤーはxxsです。
話が混乱してきましたが、scccのことは一度忘れて下さい。現在、世界中の3手が滅びました。ムーンメンダーはtiの切符を取り逃し、elvenはこの一年半、迷走に迷走を重ねました。昨年の優勝プレイヤーであるbianは切符を逃し、昨年のtiで準優勝を成し遂げたmooは1手にポジションを変えて切符を獲りました。マイコンは添え物としては最強なのですが、主役になるタイプのプレイヤーではありません。
そんな3手の地盤沈下の中で、xxsはUniverseと同じように、地盤沈下によって浮上したのではなく、自らの才能によって浮上しました。他のプレイヤーが嫌がるプレッシャーの高いヒーローを恐れずにpickし、結果を出し続ける事で、本来ならば中国最強の3手になるであろうyangとの中国NO1プレイヤー争いにも完全に白黒をつけました。yangは心が折れて低難易度のキャラクターへと軸足を移しましたが、xxsは最後まで折れず、心にナイフを隠し持ち続け、要所で誰かの心臓を刺しました。
scccが「本人は輝いているけれど」というプレイヤーなのに対して、xxsは本人が輝き、尚且つ結果が出たプレイヤーでした。身も蓋もない話をすると、全く違うゲームアプローチを持つinjuryとの差は決して大きなものではないのですが、少なくともinjuryには絶対に不可能なロールを担当出来るという点において、xxsに対する評価は揺るぎないものであると思われます。
低難易度のキャラクターで結果を残すプレイヤーを軽んじるのではなく、簡単なプレイスタイルでチームに大きな貢献をし、結果を残すプレイヤーを軽んじるのではなく、xxsは素晴らしい仕事をしている。現在の中国人プレイヤーの中で、最も大きな利益をチームにもたらす事が出来る。それだけの理由で、xxsは中国最強のプレイヤーなのです。ただし、紙一重です。scccとの話が混乱したのも、その辺りですし、後ろにも大勢控えています。
★★★ fly
世界最強の5手。
それがキャプテンflyです。
かつてはサポートのレベルが低い地域であるヨーロッパで唯一、攻撃的なサポートをプレイ可能だった、あのFnaticのキャプテンflyです。この一年間実はflyにとっては少し弱いバージョンが続いていたのですが、それでもflyは無敵でした。JerAx+flyが無敵だったのではなく、fly単独で、他の追随を許さない、無敵の5手でした。
MMYとkakaを失った中国に、flyを討ち果たす力はなく、ppdは地下牢に押し込められ、cr1tは一年の歳月を経てなお、ポジション5に適応出来ませんでした。UniverseやJerAxと同じくらいの、飛び抜けたプレイヤーなのですが、残念ながら今はサポートが弱いバージョン。5手が決定的な仕事をするのは、以前にも増して難しくなっています。それでも、flyのプレイヤーパワーこそが、この一年間のOGの快進撃の根底にあったという事実は揺るぎません。
バージョン的には、昨年のtiよりも都合が良いでしょう。本人に能力がありすぎるが故に、pick&banで自らがコアロールを割り振りに行ってしまうリスクがありますが、流石にその心配は無用だと思います。OGの成功は、失敗の積み重ねであったというのも、flyにとってはポジティブです。
★★★ notail
最悪です。
迷いに迷った結果、ここ以外にnotailを置く場所が無くなってしまいました。ご存じ、なんの取り柄も無いnotailです。集団戦で自らのHPをコストとして支払い、相手のcarryのHPを回復しに行くnotailです。しかも1回じゃなく2回。けれども残念ながら、世界最強のcarry playerであるレソリューションがtiの切符を逃した事により、ポジション1の一番上にnotailを置かざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。論点は理解しています。ラムゼスです。
確かにラムゼスは素晴らしいプレイヤーです。
ラムゼスはnotailと違い、相手を叩きのめす事が出来ます。全てにおいて、ラムゼスの方がnotailよりも上です。notailがラムゼスに勝っている点は思い浮かびません。唯一思い浮かんだのは、実績くらいです。あとは精々1st タワーに対するダメージくらいです。
notailの項でラムゼスの話をするのは忍びないのですが、残念ながらそれを避ける術はありません。何故ならば、脳味噌が付いている人間にとって、ラムゼスはnotailよりも明確に優れたプレイヤーだからです。わたしには脳味噌というものがありません。
一つだけラムゼスについて述べるならば、ラムゼスも実は完璧なプレイヤーではありません。VPは「相手を叩きつぶす」というゲームアプローチが故に、この一年間大きなタイトルとは無縁でした。では、何故VPが「相手を叩きつぶす」というゲームアプローチに縛られていたのでしょうか。その原因はラムゼスにあります。ラムゼスのプレイスタイル自体が「相手を叩きつぶす」「キルでゲームを作る」というプレイスタイルであり、それ以外のゲームアプローチを行った際のラムゼスは、rtzやburningと甲乙つけがたい、極めて平凡な超一流のトッププレイヤーです。
つまり、ラムゼスを世界最強のcarryとして運用したいならば、VPは自ずから「相手を叩きつぶす」というゲームアプローチを選択せざるを得ないのです。そして、dotaというビデオゲームにおいて、「相手を叩きつぶす」というゲームアプローチは、LGD.sgtyによって、フルスタックアライエンスによって、歴史上最強secretによって、否定され続けてきたゲームアプローチなのです。
だだっぴろいマップでグダグダとファームを続けるのがdotaです。dotaは、「相手を叩きつぶして勝つ」というビデオゲームではありません。つまり、VP最強のプレイヤーは疑う余地なくラムゼスなのですが、そのラムゼスこそが、VPに「相手を叩きつぶして勝つ」という弱い、しかしロマン溢れる、そして痛快で、爽快な、プレイスタイルを強いているのです。ラムゼスの強さこそが、ラムゼスの弱点です。
一方でnotailは違います。
notailは何の役にも立たないので、notailがチームに何かを強いるのは「notailが弱いから」です。ラムゼスは「ラムゼスが強すぎるが故に」チームの足枷となってしまっていますが、notailは「notailが弱すぎるが故に」チームの足枷となっています。
「ラムゼスが強すぎるが故に」チームの足枷。
「notailが弱すぎるが故に」チームの足枷。
果たして、どちらが良いでしょうか?
果たして、どちらが悪いでしょうか?
少なくとも、この一年間の結果だけを見ればnotailの方がマシです。そして単純な結果だけではなく、両チームが残してきたリプレイから見ても、notailの方がマシです。今のnotailはあの頃のnotailとは違うのです。チームの足枷となっているのは確かですが、notailという明確な限界の中で、横に太く、縦に長く、下に重く、巨大な1手として、現代シーンに、凜と立っているのです。立ってしまっているのです。
人は自らの強さから逃れる事は出来ません。
自らの強さから逃げると、強さを失うだけです。
その一方で、弱さから逃げる事は簡単です。
努力をすれば強くなります。
そしてnotailはそうしました。
ラムゼスのゲームアプローチが、dotaというビデオゲームにおいて、強いゲームアプローチだったならば……。そんなifは、ここでは忘れて下さい。事実として、残念ながら、何の取り柄も無いnotailは、ソ連が誇る世界で最も暴力的なcarryよりも、明確に強いのです。
レソリューションが切符をとっていればこの項は、
レソリュって書いとけばそれで終わりだったのに。
★★★ raven
無敵のravenです。
アジア最強プレイヤーが世界最強プレイヤーの座についたのは、DK dream teamのiceiceiceが最後。現在のravenは、アジアに久々に登場した、世界最強を目指せるタレントです。以前僕がmiduanの事をそう評価していたのはもはや周知の事実ですが、それを取り下げたのも周知の事実だと思います。ravenは違います。miduanに対しては初見のインパクトで評価を見誤ってしまいましたが、ravenは泥臭いキャリアを全て見続けた上で言っています。
レソリュやzyfが切符を逃したti7において、最強の1手はもう既にravenです。下にはmonetやame、1手に専念するならば拒絶者、そして一皮むけて世界的なタレントになろうとしているuuu9が控えています。とりあえずti7が開幕するまでの、ti7に出場する1手の中の頂点は、ravenとラムゼスが半分ずつ分け合う形です。notailに関しては忘れて下さい。この辺ややこしいので、とりあえずnotailの事は忘れて下さい。
ravenはその苦難に苦難を重ねるキャリアから、ラムゼスとは違い完成された1手です。もはや、ravenに足りないものは何も無いと思います。努力に努力を積み重ねて、アジアの僻地から世界シーンを目指すというそのキャリアが故に、オリジナルのキャラクターという点では少し弱いですが、そんなもの必要ありません。よっぽどメインメタがおかしな事にならない限り、ravenの強さは揺るぎません。
無敵のravenが、ti7には出場しない世界最強レソリューションを、この1夏で超える為に必要なのは、優勝だけです。ti7の優勝だけ。ti7で優勝するだけ。たったそれだけです。ravenが無敵であるならば、そんなもの容易いことです。そしてravenは無敵のravenです。無理だと思います。無理なんてものはないんです。
@星2。10人。
★★ dog1fight
悩みに悩み抜いた結果、星二つ筆頭に置いて一番しっくりと来るIDは、dog1fightでした。かつてのdog1fightは十把一絡げのpub starですらないSEA pub playerだったわけですが、気がついたら凄い事になっていました。ti6以降の中国最強チームは、ti6を獲ったwingsに匹敵する強さを感じさせながら、「中国のレベルは低いから」という忖度を私達に求めてきたiGVでしたし、7.00に至ってはそんな憂慮は不要の世界最強チームとなったのがiGVでした。
そのiGVが何故勝っていたかというと、拒絶者、injury、dog1fightと、3つのポジションで中国最強のプレイヤーが揃ったと書いても全く違和感の無い3人のプレイヤーが故でした。
もちろん、ポジションを変えたkakaやcr1t、ストーブリーグで敗北して完全に消滅した全盛期kurokyと当代最強miracle-とは名ばかりのLiquid、奇妙な低迷を見せるムーンメンダー、SumaiLに「もう二度と天下は望まず」とまで白黒つけられてしまったmaybe、ChuaN、fear、envyといった世界的名手の事実上の失踪など、高額賞金大会であるti6後のストーブリーグと燃え尽き症候群により、世界中のチームが弱くなった結果ではあったのですが、それはそれ、これはこれ。
あの頃のiGVは強く、尚且つ今のiGVも、中国予選を堂々と勝ち抜いてシアトル行きの切符を獲得してしまうくらいには強いのです。そして、そのiGVのベストプレイヤーを一人あげるならば、それは弱いInjuryでも、1手適正が無い中で無理矢理1手をやり、尚且つチームとしても2手に置くか1手に置くかを不安げに迷い続けている拒絶者でもなく、中国最強のサポートプレイヤー、dog1fightということになるでしょう。少なくともこの1年間のリプレイを見る限りは、中国最強のサポートは、newbeeではなく、ほんの僅かだけiGVの近くに居ました。
「このキャラクターでMMRを上げました」
という空気を感じさせない、厳しく言えば必殺キャラクターを持たないdog1fightですが、もう、ChuaNだfearだauiだzaiだって時代ではないのです。dog1fightこそが、今なのでしょう。現在のバージョンは残念ながら、サポートプレイヤーで勝てるバージョンではないのです。OGが有する、たった一人の例外を除けば。
最高の普通の4手。
それがdog1fightです。
★★ maybe
いや、ちょっと待って下さい裁判長。
総理!総理!総理!総理!総理!話を聞いて下さい総理!
maybeがSumaiLに白黒完全につけられて格付け完了してしまったのは、ボストンメジャー。つまりは、ti6からti7の間。即ち、このプレイヤーレビューの対象期間です。にもかかわらず厚顔無恥にもmaybeのIDをこの段落で出すとは、恥ずかしくないのでしょうか。shame on you。いいえ、ちょっと待って下さい。許しては頂けないとは理解していますが、弁解させてください。
ti7前ということで、見ていなかったチームのリプレイも含めて、出場チームのリプレイを片っ端から見て行きました。そこで出た結論は、
maybe、super、noone、ana、fata-
という並びです。
この順番の並びです。
こればかっりはどうしようもないです。
僕が、見て、そう思ったんです。
この一年間あんだけ糞味噌だったmaybeが、nooneより明らかに強かった。現在のバージョンにおいてnooneより取り回しがよく、わりとバージョンの恩恵を受けているように見えるsuperよりも、maybeの方が強かった。こればかりはどうしようもないです。
SumaiLとmaybeは完全に別のフィールドに立っているプレイヤーであるという事をまざまざと見せつけられたのは昨年11月のボストンメジャー。実際今も、maybeよりもSumaiLの方が圧倒的に上で、「めぼしいプレイヤーがみんな居なくなったから、maybeがここに居る」というだけの話です。レソリュだけではなく、跳刀跳刀もshadow-も居ませんからね。彼等が居たらこんな所にmaybeのIDを書く羽目には陥っていませんでした。
とりあえず、maybeは中国が遂に手に入れた真の才能だったんです。あの頃のmaybeはdendiの時代を終わらせるはずのプレイヤーだったんです。実際に終わらせたのはrtzとその時代でしたが、本当はmaybeが演じる役回りだったんです。まあ、色々ありました。maybeは失墜しました。失墜して尚、このくらいはある、というのがmaybeの凄さであり、残念さです。
この段落でmaybeと書く事に対する最大の疑念はnooneの存在でしょう。実際に、nooneとmaybeのどちらが現状のdota playerとして上なのかは、かなり迷いました。まず、nooneは弱さを見せているのですが、nooneの持つ弱さに関しては様々な弁護が可能です。ラムゼスのプレイスタイルに合わせる事を強いられているとか、9pasが未だ完成していないプレイヤーであるとか、lil-soloの関係性が整理されていないとか、soloの戦略自体が痛快なものでこそあれ、dotaというビデオゲームにおいては強い戦略ではないとか。一方でmaybeの弱さに関しては弁護が不可能です。「maybe負けた」「うん、負けたね。」くらいの同意しか出来ないからです。この一年間、世界のトップレベルに対してmaybeが負け続けてきたんだから、maybeは弱い。実際弱いと思います。思いますが、結局maybeはSumaiL以上のひらめきを持ったプレイヤーでしたし(過去形)、SumaiLやmiracle-よりも遙かに成熟した多様性を持つプレイヤーです。maybeはシーンに登場した瞬間から、シーンで最も老獪で知的なプレイヤーだったのですから、当然です。結局その辺の、maybeが持つ個としての強さ、いわゆるサバンナにおける強さを突破するには、よっぽどのものが必要で、そのよっぽどのものを現代シーンにおいて有しているのはmiracle-とSumaiLだけかなあ、という気がしたのです。正直、ti7対策でリプレイを一生懸命に見るまでは、「今も強いかつての名選手」という枠に入れていたプレイヤーなので、こんなところにmaybeのIDを書く羽目に陥って一番驚いているのは僕です。跳刀跳刀がLGDの切符を、分捕ってくれてればなぁ……。
忘れないで下さい。
これだけは忘れないで下さい。
maybeよりも先に、scccと書いています。
★★ uuu9
newbee最大の懸念材料は、uu9です。
newbeeはti7で絶対に優勝出来ないチームなのですが、最近のuu9は見違える程によくなりました。ti6後によくなり続けていたにも関わらず出場権を確保出来なかったshadow-とは違い、uu9は右肩上がりでよくなり続け、日々改善され続けていると言っていいでしょう。それもここ半年です。uu9にとっては、最高のタイミングのtiです。居ないレソリュの首は掻けませんが、ravenやnotailの首は掻けます。
拒絶者が1手にするのか2手にするのかという問題で迷走している現状、中国最強1手の座は、uu9、monet、ameの3人が争う展開でしょう。現在はスペシャルオーダーでmonetが、1手として求められる多様性の高さではuu9が先んじています。なお、IDはmoogyと変わったようです。なんででしょうね。英語実況でID読みづらくて不評だったから、とかでしょうか。
絶対に優勝出来ないチームであるnewbee最大の不安要素。
それが、最近のuu9の異常なまでの成長と強さです。
dotaは3人では出来ないと思うのですが……。
★★ kuroky
ここで名前を挙げるには、かなり抵抗のあるプレイヤーです。
実際問題、今もkurokyはふわふわとしたプレイヤーです。全盛期kurokyの代名詞である、わけのわからないキャラクターを突然必殺技として使いだす、という所は変わっていません。4手寄りとは言え、5手なのに、何をやっても一人で相手を完全粉砕してしまいそうな雰囲気を常に漂わせ、尚且つそれを実現してしまう能力もあります。ただし、最近は若干丁半博打気味。
話は変わりますが、AAが大きく強化されています。1st pick AAというのは、全盛期kurokyの最強キャラクターでしたね。正直、kurokyはそんなに強くないです。それでも、ppyとか、zaiとか書くよりは、自然なIDだなと思います。
とにかく、この辺の名前の並び方は悉く違和感があるのですが、この1年感のdotaシーンは全部水泡に帰したと言っても過言の無いバージョンでのtiですから、こればかりはどうしようもありません。OGのプレイヤーのIDを全部並べてればいいんじゃないの、とまで思います。そのくらい、今振り返るこの一年間は空虚なものでした。こうして振り返らなければ、jaxとSumaiLとレソリュとscccのおかげで、それなりに充実していたのですけれど。現在のバージョンは5手のIDをあげるのが極めて困難なバージョンになってしまいました。kurokyだって厳密には4.5です。
★★ s4
s4は弱いです。
無茶苦茶弱いです。
すぐに行方不明に陥ります。
今のs4は割と壊滅的だと思います。
s4は昔はそれなりに強い部類のプレイヤーでした。あの頃のs4が強かったのは、s4がdotaのポジションの中で一番簡単なポジションを担当していたからです。しかも、あの頃はまだ野心溢れた若い才能がMMRを見せ札にして現金をつかみ取りに来るよりも前でした。けれども今は違います。midなんて、MMRが1万あれば誰でも出来るんです。一方で、ポジション3は違います。そして今のs4はポジション3専任です。
s4は一人でゲームを破壊して帰ってきます。悪い方に。その問題に関しては、ボストンメジャーからずっと解決していません。けれども、ゲームを壊さないように頑張り続けたmagやkyxyやマイコンといった人達がその存在感を失い続ける一方で、s4は何が強いか全くわかりませんが、何故かti6以降のメジャー大会を全て優勝したOGというチームの3手を勤めていました。論拠はわりとそれだけです。実際問題、s4はblink強いし、ピックプールもいいし、多分強い方だと思います。「dsをふっておけばユニバースと互角」みたいな論拠にならない論拠がflyのpick&banを支えていたと思いますし、今の壊滅的なs4でも、3手の中では抜群に強いと言わざるを得ないでしょう。難しいヒーローをpickして、どつぼに嵌まらなければいいですね。s4は所詮s4ですが、s4はs4です。今のs4は明確に弱いプレイヤーなので、かつてのs4につけていた2つ星とは全く意味合いの違う2つ星です。みんな居なくなって、誰も輝くことの出来なかった一年間を踏まえての、少なくとも鈍く弱く輝き続けていたプレイヤーに対する、ある意味では論功行賞のような2つ星です。s4よりも、僕のプレイヤーレビューが今年は滅法弱いです。
★★ 9pas
VPが何故浮上できたかというと、9pasの1手から3手へのコンバートが完璧な形で当たったからです。当たりキャラクターはもちろんsladerでした。それがあまりにも大きく当たりすぎたが故に、少しsladerに執着してしまった感はありますが、VPのベストプレイヤーは9pasでは無いにせよ、VP最大の勝因は9pasだったように私の目には見えました。正直な話、injuryよりも先に9pasの名前を挙げるのには非常に強い抵抗を感じるので、このあたりは横一線です。この一年間のdotaシーンはpatchによって全ての文脈を完全破壊し尽くし続けた果てに待ち受けているのがti7ですから、「ユニバース!」とか「ジャックス!」とかそのレベルを通過した後に待っているのは、「誰も残らない。何も残っていない。」という焼け野原です。9pasはその焼け野原に咲いた一輪の花という感じがするのでとりあえず9pasを。
★★ Injury
この一年間中国最強の3手はInjuryとxxsでした。
全くロマンの無いプレイヤーですし、全くロマンの無いIDですが、同じようにロマンが無いながらも素晴らしいプレイヤーであるmind_controlとは違い、充実した1年間を過ごしてきました。今や世界最強のbat playerはInjuryと言ってもそう強い違和感はありません。Universeだけど。
難易度の高いキャラクターを動かす事が出来ないという問題は幸いにしてti7のバージョンにおいては大きな問題にはならないでしょう。そういう点も含めてInjuryです。miracle-のような属性を持ったプレイヤーが3手に転向したら一瞬で消し飛びますが、ifはif、現実は現実。Injuryという完全に終わったIDが中国最強の3手になってしまったという現実を僕等はそろそろ受け入れる段階に来ていると思うのです。あの頃の僕等が夢見ていた2017年というのは、全てのレーンにmiracle-のようなスキルフルプレイヤーが居るチーム同士の闘いでした。賞金額は跳ね上がり、シーンには終末感が漂うまでになりましたが、そこに待っていた現実は、神と神とがぶつかり合うような頂上決戦ではなく、世界最高の名手が地下牢や座敷牢に押し込められたり、世界最強のプレイヤーが個人としての絶頂期にモチベーションをなくして隠居していく現実でした。Injuryは素晴らしかった。それでいいじゃありませんか。事実、Injuryは素晴らしかったのですから。そして今も素晴らしいのですから。
★★ ラムゼス666
ラムゼスに関しては随分と述べました。
弱さはチームを束縛しませんが、強さはチームを束縛します。ラムゼスは強いです。最強です。ただし、「このビデオゲームにおいて弱い戦略」との親和性があまりにも高すぎます。相手を蹂躙するというVPの戦略は、悪い戦略ですが、soloは悪い戦略を選択していません。チームが最強の1手を有し、2手も3手もその戦略との相性が悪くない以上は、soloにとっての最良の選択は「このビデオゲームにおいて弱い戦略」である、というだけの話なのです。
ラムゼスがあまりにも強すぎることはラムゼスの不幸であり、soloの不幸であり、VPの不幸です。それが幸運に転じるかどうかは、ti7をただ待つばかりです。これまで僕等は待ち続けてきました。DDOS攻撃による出場権喪失を経て、遂に辿り着いたグランドファイナルで、待っていたのはOGの優勝でした。相手を殴らずファームしているだけの、anaという名の悪魔的な暴力でした。
★★ super
世界中のmid playerを見て感じた事は、残念ながら未だに人類最強superは人類最強であり、superを超える為には人間を辞めなければいけないという、あの頃に抱いていたのとまったく同じ感覚でした。
果たして、miduanは人間を辞めていませんし、nooneも弱さを持った人間です。qoも一年間流浪の旅を続けましたし、fata-よりもsuperの方が今のバージョンにおいても強い、というのが率直な感想です。何人も人間を辞める事には成功していません。opも、sakataもそうです。DKでラストヒットをとってるだけのsuperに完敗した、ctyだってそうです。
世界中の2手が人間を辞めるというミッションに成功していない以上は、弱い弱い生き物で有り、サバンナで生きていく力を持たない人間でしかないsuperは今も尚、一つの指針として働きます。superを凌駕すれば世界屈指の名手。superに並べば世界的な名手。
才能の「さ」の字もなく、ひらめきの「ひ」の字も持たないsuperですが、今もsuperは人類最強のプレイヤーであり、特別な才能を持たない人間が、努力を継続し続ける事で辿り着ける高みは、僕等が思っているよりもずっとずっと高いものなのです。
あと、バージョンに恵まれすぎです。stormをまともに動かせず、qopもぎこちないsuperには好都合な微調整がありました。その辺も含めて。
★★ 拒絶者
プレイヤーレビューにおいて必要なものは論拠です。素晴らしいプレイヤーの存在ではありません。monetも素晴らしい。lilも素晴らしい。みんな素晴らしい。ではその全員素晴らしいということが明確なプレイヤーの中から、「この一年間」「どういう素晴らしさで」「どういう結果を残したか」という点が問題になります。たとえばKAKAは素晴らしいのですが、では他のプレイヤーではなくKAKAというIDをここですんなり書く事が出来るかというと、違います。拒絶者は素晴らしいのですが、1手としてのヒーロープールが揃わず、チームも1手で使うか2手で使うか未だに迷いがあります。LFYのリプレイを見た感じだと、LFYはmonetの個としての強さが根底に流れているように見えたので、この項第一の候補はmonetです。あとはVPの後ろ2人のうちのどちらか。miduanも素晴らしいプレイヤーなのですが、miduanはこの一年間世界で戦い続けてきたプレイヤーではありません。QOも同じですね。ということで、全部論拠がないので、なんとなく拒絶者にしておきます。拒絶者が1手か2手かで定まらないのは拒絶者の責任ではなく、iGVの2手が一部のプレイヤーに明らかな敗北を喫してしまうという現実があるからです。拒絶者のピックプールが改善されない問題は明確な問題として残り続けていますが、この際忘れましょう。ここ、15人くらい候補が居て決まりませんでした。
以上です。
今年は上位10人以外はとてもふんわりしています。
論拠はないです。ないですが、勘弁して下さい。
論拠はないです。ないですが、勘弁して下さい。
ti7は終わりではなく、はじまりです。
好意的に捉えるならば、ti7は終わりではなく、はじまりです。
この1年間は何もありませんでした。
跳刀跳刀とshaodw-を失っただけです。
それ以外に何もありませんでした。
ti7は、はじまりです。
かもしれません。
2017年7月29日土曜日
実在しない架空の存在であるクソリプと、2017年に実在しているクソリプ有料制。
世界はクソリプに溢れている。
何故か。
世界はクソリプに溢れている。
それは、何故か。
世界がクソリプで溢れているのは、世界がクソリプに溢れているからではない。そして、クソリプをクソリプたらしめているのは、クソリプを行う人ではない。クソリプをクソリプたらしめているものは、「クソリプだと思う人」である。クソリプだと思う人が存在しているからこそ、クソリプはクソリプである。即ち、クソリプだと思う人がこの世界から一人残らず居なくなれば、自ずからクソリプは消え失せる。論点はクリアになった。クソリプを作っているのはクソリプを行う人ではなく、「これはクソリプだ」と思う人である。
「おはようございます」
これが典型的なクソリプである。
「おやすみなさい」
そして、これが典型的なクソリプである。
我が国の教育行政は失敗であった。我が国の政府は一丸となり、挨拶というものを推進してきた。朝ならばおはようございます。"おはようございます"、それはクソリプである。夜ならばおやすみなさい。"おやすみなさい"、それは典型的なクソリプである。もはやここに来て、議論は不可能。何がクソリプであり、何がクソリプでないかなど、論じるだけ無駄である。ジャスティンビーバーが「おはようございます」と書けば神対応であり、僕が「おはようございます」と書けばクソリプである。ブルーノマーズが「おやすみなさい」とリプライを送れば神対応であり、僕が「今日もかわいいね。素材がいいから何着てもかわいいんだよねー。花火デートしたいなー」と書けばクソリプである。こんな理不尽があるか。クソリプとは身勝手である。俺が、クソリプと、思ったからクソリプ。それがクソリプの正体である。クソリプはクソリプであるが故にクソリプなのだ。クソリプが何故クソリプであるかの論拠はそれだけ。俺が思うかどうか。それだけが論拠であり、それ以外の一切は存在しない。"わたしが気に入らないリプライ"。それがクソリプなのだ。
「おはようございます」はクソリプである。
「おやすみなさい」もクソリプである。
「おいしそう」もクソリプであり、
「かっこいい」も「凄い」も「かわいい」もクソリプである。
全部クソリプである。クソリプだと思えばその瞬間にクソリプである。"わたしが気に入らないリプライ"は全てクソリプである。気に入らないリプライは、たとえそれがリプライですらなかったとしても、クソリプなのである。リプライですらないのにクソリプ。即ち、クソリプとは、もはや、概念である。気に障ること、それがクソリプである。気に入らないこと。それがクソリプである。
このような事を書くと、クソリプを晒し上げ共通の仮想敵とする事で自らの正当性をアピールし、見知らぬ誰かとの一体感を味わいたい人達は口を揃えて言うであろう。「いや、クソリプというのはおはようございますやおやすみなさいの事では無い。あるいはかわいいねやSUGEEEのことでもなく、もっと具体的に、たとえばこういう例や、あるいはこうこうこうであり、こういった類いのものを私達はクソリプと呼んでいるのです。だってあなたもクソリプだと思うでしょう?」ほざけ。
クソリプとは、クソリプであると思う人が存在するが故にクソリプなのだ。歴史を遡れば、「あなたは素晴らしい王だ」がクソリプとされた。こんなふざけた話があるか。王を称えて素晴らしいと言っただけでクソリプ扱いされてやがて戦争に至る。あるいは「素晴らしい小説だ」もクソリプとされて全力で叩かれた。一体何がいけないのだ。素晴らしい小説を素晴らしい小説だと思い、素晴らしい小説だと言ったら「クソリプやめろ」。これが我が国の文壇である。文壇の分断である。←。また、「素晴らしい選手だ」や「素晴らしいアルバムだ」もクソリプとされた事実がある。歴史は正直である。歴史は嘘をつかない。ありとあらゆるリプライは、クソリプたり得るという事実は既に、歴史が証明してきたのだ。人類の偉大な歩みの中にクソリプは常に存在してきた。何故ならば、人類の歴史の中には常に「クソリプだと思う人」が存在していたからである。いいえ、ウィキペディアで人間の項をひらけば、「人間とは、何らかの存在をクソリプだと思うもの」とまで書いてある。クソリプとは、クソリプである。クソリプと思う人が存在すれば、たとえリプライですら無かったとしても、それはクソリプである。
では、どうすればいいか。
答はもはや明確である。
クソリプだと思う人を滅ぼせばよい。
核爆弾でも巨大隕石でも、なんでもよい。
クソリプだと思う人を一人残らず滅ぼしてしまえばいいのだ。
けれども、核爆弾や巨大隕石は簡単には実装できない。また、どれほどクソリプが有害である事を訴えたところで、「クソリプは迷惑である、故に人類は滅ぼさねばならぬ」などという主張はほとんど誰にも受け入れられないであろう。他の道が必要である。私達には他のアイデアが必要である。
さて。
遂に本題へと辿り着きます。
僕等のインターネットは、クソリプにどう対処してきたのでしょうか。これは、あなた方のインターネットの話ではありません。僕等のインターネットの話です。
答は単純、金です。
金です。
金。
それはこの世の全てである。
昨今、僕等の住んでるインターネットは、急速な勢いでクソリプ有料制へと舵を取ってきた。一番最初にクソリプ有料制を取り入れたインターネットは、アダルトチャット、即ちエロチャットだった。いつの時代も性欲は、最強の課金のトリガーだった。モニタの向こうで誰かが脱いで、それを見るだけなら無料。チャットを打ちたいなら有料。チャットが無いと脱がない。だから課金する。リプを送る。「おっぱい見せろ」。脱ぐ。儲かる。おっぱい見れる。みんな幸せ。
こうしてクソリプは有料化された。そうして始まったクソリプ有料制度は、もの凄い勢いで僕等のインターネットに広まっていった。僕等のインターネットは気がつけば、エロの存在しない、それでいてビデオゲームの存在する動画配信で埋め尽くされた。僕等はもうあの頃のようにネットサーフィンをしない。あの頃読んでいたブログを書いていた人達は、もうみんな死んでしまった。僕等は夜な夜な、誰かのゲーム配信を引きつった笑いを浮かべながら朝まで見ている。時にはクソリプを送りつけながら。
世界は猛烈な勢いで変わってしまった。
own3dやJustinTVといった吹けば飛ぶような夢見るベンチャー企業が将来の取り分を巡って小さなパイを奪い合っていた段階は一瞬にして終わり、グーグル、アマゾン、大連万達、テンセントや阿里巴巴といった、地球上に存在しうるプレイヤーの中でも、最大のプレイヤーらの戦場となった。そして、彼等の動画配信サイトの収益を支えているのは、広告収入や月額課金収入ではない。
そう。
クソリプ有料制度である。
何故グーグルなのか。なぜアマゾンなのか。何故万達であり、なぜテンセントなのか。それは、儲かるからだ。動画配信サイトとは名ばかりの、クソリプ有料制度が儲かる商売だからだ。後発のyoutubeLIVEを別として、他の動画配信サイトでは、収入の6割以上がクソリプである。動画配信サイトのクソリプ有料制は、この地球上に存在している課金システムの中で、SSRガチャにも匹敵する、最強の課金コンテンツなのだ。
金を払えばクソリプに、青赤黄色の色がつく。払った金の色でクソリプの色が変わる。更に金を出せば文字数制限が解除される。もっと金を出せばクソリプが金色に輝き、更に金を出せばクソリプが爆発する。上限まで金を出せばクソリプがレインボーである。しかも配信画面にオーバーレイして、画面中央にでかでかと巨大にクソリプる。もう、クソリプはクソリプではない。何故ならば、クソリプをクソリプたらしめているものは、クソリプだと思う人の存在である。巨大なクソリプが配信画面で七色に光り出した時点で、それはもうクソリプではなく、ただの現金収入である。発破エフェクトと共に爆音で飛び出るクソリプは、クソリプをクソリプだと思う人の心を完膚なきまでに吹き飛ばす。挙げ句、fendaに至っては、クソリプは有料だが、そのクソリプに対する回答動画を閲覧するには金がかかり、その金は質問者、回答者、サービス運営の三者で山分けされる。クソリプを受け取った人ではなく、クソリプを行った人までもが利益を得られる夢のような21世紀を僕等は生きているのだ。
今や、インターネットで一番もうかる商売の1つがクソリプ運営業である。グーグルが、テンセントが、アマゾンが、大連万達が、クソリプ有料制度を主要な収益源の1つにしている。人が存在する。発言が存在する。そこに課金する。クソリプとは夢である。人類の夢である。金のたまごを生む雌鳥であり、指先から溢れ出る砂金である。インターネットは進化の果てに、人々の発言に対する課金を実現してしまったのだ。無料のリプライは無視されるが、有料のリプライは読んでもらえる。あるいはそもそも課金を伴わねばリプライを送れない。月額課金を行っていない人はリプライを送ることすら許されず、月々5ドルの月額課金者だけがリプライを許される。様々な方法がある。どれも素晴らしい。素晴らしい世界である。「おっぱい見せろ」が励みになりますと感謝される世界と、少しも違わない幸福な我らのインターネットである。そんなシステムが僕等の世界を埋め尽くした果てに辿り着いた、「尻と胸のどちらが好きか」だとか、「好きなセックスは」といった、所謂典型的なクソリプが、有料であるが故に感謝され、許され、挙げ句の果てには中国共産党政府に目を付けられてサービスを停止させられるという、正に血で血を洗う、あなた方の住んでいる真っ当なインターネットとは別の世界の、僕等の健全なインターネットである。
インターネットとは、自由である。
誰もが自由に発言出来る場所である。
その世界において、発言に対する課金など、不可能であるかに思われていた。
「ハハ キトク スグ カエレ」5000円。
そんな時代は新聞と共に終わった。
僕等は活版印刷の時代には生きていない。
ここはインターネットである。
発言は無料である。
なのに。
にもかかわらず。
クソリプは有料である。
発言に課金を行う為の唯一の道筋は、誰かが発言を読んでくれるという保証に課金を行う事だ。それがクソリプ有料制度。人々の口に課金する唯一の方法である。1000円分のクソリプは、youtubeの場合は300円がyoutubeの収入になり、残る700円が配信者の取り分となる。クソリプは読まれ、クソリプは感謝され、クソリプが励みになり、クソリプが世界を回す。僕等はクソリプを崇める。僕等はクソリプを奉る。人々はクソリプを心から望み、僕等はクソリプで生きていく。クソリプが誰かを幸せにし、クソリプがこの国の経済を回す。もう既に、僕等だけでなくあなた方も、既にクソリプで生きている。クソリプで回った経済の、恩恵を受けて生きている。今日も感謝。クソリプに感謝。今も休まず世界経済を回し続ける、僕等の血であり肉である、有意義なクソリプに感謝をこめて。命の源たるクソリプに、この人生の感謝を込めて。
平和九大。
実は、我が国にも、有名なクソリプ課金制度があります。それが握手券です。初回限定音楽CDとは名ばかりの、握手券付きのプラスチックを大量に売りつけて、僅か3秒の握手という名のクソリプを、人々は有り金はたいて購入します。さて、ここで問題になるのは、金です。金の問題です。
悪名高いAmazonの取り分は4割。
クソリプを受け取る人に、残りの6割が届きます。
悪名高いGoogleの取り分は3割。
クソリプを受け取る人に、残りの7割が届きます。
果たして、我が国の握手券という名のクソリプは、クソリプを受け取る人に、何割のお金を分配しているでしょうか。愚問です。0です。0割です。零割零分零パーセント。秋元康が様々な利益団体と共に作り上げた、握手券という名の、我が国のクソリプ有料制度は、一円の収益をも分配しないのです。いったい何をもって健全とし、いったい何をもって搾取と呼ぶのかの教養を、僕は持ちません。それでも、僕達のインターネットは、あなた方の生きている日本社会よりも、遙かにマシな世界のように思えます。話はここで終わります。
クソリプは、架空の存在です。
クソリプと思う人は存在します。
けれども、クソリプは実在しません。
これは、心の問題です。
クソリプと思う人の心の問題です。
クソリプなんて、札束で殴れば消えるのです。
クソリプとは、クソリプと思う人が、クソリプと思うが故にクソリプなのですから。
クソリプを有料化しましょう。
全てのクソリプを有料化しましょう。
いいえ、僕が今更言わなくても、あなた方のインターネットではなく、僕等のインターネットではもう既に、遠い随分と昔から、クソリプは既に有料でした。クソリプの有料化に失敗した人達が、クソリプを叩く事によって、奇妙な一体感を得て、たのしく盛り上がっているのです。
クソリプは存在しません。
クソリプだと思う人が存在しているだけです。
クソリプを叩きたい人が、大勢存在しているだけです。
クソリプは、架空の存在です。
何故か。
世界はクソリプに溢れている。
それは、何故か。
世界がクソリプで溢れているのは、世界がクソリプに溢れているからではない。そして、クソリプをクソリプたらしめているのは、クソリプを行う人ではない。クソリプをクソリプたらしめているものは、「クソリプだと思う人」である。クソリプだと思う人が存在しているからこそ、クソリプはクソリプである。即ち、クソリプだと思う人がこの世界から一人残らず居なくなれば、自ずからクソリプは消え失せる。論点はクリアになった。クソリプを作っているのはクソリプを行う人ではなく、「これはクソリプだ」と思う人である。
「おはようございます」
これが典型的なクソリプである。
「おやすみなさい」
そして、これが典型的なクソリプである。
我が国の教育行政は失敗であった。我が国の政府は一丸となり、挨拶というものを推進してきた。朝ならばおはようございます。"おはようございます"、それはクソリプである。夜ならばおやすみなさい。"おやすみなさい"、それは典型的なクソリプである。もはやここに来て、議論は不可能。何がクソリプであり、何がクソリプでないかなど、論じるだけ無駄である。ジャスティンビーバーが「おはようございます」と書けば神対応であり、僕が「おはようございます」と書けばクソリプである。ブルーノマーズが「おやすみなさい」とリプライを送れば神対応であり、僕が「今日もかわいいね。素材がいいから何着てもかわいいんだよねー。花火デートしたいなー」と書けばクソリプである。こんな理不尽があるか。クソリプとは身勝手である。俺が、クソリプと、思ったからクソリプ。それがクソリプの正体である。クソリプはクソリプであるが故にクソリプなのだ。クソリプが何故クソリプであるかの論拠はそれだけ。俺が思うかどうか。それだけが論拠であり、それ以外の一切は存在しない。"わたしが気に入らないリプライ"。それがクソリプなのだ。
「おはようございます」はクソリプである。
「おやすみなさい」もクソリプである。
「おいしそう」もクソリプであり、
「かっこいい」も「凄い」も「かわいい」もクソリプである。
全部クソリプである。クソリプだと思えばその瞬間にクソリプである。"わたしが気に入らないリプライ"は全てクソリプである。気に入らないリプライは、たとえそれがリプライですらなかったとしても、クソリプなのである。リプライですらないのにクソリプ。即ち、クソリプとは、もはや、概念である。気に障ること、それがクソリプである。気に入らないこと。それがクソリプである。
このような事を書くと、クソリプを晒し上げ共通の仮想敵とする事で自らの正当性をアピールし、見知らぬ誰かとの一体感を味わいたい人達は口を揃えて言うであろう。「いや、クソリプというのはおはようございますやおやすみなさいの事では無い。あるいはかわいいねやSUGEEEのことでもなく、もっと具体的に、たとえばこういう例や、あるいはこうこうこうであり、こういった類いのものを私達はクソリプと呼んでいるのです。だってあなたもクソリプだと思うでしょう?」ほざけ。
クソリプとは、クソリプであると思う人が存在するが故にクソリプなのだ。歴史を遡れば、「あなたは素晴らしい王だ」がクソリプとされた。こんなふざけた話があるか。王を称えて素晴らしいと言っただけでクソリプ扱いされてやがて戦争に至る。あるいは「素晴らしい小説だ」もクソリプとされて全力で叩かれた。一体何がいけないのだ。素晴らしい小説を素晴らしい小説だと思い、素晴らしい小説だと言ったら「クソリプやめろ」。これが我が国の文壇である。文壇の分断である。←。また、「素晴らしい選手だ」や「素晴らしいアルバムだ」もクソリプとされた事実がある。歴史は正直である。歴史は嘘をつかない。ありとあらゆるリプライは、クソリプたり得るという事実は既に、歴史が証明してきたのだ。人類の偉大な歩みの中にクソリプは常に存在してきた。何故ならば、人類の歴史の中には常に「クソリプだと思う人」が存在していたからである。いいえ、ウィキペディアで人間の項をひらけば、「人間とは、何らかの存在をクソリプだと思うもの」とまで書いてある。クソリプとは、クソリプである。クソリプと思う人が存在すれば、たとえリプライですら無かったとしても、それはクソリプである。
では、どうすればいいか。
答はもはや明確である。
クソリプだと思う人を滅ぼせばよい。
核爆弾でも巨大隕石でも、なんでもよい。
クソリプだと思う人を一人残らず滅ぼしてしまえばいいのだ。
けれども、核爆弾や巨大隕石は簡単には実装できない。また、どれほどクソリプが有害である事を訴えたところで、「クソリプは迷惑である、故に人類は滅ぼさねばならぬ」などという主張はほとんど誰にも受け入れられないであろう。他の道が必要である。私達には他のアイデアが必要である。
さて。
遂に本題へと辿り着きます。
僕等のインターネットは、クソリプにどう対処してきたのでしょうか。これは、あなた方のインターネットの話ではありません。僕等のインターネットの話です。
答は単純、金です。
金です。
金。
それはこの世の全てである。
昨今、僕等の住んでるインターネットは、急速な勢いでクソリプ有料制へと舵を取ってきた。一番最初にクソリプ有料制を取り入れたインターネットは、アダルトチャット、即ちエロチャットだった。いつの時代も性欲は、最強の課金のトリガーだった。モニタの向こうで誰かが脱いで、それを見るだけなら無料。チャットを打ちたいなら有料。チャットが無いと脱がない。だから課金する。リプを送る。「おっぱい見せろ」。脱ぐ。儲かる。おっぱい見れる。みんな幸せ。
こうしてクソリプは有料化された。そうして始まったクソリプ有料制度は、もの凄い勢いで僕等のインターネットに広まっていった。僕等のインターネットは気がつけば、エロの存在しない、それでいてビデオゲームの存在する動画配信で埋め尽くされた。僕等はもうあの頃のようにネットサーフィンをしない。あの頃読んでいたブログを書いていた人達は、もうみんな死んでしまった。僕等は夜な夜な、誰かのゲーム配信を引きつった笑いを浮かべながら朝まで見ている。時にはクソリプを送りつけながら。
世界は猛烈な勢いで変わってしまった。
own3dやJustinTVといった吹けば飛ぶような夢見るベンチャー企業が将来の取り分を巡って小さなパイを奪い合っていた段階は一瞬にして終わり、グーグル、アマゾン、大連万達、テンセントや阿里巴巴といった、地球上に存在しうるプレイヤーの中でも、最大のプレイヤーらの戦場となった。そして、彼等の動画配信サイトの収益を支えているのは、広告収入や月額課金収入ではない。
そう。
クソリプ有料制度である。
何故グーグルなのか。なぜアマゾンなのか。何故万達であり、なぜテンセントなのか。それは、儲かるからだ。動画配信サイトとは名ばかりの、クソリプ有料制度が儲かる商売だからだ。後発のyoutubeLIVEを別として、他の動画配信サイトでは、収入の6割以上がクソリプである。動画配信サイトのクソリプ有料制は、この地球上に存在している課金システムの中で、SSRガチャにも匹敵する、最強の課金コンテンツなのだ。
金を払えばクソリプに、青赤黄色の色がつく。払った金の色でクソリプの色が変わる。更に金を出せば文字数制限が解除される。もっと金を出せばクソリプが金色に輝き、更に金を出せばクソリプが爆発する。上限まで金を出せばクソリプがレインボーである。しかも配信画面にオーバーレイして、画面中央にでかでかと巨大にクソリプる。もう、クソリプはクソリプではない。何故ならば、クソリプをクソリプたらしめているものは、クソリプだと思う人の存在である。巨大なクソリプが配信画面で七色に光り出した時点で、それはもうクソリプではなく、ただの現金収入である。発破エフェクトと共に爆音で飛び出るクソリプは、クソリプをクソリプだと思う人の心を完膚なきまでに吹き飛ばす。挙げ句、fendaに至っては、クソリプは有料だが、そのクソリプに対する回答動画を閲覧するには金がかかり、その金は質問者、回答者、サービス運営の三者で山分けされる。クソリプを受け取った人ではなく、クソリプを行った人までもが利益を得られる夢のような21世紀を僕等は生きているのだ。
今や、インターネットで一番もうかる商売の1つがクソリプ運営業である。グーグルが、テンセントが、アマゾンが、大連万達が、クソリプ有料制度を主要な収益源の1つにしている。人が存在する。発言が存在する。そこに課金する。クソリプとは夢である。人類の夢である。金のたまごを生む雌鳥であり、指先から溢れ出る砂金である。インターネットは進化の果てに、人々の発言に対する課金を実現してしまったのだ。無料のリプライは無視されるが、有料のリプライは読んでもらえる。あるいはそもそも課金を伴わねばリプライを送れない。月額課金を行っていない人はリプライを送ることすら許されず、月々5ドルの月額課金者だけがリプライを許される。様々な方法がある。どれも素晴らしい。素晴らしい世界である。「おっぱい見せろ」が励みになりますと感謝される世界と、少しも違わない幸福な我らのインターネットである。そんなシステムが僕等の世界を埋め尽くした果てに辿り着いた、「尻と胸のどちらが好きか」だとか、「好きなセックスは」といった、所謂典型的なクソリプが、有料であるが故に感謝され、許され、挙げ句の果てには中国共産党政府に目を付けられてサービスを停止させられるという、正に血で血を洗う、あなた方の住んでいる真っ当なインターネットとは別の世界の、僕等の健全なインターネットである。
インターネットとは、自由である。
誰もが自由に発言出来る場所である。
その世界において、発言に対する課金など、不可能であるかに思われていた。
「ハハ キトク スグ カエレ」5000円。
そんな時代は新聞と共に終わった。
僕等は活版印刷の時代には生きていない。
ここはインターネットである。
発言は無料である。
なのに。
にもかかわらず。
クソリプは有料である。
発言に課金を行う為の唯一の道筋は、誰かが発言を読んでくれるという保証に課金を行う事だ。それがクソリプ有料制度。人々の口に課金する唯一の方法である。1000円分のクソリプは、youtubeの場合は300円がyoutubeの収入になり、残る700円が配信者の取り分となる。クソリプは読まれ、クソリプは感謝され、クソリプが励みになり、クソリプが世界を回す。僕等はクソリプを崇める。僕等はクソリプを奉る。人々はクソリプを心から望み、僕等はクソリプで生きていく。クソリプが誰かを幸せにし、クソリプがこの国の経済を回す。もう既に、僕等だけでなくあなた方も、既にクソリプで生きている。クソリプで回った経済の、恩恵を受けて生きている。今日も感謝。クソリプに感謝。今も休まず世界経済を回し続ける、僕等の血であり肉である、有意義なクソリプに感謝をこめて。命の源たるクソリプに、この人生の感謝を込めて。
平和九大。
実は、我が国にも、有名なクソリプ課金制度があります。それが握手券です。初回限定音楽CDとは名ばかりの、握手券付きのプラスチックを大量に売りつけて、僅か3秒の握手という名のクソリプを、人々は有り金はたいて購入します。さて、ここで問題になるのは、金です。金の問題です。
悪名高いAmazonの取り分は4割。
クソリプを受け取る人に、残りの6割が届きます。
悪名高いGoogleの取り分は3割。
クソリプを受け取る人に、残りの7割が届きます。
果たして、我が国の握手券という名のクソリプは、クソリプを受け取る人に、何割のお金を分配しているでしょうか。愚問です。0です。0割です。零割零分零パーセント。秋元康が様々な利益団体と共に作り上げた、握手券という名の、我が国のクソリプ有料制度は、一円の収益をも分配しないのです。いったい何をもって健全とし、いったい何をもって搾取と呼ぶのかの教養を、僕は持ちません。それでも、僕達のインターネットは、あなた方の生きている日本社会よりも、遙かにマシな世界のように思えます。話はここで終わります。
クソリプは、架空の存在です。
クソリプと思う人は存在します。
けれども、クソリプは実在しません。
これは、心の問題です。
クソリプと思う人の心の問題です。
クソリプなんて、札束で殴れば消えるのです。
クソリプとは、クソリプと思う人が、クソリプと思うが故にクソリプなのですから。
クソリプを有料化しましょう。
全てのクソリプを有料化しましょう。
いいえ、僕が今更言わなくても、あなた方のインターネットではなく、僕等のインターネットではもう既に、遠い随分と昔から、クソリプは既に有料でした。クソリプの有料化に失敗した人達が、クソリプを叩く事によって、奇妙な一体感を得て、たのしく盛り上がっているのです。
クソリプは存在しません。
クソリプだと思う人が存在しているだけです。
クソリプを叩きたい人が、大勢存在しているだけです。
クソリプは、架空の存在です。
2017年7月26日水曜日
サカナバッカの神謝罪に見る、謝る狂気と許す狂気。
先日、サカナバッカという魚屋さんがインターネットで炎上した後に謝罪し、その謝罪が神謝罪であると、インターネットで大絶賛されました。いったい、サカナバッカはなぜ炎上し、そしてなぜ、サカナバッカの謝罪は神謝罪であるとインターネットで大絶賛されたのでしょうか。
サカナバッカの炎上理由を一言で表すならば、「クロマグロを売ったこと」です。それだけです。ただし、それだけではありません。サカナバッカが炎上したのは、クロマグロを売ったからではないのです。事実、我が国のいろんな町のいろんなお店で、クロマグロが売られています。けれども、それらは炎上しません。我が国においては、うなぎも、まぐろも、くじらも、いるかも、象牙も鼈甲も、自由に売り買い出来るのです。なのに、サカナバッカは炎上しました。つまり、サカナバッカの炎上理由は、クロマグロを売ったことではありません。では、なぜ、サカナバッカは炎上したのでしょうか。
サカナバッカの炎上理由は、大きく分けると3つです。
1,産地偽装。
2,漁法偽装。
3,虚偽説明。
サカナバッカの炎上は、「緊急特売!天然生本鮪 豊漁につき、シーズン最安値で大特化!!100g498円~」という、Facebookにおける鮪販売の告知に対してついた、市原岳洋さんの「メジマグロですか?」という問いから始まりました。メジマグロとは、産卵可能な年齢に達していない、クロマグロの幼魚のことです。概ね、20kgくらいまでの本マグロを、メジマグロと呼ぶそうです。
「長崎県壱岐の釣り物(魚体40キロ以上)を扱ってます。」
というのが、市原岳洋さんの問いに対するサカナバッカの回答でした。
ここで最も重要なのは、サカナバッカの炎上理由です。
サカナバッカが炎上したのは、クロマグロを売ったからではありません。
サカナバッカが炎上したのは、市原岳洋さんの問いに対して、「長崎県壱岐の釣り物(魚体40キロ以上)を扱ってます。」と回答したからです。もう一度確認しますが、我が国において、クロマグロを売って炎上することはありません。何故ならば、私達の政府がクロマグロの販売を許可しているからです。うなぎだって、マグロだって、象牙だって、鼈甲だって、全部合法です。クロマグロの漁獲、並びに販売は完全な合法であり、正しい商売です。クロマグロは、我が国のどこの町でも購入可能です。合法的に食べられます。
サカナバッカが炎上したのは、クロマグロを売ったからではありません。
「長崎県壱岐の釣り物(魚体40キロ以上)を扱ってます。」
と回答したからです。
この、サカナバッカの回答には、3つの問題が潜んでいました。
それ故に、サカナバッカはインターネットで炎上したのです。
1,産地偽装。
「壱岐海区では、マグロ漁をしている船は居ません」という、壱岐でマグロの一本釣りをしている漁師のコメントが即座についています。壱岐、対馬を中心に30kg以上のクロマグロが自主規制されており、壱岐でマグロを釣っている船はない、どの組合にも壱岐のマグロは流通していないという事実が、様々な人の口と手によって、淡々と並んでいます。サカナバッカは、壱岐のマグロではないものを、壱岐のマグロと主張したのです。
サカナバッカは、産地を偽装しました。
2,漁法偽装。
サカナバッカは、40キロ以上の釣り物のクロマグロ(本マグロ)を、「豊漁につきシーズン最安値で大特価!!」と称して、100グラム498円で売っています。それに対する最も冷静な指摘は、「40キロ以上の釣り物のクロマグロは、そんな値段では流通しない。」というものでした。一本釣りの国産クロマグロは、いくらクロマグロが安い時期であったとしても、100グラム498円などという値段で販売されるようなものではないのです。ですから、「巻き網によるものであるか、クロマグロの幼魚であるメジマグロの何れかであろう」という指摘が成されたのです。
また、40キロ以上の釣り物の国産クロマグロが、100グラム498円などという価格で市場に出回る代物ではないからこそ、「メジマグロですか?」というコメントがFacebookについたのです。
サカナバッカは、漁法を偽装しました。
3,虚偽説明。
サカナバッカはfacebook上で、漁業関係者や、実際にマグロを釣っている人の問いに対して、詳細な回答を行いました。そこで、サカナバッカが売ったマグロは、「長崎県内(九州本土側)の漁師が壱岐沖まで出漁し、一本釣りによって漁獲」「漁獲されたクロマグロは長崎県内の本土側の港に水揚げ」ということを「確認いたしました。」としています。そして、「壱岐沖で一本釣りによって漁獲されたことを確認しております。」と繰り返しています。
このサカナバッカの回答は、一週間後にサカナバッカの運営企業である株式会社フーディソン代表取締役山本徹名義で出されたお詫びとお知らせの中で、保身の為の虚偽説明であった事が記されています。
サカナバッカは、保身の為に虚偽説明を行いました。
「メジマグロですか?」
のコメントから10日後。
サカナバッカの「ご回答」
から一週間後。
事件に対する謝罪がフーディソン社からの出ます。
そしてその上社罪はネット上で、神謝罪と大絶賛されるのです。
いったい、フーディソン社は何をどのように謝罪したのでしょうか。そして、フーディソン社による謝罪の、どこが神謝罪であると、人々に広く評価されたのでしょうか。何を持って、神謝罪であるとされたのでしょうか。まず、フーディソン社の3つの炎上理由、産地偽装、漁法偽装、虚偽説明、これらそれぞれに対して、フーディソン社がどのように謝罪したのかを、見て行きましょう。
1,産地偽装疑惑に対して。
「調べました。」
サカナバッカ(フーディソン社代表取締役山本徹)は、産地偽装の疑惑に対して、「調べました!」「わかりませんでした!」と回答しています。それが、産地偽装疑惑に対するフーディソン社の回答の全てです。産地偽装疑惑に対する回答はありません。産地偽装に対する謝罪もありません。真相の究明もありません。「調べました」それが、産地偽装疑惑に対する、フーディソン社の神謝罪です。
フーディソンは長い長い謝罪の中で、「私達は偽装していない」「荷受会社に荷主名を照会したところ、荷主名に関する回答は得られず」「だから私達に非はない」と述べています。「現地の漁師が禁漁しているこの時期、福岡市中央卸売市場で釣り物のマグロは無い」という指摘は無視した上で、この謝罪文の後に再び成された「この時期、福岡市中央卸売市場で釣り物のマグロは見ない」という指摘も無視です。
その上で、「重ねてお詫び申し上げます」と彼等は平身低頭謝っています。いったい、何を、誰に、お詫びしているのでしょうか。
2,漁法偽装疑惑に対して。
「調べました。」
漁法偽装に関しても、フーディソン社サカナバッカの態度は全く同じです。釣り物の国産クロマグロは100グラム498円では提供出来ないという論理的な指摘に対して、サカナバッカの回答は、「調べました。」それだけです。なお、調べた結果、わからなかったそうです。
いったい、何を調べたのでしょうか。僅か一週間前に、2日もかけて回答した文章の中では、確認しました、確認しましたと繰り返した事が、僅か一週間後、「調べました!わかりませんでした!」へと後退しています。
なお、サカナバッカは「※荷受会社に荷主名を照会したところ、荷主名に関する回答は得られず」として、全ての調査を打ち切っています。フーディソン社は「調べました」と口では言いながら、調べていないのです。調べる気もないのです。フーディソン社にあるのは、謝罪したいという強い気持ちだけです。フーディソン社山本徹の、人々に広くお詫びしたいという、強い意志だけです。
謝罪すると、どういう良いことがあるのでしょうか?それに対する回答は明白です。サカナバッカのイメージダウンを止め、彼等のイメージが上がる。フーディソン社の利益に繋がる。だからこそ、フーディソン社は全ての疑惑に対して一切回答することなく、「調べました!」「わかりませんでした!」「重ねてお詫び申し上げます」と繰り返しているのです。
3,虚偽説明疑惑に対して。
「ごめんなさい」
「初期の調査で誤った情報をお伝えしたことならびに、特定まで至らなかった点が生じたことにつきまして、重ねてお詫び申し上げます。」虚偽説明に対しては、わりときちんと謝っているような印象を受けます。
けれども、実は、フーディソン社の"お詫びとお知らせ"は、サカナバッカがFacebook上で2日かけて出した回答と全く同じです。フーディソン社は「誤った情報をお伝えしたこと」をお詫びしていますが、サカナバッカのFacebook上での回答と、フーディソン社の"お詫びとお知らせ"に書かれていることは、全ての点で同じです。差違は見当たりません。
サカナバッカは長崎だと言い、
フーディソンも長崎だと言っています。
サカナバッカは一本釣りだと言い、
フーディソンも一本釣りだと言っています。
サカナバッカはクロマグロだと言い、
フーディソンもクロマグロだと言っています。
サカナバッカは本土側の漁港だと言い、
フーディソンも本土側の漁港だと言っています。
おかしな話です。サカナバッカが言ってることと、フーディソン社が言ってることは、全く同じです。長崎と長崎。一本釣りと一本釣り。本土側漁港と本土側漁港。そしてクロマグロと、クロマグロ。にもかかわらず、フーディソン社は「初期の調査で誤った情報をお伝えした」と言っています。一体、何が誤った情報だったのでしょうか。
事の発端。
「メジマグロですか?」
というFacebookについたコメント。
サカナバッカの回答と、
フーディソン社の回答の、
唯一の違いはそこだけです。
サカナバッカは40kg以上のクロマグロだと言い、
一方で、フーディソン社はクロマグロだと言います。
ここだけが、唯一の違いです。
「初期の調査で誤った情報をお伝えしたこと」
フーディソン社山本徹は書きました。
「メジマグロですか?」
それが全てのはじまりでした。
サカナバッカはメジマグロではないと言いました。
フーディソンはクロマグロですと言いました。
メジマグロも、クロマグロです。
「初期の調査で誤った情報をお伝えしたこと」
フーディソン社山本徹は言います。
「初期の調査で誤った情報」
とは、いったいどこに存在しているのでしょうか?
「40kg以上のクロマグロ」という情報が、
なぜ「クロマグロ」になったのでしょうか。
サカナバッカの説明と、
フーディソンの説明の、
違いは唯一そこだけです。
サカナバッカはメジマグロではないと言いました。
フーディソンはクロマグロですと言いました。
違いは唯一そこだけです。
「メジマグロですか?」
全てはそこから始まりました。
では、なぜ、疑惑に対しては一切応えず、全く関係の無いところで「調べました!わかりませんでした!ごめんなさい!」を只管繰り返すだけの、フーディソン社の酷い"お詫びとお知らせ"が、インターネット上では神謝罪だと、大絶賛されたのでしょうか?インターネットの声を拾ってみましょう。
「画像やpdfではなく、ウェブサイトでお詫びしている!」
「経緯が詳細に書かれている!」
「はてブのボタンがついている!」
「日本語におかしなところがない!」
「親会社の社長名義になっている!」
「プレスリリースとしてだされている!」
「お詫びにTwitterシェアボタンが付いているのなんて初めて見た!」
インターネットは口を揃えて言います。
神謝罪だ、と。
見直した、と。
好きになった、と。
私達は、そんなインターネットに生きています。
私達は、そんな時代を生きています。
トラブルはチャンス!
誰かがいいます。
謝罪は最大のチャンス!
彼等に言わせるとそうです。
問題が発生したとき。
その問題に対する対応こそが、評価を上げるチャンスです。
謝罪せねばならない事態に陥ったとき。
そのときこそが、評価を上げる最大のチャンスです。
そんなことは、もうみんな知っています。
インターネットは、チャンスの世界です。
毎日なんらかの問題が発生し、
毎日誰かが謝っています。
みんな、謝罪の素人です。
問題対処の素人だし、
チャンスを活かす素人です。
きちんと謝れる人なんて、滅多と居ません。
「ごめんなさい」
と口では言いながら、
自己正当化をしたいだけの人達で、
世界は埋め尽くされています。
今日もまた、広いインターネットのどこか知らない寂れた場所で、何らかのトラブルが発生し、寄って集って誰かを責めます。そしてたまらず口を割ります。「ごめんなさい、でも、私は悪くない。あいつらが」
それでも、まだ、ましなほうです。
絶対に謝らない人。
発言を消して無かった事にする人。
人だけではありません。
公人だって、企業だって。
印象操作だ。差別だ。
誰もが言います。
みんなそうです。
そんな人達で、僕等の世界は満ち溢れています。
そうです。
世界はチャンスです。
チャンスに満ち溢れています。
インターネットが、酷い謝罪で満ち溢れている空間であるということは、インターネット上で毎日のように行われる、酷い謝罪のパターンを解析し、そのパターンから全てを少しだけずらせば、その謝罪は、神謝罪として奉られるのです。
「これは酷い謝罪だ」
「自己正当化したいだけ」
「全然謝ってない」
「そもそも謝る気ないだろ」
インターネットに発生する謝罪に対して、口汚く暴言を浴びせかける人達は、その酷い謝罪のパターンから少し外れた謝罪を見つけると、喜び勇んでその謝罪を大絶賛します。「検索避けの為のjpegされた謝罪画像じゃなくて、ウェブサイトで謝罪してる!」「謝罪している人の名義が出ている!しかも社長だ!」「会社のトップページからリンクが張られているぞ!」「Twitterのシェアボタンまである!」
ちょろいもんです。
そう。
トラブルはチャンスです。
謝罪は最大のチャンスです。
サカナバッカはビジネスチャンスをものにしました。
それだけの話です。
「メジマグロですか?」
それに対してサカナバッカが行ったのは「違います」という虚偽説明。フーディソンが行ったのは、なるべく誰にも気がつかれないように、メジマグロですと暗に認めることだけ。インターネットはもはや、責任者に土下座してもらいたいだけの、クレーマー集団に成り果てたのです。フーディソンの責任者が土下座をしたので、インターネットはそれを神謝罪だと称えたのです。素晴らしい世界です。素晴らしい時代です。
重要なのは、誰も謝罪など求めていなかった、という点です。
「メジマグロですか?」
「一本釣りですか?」
「どこの漁港ですか?」
全ては単純な疑問でした。
それに対する回答がフーディソン社から行われていれば、様々な事が明らかになったでしょう。議論も進んだでしょう。メジマグロの何がいけないのか。巻き網の何がいけないのか。なぜ我が国の政府ではなく、九州の漁師がそれぞれ漁業協定を設けて禁漁をしているのか。けれども、そんな僕等の進歩は、実現しませんでした。全てはフーディソンの「調べました!わかりませんでした!」という土下座によって、打ち消されたのです。そうです。フーディソンは最後に、重要な一言を付け加えました。「もうしません」。これが巨大なクレーマー集団と化した、インターネットの溜飲を下げたのです。誰も、謝罪なんて望んでいませんでした。ただ、事実を知りたかったのです。フーディソン社は目的を達成します。謝罪というチャンスを活かすという、彼等自身の目的を。それはwin-winの関係でした。インターネットは、誰かの土下座を見たかったのです。それを上から見下して、大仰に許してやりたかったのです。win-winの関係でした。めでたし、めでたし。
フーディソン社は大量の情報を持っています。少なくとも、彼等が「40kgのクロマグロである」という虚偽説明を行ったクロマグロが、本当は何グラムのマグロであったのか、そして何匹だったのかという情報はフーディソンが所持しています。また、それがどのような価格でフーディソン社の手に渡ったのかも、彼等は知っています。にもかかわらず、かれらは所持している情報を一切出さずに、誰も追求していないような条項に対して「調べました!わかりませんでした!」を只管繰り返し、「メジマグロですか?」という問いにすら、「40kg以上のクロマグロであった」という虚偽説明を遠回しに認める事で、暗に回答しただけです。そして、彼等は壊れた機械人形のように平身低頭土下座し続け、その姿は日本中のインターネッターを、歓喜の渦に巻き込んだのでした。
インターネットは地獄です。
魑魅魍魎が巣くう世界です。人々は日々、自らが正義の権化となれるジャスティスチャンスを探し求め、憤り、やがては激昂し、糾弾し、そして得意気に許すのです。フーディソンの何も謝っていない謝罪を神謝罪だと騒ぎ立てた人達は、みんなそうです。地獄の悪鬼です。彼等が要求していたのは、謝罪する人の態度問題。責任者が土下座をするかどうか、その一点でした。彼等が評価していたのは、責任者による土下座だけでした。だれかの土下座を横から見て、「俺は許した!」と勝手に許すのは、とても気持ちのいいことなんでしょう。真摯に謝っている演技をしていれば許される。素敵な世界ですね。
「責任者をだせ、責任者を。」
「それが謝る態度か。謝罪する態度か。」
インターネットという総体が、強大な暴徒の集団と化したそんな時代だからこそ、フーディソンのお詫びとお知らせはこの世界において、神謝罪とされたのです。これがインターネットです。ここがインターネットです。
本当に必要なのは、謝罪ではありませんでした。
本当に必要だったものは、土下座ではありませんでした。
事実です。いくつかの事実です。フーディソン社山本徹が、謝罪機会という最大のチャンス到来に際し、「これは握りつぶそう」と決断した、幾つかの、小さな、簡単な、事実だけでした。誰が謝罪を求めたんでしょうか。それは、インターネットです。誰が土下座を求めたのでしょうか。それは、インターネットです。誰が、神謝罪と奉ったのでしょうか。それも、また、インターネットです。
「メジマグロですか?」
そうですね。
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明日やります! / Sakana bacca 梅ヶ丘 -サカナバッカ-
弊社で販売したホンマグロについてのお詫びとお知らせ
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弊社で販売したホンマグロについてのお詫びとお知らせ - はてなブックマーク
サカナバッカの炎上理由を一言で表すならば、「クロマグロを売ったこと」です。それだけです。ただし、それだけではありません。サカナバッカが炎上したのは、クロマグロを売ったからではないのです。事実、我が国のいろんな町のいろんなお店で、クロマグロが売られています。けれども、それらは炎上しません。我が国においては、うなぎも、まぐろも、くじらも、いるかも、象牙も鼈甲も、自由に売り買い出来るのです。なのに、サカナバッカは炎上しました。つまり、サカナバッカの炎上理由は、クロマグロを売ったことではありません。では、なぜ、サカナバッカは炎上したのでしょうか。
サカナバッカの炎上理由は、大きく分けると3つです。
1,産地偽装。
2,漁法偽装。
3,虚偽説明。
サカナバッカの炎上は、「緊急特売!天然生本鮪 豊漁につき、シーズン最安値で大特化!!100g498円~」という、Facebookにおける鮪販売の告知に対してついた、市原岳洋さんの「メジマグロですか?」という問いから始まりました。メジマグロとは、産卵可能な年齢に達していない、クロマグロの幼魚のことです。概ね、20kgくらいまでの本マグロを、メジマグロと呼ぶそうです。
「長崎県壱岐の釣り物(魚体40キロ以上)を扱ってます。」
というのが、市原岳洋さんの問いに対するサカナバッカの回答でした。
ここで最も重要なのは、サカナバッカの炎上理由です。
サカナバッカが炎上したのは、クロマグロを売ったからではありません。
サカナバッカが炎上したのは、市原岳洋さんの問いに対して、「長崎県壱岐の釣り物(魚体40キロ以上)を扱ってます。」と回答したからです。もう一度確認しますが、我が国において、クロマグロを売って炎上することはありません。何故ならば、私達の政府がクロマグロの販売を許可しているからです。うなぎだって、マグロだって、象牙だって、鼈甲だって、全部合法です。クロマグロの漁獲、並びに販売は完全な合法であり、正しい商売です。クロマグロは、我が国のどこの町でも購入可能です。合法的に食べられます。
サカナバッカが炎上したのは、クロマグロを売ったからではありません。
「長崎県壱岐の釣り物(魚体40キロ以上)を扱ってます。」
と回答したからです。
この、サカナバッカの回答には、3つの問題が潜んでいました。
それ故に、サカナバッカはインターネットで炎上したのです。
1,産地偽装。
「壱岐海区では、マグロ漁をしている船は居ません」という、壱岐でマグロの一本釣りをしている漁師のコメントが即座についています。壱岐、対馬を中心に30kg以上のクロマグロが自主規制されており、壱岐でマグロを釣っている船はない、どの組合にも壱岐のマグロは流通していないという事実が、様々な人の口と手によって、淡々と並んでいます。サカナバッカは、壱岐のマグロではないものを、壱岐のマグロと主張したのです。
サカナバッカは、産地を偽装しました。
2,漁法偽装。
サカナバッカは、40キロ以上の釣り物のクロマグロ(本マグロ)を、「豊漁につきシーズン最安値で大特価!!」と称して、100グラム498円で売っています。それに対する最も冷静な指摘は、「40キロ以上の釣り物のクロマグロは、そんな値段では流通しない。」というものでした。一本釣りの国産クロマグロは、いくらクロマグロが安い時期であったとしても、100グラム498円などという値段で販売されるようなものではないのです。ですから、「巻き網によるものであるか、クロマグロの幼魚であるメジマグロの何れかであろう」という指摘が成されたのです。
また、40キロ以上の釣り物の国産クロマグロが、100グラム498円などという価格で市場に出回る代物ではないからこそ、「メジマグロですか?」というコメントがFacebookについたのです。
サカナバッカは、漁法を偽装しました。
3,虚偽説明。
サカナバッカはfacebook上で、漁業関係者や、実際にマグロを釣っている人の問いに対して、詳細な回答を行いました。そこで、サカナバッカが売ったマグロは、「長崎県内(九州本土側)の漁師が壱岐沖まで出漁し、一本釣りによって漁獲」「漁獲されたクロマグロは長崎県内の本土側の港に水揚げ」ということを「確認いたしました。」としています。そして、「壱岐沖で一本釣りによって漁獲されたことを確認しております。」と繰り返しています。
このサカナバッカの回答は、一週間後にサカナバッカの運営企業である株式会社フーディソン代表取締役山本徹名義で出されたお詫びとお知らせの中で、保身の為の虚偽説明であった事が記されています。
サカナバッカは、保身の為に虚偽説明を行いました。
「メジマグロですか?」
のコメントから10日後。
サカナバッカの「ご回答」
から一週間後。
事件に対する謝罪がフーディソン社からの出ます。
そしてその上社罪はネット上で、神謝罪と大絶賛されるのです。
いったい、フーディソン社は何をどのように謝罪したのでしょうか。そして、フーディソン社による謝罪の、どこが神謝罪であると、人々に広く評価されたのでしょうか。何を持って、神謝罪であるとされたのでしょうか。まず、フーディソン社の3つの炎上理由、産地偽装、漁法偽装、虚偽説明、これらそれぞれに対して、フーディソン社がどのように謝罪したのかを、見て行きましょう。
1,産地偽装疑惑に対して。
「調べました。」
サカナバッカ(フーディソン社代表取締役山本徹)は、産地偽装の疑惑に対して、「調べました!」「わかりませんでした!」と回答しています。それが、産地偽装疑惑に対するフーディソン社の回答の全てです。産地偽装疑惑に対する回答はありません。産地偽装に対する謝罪もありません。真相の究明もありません。「調べました」それが、産地偽装疑惑に対する、フーディソン社の神謝罪です。
フーディソンは長い長い謝罪の中で、「私達は偽装していない」「荷受会社に荷主名を照会したところ、荷主名に関する回答は得られず」「だから私達に非はない」と述べています。「現地の漁師が禁漁しているこの時期、福岡市中央卸売市場で釣り物のマグロは無い」という指摘は無視した上で、この謝罪文の後に再び成された「この時期、福岡市中央卸売市場で釣り物のマグロは見ない」という指摘も無視です。
その上で、「重ねてお詫び申し上げます」と彼等は平身低頭謝っています。いったい、何を、誰に、お詫びしているのでしょうか。
2,漁法偽装疑惑に対して。
「調べました。」
漁法偽装に関しても、フーディソン社サカナバッカの態度は全く同じです。釣り物の国産クロマグロは100グラム498円では提供出来ないという論理的な指摘に対して、サカナバッカの回答は、「調べました。」それだけです。なお、調べた結果、わからなかったそうです。
いったい、何を調べたのでしょうか。僅か一週間前に、2日もかけて回答した文章の中では、確認しました、確認しましたと繰り返した事が、僅か一週間後、「調べました!わかりませんでした!」へと後退しています。
なお、サカナバッカは「※荷受会社に荷主名を照会したところ、荷主名に関する回答は得られず」として、全ての調査を打ち切っています。フーディソン社は「調べました」と口では言いながら、調べていないのです。調べる気もないのです。フーディソン社にあるのは、謝罪したいという強い気持ちだけです。フーディソン社山本徹の、人々に広くお詫びしたいという、強い意志だけです。
謝罪すると、どういう良いことがあるのでしょうか?それに対する回答は明白です。サカナバッカのイメージダウンを止め、彼等のイメージが上がる。フーディソン社の利益に繋がる。だからこそ、フーディソン社は全ての疑惑に対して一切回答することなく、「調べました!」「わかりませんでした!」「重ねてお詫び申し上げます」と繰り返しているのです。
3,虚偽説明疑惑に対して。
「ごめんなさい」
「初期の調査で誤った情報をお伝えしたことならびに、特定まで至らなかった点が生じたことにつきまして、重ねてお詫び申し上げます。」虚偽説明に対しては、わりときちんと謝っているような印象を受けます。
けれども、実は、フーディソン社の"お詫びとお知らせ"は、サカナバッカがFacebook上で2日かけて出した回答と全く同じです。フーディソン社は「誤った情報をお伝えしたこと」をお詫びしていますが、サカナバッカのFacebook上での回答と、フーディソン社の"お詫びとお知らせ"に書かれていることは、全ての点で同じです。差違は見当たりません。
サカナバッカは長崎だと言い、
フーディソンも長崎だと言っています。
サカナバッカは一本釣りだと言い、
フーディソンも一本釣りだと言っています。
サカナバッカはクロマグロだと言い、
フーディソンもクロマグロだと言っています。
サカナバッカは本土側の漁港だと言い、
フーディソンも本土側の漁港だと言っています。
おかしな話です。サカナバッカが言ってることと、フーディソン社が言ってることは、全く同じです。長崎と長崎。一本釣りと一本釣り。本土側漁港と本土側漁港。そしてクロマグロと、クロマグロ。にもかかわらず、フーディソン社は「初期の調査で誤った情報をお伝えした」と言っています。一体、何が誤った情報だったのでしょうか。
事の発端。
「メジマグロですか?」
というFacebookについたコメント。
サカナバッカの回答と、
フーディソン社の回答の、
唯一の違いはそこだけです。
サカナバッカは40kg以上のクロマグロだと言い、
一方で、フーディソン社はクロマグロだと言います。
ここだけが、唯一の違いです。
「初期の調査で誤った情報をお伝えしたこと」
フーディソン社山本徹は書きました。
「メジマグロですか?」
それが全てのはじまりでした。
サカナバッカはメジマグロではないと言いました。
フーディソンはクロマグロですと言いました。
メジマグロも、クロマグロです。
「初期の調査で誤った情報をお伝えしたこと」
フーディソン社山本徹は言います。
「初期の調査で誤った情報」
とは、いったいどこに存在しているのでしょうか?
「40kg以上のクロマグロ」という情報が、
なぜ「クロマグロ」になったのでしょうか。
サカナバッカの説明と、
フーディソンの説明の、
違いは唯一そこだけです。
サカナバッカはメジマグロではないと言いました。
フーディソンはクロマグロですと言いました。
違いは唯一そこだけです。
「メジマグロですか?」
全てはそこから始まりました。
では、なぜ、疑惑に対しては一切応えず、全く関係の無いところで「調べました!わかりませんでした!ごめんなさい!」を只管繰り返すだけの、フーディソン社の酷い"お詫びとお知らせ"が、インターネット上では神謝罪だと、大絶賛されたのでしょうか?インターネットの声を拾ってみましょう。
「画像やpdfではなく、ウェブサイトでお詫びしている!」
「経緯が詳細に書かれている!」
「はてブのボタンがついている!」
「日本語におかしなところがない!」
「親会社の社長名義になっている!」
「プレスリリースとしてだされている!」
「お詫びにTwitterシェアボタンが付いているのなんて初めて見た!」
インターネットは口を揃えて言います。
神謝罪だ、と。
見直した、と。
好きになった、と。
私達は、そんなインターネットに生きています。
私達は、そんな時代を生きています。
トラブルはチャンス!
誰かがいいます。
謝罪は最大のチャンス!
彼等に言わせるとそうです。
問題が発生したとき。
その問題に対する対応こそが、評価を上げるチャンスです。
謝罪せねばならない事態に陥ったとき。
そのときこそが、評価を上げる最大のチャンスです。
そんなことは、もうみんな知っています。
インターネットは、チャンスの世界です。
毎日なんらかの問題が発生し、
毎日誰かが謝っています。
みんな、謝罪の素人です。
問題対処の素人だし、
チャンスを活かす素人です。
きちんと謝れる人なんて、滅多と居ません。
「ごめんなさい」
と口では言いながら、
自己正当化をしたいだけの人達で、
世界は埋め尽くされています。
今日もまた、広いインターネットのどこか知らない寂れた場所で、何らかのトラブルが発生し、寄って集って誰かを責めます。そしてたまらず口を割ります。「ごめんなさい、でも、私は悪くない。あいつらが」
それでも、まだ、ましなほうです。
絶対に謝らない人。
発言を消して無かった事にする人。
人だけではありません。
公人だって、企業だって。
印象操作だ。差別だ。
誰もが言います。
みんなそうです。
そんな人達で、僕等の世界は満ち溢れています。
そうです。
世界はチャンスです。
チャンスに満ち溢れています。
インターネットが、酷い謝罪で満ち溢れている空間であるということは、インターネット上で毎日のように行われる、酷い謝罪のパターンを解析し、そのパターンから全てを少しだけずらせば、その謝罪は、神謝罪として奉られるのです。
「これは酷い謝罪だ」
「自己正当化したいだけ」
「全然謝ってない」
「そもそも謝る気ないだろ」
インターネットに発生する謝罪に対して、口汚く暴言を浴びせかける人達は、その酷い謝罪のパターンから少し外れた謝罪を見つけると、喜び勇んでその謝罪を大絶賛します。「検索避けの為のjpegされた謝罪画像じゃなくて、ウェブサイトで謝罪してる!」「謝罪している人の名義が出ている!しかも社長だ!」「会社のトップページからリンクが張られているぞ!」「Twitterのシェアボタンまである!」
ちょろいもんです。
そう。
トラブルはチャンスです。
謝罪は最大のチャンスです。
サカナバッカはビジネスチャンスをものにしました。
それだけの話です。
「メジマグロですか?」
それに対してサカナバッカが行ったのは「違います」という虚偽説明。フーディソンが行ったのは、なるべく誰にも気がつかれないように、メジマグロですと暗に認めることだけ。インターネットはもはや、責任者に土下座してもらいたいだけの、クレーマー集団に成り果てたのです。フーディソンの責任者が土下座をしたので、インターネットはそれを神謝罪だと称えたのです。素晴らしい世界です。素晴らしい時代です。
重要なのは、誰も謝罪など求めていなかった、という点です。
「メジマグロですか?」
「一本釣りですか?」
「どこの漁港ですか?」
全ては単純な疑問でした。
それに対する回答がフーディソン社から行われていれば、様々な事が明らかになったでしょう。議論も進んだでしょう。メジマグロの何がいけないのか。巻き網の何がいけないのか。なぜ我が国の政府ではなく、九州の漁師がそれぞれ漁業協定を設けて禁漁をしているのか。けれども、そんな僕等の進歩は、実現しませんでした。全てはフーディソンの「調べました!わかりませんでした!」という土下座によって、打ち消されたのです。そうです。フーディソンは最後に、重要な一言を付け加えました。「もうしません」。これが巨大なクレーマー集団と化した、インターネットの溜飲を下げたのです。誰も、謝罪なんて望んでいませんでした。ただ、事実を知りたかったのです。フーディソン社は目的を達成します。謝罪というチャンスを活かすという、彼等自身の目的を。それはwin-winの関係でした。インターネットは、誰かの土下座を見たかったのです。それを上から見下して、大仰に許してやりたかったのです。win-winの関係でした。めでたし、めでたし。
フーディソン社は大量の情報を持っています。少なくとも、彼等が「40kgのクロマグロである」という虚偽説明を行ったクロマグロが、本当は何グラムのマグロであったのか、そして何匹だったのかという情報はフーディソンが所持しています。また、それがどのような価格でフーディソン社の手に渡ったのかも、彼等は知っています。にもかかわらず、かれらは所持している情報を一切出さずに、誰も追求していないような条項に対して「調べました!わかりませんでした!」を只管繰り返し、「メジマグロですか?」という問いにすら、「40kg以上のクロマグロであった」という虚偽説明を遠回しに認める事で、暗に回答しただけです。そして、彼等は壊れた機械人形のように平身低頭土下座し続け、その姿は日本中のインターネッターを、歓喜の渦に巻き込んだのでした。
インターネットは地獄です。
魑魅魍魎が巣くう世界です。人々は日々、自らが正義の権化となれるジャスティスチャンスを探し求め、憤り、やがては激昂し、糾弾し、そして得意気に許すのです。フーディソンの何も謝っていない謝罪を神謝罪だと騒ぎ立てた人達は、みんなそうです。地獄の悪鬼です。彼等が要求していたのは、謝罪する人の態度問題。責任者が土下座をするかどうか、その一点でした。彼等が評価していたのは、責任者による土下座だけでした。だれかの土下座を横から見て、「俺は許した!」と勝手に許すのは、とても気持ちのいいことなんでしょう。真摯に謝っている演技をしていれば許される。素敵な世界ですね。
「責任者をだせ、責任者を。」
「それが謝る態度か。謝罪する態度か。」
インターネットという総体が、強大な暴徒の集団と化したそんな時代だからこそ、フーディソンのお詫びとお知らせはこの世界において、神謝罪とされたのです。これがインターネットです。ここがインターネットです。
本当に必要なのは、謝罪ではありませんでした。
本当に必要だったものは、土下座ではありませんでした。
事実です。いくつかの事実です。フーディソン社山本徹が、謝罪機会という最大のチャンス到来に際し、「これは握りつぶそう」と決断した、幾つかの、小さな、簡単な、事実だけでした。誰が謝罪を求めたんでしょうか。それは、インターネットです。誰が土下座を求めたのでしょうか。それは、インターネットです。誰が、神謝罪と奉ったのでしょうか。それも、また、インターネットです。
「メジマグロですか?」
そうですね。
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明日やります! / Sakana bacca 梅ヶ丘 -サカナバッカ-
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